「融資って借金とは違うの?」と疑問に思っていませんか。
たしかに、融資も借金もお金を借りる行為のことです。しかし、融資と借金は、お金を借りる目的が違います。
今回は、融資と借金の違いや融資と借金のメリット・デメリットを分かりやすく解説!
融資で資金調達をする方法もご紹介しているので、参考にしてください。
記事を読めば、融資と借金の関係がよく理解できるはずです。融資についての理解を深め、不安をなくしましょう。
融資とは?借金ではないってホント?
融資とは、資金調達をするために金融機関からお金を借り入れることです。
融資も借金もお金を借り入れることなので、融資と同じ意味合いに感じるかもしれません。
しかし、融資は事業を発展させるためにお金を借りる行為のことです。
融資で得た資金を元に事業を発展させ、利益を上げるためにお金を借ります。
借金との違い
借金と融資の違いは、借りたお金の使い道です。
一般的に、借金は融資と違って個人消費のためにお金を借りる行為として使われます。
たとえば、家や車、楽器などが高額なときにローンを組むことは借金です。
また、一時的に生活費が足りなくなってカードローンや人からお金を借りることも借金と呼びます。
一方、融資は創業や事業拡大のために金融機関から資金調達をすることです。
このように、借金と融資にはお金を借りる目的に違いがあります。
融資と出資の違い
融資は事業の資金調達のために行われるため、出資と混同するかもしれません。
しかし、融資と出資は、違う意味合いを持ちます。
融資と出資の違いは、返済の義務の有無です。
そもそも出資とは、投資家が株式などと引き換えに事業に対して資金援助することです。
あくまでも援助なので、出資してもらったお金を返済する必要はありません。
代わりに投資家は、企業価値が上がったときに配当金を得たり、株主総会で経営に参加する権利を得ます。
一方、融資は金融機関からの借入なので返済しなければなりません。
融資を受けるメリット・デメリット
創業をしたり事業を拡大していく上で、まとまった資金が必要な場合融資を検討する経営者は多いです。
しかし、安易に融資をしてしまうと、金銭感覚が狂ってしまう可能性があります。
そこで、メリットデメリットを理解した上で、融資を受けるべきか判断しましょう。
融資を受けるメリット
融資を受けるメリットは、以下のように3つあります。
- 自己負担を減らせる
- スピード感のある事業投資ができて利益獲得が早くできる
- 低金利でお金を借りられる
それぞれのメリットを理解すれば、融資を上手に活用して事業を成長させられます。
順番に確認していきましょう。
自己負担を減らせる
融資を活用すれば、創業・起業時に自己負担を減らすことができます。
というのも、会社を設立する際、会社の資金は経営者自らが出すことが多いからです。
たとえば、飲食店をオープンさせたいなら初期費用だけでも数百万円かかってしまいます。
自己資金で賄えるならそれに越したことはありませんが、事業スタートと同時に利益が得られる可能性は他の業種と同様に低いでしょう。
そのため、多額の自己資金を使うと、利益を確立するまで生活費に困りかねません。
そこで、融資を活用すればまとまった資金で創業準備ができ、利益が出てきた頃から少しずつ返済していくことができます。
スピード感のある事業投資ができて利益獲得が早くできる
融資を活用すればスピード感を持って事業投資できるので、利益獲得が早くなります。
ビジネスには「ここぞ」というチャンスがあるものです。
たとえば、大企業から「御社とコラボ商品を作りたい」と声がかかれば、事業発展に繋がるので、二つ返事でGOサインを出したいと考えるでしょう。
すぐに設備投資を行う、または従業員を雇って、商品を作り始めたいはずです。
しかし、当たり前ですが会社に資金がなければ投資することはできませんよね。
このように、資金がないと、事業立ち上げや投資ができずにチャンスを逃します。
そこで、融資で資金を獲得できれば、すぐに事業投資ができ、スピード感のあるビジネス推進をすることができます。
ビジネスチャンスを逃さないためにも、融資を活用すべきタイミングがあるのです。
低金利でお金を借りられる
借金と比べると、融資は低金利でお金を借りることができます。
たとえば、公的な日本政策金融公庫の主要利率(令和3年2月1日実施)は以下のように定められています。
表のように貸付期間や融資制度によって利率は変わるものの、高くても年1.40%と低金利です。
中には、無利子で借りれる制度「新型コロナウイルス感染症特別貸付」もあります。
ちなみに、カードローンの金利は15%〜20%です。
金利という観点で見れば、融資でお金を借りる方が返済のハードルは低くなります。
融資を受けるデメリット
一方で、融資を受けるデメリットもあります。
融資のデメリットは、以下の3つです。
- 支出を減らす努力をしなくなりやすい
- 返済義務が発生する
- 審査が厳しい
事前にデメリットを把握しておけば「借りなければよかった」と後悔することはありません。
融資の性質を理解した上で、金融機関から借り入れをしましょう。
支出を減らす努力をしなくなりやすい
融資を受けると、支出を減らす努力をしなくなる経営者が多いです。
なぜなら、口座に融資資金が振り込まれると、一見お金が増えたように感じてしまうからです。
「Aさんとの付き合いは投資だから」「セミナーに行くことは投資だから」と、何でも投資で処理してしまいます。
今までだったら節約をして支出を控えていたことにも、お金を使うようになってしまいます。
いずれは返さなければならないお金であると理解し、むしろ支出は抑えるべきです。
返済義務が発生する
当然、融資で借りたお金は計画的に返済しなければなりません。
創業時に融資してもらった場合、利益が安定するより前に返済期間に突入することもあります。
それでも返済していかなければならないので、計画的にお金の管理をしなければなりません。
かならず、融資を受けると同時に返済計画を立てましょう。
また、計画通りに行かない場合でも、早く経営判断を行って現金を作る努力をしなければなりません。
審査が厳しい
融資の審査に通るには、厳しい要件をクリアしなければなりません。
なぜなら、融資は事業投資のための借金なので、金額が大きくなりやすいからです。
金融機関は貸したお金を回収しなければならないので、「お金を返してくれる人か?」と審査をします。
お金を返してくれないと判断されれば、融資はしてもらえません。
審査には時間がかかるので、融資の申請後すぐに資金を獲得できるわけではないことも覚えておきましょう。
借金をするメリット・デメリット
融資についてみてきましたが、借金にもメリットとデメリットがあります。
一般的に借金は「ダメなもの」というイメージがあるかもしれません。
しかし、場合によっては融資よりも借金をする方が良いケースもあります。
メリット・デメリットを確認し、正しい知識を持って借金をしましょう。
借金をするメリット
借金をするメリットは、2つあります。
- 審査が通りやすくスピーディーにお金を借りれる
- 自己資金がなくても大きな買い物ができる
メリットを理解し、計画的にお金を借りましょう。
審査が通りやすくスピーディーにお金を借りれる
融資と比べて審査が通りやすく、スピーディーにお金を借りることができます。
たとえば、消費者金融系のカードローンであれば即日お金を借りれます。
なぜなら、会社独自の審査を行っているからです。
そのため、すぐに資金獲得ができるというメリットがあります。
自己資金がなくても大きな買い物ができる
借金をすれば、自己資金がなくても大きな買い物ができます。
たとえば、住宅や車を購入するとき、現金を持っていなくても返せる目処があるならローンを組むことが可能です。
キャッシュで住宅や車を支払おうとすると、相当な時間がかかってしまいます。
しかし、ローンを組めば満額支払っていない状態でも、自分の所有物として扱えるようになります。
借金をするデメリット
借金には、当然以下のようなデメリットもあります。
- 信用情報機関の信頼度が下がる
- 金利が高い
しっかりデメリットを理解した上で、お金を借りましょう。
信用情報機関の信頼度が下がる
借金をたくさんしていたり、慢性的に借金をしていると、信用情報機関の信頼力が下がります。
信用情報機関とは、クレジット会社や金融機関に対して与信判断のための信用情報を提供する機関です。
ここで言う信用力とは、借金をしても返済する能力のことです。
信用情報機関は、信用取引に関する過去の情報を持っています。
そのため、返済が遅れたり借金が多かったりすると、あなたの信用度が低くなるでしょう。
たとえば、以下のような審査に落ちてしまう可能性が高いです。
- クレジットカードを作る
- ローンを組む
信用力が低ければ、将来的に大きな買い物がしづらくなります。
借金をした場合は、必ず返済期日までに返済しましょう。
金利が高い
借金をするときの金利は高いので、返済に苦労します。
ちなみに、カードローンの金利の上限は年20.0%です。
以下のように、借入金額に応じて金利が変動します。
借入額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20% |
10万円以上〜100万円未満 | 年18% |
100万円以上 | 年15% |
この金利は利息制限法で定められている数字です。
金融機関からの融資と比べると、手軽に借りられる分金利は高くなります。
計画的に活用しなければ借金が膨れ上がってしまいます。
返済が困難にならないよう、借り入れは短期的に返せる金額に留めておきましょう。
融資で資金調達するための2つの方法
ここまで融資と借金のメリット・デメリットを確認しました。
創業や事業拡大を目的として資金調達するのであれば、基本的には融資を選択するでしょう。
そこで、融資で資金調達するための方法を知っておくべきです。
融資で資金調達するなら、以下の2つの方法があります。
- 日本政策金融公庫
- 民間融資
順番に確認していきましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、事業に取り組む事業主に対して支援する政策金融機関です。
民間の金融機関の取り組みを補完してくれる存在です。
日本経済成長や発展、地域活性化、経済環境に対応するセーフティネットとしての役割があります。
とくに、個人事業主や中小企業事業は、融資を受けやすい制度が充実。
融資制度はたくさんありますが、中でも利用しやすい融資制度を4つご紹介します。
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 新事業活動促進資金
- 新型コロナウイルス特別貸付
どのような融資制度なのか、具体的に確認していきましょう。
新規開業資金
新規開業資金とは、新しく事業を始める方や、事業開始後7年以内の方を対象とした融資制度です。
融資された資金の使い道は、以下のように制限されています。
- 新たに事業を始めるための資金
- 事業開始後に必要な設備資金・運転資金
融資限度額は、7,200万円です。
金利は要件によって変動するため、窓口で相談しましょう。
女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金とは、女性または35歳未満か55歳以上の方で、新たに事業を始める場合や事業開始後7年以内の場合を対象とした融資制度です。
分かりやすくすると、以下の2つの条件に当てはまる方が利用できます。
- これから創業する方、もしくは創業して7年以内の方
- 35歳〜54歳の男性以外の方
女性や若者、シニアの創業を助ける目的の制度のため、要件に当てはまるのであれば積極的に活用しましょう。
融資限度額は、7,200万円です。
金利は要件によって変動するため、窓口で相談しましょう。
新事業活動促進資金
新事業活動促進資金とは、多角化経営や事業転換によって新しく事業を立ち上げる方を対象とした融資制度です。
つまり、2つ目以降の新たな事業を立ち上げる方向けの融資制度となっています。
融資された資金の使い道は、事業を行うために必要となる設備資金・運転資金と限られています。
融資限度額は、7,200万円です。
金利は要件によって変動するため、窓口で相談しましょう。
新型コロナウイルス特別貸付
新型コロナウイルス特別貸付とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的に業績悪化となった人を対象とした融資制度です。
1、または2のいずれかに該当している方が使える融資制度となっています。
1 | 直近1ヶ月間の売上高、もしくは過去6か月間の平均売高が、過去3年の同時期と比べて5%以上減少している方 |
---|---|
2 | 業歴3ヶ月以上1年1か月未満等は、直近1ヶ月間の売り上げか過去6ヶ月の平均売上高が、以下のいずれかと比較して5%以上減少している方 ・過去3か月の平均売上高 ・令和元年12月の売上高 ・令和元年10月〜12月の平均売上高 |
限度融資額は、8,000万円です。
一部の対象者は、基準利率-0.9%を中小企業基盤整備機構機構から利子補給を受けることができます。
対象となれば、当初3年間が実質無利子となります。
また、無担保で融資を受けることが可能。
新型コロナウイルスが収束した際には、新型コロナウイルス特別貸付はなくなると推測されます。
民間融資
民間融資とは、銀行や信用組合が行う融資のことです。
起業したばかりで実績や経験がないと、民間融資を受けることは難しいです。
しかし、実績があれば大きな額を融資してもらうことも可能。
民間融資には、以下の2つの融資があります。
- 信用保証付融資(制度融資)
- プロパー融資
順番に確認していきましょう。
信用保証付融資(制度融資)
信用保証付融資とは、信用保証協会の保証がついた融資制度です。
返済が滞った場合、信用保証協会が金融機関に対して立替払いをします。
そのため、金融機関は安心して融資することができるのです。
ただし、信用保証付融資は資本金と従業員の条件が業種ごとに決められています。
小規模企業者のみが使える制度のため、注意しましょう。
また、補償の利用対価として、借主は信用保証料を支払わなければなりません。
信用保証協会への申し込み手続きは、銀行や信用金庫から行えます。
プロパー融資
プロパー融資とは、銀行が直接融資する制度のことです。
信用保証協会への保証料が不要で、借入金に限度がないというメリットがあります。
返済が滞ると、銀行は全て負担する必要があります。
そのため、過去に実績や信頼がなければ、審査申請すら行えません。
創業融資には使えないため、注意しましょう。
住宅ローンなど個人の借金は創業・開業の融資に影響はある?
「個人的な借金があるんだけど、創業や開業の融資って受けられるのかな?」と悩む方は少なくありません。
残念ながら、個人の借金があると、創業・開業の融資は受け辛くなります。
なぜなら、借金をしている方にお金を貸したいとは思わないからです。
融資したお金の返済能力があるのか疑われてしまいます。
しかし、住宅ローンや車のローンなど、生活に欠かせないものを購入するための資金であれば、問題なく融資を受けられる可能性が高いです。
この場合、返済の滞りがないかという点をチェックされます。
計画的にお金を借りて、しっかり返済していれば、融資をしてもらえるでしょう。
一方で、無計画に生活費のために借金をしたり、返済に滞りがあったりすると、融資の審査で落ちる可能性が高いです。
借金があるけど起業や事業に融資をしてもらうための4つのコツ
個人的な借金があっても、企業や事業のために融資して欲しいですよね。
そこで、以下の4つのコツを抑えて融資の可能性を高めましょう。
- 事業計画を詳細に作成する
- 借金の理由を伝える
- 借金返済の計画を伝える
- 自己資金を貯めておく
具体的に見ていきましょう。
事業計画を詳細に作成する
融資を受けてどのような事業を行っていくのか、詳細な事業計画を作成しましょう。
以下の3つの内容は、絶対に記載するようにして下さい。
- どのような事業を行うのか
- いつ頃から利益がで始めるのか
- 利益の見込みの根拠は何か
金融機関が事業計画に納得し、融資した資金が返済されると確信してもらえれば、融資を受けられる可能性があります。
借金の理由を伝える
なぜ、個人的な借金をしたのか理由を伝えることで、納得してもらえる場合があります。
たとえば、
- 急な事故や病気によって、入院や手術があった
- 家族や友人の保証人になっていた
- 相続をして借金返済をしなければならなくなった
このような理由であれば「致し方ない借金である」と思ってもらえるかもしれません。
融資しても返済してもらえると判断してくれるでしょう。
借金返済の計画を伝える
借金の理由と共に、今後の返済の計画を伝えましょう。
無計画に借金をしていると思われないためにも、過去の返済に滞りがなかったことも伝えると好印象です。
自己資金を貯めておく
融資額の10分の1〜3分の1程度の自己資金を貯めておきましょう。
なぜなら、必要な資金をすべて借り入れでまかなった場合、事業が立ち行かなくなった場合に資金不足に陥るからです。
自己資金が少なければ、資金繰りが悪くなるリスクが高いとみなされます。
そのため、自己資金は多ければ多いほど融資の審査では有利です。
ちなみ、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、融資の10分の1以上の自己資金を確認できることが要件となっています。
まったく自己資金がないのに融資を受けようとしても、返済してくれるか金融機関は不安に感じます。
融資額の10分の1〜3分の1程度の自己資金があれば、金融機関も比較的安心して融資することができるのです。
創業時の資金調達に不安のある方は税理士に相談しよう
創業時や創業直後の資金調達に不安のある方は、税理士に相談しましょう。
なぜなら、金融機関から融資を受けるにはコツを抑えなければならないからです。
事業計画の詳細さや自己資金の金額など、初めての融資では分からないことが多いでしょう。
そのため、以下のような方は、税理士に相談することで資金調達がしやすくなります。
- 借金やローンがある
- どの融資制度が最適か分からない
- どのように融資手続きすれば良いか分からない
一度自分で手続きをして審査に落ちてしまうと、再申請までには時間を空けなければなりません。
このような方は、ぜひ税理士法人きわみ事務所へご相談ください。
あなたの状況に合わせて、最善のアドバイスをいたします。
おわりに
融資とは、創業や事業拡大のために金融機関からお金を借りることです。
お金を借りることには違いありませんが、個人の消費活動のための借金とは違う意味合いを持っています。
新規事業の立ち上げや大きな設備投資をするときに必要な資金調達の手段として、融資は活用されるのです。
賢く融資を利用して、ビジネスチャンスをしっかり掴みましょう。
しかし、金融機関は、事業内容や将来性を判断して融資すべきか判断します。
一度融資に落ちてしまうと、再申請まで時間がかかってしまうので慎重に申請を行わなければなりません。
もし、融資申請に不安がある方は、一度税理士法人きわみ事務所へご相談ください。適切なアドバイスの上、資金調達実現のお手伝いをいたします。お気軽にお問い合わせくださいね。