資金調達

ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

ファクタリングとは、融資や補助金と異なり、請求書の発行などで発生する債権を利用して実行する資金調達です。資金調達の実行スピードや返金リスクの面でメリットがあり、自社の経営状態によっては最適な資金調達方法になり得ます。

当記事ではファクタリングの仕組みやメリット・デメリット、利用の際の注意点について、わかりやすく解説します。

ファクタリングとは?買取型・保証型の違い

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ファクタリングとは、すでに発生している債権(金銭や利息など債務の履行を要求できる権利)をファクタリング会社に買い取ってもらい、資金調達を行うサービスです。

日本の事業者同士の取引は、原則として後払いとなる掛け取引です。支払料金や振込期日が確定している確定債権であれば、ファクタリングを利用できます。期日に履行される支払いを、期日前に受け取ることが可能です。

売掛債権をファクタリング会社へ売却して金銭を得た後は、売掛先または自社が、後日ファクタリング会社へ売掛金を支払います。

近年、経済産業省や中小企業庁はこうした債権を利用した資金調達を推進してきました。悪質業者による詐欺的なファクタリングにも注意を呼びかけています。ファクタリングサービスの市場規模は徐々に拡大しつつあり、今後もさらなる普及が予想されます。

買取型と保証型の違い

ファクタリングには、主に買取型と保証型があります。

買取型ファクタリング

買取型ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社へ売却して現金を得る方法です。事業者の資金調達方法として広まっている方法です。

受け取る現金は、ファクタリング会社へ支払う手数料が差し引かれています。手数料の割合は、数%から数十%と利用するサービスによって異なります。例えば200万円で手数料10%であれば、ファクタリング会社から受け取るのは180万円です。

買取型ファクタリングには、取引先などの売掛先を除いた2者間で成立する方法と、売掛先を含めた自社・ファクタリング会社の3者間で成立する方法があります。

保証型ファクタリング

保証型ファクタリングとは、売掛債権の対象となる取引先が倒産・債務超過などに陥り債権回収が不可能になった場合、ファクタリング会社や金融機関が代わりに支払う契約です。

依頼者はファクタリング会社へ「A社の売掛債権が回収できなかったときに、支払いを保証してほしい」と依頼します。ファクタリング会社は審査等によって、A社の債権を保証するか否かを判断し、利用の可否や保証限度額などを依頼者へ掲示します。

依頼者は条件に納得できれば、ファクタリング会社へ保証料を支払った後に保証契約を結び、万が一債権回収ができなくなった場合に保証金を受け取ることが可能です。

保証型は資金調達方法というより、貸倒のリスクを低減する保険のようなイメージになります。

事業者用と個人用

ファクタリングには、事業者が債権の前払いや回収を受けるためのサービスと、サラリーマンなどの個人が持つ賃金債権(給与など)を売却して資金を受け取る給与ファクタリングが存在します。給与ファクタリングは、貸金業に該当します。

買取型ファクタリングの2者間・3者間の違い

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買取型ファクタリングには、2者間・3者間の2種類が存在します。どちらも債権をファクタリング会社に売却して資金を得るという流れですが、契約履行のプロセスに大きな違いがあります。2者間と3者間の違いを見ていきましょう。

2者間のファクタリング

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2者間ファクタリングは、自社とファクタリング会社のみで成立する仕組みのことです。2者間ファクタリングの主な流れは次のとおりです。

  • 取引先へ請求書などを発行し、売掛債権を発生させる
  • ファクタリング会社と契約を結び、持っている債権を売却する
  • ファクタリング会社から、売却した債権に応じた資金から手数料を差し引いた金額を受け取る
  • 売却した債権について通常通り取引先から入金されたら、入金された金額を、ファクタリング会社へ全額支払う

2者間ファクタリングを実行する際は、取引先に連絡する必要はありません。取引先に債権譲渡を知られずに資金調達が可能なのです。

2者間のみで完結することから、現金化までのスピードが非常に早いことも特徴です。数日中、早い場合は即日に入金されます。ただし、手数料は3者間ファクタリングより高い傾向があります。手数料の平均は8~18%です。

3者間のファクタリング

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3者間ファクタリングとは、自社・売掛先・ファクタリング会社の3者で契約を締結する仕組みのことです。3者間ファクタリングの主な流れは次のとおりです。

  • 取引先へ請求書などを発行し、売掛債権を発生させる
  • ファクタリング会社へ申込後、取引先へファクタリングサービスを利用しても問題ないか承諾を得る
  • 3者間で契約を締結し、ファクタリング会社へ債権を売却後、手数料を差し引いた金額を受け取る
  • 取引先が直接ファクタリング会社へ支払いを行う

3者間ファクタリングは、3者それぞれの同意のもと行われます。ファクタリング会社側から見ると未回収のリスクを減らせるので、2者間ファクタリングと比較して手数料が安い傾向にあります。3者間の手数料の平均は2〜9%です。

3者間の場合だと、ファクタリング会社は売掛債権の対象となる相手を直接確認できることから、2者間に比べて審査に通過しやすいメリットがあります。

ただし、3者間は手続きや現金化に時間がかかることや、取引先にファクタリングの利用を知られるデメリットがあります。

事業者がファクタリングを利用するメリット

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ファクタリングには、融資や補助金による資金調達にはないさまざまなメリットがあります。具体的には次のとおりです。

  • 自社の業績や規模に関係なく資金調達ができる
  • 返金リスクを回避できる
  • 融資や補助金よりも早めに資金調達ができる
  • 財務状況の改善が期待できる

自社の業績や規模に関係なく資金調達ができる

ファクタリングを利用できるかどうかは、自社の業績・規模ではなく売掛先側の状況次第になります。

例えば、自社が赤字決算や債務超過などに陥っていても、売掛先側の財務状態に問題がなければ、ファクタリング会社は売掛先から資金を回収できます。

ファクタリングは自社の業績・規模に関係なく利用できるのがメリットです。この点が、融資や補助金との大きな違いになります。利用の際には、保証人や担保も不要です。

ただし個人事業主の場合、債権譲渡登記の影響で2者間ファクタリングを利用できない可能性があるので注意が必要です。

返金リスクを回避できる

ファクタリング契約を締結して資金を受け取った後、万が一売掛先が倒産しても自社は売掛金の返金を求められません。

ファクタリングはあくまで売掛債権を売却する行為であり、売掛債権の売買契約にあたるので、賃借契約における返済の義務などが原則として発生しません。ファクタリングは返金リスクが発生しないというメリットがあるのです。

融資や補助金よりも早めに資金調達ができる

ファクタリングは、対象となる2者間または3者間の合意があれば資金調達が可能です。融資や補助金ほど、事業計画や財務状況などについての厳格な審査はありません。融資や補助金よりもスピーディかつスムーズな資金調達が可能です。

ファクタリングは、緊急で資金が必要になった際にも対応できるメリットがあります。

財務状況の改善が期待できる

ファクタリングは融資とは異なり、借入金扱いにはなりません。契約上は売掛債権の回収であるためです。貸借対照表に負債を計上する必要がないことから、売掛金のオフバランス化(資産や負債を減らすこと)につながり、財務状況の改善につながることが期待できます。

例えばファクタリングの活用によって、赤字決算や債務超過での会計報告・税務申告を回避することが可能です。

事業者がファクタリングを利用するデメリット

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資金調達の実行スピードや返金リスクについてメリットがあるファクタリングですが、利用の際には次のデメリットに注意しましょう。

  • 手数料がかかるので元の債権よりも金額が少なくなる
  • 売掛金額以上の資金調達ができない
  • 経営・財務状態について相手に不信感を与える
  • 売掛先の状況によって利用を断られる可能性がある

手数料がかかるので元の債権よりも金額が少なくなる

ファクタリングの大きなデメリットは、サービス利用分の手数料が発生する点です。同金額の融資よりも高めに設定されるケースも珍しくありません。

2者間ファクタリングだと、20%近くの手数料がかかる可能性があります。

ファクタリングを継続的に利用すると、徐々に手元に残る利益が目減りすることでしょう。そのまま依存が進むと、慢性的に資金繰りが悪化するリスクもあります。

売掛金額以上の資金調達ができない

ファクタリングは、売却する売掛債権以上の金額を受け取れません。売掛債権以上の資金調達を求める場合は、他の資金調達手段の実施が必要です。

経営・財務状態について相手に不信感を与える

3者ファクタリングを実行する場合、売掛先側にサービスの利用が知られます。売掛先が得意先の場合だと、「経営状態が悪いのではないか」「資金繰りが悪化して今後の取引に支障が出るのではないか」といった、不信感を与える可能性があります。

売掛先の状況によっては利用を断られる可能性がある

ファクタリングの利用は自社の財務状況や規模に左右されないものの、売掛先の財務状況が悪いと利用を断られる可能性があります。ファクタリングを利用する際は、経営状態に問題がない売掛先の債権を対象にしましょう。

ファクタリング利用に関する注意点

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ファクタリングが日本で普及し始めたのは比較的最近であり、正しい利用方法や企業間でのルール作り、法整備が進められている最中です。まだ制度が追いついていないことも影響して、ファクタリングに関するトラブルや悪徳業者による詐欺的行為は増加傾向にあります。

金融庁や消費者庁では、給与ファクタリング関係を始めとするトラブルへの注意喚起を行っています。登録を受けていない事業者による数百~数千%の手数料や、恫喝・勤務先への連絡といった悪質行為などです。

事業者向けのファクタリングでのトラブルとしては、次の事例が挙げられていました。

  • 契約書に債権譲渡契約である旨が定められていない、ファクタリング業者から支払われる金銭が債権金額に対して著しく低いなどで、ファクタリングを装った貸付だと判明した
  • 債権の買い戻しやファクタリング業者への手数料以外の支払など、ファクタリングサービスでも実質賃金業に該当する契約だった
  • 悪質な取り立て行為が続いた
  • 高額な手数料を請求された

参考:金融庁|ファクタリングに関する注意喚起

トラブルに巻き込まれた場合は、金融庁や消費生活センターなどの相談窓口や、警察への相談をしてください。事前に怪しいファクタリング会社だと疑いがある場合は、「登録貸金業者情報検索サービス」などで検索してみるとよいでしょう。

POファイナンスや売掛債権担保融資について

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債権を利用した資金調達は、ファクタリングだけではありません。

ファクタリングと同じく、債権を利用して資金調達する方法としてPOファイナンスと売掛債権担保融資が挙げられます。それぞれの制度の特徴や、ファクタリングとの違いを紹介します。

POファイナンス

POファイナンスとは、経済産業省が推進する、Tranzax株式会社による金融サービスです。補助金の交付が決定している事業者が、交付決定した補助金を債権化(電子記録債権化)し、電子記録債権化を担保に融資を受けられます。

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出典:経済産業省|POファイナンス®サービスのご紹介

POファイナンスであれば、後払いである補助金を受け取るまでのつなぎ融資として活用できます。ものづくり補助金や事業化再構築補助金を活用する事業者は、利用を検討してみてください。

売掛債権担保融資

売掛債権担保融資とは、売掛債権を担保にして金融機関から融資を受ける資金調達方法です。

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出典:中小企業庁|売掛債権の利用促進について

ファクタリングのような債権の前借りではなく、債権を不動産などと同じように担保にして借入金を受け取ります。当然ながら、金融機関による融資審査や返済が発生します。「経営状態は悪くないけど、不動産を担保にできないから困っている」といった事業者におすすめの制度です。

信用保証協会からの保証がある売掛債権担保融資保証制度であれば、審査の際のプラス評価になります。

ファクタリングを有効活用しよう!

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ファクタリングは、すでに発生した売掛債権分の金銭を前借りで受け取れるサービスです。サービスを利用できるかは売掛先の経営状態によるので、経営状況に関係なく利用できるメリットがあります。早ければ即日で入金されるなど、資金調達までがスムーズかつスピーディである点もファクタリングの特徴です。

緊急で資金が必要になったり、キャッシュフローを安定させたりなどを検討している場合は、ぜひ活用を検討してみてください。

企業の教科書
増山 晋哉
記事の監修者 増山 晋哉
弁護士法人 きわみ事務所 代表弁護士

日常生活では様々な面倒ごとに遭遇することがあります。 その中には、弁護士に依頼することで、面倒ごとから解放されることもあります。 弁護士は専門的な知識をもって様々な業務を行っておりますので、あなたが面倒だと思っていることも、意外とすぐに解決できるかもしれません。一度、ご相談してみませんか。

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