仕事をしていれば、必ず発生するお金のやり取り。 業務上のお金のやり取りは全て帳簿に記録しておかなければなりませんよね。 その中でも、現金でお金を支払ったときに出番がくるのが「出金伝票」です。
出金伝票は身近な伝票の一つですが、意外と書き方に戸惑ったり、使い方がよくわからなかったりすることもありますよね。出金伝票の役割を理解して、正しい書き方を覚えておきましょう。
出金伝票の役割と使い方
出金伝票とは「支払いを証明する書類」のひとつです。ですが、同じ役割を持つものとして「領収書」があります。領収書と違うのは、発行者の違いです。
- 領収書:お金を受け取った人が支払った人に対して発行するもの
- 出金伝票:お金を支払った人が発行して証明書類として残しておくもの
出金伝票は支払った人が勝手に発行できるという性質であるため、証拠能力は領収書の方が高くなります。 そのため、出金伝票は「やむを得ない理由で領収書などの支払証明書類が無いとき」に使うものになります。
出金伝票を使うシーンは、次のような例が挙げられます。
- 領収書を紛失した。
- 取引先との打ち合わせの後一緒に食事をし、飲食代を割り勘で支払った。
- そもそも領収書がもらえるような取引ではない。(御祝儀や香典など)
このようなときに、出金伝票を使います。簡単に言ってしまえば「領収書の代わりとなるもの」です。ですが、内容によっては税務調査が入った際に架空出金ではないかと怪しまれてしまうこともあります。
そうならないためにも、そもそもの考え方として「どうしても領収書が発行できない場合に使用するもの」として理解しておきましょう。
また、割り勘の食事代や御祝儀・御香典といった領収書の発行ができないものについては、
- 取引先との打ち合わせの議事録や日程調整のメール文
- 結婚式等の案内状
- 会葬礼状
など、証拠となる書類を添付しておくのがおすすめですね。
なお、出金伝票とは逆に入金があったときには「入金伝票」を使います。
出金伝票の書き方・記載例
具体的な出金伝票の書き方は、必要事項さえ書かれていれば特に決まりはありません。 出金伝票に記載するべき事項は、次の5つです。
- 取引日:お金を支払った日
- 支払先:お金を支払った相手先
- 摘要:具体的な取引内容
- 金額:支払った金額
- 勘定科目:費用とする借方の勘定科目
これらが明記されていれば、出金伝票として成立します。具体的な記載例を見ていきましょう。
【例:取引先のご家族の葬儀で、御香典として現金1万円を支払った。】
このように、必要事項を出金伝票に書いていきます。念のため、取引先の記載に加えて葬儀会場となった場所を摘要欄に記載しました。会葬礼状などの証拠書類もあれば、添付しておくのがベストです。
仕訳処理は次のようになります。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
交際費 | 10000 | 現金 | 10000 |
ちなみに、(5)の「勘定科目」の記入は必須というわけではありません。出金伝票は領収書と同じで、取引の履歴が正しくわかる情報が書かれていれば良いもの。
ですが、会計処理をする際に出金伝票をみていちいち悩むのは時間の無駄ですよね。 計上すべき勘定科目がわかっているなら、出金伝票には一緒に記載しておくことをおすすめします。
出金伝票の入手方法
出金伝票は「文房具店」や「100円ショップ」などで売っています。 必要事項さえ記入されていれば有効な任意の様式ですので、決まった形はありません。
少しでも費用を浮かせたいなら、エクセルなどで作って打ち出しするのもおすすめです。
エクセルで作っておけば、いちいち出金伝票を買いに行く必要がなくなりますし、手書きしなくて済むので非常に楽。 それに、データのタイトルを日付や大まかな取引内容にするなどの工夫をしておけば、あとから検索しやすいというメリットもあります。
会計システムの導入を考えていれば、出金伝票がシステム内に組み込まれている場合が多いので、あわせて確認しておくといいですね。
このように入手方法はさまざまありますが、処理するうえで毎回様式が違うと、最終的にまとめるのが大変になってしまいます。 そのため、毎回同じ様式の出金伝票を継続して使うようにしましょう。
出金伝票の役割を理解して正確な書き方を
出金伝票の役割は、現金で支払ったときの支払証明書の一つ。基本的には、「現金で支払いをしたけど、どうしても領収書が発行できないとき」に使用する伝票だと考えておきましょう。
書き方は記載例を参考にしてください。 出金伝票は自由度が高く使い勝手が良いのですが、乱用して税務調査で怪しまれることのないように、適切に使っていきましょう。