補助金・助成金

助成金の相談は社労士にすべき5つの理由と申請時に注意したいこと

助成金の相談は社労士にすべき5つの理由と申請時に注意したいこと

事業者にとって助かる助成金。しかし、その申請は複雑で、受給対象なのかどうかもパッと見ただけでは判断ができません。また、大変な時間と労力をかけて申請したにも関わらず、申請書類に不備があれば不支給に。

大切な時間を有効に使うためにも、助成金の申請を検討したら社会保険労務士に相談するのをおすすめします。助成金や補助金に詳しい社労士を味方にすることで、自社で使える助成金のピックアップや申請手続きまで、すべて任せることができるためです。

ここからは、助成金の相談を社労士に頼むべき理由から注意すべき点まで、徹底解説します。

助成金の相談は社労士にするべき5つの理由

助成金は金銭的に事業のサポートをしてくれるありがたい制度。該当する助成金があれば積極的に使っていきたい制度です。

しかし、多くの事業者では、どのような助成金や補助金が存在するのか、自社が該当するのかなど、助成金のことを詳しく知らないことが多いでしょう。事業が優先になり、助成金の情報獲得や申請は後回しになりがちです。

せっかく受け取れる助成金があるのなら、もらっておいたほうが先の事業運営にとっても有効なのは確か。そこで、おすすめしたいのが社会保険労務士への相談です。

助成金の相談を社労士にするメリットは次の5つ挙げられます。

  1. 使える助成金の情報を得ることが大変だから
  2. 助成金の申請には最新情報が重要だから
  3. 助成金の対象だと教えてもらえないから
  4. 書類に不備があると不支給になるから
  5. 時間と労力が必要で事業に影響しかねないから

順番にみていきましょう。

1.使える助成金の情報を得ることが大変だから

助成金の相談を社労士にすべき1つ目の理由は、自社で使える助成金の情報を得ることが大変なため。

経済産業省が運用する中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポPLUS」では、どのような助成金や補助金があるのかを見ることはできるものの、自社に適用できるのかどうかは自分で判断する必要があります。

また、申請方法については「別サイトを参考するように」と誘導されていることが多く、ミラサポPLUSを見ただけでは申請まで辿り着けないのもネック。申請方法を詳しく教えてくれたりするわけではありません。

東京・渋谷区には、受けられる助成金を紹介してくれる「補助金・助成金自動診断システム」というツールが用意されています。

しかし、申請したり、詳しく知りたかったりする場合には、区役所への訪問が必要。わざわざ足を運んだのに支給対象外だったり、不支給の可能性もあったりするため労力だけ使ったことになる可能性が。

助成金等の情報に精通している社労士に相談すれば、自社に合った助成金をピックアップしてもらえます。自分から情報を求めにいかなくても、担当社労士からおすすめの助成金の情報を得られるので簡単です。

2.助成金の申請には最新情報が重要だから

助成金の相談を社労士にすべき2つ目の理由は、助成金を申請するには常に最新情報を追いかける必要があるためです。

助成金は多くの事業者をサポートするため、制定、改正、撤廃が頻繁におこなわれています。自社に使える助成金の情報を得るのはとても難しく、申請準備をしている間に助成金が撤廃されてしまう可能性も……。

また、助成金は改正や撤廃により、時期を逃すと申請できなくなる可能性もあります。

自分でも申請することはできますが、必要な書類が多かったり、そもそも受給条件が複雑で該当するのかわからなかったりと申請までは長い道のり。提出物や支給条件などの情報が変わることもあるため、最新情報を調べながらの申請は大変です。

社会保険労務士に依頼することで、申請に関する書類作成や手続きはすべて任せることができます。最新情報をきっちり把握している社労士であれば、手続き中に改正があっても迅速に対応できるでしょう。

たとえば、雇用調整助成金コロナ特例措置は、2021年(令和3年)11月末までの予定から、2022(令和4年)年3月末まで延長になりました。この情報について詳しく知りたい人は「【2022年3月末まで延長】雇用調整助成金コロナ特例措置とは?」を確認してください。

3.助成金の対象だと教えてもらえないから

助成金の相談を社労士にすべき3つ目の理由は、助成金の対象者に対して「あなたは助成金がもらえますよ」とは教えてもらえないからです。

たとえ支給要件に合致していても、助成金がもらえると教えてもらえることはありません。受け取れた助成金を活用して事業を拡大できる可能性を見逃してしまったことになります。本来もらえるはずの助成金を受け取れないのは、事業者としてもったいないこと。

社労士に相談をすることで、どの助成金の対象になっているのかを教えてもらうことができます。自社にとって一番いい助成金を教えてもらうことで、自分で選ぶよりもお得に受け取れるかもしれません。

また、定期的にやりとりをしている社労士であれば、新しく事業を始める際に「その事業ならこの助成金が使えますよ」と事前に教えてもらえます。事業を始める後押しにもなりますし、助成金がもらえることを意識した資金繰りができるでしょう。

4.書類に不備があると不支給になるから

助成金の相談を社労士にすべき4つ目の理由は、書類に不備があるだけで助成金がもらえなくなってしまうためです。

たとえば、申請要件と提出した書類に1か所でも相違があると、それだけで申請は跳ね除けられてしまいます。頑張って書類を作っても申請が通らなければ助成金は支給されません。

また、労働基準法に違反した就業規則を提出してしまったり、守るべきルールが守られていないことが判明したりすると助成金がもらえない可能性が高いです。

たとえば、以下のようなことになっていないか事前に確認する必要があります。

  • 就業規則や賃金台帳などの法定帳簿が整っていない
  • 会社や対象の労働者が雇用保険に加入していない
  • 2年間を超えて労働保険料を滞納している
  • 申請期限を過ぎている
  • 事前に必要な手続きをしていなかった

どれも守っておくべき項目ですが、うっかり準備していないと助成金の支給は受けられません。

社会保険労務士に頼むことで、これらの書類やチェック項目の確認は丸投げすることができます。特に、助成金の申請のために、事業を始める前の手続きが必要な場合には、社労士からの情報が必須でしょう。

5.時間と労力が必要で事業に影響しかねないから

助成金の相談を社労士にすべき5つ目の理由は、事業に影響しかねないほど、時間と労力が必要になるためです。

助成金の申請には多くの時間と労力が必要になります。助成金を選ぶ作業から書類の作成、書類の提出など、日々の事業に追われながらの申請はとてもハード。

知識や経験がない担当者の場合、右も左もわからない状態から始まるため、より多くの時間がかかるでしょう。

また、書類を提出するためには、統轄機関への訪問が必要です。役所などの多くは、平日9時から17時までの時間しか手続きを受けつけていません。多くの手続き者が訪れるために待ち時間も長くなり、場合によっては1日がかりの外出になることもあります。

助成金申請の代理権が認められている社会保険労務士に頼むことで、このような煩雑な手続きは任せることが可能です。助成金を受け取ることと日々の営業を両立できるため、社労士を活用しない手はありません。

助成金の申請時に注意したい3つのこと

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助成金の申請を社会保険労務士に任せることで、簡単に助成金の申請を進めることができます。しかし、だからといって助成金について何も知らなくていいわけではありません。

ここからは、助成金の申請時に注意すべき3つのことについて解説します。

1.助成金ありきで事業を進めない

1つ目の注意すべき点は、助成金ありきで事業を進めないことです。

「助成金がもらえるから」と事業を始めるのではなく、やりたい事業に助成金が活用できないかという考え方が重要になります。助成金に振り回されて企業理念に合わない事業をおこなうのは本末転倒。

あくまでも、自社の事業に活用できる助成金はないかと探すのが正解です。

2.申請期限に注意する

2つ目の注意点は申請期限の有無。

助成金の中には、申請するための期限が設けられていることがあります。知らずに放置していると申請期限を過ぎてしまう可能性が。

たとえば、以下のような条件が考えられます。

事業を開始後3か月以内に申請を完了すること
事業を始める前に所定の手続きを終えていること

基本的に、申請期限を過ぎてからの申請は受け付けてもらえないので注意しましょう。

3.社労士以外の支援代行者に頼まない

助成金の申請時に注意すべき3点目は、社労士以外の支援代行者には頼まないことです。

助成金の申請書の作成や行政機関への提出などは社労士、または社労士法人の業務であると、労働社会保険諸法令により定められています。

社労士以外の申請支援を受けることで、事業主が不正受給の法違反を問われたり、詐欺被害に遭ったりといったトラブルに巻き込まれる可能性が。法律に違反した場合には、1年以下の懲役又または100万円以下の罰金に処せられるので注意しましょう。

実は重要!助成金申請に税理士が必要な2つの理由

助成金申請の際に意外と知られていないけれど、重要なポイントとして税理士の存在があります。助成金申請は社労士の独占業務なのに、どうして税理士が必要になってるくるのか以下で詳しく説明します。

助成金の支給額がアップする

まず、助成金は決まった額しかもらえないと思っている方もいるかもしれませんが、それは間違いです。実は、助成金によってはある要件を満たすことによって、支給額がアップする助成金が存在します。その助成金の支給額をあげるために必要な項目のひとつとして「生産性要件が満たされていること」があげられます。この「生産性」こそ税理士が助成金申請に必要になってくる理由のひとつです。

そもそも生産性要件とは、簡単に説明すると会社の生産性がある一定の条件以上、伸びているかどうか、ということです。生産性があがっているか確認するだけであれば、自身で行うこともできますが、助成金の支給申請をするためには、損益計算書や総勘定元帳などの証拠書類の提出が求められます。これらを管理しているのは、もちろん税理士。だからこそ助成金申請には社労士だけではなく、税理士が必要になってくるのです。

経営状況を鑑みたアドバイスがもらえる

経営に関わる専門家の中でも、最も経営者に近く、経営判断に影響を及ぼすのは税理士といっても過言ではありません。事業計画や資金繰りなど、経営における会計数字はすべて税理士が握っています。だからこそ、現状の経営にどれだけの額が必要なのか、そもそも助成金が必要か、どのタイミングで助成金申請したほうがいいのか、など適切なアドバイスをしてくれます。

助成金を受給したあとも、助成金にかかる税金や会計処理を行うのも税理士ですので、そういった意味でも助成金申請の際には税理士と連携をとっておくことをおススメします。

もし依頼する先に悩んだ際には、士業事務所によっては、提携する他士業事務所がすでにいる場合や、士業グループとしてワンストップで対応してくれる事務所もありますので、ご依頼しようと考えている社労士、税理士に確認をしてみるといいでしょう。

助成金は長期的な事業の見通しに合わせた活用を!

助成金の受け取りは、事業者として見逃せないこと。もらった助成金を他の事業運営にも活用できれば、企業が大きく成長できるチャンスにもつながります。

目先のことに注ぎ込むのではなく、長期的な視点を持って活用していきましょう。

また、助成金申請の際には信頼できる社労士と税理士、両方としっかりと連携をとる、あるいは両方が連携をとれているグループ事務所に依頼をすることをおすすめします。
専門家のうまく活用しながら申請することで、受給額のアップやより効果的な資金繰りをしていくことができるようになるでしょう。

企業の教科書
竹内 欣士
記事の監修者 竹内 欣士
弁護士、社会保険労務士

知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく、人の世は住みにくい(夏目漱石「草枕」)。
日々、知識を活かす智恵こそが大切だと痛感しています。知を重んじつつ頼らない。情を大切にしつつ流されない。意地を胸に秘めつつ通さない。そのバランスを図りながら、依頼者に寄り添う「身近な相談相手」を目指してまいります。

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