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会社名の決め方は?満足いく社名を決めるポイントを解説!

会社名の決め方は?満足いく社名を決めるポイントを解説!

会社設立で頭を悩ますことも多い会社名。実は会社名の決め方には、法律的にもいくつか注意したい決まり事があることをご存知でしょうか。会社の名前は、これから長く付き合うものであり、社外に向けて売り出すものでもあります。

なるべく印象に残りやすく、親しまれる名前にするためにも、適当にはつけたくないですよね。失敗や後悔をせず、満足いくネーミングをつけるためにも、知っておきたいポイントをご紹介します。

  1. 会社名の決め方とは?
    1. 会社名のルール①会社名は「商号」、自由に決められる
    2. 会社名のルール②会社の種類を入れる
  2. 会社名の決め方で注意したいポイント
    1. 会社名の決め方①法人格は正しい種類を付ける
    2. 会社名の決め方②有名企業と同じ会社名を避ける
    3. 会社名の決め方③類似する会社名にも注意
    4. 会社名の決め方④同一住所に同一商号(会社名)も不可
    5. 会社名の決め方⑤会社名に使用できない文字・符号がある
    6. 会社名の決め方⑥法令で禁止されている言葉も会社名に使えない
    7. 会社名の決め方⑦会社組織の一部を示す会社名にもできない
    8. 会社名の決め方⑧会社名に公序良俗に反する言葉も禁止
  3. 会社名の決め方のコツ
    1. 会社名の決め方のコツ①覚えやすい会社名にする
    2. 会社名の決め方のコツ②インパクトのある会社名にする
    3. 会社名の決め方のコツ③造語や言葉の組み合わせで会社名を考える
    4. 会社名の決め方のコツ④「何をしている会社か」が分かる会社名にする
    5. 会社名の決め方のコツ⑤会社名に理念や由来を持たせる
    6. 会社名の決め方のコツ⑥ドメインの取得も考慮した会社名を
    7. 会社名の決め方のコツ⑦検索されやすい会社名を考えるのも効果的
    8. 会社名の決め方のコツ⑧海外進出を目指す場合は会社名にも意識を向けよう
  4. 会社の決め方で迷ったとき
    1. 会社名の募集をする
    2. 費用はかかるが会社名をあとから変更することも可能
  5. まとめ

会社名の決め方とは?

まず前提として、会社名の決め方について基本的な概要を押さえておきましょう。

会社名のルール①会社名は「商号」、自由に決められる

会社設立時、会社名は「商号」として登記されます。登記が完了した時点で会社名が正式に定められたことになります。商号としての会社名は、一定の要件を満たしていれば、自由に決められます。

会社名のルール②会社の種類を入れる

会社名の決め方のルールとして、会社の種類を入れなければなりません。会社の種類によって、無限責任や有限責任など、債権者の保護のされ方が異なるからです。会社の種類は「法人格」とも呼ばれます。法人格には、株式会社や合同会社、合名会社、合資会社などの会社形態があります。

法人格を入れる位置は、会社名の中でどの部分に入れるかは自由ですが、会社名の先頭もしくは末尾につけるのが一般的です。例えば株式会社であれば、「株式会社〇〇」や「〇〇株式会社」のようなイメージです。先頭か末尾かで迷った場合は、文字を配置したときの印象や、声に出したときの語感でしっくりくるほうを選ぶのもいいでしょう。

ちなみに、株式会社の場合、「株式会社〇〇」のように先頭に法人格を付ける場合は「前株(まえかぶ)」、「〇〇株式会社」と法人格を後につける方法を「後株(あとかぶ)」と呼ばれることもあります。また、少数ですが「中株(なかかぶ)」と呼ばれる、「〇〇株式会社〇〇」のように、会社名の途中に法人格が入るケースもあります。

<前株の会社例>

  • 株式会社ブリヂストン
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
  • 株式会社明治

<後株の会社例>

  • 楽天株式会社
  • トヨタ自動車株式会社
  • 任天堂株式会社

会社名については、株式会社を付けずに英語表記の「Co., Ltd.」などで登記することはできません。ただし定款には英語表記が記載可能です。海外展開する予定であれば、定款に英語表記で記載するのもよいでしょう。

会社名の決め方で注意したいポイント

会社名の決め方は基本的に自由ですが、あくまで法律で定められたルールの範囲内で考える必要があります。後々トラブルにならないよう、注意点を押さえたうえで納得いくネーミングを考えましょう。

会社名の決め方①法人格は正しい種類を付ける

法人格は株式会社や合同会社などさまざまですが、会社名にはそれぞれの会社の形態に合った種類をつけるのがルールです。例えば会社の形態が株式会社なのに合同会社をつけることはできませんし、合同会社なのに株式会社を名乗ることもできません。

もちろん、法人格が複数入った「株式会社〇〇合同会社」などのような会社名も、誤認の恐れがあるため禁じられています。

会社名の決め方②有名企業と同じ会社名を避ける

会社名の決め方でまず避けたいのが、有名企業と同じ名前は付けないことです。登記では、住所さえ異なれば「パナソニック株式会社」、「ソニー株式会社」と登記することは可能です。ですが、不正競争防止法に基づき相手先の企業から訴えられるリスクがあります。

損害賠償の請求をされた場合は、会社名(商号)の変更はもちろん、多額の賠償金を支払わなければならないかもしれません。社会的な信用を失い、業績が大幅に悪化する可能性も考えられます。リスクを避けるためにも、同じ名前をつけることはやめましょう。

会社名の決め方③類似する会社名にも注意

有名企業に限らず、どんな企業も似た会社名を付けるとトラブルの元になる可能性があります。事業内容が同一の類似社名を付けた場合も、不正競争防止法で損害賠償請求をされるリスクがあるからです。

営業上の利益侵害を受けた場合、侵害の停止のため、会社名の変更を要求されるケースもありますので、できるだけ類似社名は避けましょう。また、商号が異なる場合でも、似たような商品名やサービス名が存在する場合は、商標権の侵害にあたることもあるので合わせて注意が必要です。

類似社名(類似商号)がないかどうかを確認するためにも、事前に類似商号調査を行いましょう。類似商号調査は、法務局の商号調査簿を閲覧して調べられます。商号調査簿は法務局に用意されている閲覧申請書を記入し、提出すれば無料で閲覧が可能です。

また、自宅からインターネットを使って調べることもできます。法務局の「オンライン登記情報検索サービス」や国税庁の「法人番号公表サイト」を利用しましょう。その他、自分の考えている会社名をインターネット上で検索をかけてみるのもひとつです。

会社名の決め方④同一住所に同一商号(会社名)も不可

会社名の登記は、住所さえ違えば同一商号の会社名を付けることは可能ですが、同一住所に同一商号を付けることはできません。現在はパソコン1台でどこでも仕事ができる時代となり、バーチャルオフィスやシェアオフィスなども増え、同一住所にたくさんの会社が集まるケースも考えられます。

もし自分の会社もバーチャルオフィス等を利用する場合は、念のため会社設立前に、オフィス内に同一商号の会社がないか確認しておきましょう。

一方で、登記の住所は地番まで入っていて、郵便物が届くようであれば建物名は入れなくても問題ありません。建物名まで入れた場合、例えば「〇〇ビル5F」で登記していると、ほかに「〇〇ビル10F」で同じ会社名(商号)の会社が設立される可能性も出てくるからです。可能性を考えた場合、予防として建物名は入れないほうがいいケースもあるでしょう。

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会社名の決め方⑤会社名に使用できない文字・符号がある

会社名には使用できない文字や符号があることも、会社名の決め方で注意したいことのひとつです。

まず、使用できる文字や符号は下記の通りです。

<使用できる文字・符号>

  • 漢字(すべて)
  • ひらがな(すべて)
  • カタカナ(すべて)
  • アルファベット(ローマ字)の大文字、小文字
  • アラビア数字(0~9まで使用可能)
  • 記号(「&(アンパサンド)」「-(ハイフン)」「’ (アポストロフィ)」「,(コンマ)」「・(中点)」「.(ピリオド)」の6種類※)※「.」(ピリオド)は文字を区切る場合か末尾に使用可能、それ以外は文字を区切る場合のみ使用可能)

上記のように、文字についてはギリシャ文字や特殊な外国文字でなければ使用が可能です。特殊な文字でなければ、「株式会社XYZ」や「999株式会社」のように、ローマ字や数字だけの会社名も法律上は可能です。

ただ、符号については使用できる記号が6種類のみで、それ以外は使えません。「!」、「?」「☆」、「♪」などの記号も使えないので注意しましょう。

さらに、使用できる記号も、「文字を区切る場合のみ」に使用でき、会社名の先頭・末尾には使用できません。ただし「.」(ピリオド)については、直前にアルファベット(ローマ字)がある場合のみ、末尾に使うことができます。

例えば「,(コンマ)」を末尾にすることはできませんが、「.(ピリオド)」で終わることは可能です。「,(コンマ)」は英語において、文章中に使用されるものだからです。もちろん、日本語の会社名であっても、「、」や「・」を末尾にすることはできません。

その他、「スペース(空白文字)」については、「〇〇(スペース)××株式会社」のように、単語と単語との間に使うことは可能です。ですが、「(スペース)□□株式会社」のように、先頭にいれることはできません。自由な会社名を決められるといっても、あくまで制限の範囲内であることを念頭に置きましょう。

なお、個人事業を行う場合に設定する「屋号」については、特にルールはありません。したがって、個人事業主が法人成りする場合、屋号によってはそのまま会社名(商号)に使えない可能性もあるので気を付けましょう。

会社名の決め方⑥法令で禁止されている言葉も会社名に使えない

会社名には法令で禁止されている言葉も使えません。例えば下記の言葉は、誤認の恐れがあるため、実際にその事業を行う法人でなければ商号に使用することができません。

<法令で禁止されている言葉>

  • 銀行
  • 保険
  • 信託
  • 学校

反対に、実際にその事業を行う公的機関や銀行、生命保険会社などの法人の場合は、必ず会社名に上記の言葉のいずれかを含める必要があります。

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会社名の決め方⑦会社組織の一部を示す会社名にもできない

設立する会社が、子会社や会社の一部門などの場合に注意したいのが、会社組織の一部を示す会社名をつけられないことです。例えば「〇〇支社ジャパン」などのように、下記のような言葉は使用できません。

<会社名に使えない会社組織を表す言葉>

  • 支店
  • 支社
  • 部門
  • 出張所
  • 事業部

会社名の決め方⑧会社名に公序良俗に反する言葉も禁止

会社名には、社会的に不適切な、公序良俗に反する言葉、連想させる言葉も使えません。犯罪や法律違反になりそうな言葉はつけないよう気を付けましょう。公序良俗の定義は難しいところもありますが、一般的な基準は下記の通りです。

  • 財産秩序に反するもの(犯罪、賭博など射幸性の高いもの)
  • 倫理的秩序に反するもの(不法薬物や売春など倫理に背くことを連想させるものや猥褻な言葉)
  • 自由、人権を侵害するもの(基本的人権や権利を侵害する行為、人種や男女差別、知的財産権の侵害など)

会社名の決め方のコツ

会社名の決め方は自由ですが、いくつかポイントがあります。それぞれのポイントを参考に、満足いく会社名を考えましょう。

会社名の決め方のコツ①覚えやすい会社名にする

会社名の決め方で、覚えやすい商号にすることはポイントのひとつです。社名は広く認知されればされるほど、メリットも大きくなることが多いからです。例えば「アスクル(明日来る)」のように、短くシンプルな会社名だと覚えてもらいやすいでしょう。

  • 読みにくい英語はカタカナで表記する
  • 短く、シンプルな言葉を選ぶ
  • 発音しやすい言葉を選ぶ
  • なじみがない単語は避ける
  • ターゲット層を意識する

覚えにくい会社名だと、電話でも聞き取ってもらいづらいですし、「仕事をお願いしたいけど会社名が思い出せない・・」とビジネスチャンスを逃す場合もあるかもしれません。

一度聞いて覚えてもらえるよう、分かりやすさを意識して、候補が決まったら声に出してみましょう。そのとき長いと感じたり、発音がしにくいと感じたりしたときは略称を考えたり、英語の場合はカタカナ表記に変えてみたりして工夫しましょう。

また、長くても「〇〇さん」と略称や愛称で呼んでもらえそうな名前にするのも一つです。リズム感や響きが良くなれば、覚えてもらえる可能性は高まるでしょう。

「略す」という手法は、使いたい言葉が長すぎる場合にも有効です。大手メーカーの「江崎グリコ株式会社」は、通称グリコと呼ばれますが、元々栄養素の「グリコーゲン」が会社名の由来です。お菓子を食べながら健康を促進したいという願いが込められています。あるいはコンタクトレンズで有名な「メニコン」の会社名は、「目にコンタクトレンズ」を略したことに由来するといわれています。

その他、女性や男性、高齢者や子供などターゲット層を意識し、「難しい漢字を使わない」、「覚えやすさを重視する」など方向性を決めるのもいいでしょう。

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会社名の決め方のコツ②インパクトのある会社名にする

会社名の決め方では、インパクトを重視するのもひとつです。印象に残れば由来を尋ねられるなど、ある程度の宣伝効果やビジネスチャンスも期待できるからです。

インパクトの強さは人それぞれ感じ方が違いますが、縁起のいい言葉やユニークな言葉、響きのいい言葉などが使われている会社名は、一般的に覚えてもらいやすい傾向にあります。

例えば電機メーカーの「キヤノン株式会社」は、「Canon(規範、標準)」から、「業界の規範、世界標準の技術を」という理念が込められています。一方、創業者の一人が観音様を信仰していたことから「観音」が転じて「キヤノン」になったという説もあり、ご利益がありそうな名前ともいえるでしょう。ちなみにキヤノンの「ヤ」は全体のバランスを考慮し、あえて大文字が採用されたそうです。

ただ、あまり個性的な言葉を意識すると、かえって敬遠されることもあるので注意が必要です。例えば、あえて長い社名にする場合は、短く略せるほうがいいでしょう。流行語を含める場合も、流行が過ぎ去ったときにイメージに残りづらくなる可能性もあります。長く経営を安定させたいなら、流行を取り入れるにしても、なるべく一般的に長く使われそうな言葉を選ぶほうがいいかもしれません。

会社名の決め方のコツ③造語や言葉の組み合わせで会社名を考える

インパクトのある会社名にするために、2つ以上の言葉の組み合わせや、造語を使うのもひとつの方法です。言葉の組み合わせによっては、語感がいい会社名ができることもあります。有名企業にも言葉の組み合わせを会社名にしているケースが見られます。

<例>

  • カルビー株式会社:「カルシウム」と「ビタミンB」を組み合わせた造語
  • ダイハツ工業株式会社:拠点である「大阪」と「発動機」の頭文字を組み合わせた造語
  • Microsoft社:「マイクロコンピューター」と「ソフトウェア」を組み合わせた造語
  • 株式会社ダスキン:「埃(ダスト)」と「ぞうきん」を組み合わせた造語

語感を活かして造語をつくることもできます。例えば「花王株式会社(kao)」は当時「顔洗い」と呼ばれていた洗顔用せっけんを発売したことから、「顔」を当て字にして「花王」となりました。

「花王」の場合は漢字表記ですが、造語にする場合は、カタカナ表記のほうがしっくりくる場合も多いです。一方、アルファベット(ローマ字)表記だと初見で読めない可能性もあるので避けたほうが無難です。アルファベット(ローマ字)表記にする場合もカタカナでフリガナをつけるなど、工夫するほうがいいでしょう。

会社名の決め方のコツ④「何をしている会社か」が分かる会社名にする

会社名の決め方では、分かりやすさを重視し、事業内容が分かる会社名にするのも手段のひとつです。例えば「工業」や「〇〇組」、「モータース」などは、それぞれ工業関連や土木建築、自動車関連企業などで使われることが多いでしょう。

商品やサービスの具体的な名称を入れるのも、分かりやすさの面でいうと効果的です。会社がやりたいことをそのまま会社名にすれば、会社の方向性も明確になり、目標に向かって仕事をしやすくなる場合もあるでしょう。

地域密着型の会社であれば、会社名に地域名を入れるのもいいでしょう。インターネット検索でも、「必要とする商品やサービス+地域名」で検索されるケースは多いからです。

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会社名の決め方のコツ⑤会社名に理念や由来を持たせる

会社名には理念や由来などの意味を持たせることも、印象に残りやすくするポイントのひとつです。会話のきっかけとして、「なぜこの会社名なのか」と由来を聞かれる機会は多いからです。

「弊社には〇〇という理念があり、それにちなんで〇〇株式会社にしました」など具体的に話せれば、「なるほど!」、「面白い!」と相手に印象付けることや、社名を覚えてもらうことにもつながっていくでしょう。社内の人間に対しても、由来や理念があることで、目指すべき方向性を示しやすくなるという効果も期待できます。

由来や理念については、自分自身の経験や、法人設立の目的などを振り返ることで、浮かび上がることもあります。会社が事業を通して実現したいことや、譲れないことなども考えてみましょう。

企業の理念に合う格言や文学作品などから会社名をつけるのもひとつです。株式会社三省堂書店は論語の「吾日三省吾身(われ日に三度わが身をかえりみる)」が社名の由来とされています。また、株式会社ユナイテッドアローズは、「三本の矢」にちなみ、目標に向かって直進するイメージで、「United(束ねる)+Arrows(矢)」が会社名の由来です。

会社名の決め方のコツ⑥ドメインの取得も考慮した会社名を

近年は多くの企業が自社サイトを保有していますが、会社設立後、サイトを立ち上げる予定があるなら、ドメインの取得を考慮した会社名を付けるのもポイントです。ドメインはインターネット上の「住所」にあたるので、同一のドメインは保有者が手放さない限り、新たに取得できないからです。

ドメインを取得できるかどうかは、インターネット上で調べられます。いくつか候補を考えた上で、事前にチェックしておくとよいでしょう。

また、ドメインは「co.jp.」や「com」、「jp」など、会社名と関連するドメインのほうがSEO的にも有利な傾向にあります。無料でレンタルすることもできますが、会社の場合はデメリットとなる可能性もあります。周囲に「独自のドメインも取得できない会社」という印象を与えるかもしれないからです。

会社名の決め方のコツ⑦検索されやすい会社名を考えるのも効果的

会社名の決め方では、自社に興味を持ち検索してもらいやすいネーミングを意識しましょう。現在は気になることをインターネットで検索する人も多いですが、元々別の目的で検索をかけた人が、結果的に自社に興味を持ってもらえた場合は、思わぬ宣伝効果も期待できるからです。

反対に、一般的によく使われる単語だと、検索してもなかなか上位表示されず、自社までたどり着いてもらえない可能性も出てくるでしょう。候補が決まったら、登記前にどのような言葉が検索されているか調べてみるといいでしょう。

会社名は入力しやすさを意識するのもひとつです。会社名が長すぎる、アルファベット(ローマ字)と漢字の混合、会社名の途中に記号が入るなど入力方法が途中で変わるものだと、手間がかかり、検索をやめてしまうかもしれないからです。

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会社名の決め方のコツ⑧海外進出を目指す場合は会社名にも意識を向けよう

会社名の決め方を考えるとき、将来的に海外進出を目指す場合は、海外の人にも発音しやすい言葉や、意味が伝わりやすい単語を会社名に採用するのもよいでしょう。

有名企業では、「株式会社ブリヂストン」は創業者の名前が「石橋」氏で、英語に訳すと「ストーン(石)」と「ブリッジ(橋)」を逆さにして縮めたのは有名な話です。会社名の響きもよく、ユニークな由来があることで印象に残る人も多いのではないでしょうか。

あるいは、イオン株式会社の場合、ラテン語の「AEON(永遠)」をそのまま会社名に採用し、「夢のある未来をつくる担い手になる」という意味が込められています。

海外向けの会社名を考える際注意したいのは、単語によっては日本と海外とでとらえ方が違う場合があることです。また、発音によってはスラングやネガティブなイメージの言葉に聞こえる場合もあるので気を付けましょう。

例えば「近畿」は「kinky(盗んだ品物)」に発音が近いですし、商品名ですが「カルピス」は「(Cow Piss=牛のおしっこ)」に聞こえることから、英語圏では「CALPICO(カルピコ)」に改称しています。思わぬ誤解でトラブルにならないよう、登記する前に細心の注意を払い、現地の言葉が分かる人に確認するのが大切です。

会社の決め方で迷ったとき

会社名の決め方では、ポイントはわかっていても迷ったり、思い浮かばなかったりするかもしれません。そんなとき事業に関連することなどから社名を考えるのもひとつです。

  • 事業に関連する2つの言葉を組み合わせる
  • 創業者の名前を活用する
  • 事業に関連する言葉の語源を調べてみる

例えば有名企業でも、創業者の氏名を会社名にしていることがあります。マツキヨで親しまれている「株式会社マツモトキヨシ」は創業者のフルネームが「松本清」だったことが由来です。「ジュンク堂」も創業者「工藤淳」の苗字と名前を逆さにした会社名となっています。また、「セイコー」の場合は旧社名が「精工舎」だったことが由来のようです。

ただ、安易に言葉を組み合わせるのがいいとは限りません。例えば共同経営の場合、自分と友人の頭文字を会社名にすると、分かりやすさはあってもインパクトは弱いこともあるからです。

会社名の募集をする

どうしても会社名を決められないときは、クラウドソーシングサイトを活用するのもひとつです。クラウドソーシングサイトでは、コンペ形式でネーミングの募集が可能です。思いもよらない会社名や、グッとくるネーミングに出会えるかもしれません。

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費用はかかるが会社名をあとから変更することも可能

会社名の決め方についてポイントをご紹介しましたが、実は会社名は途中で変更することもできます。実際、会社の成長や時代の変化に合わせ、会社名を変更した会社も珍しくありません。有名企業でも松下電器産業株式会社はパナソニック株式会社に変更しましたし、株式会社SUBARUはもともと富士重工株式会社でした。

ただし会社名は、自由に変更できるわけでもありません。下記のような手続きに沿って行うが必要があります。また、変更には登録免許税3万円がかかります。

<変更手続きの主な流れ>

  • 新たな会社名の実印を作成する
  • 改めて同一住所・同一商号の会社がないかを確認する
  • 株式会社の場合は定款変更の株主総会を行う
  • 定款変更、登記変更手続きの必要書類の準備(登記変更申請書、株主総会議事録、株主リスト、委任状等)
  • 法務局へ申請をする(登録免許税3万円が必要)
  • 各種変更届の提出(税務署や自治体、労働基準監督署、各種保険、金融機関、利用している各種サービス、取引先等)

まとめ

会社名の決め方には、いくつか禁止事項やルールがあるので注意が必要です。ただ、基本的には自由です。ビジネスの上では印象付けられることが大切なので、理念や由来とともに、覚えやすさや、伝わりやすさを考慮して商号をつけるとよいでしょう。インパクトがある会社名や、いいイメージのある言葉だと宣伝効果にもつながるかもしれません。

一度つけた会社名は、商号変更の登記申請をすれば変えることも可能です。とはいえ、手続きの手間や費用がかかることも留意しましょう。できれば時間をかけて、「この社名にしてよかった」と思えるように、満足いく名前にするのが一番です。会社名の決め方のポイントを押さえつつ、後悔しない会社名を考えましょう。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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