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目標株価とは?計算方法や投資判断にする際のポイントを解説

目標株価とは?計算方法や投資判断にする際のポイントを解説

株式投資で利益を出すには、株式の売買タイミングを見極めることが重要です。売買のタイミングを当てるのは、ベテランの投資家であっても困難を極めます。

そこで、株式売買に関する重要な指標として使えるのが「目標株価」です。アナリストなどの専門家が算出した目標株価は、初心者からベテランまで幅広く活用できます。

当記事では目標株価の概要や目標株価の簡単な計算方法、投資判断に目標株価を活用する際のポイントなどを解説します。

目標株価とは?レーティングとの違いなどを解説

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目標株価とは、ある銘柄の株価がこの先どのような値動きになるかについて、専門家が予想した数値です。専門家の分析や見解が反映された目標株価は、投資家にとって投資判断の際の重要な情報源となります。目標株価の詳細について見ていきましょう。

目標株価とは証券アナリストなどが予想する将来的な株価水準

目標株価とは、証券アナリストやファンドマネージャー、企業調査会社などの金融市場における専門家が、市場分析の結果や実務経験などを基に予想する、将来的な株価の水準のことです。

目標株価は、主に「現在の株価は割安か割高か」の判断基準として使われます。今後さらなる成長を見越している場合は割安、今後価格が下落する恐れがある場合は割高の判定です。

証券会社は原則として、顧客の投資判断などをサポートする目的で、専門家による銘柄ごとのレポートを発行します。

例えばアナリストレポートであれば、発行するのはアナリストの担当セクター(業種)の銘柄についてのレポートです。業界知識や業績予想、国・企業の財務状況、経営陣へのヒアリングなどを基にした、銘柄ごとの情報がまとめられています。

レポートには業績予想、事業内容、売上高、株式情報、予想の根拠などが記載されることが多いです。その中に、目標株価も載せられています。

目標株価を出す専門家について

目標株価を出す専門家は、主に証券アナリストです。

証券アナリストは、金融市場・企業財務・M&Aなどの専門知識を持つ株式市場のスペシャリストです。公益社団法人 日本証券アナリスト協会の試験に合格し、証券アナリスト資格を取得している人も少なくありません。

証券アナリストは、企業業績や金融市場、経営陣へのヒアリングといった株価に影響する事柄を調査・分析し、現在の株価について割安・割高かを判断するのが主な仕事の1つです。

判断後は、目標株価や予想した目標株価の理由・根拠などを記載したアナリストレポートを作成します。

証券アナリストは「製造業界に強い」「IT業界に知見がある」など、それぞれに得意分野を持っています。得意分野の業界に関するレポートおよび目標株価であれば、投資家の投資判断の際には非常に役立つ情報となるでしょう。

レーティングとの違い

レーティング(投資評価・投資判断)とは、証券アナリストなどの専門家が、銘柄の株価についての評価を格付けしたものです。

目標株価は具体的な数値を明示する一方で、レーティングは記号や数字などで段階的に示すという違いがあります。「A、B、C……」「1、2、3……」「Buy、Neutral、reduce」「買い、中立、売り」「OverWeight、Neutral、UnderWeight」などです。

格付けが高いものは、原則として今後の株価上昇が見込めるとの判断で買い判断になります。目標株価とレーティングは、お互いに連動して変化することが多いです。

目標株価をチェックする方法

目標株価をチェックするには、証券アナリストが出しているレポートを直接確認する以外にもさまざま方法があります。主なチェック方法をまとめました。

    • アナリストレポート(証券口座を開設した会社のレポートなど)
    • 投資に関するポータルサイト(みんかぶなど)
    • マネー雑誌
    • 経済ニュース

アナリストレポートであればアナリストの意見、マネー雑誌や経済ニュースなどであれば、当該メディアの専門家の意見を確認可能です。また、投資系のブロガーなどの個人ブログでも、専門家レベルの解説を行っているケースも見られます。

媒体によって、同じ銘柄でも異なる視点で解説されています。多角的な視点で情報収集する場合は、複数の媒体を確認するのがよいでしょう。

目標株価の簡単な計算方法

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目標株価を計算する方法は、証券会社やメディアによって多種多様です。しかし、その中でも簡単なのが、EPSとPERを使った計算になります。

単純な式なので、自分自身で目標株価を算出し、その計算結果を投資活動の指標とすることも可能です。以下では、目標株価の計算方法について解説します。

EPSとPERについて

目標株価を算出する上で欠かせないのが、EPSとPERという株価指標です。EPSとPERは目標株価の計算だけでなく、企業業績の分析や投資判断などの場面でもよく用いられています。

EPS(1株あたりの純利益)

EPSとは、1株あたりの純利益です。「1株あたりどれくらいの利益を生み出しているのか」を表しています。企業の収益力や成長性の判断に用いられます。

EPSを算出する計算式は次のとおりです。

EPS=当期純利益÷発行済株式数

企業全体で得た1年間の純利益を、すでに発行している株式の数で割ります。これにより、1株あたりの純利益を算出できます。企業業績が悪化すると下落し、好調になると上昇するのが一般的です。

PER(株価収益率)

PERとは、株価収益率です。利益から見た株価の割安性のことで、「1株あたり純利益(EPS)の何倍で買われているか」を表します。

例えば、A社の株式が1株あたり200円の純利益が出ている場合、この株式が1,000円で購入されているとPERは5倍になります。

PERの計算式は次のとおりです。

PER=株価÷EPS(1株あたりの当期純利益)

将来性・成長性が見込まれる企業の株式ほど、PERは高くなる傾向があります。「少し高めに買ってでも、将来的に出る儲けのほうが多いだろう」と判断され、現在の価値に対して人気が出る=高く取引されるからです。

PERは、15倍が適正と言われています。15倍より大きいなら適正値より高く買われているので割高、15倍より小さいなら適正値より安く買われているので割安です。

目標株価の計算の基本はEPS×PER

目標株価の算出でもっとも簡単な計算式の1つは、EPS×PERです。1株あたりの当期純利益(円)を予想し、そのEPSの何倍で買われるのかを表す株価収益率(倍)を掛け合わせることで、目標株価を算出します。

簡単な計算例を見ていきましょう。A社の現在の銘柄について、以下の株式情報が公開されていると仮定します。

  • 発行済株式数:30万株
  • 当期純利益:6,000万円
  • 現在株価:2,600円

まずEPSは当期純利益÷発行済株式数であるため、6,000万円÷30万株=200円です。次にPERは株価÷EPSで算出するので、2,600円÷200円=13倍になります。

これで現在は、EPS=200円・PER=13倍になりました。この時点では15倍より小さいことから、割安と判断できそうです。

では、ここから企業業績や市場の分析を経て、当期純利益が7,500万円まで伸びると予想したとします。伸び率は25%です。すると、予想EPSも25%増えて250円になります。

このケース目標株価は、250円×13倍で3,250円です。現在の株価よりも、650円高い水準が目標となります。

さらにここで、他の投資家が「A社は今後成長するはず」と買いの気運が高まり、PERが18倍になると予想したとしましょう。この場合は、250円×18倍=4,500円まで、目標株価が大きくなります。

現在のEPS200円・PER13倍・株価2,600円から、将来的にEPS250円・PER18倍・株価4,500円になると予想した場合、2,600円のうちに購入しておくのは「より割安で購入できた」と判断できます。

実際の計算式は専門家ごとに異なる

個人投資家でも、比較的簡単に計算できる目標株価の計算式を解説しました。とはいえ実際にEPSやPERなどを算出する際は、企業の実態や専門家の予想をより反映した、専門家ごとの独自計算式を用いるのが一般的です。

例えば日本経済新聞では、予想PERの算出に期待収益率や永久成長率を用いた方法が紹介されています。また他のメディアでは、企業の過去の売上や純利益、PERの伸び率などを分析し、予想を立てる方法などが紹介されています。

つまり各々の専門家が何を重視するかによって、目標株価の数値も大きく変わるでしょう。同じ銘柄でも専門家ごとで予想にズレが発生するのは、この計算の考え方の違いが大きく影響しています。

目標株価を活用した投資のポイント

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専門家の知見や分析結果を反映した目標株価は、初心者からベテラン投資家にとって投資判断の有益な材料となります。しかし、1つの目標株価だけを盲信して投資活動を行うのはリスクを伴います。

目標株価を活用した投資のポイントは次の4つです。

  • あくまで予想値であるとの前提で活用すること
  • 目標株価の根拠までチェックすること
  • 目標株価の実績をチェックすること
  • 目標株価が算出された時期をチェックすること

あくまで予想値であるとの前提で活用すること

目標株価は、証券アナリストやファンドマネージャーなどの専門家が算出するとはいえ、あくまで予想値であることを前提に活用しましょう。「目標株価はあてにならない」との意見があるほど、目標株価の動きが100%的中するわけではありません。

同じ銘柄であっても、目標株価は証券会社や専門家ごとに数値が大きく異なることは多々あります。理由は次のとおりです。

  • 目標株価を算出するために使う指標や計算式が、専門家ごとに異なるから
  • アナリストの主観が入っているから

どの目標株価を参考にするかは、投資家ごとの自己責任で決めます。

参考にする際は1つの目標株価だけではなく、さまざまな媒体の目標株価を複数チェックして総合的に判断することをおすすめします。

目標株価の根拠までチェックすること

レポートには目標株価の数値だけではなく、なぜその目標株価が算出されたのかの根拠・理由が記載されています。例えば次のとおりです。

  • 〇〇会社が開発したクラウドソフトの売上が前年比150%を記録し、さらに伸びる傾向が見られるから
  • 夏は猛暑日が続くと予想されており、アイス販売のA社ならびにアイス業界全体の業績が伸びると予想できるから

専門的な視点で情報収集・分析を行うアナリストの分析結果・私見は、信憑性が非常に高いです。また、着眼点は非常に勉強になります。

目標株価を見るだけでなく、アナリストの意見を活かした多角的な視点や情報収集能力をうまく吸収することで、投資家としてさらなる成長を見込めるでしょう。

目標株価の実績をチェックすること

目標株価の信憑性の確認や自身の分析力磨きのために、目標株価の過去の実績をチェックすることをおすすめします。具体的には、次の情報です。

  • 過去の目標株価の的中率
  • 過去に的中した理由、または予想が外れた理由
  • 目標株価に達するためにかかった時間
  • 目標株価の引き上げまたは引き下げがあったときの具体的な理由

現在の株価が割高となっていても、過去の実績から将来的な成長を加味して考えた場合は、割安との判断ができます。

目標株価が算出された時期をチェックすること

目標株価をチェックするときは、レポートの発行時期や計算に使用した情報の日付など、いつの情報を基に目標株価が算出されたのかを見ておきましょう。

銘柄企業や国内外の情勢・事件などのさまざまな要因によって、目標株価は常に変化します。その影響でアナリストの分析と実際の株価の動きには、どうしてもタイムラグが発生します。

株価を予想するときは、目標株価に加えて現在の株価の動きもリアルタイムで追いながら、総合的に判断することが大切です。

投資活動は目標株価を活用して有利に進めよう!

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目標株価は、証券アナリストなどの専門家が算出する将来的な予想株価です。専門家の分析結果や専門知識が反映された目標株価は、投資家にとって貴重な投資判断の材料になるでしょう。

また同時に、目標株価の算出に至った過程や、それまでの目標株価の動き・実績も有益な情報源です。うまく活用して、投資活動を有利に進めてください。

ただしあくまで目標株価は予想値であるため、100%の信頼を置くのは危険です。さまざまな媒体の目標株価を確認したり、自分でも分析してみたりなど、あくまで「活用する」という意識を忘れないようにしましょう。

もしより鮮度の高い情報や投資に関する総合的なアドバイスを受けたいときは、証券会社の営業員やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)といった、資産運用の専門家へ相談することをおすすめします。

企業の教科書
記事の監修者 安藤 正道
きわみアセットマネジメント株式会社 取締役

金融商品仲介業「きわみアセットマネジメント株式会社」取締役。
きわみアセットマネジメント株式会社は特定の金融機関に属さず、お客さまのライフプランに最適なアドバイスができるIFA法人です。お客さまの一生涯のパートナーとなり、寄り添います。ご相談は無料ですのでお気軽にお問合せください。

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