外国人であっても日本で会社を設立できるのか、疑問に思っている方は多いのではないでしょうか?実は、法改正によって外国人が日本で起業するハードルは低くなってきているんです。しかしながら、日本人が起業する場合と手続きなどが違うのも事実。
本記事では、外国人が日本で会社を設立する際に必要なものや、会社設立の流れをご説明します。この記事さえ読めば会社設立の概要が分かるので、これから起業しようと考えている外国人の方はチェックしてみてください。
外国人でも日本で会社設立は可能?
結論から言うと、外国人であっても日本での会社設立は可能です。ただし、指定の資格が必要になるので要注意。次の項で詳しく確認しておきましょう。
外国人が日本で会社設立するには在留資格(ビザ)が必須
外国人が日本で会社を設立する場合、ビザが必要になります。ビザといっても観光ビザではなく、「経営・管理ビザ」。取得には事業内容が詳細に記された案内書や事業計画書などが必要になり、常勤雇用者が2人以上いることなどの条件もあるので、審査はかなり厳しいと言って良いでしょう。
特に重要なポイントは、事業計画書の内容。事業を安定して継続できるかを厳しくチェックされるので、丁寧に作成する必要があります。とはいえ、作成した事業計画書が充分か否かを自分で判断するのは難しいもの。経営・管理ビザにおいての提出の作成・申請は自分だけで行うのではなく、行政書士などのプロに依頼して取得するのがおすすめです。
ただし、経営・管理ビザが必要ない外国人もいます。以下の4つに当てはまる場合はビザに関係なく会社を設立できるので、確認しておきましょう。
- 永住者
- 日本人の配偶者
- 永住者の配偶者
- 定住者
外国人が日本で会社設立する際の流れ
経営・管理ビザの取得ができたら、会社の設立を行うことができます。ここでは、主な流れを確認しておきましょう。日本人が行う手続きと主な部分は同じですが、違う部分もあるので、確認しておいてください。
会社の基本事項を決定する
まずは、設立する会社をどのようなものにするかを決定しましょう。決めるべき項目は以下の6つ。それぞれの内容を簡単にご説明します。
会社の形式
株式会社や合同会社、合名会社や合資会社の4つの形式から選びます。ほとんどが株式会社ですが、責任の度合いや経営方針の決定方法が変わるので、自分に合った形式を選びましょう。
商号
会社の名前。覚えやすいものや事業内容が伝わるものなど、決め方は様々です。日本語以外では使えない文字もあるので、注意しましょう。
発起人
株主のこと。複数いる場合は、個々の出資金額も決める必要があります。
資本金の額
「会社設立の初期費用+運転資金×3」が相場ですが、外国人が起業する場合は他の条件があるので注意が必要です。詳しくは下記の項で確認しましょう。
役員構成と本店所在地
取締役が誰なのか、どこを本店とするのかを決めておきましょう。自宅でも構いませんが、賃貸の場合は許可されていないこともあるので確認が必要です。
会社の事業目的と事業年度
事業目的は基本的に1つで構いませんが、将来的に複数の事業を展開する予定がある場合は予め複数登録しておくのがおすすめです。
定款の作成と認証
定款とは、会社の規則のこと。上の項で決定した会社の基本事項を記す他に、役員の任期は何年にするかなど、細かい規則を載せるケースもあります。
定款の作成ができたら、会社の本店所在地を管轄する公証役場に行って認証を受けなければなりません。認証に必要なのは、以下の5つ。代理人に依頼する場合は、プラスして委任状が必要になります。
- 定款3通
- 発起人(出資者)全員の印鑑証明書1通ずつ
- 収入印紙:4万円
- 公証人への手数料:現金で5万円
- 定款の謄本交付手数料:約2000円(250円×ページ数)
認証を受けられないと会社は設立できないので、認証の手続き前に定款に不備が無いかを行政書士に確認してもらうのがおすすめです。
資本金を払込む
資本金とは、会社設立時の運転資金のこと。新会社法では株式会社の資本金は1円からOK、となっていますが、外国人は500万円以上必要とされています。これは、新会社法に定められているのではなく、経営・管理ビザの取得条件の1つです。
スタート時の資金が潤沢ということは、会社を設立してすぐに事業が軌道に乗らなくても経営していけるということ。資本金は、多ければ多いほど「体力のある会社」と見なされます。
安定して継続した経営ができるか、を取得の判断基準にしているビザでは、資本金の額は重要なポイントなのです。
会社設立登記等の届け出
以上のことが終わったら、法務局と税務署に届け出が必要になります。それぞれ何を提出しなければならないのか、確認しておきましょう。
【法務局】
法務局に提出するのは、以下の4つ。まとめて法務局内の「商業登記」という窓口に提出しましょう。
- 設立登記申請書
- 「登記すべき事項」をまとめたデータディスク
- 公証役場の認証を受けた定款
- 印鑑届書
【税務署】
本店を管轄する税務署に提出するのは、以下の3つ。場合によっては源泉所得税の納付の特例に関する承認書なども必要になるので、税理士に確認しておくと良いでしょう。
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
まとめ
ただでさえ複雑な手続きが多い会社の設立。外国人が起業しようと思うと、日本人が起業するよりもさらに多くの手続きが必要になります。経営・管理ビザの取得に始まり、事業計画書や定款の作成など、自分で行うと不備がでやすいものばかりです。
行政書士や税理士など、プロに依頼すれば必要最小限の労力で会社を設立することができます。不備があったために認証を得られず何度もやりなおす、なんてことのないように、最初からプロに依頼しておくのがおすすめです。最小限の労力で、安心して会社を設立しましょう。