会社設立

役員変更登記に必要な書類とは?記入内容もわかりやすく解説!

役員変更登記に必要な書類とは?記入内容もわかりやすく解説!

会社登記の中で、役員変更登記に必要な書類を紹介します。

法務省・法務局は法務をスムーズに行うため、度々登記申請のルールを改正したり、添付書類の内容を改善したりしています。また会社設立時に作成した会社定款によって、役員変更登記の申請書類の内容や提出する添付書類が変わってきます。役員変更登記の種類別に提出する書類の全てを紹介していきます。

尚、実際の役員変更の手続きは別記事を参考にしてください。

会社登記における会社役員の種類

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会社法における役員は次の3種類になります。

  • 取締役(代表取締役もこの中に含まれる)
  • 監査役
  • 会計参与

取締役は会社の経営や業務の意思決定を決める役割です。

 

 

監査役は取締役と会計参与の業務を監査する役割です。

会計参与は取締役と共同で会社の計算書類等の作成します。実際には顧問契約を結んだ税理士・公認会計士などの個人・法人が担当します。

会計参与を設置している会社で会計参与が重任する場合は、会計参与が個人の場合は資格証明書。 会計参与が法人の場合は、当該法人の登記事項証明書が必要です。申請書に会社法人等番号を記入すると登記事項証明書の添付を省略することができます。

会社登記の役員変更の種類

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登記申請しなければならない役員変更の種類は以下の通りです。 役員に変更があった日から2週間以内に法務局に提出することが義務つけられています。

また役員に辞任した場合、新任の役員が就任する場合は同時に登記申請することができます。

  • 新任
  • 退任
  • 解任
  • 死亡
  • 再任
  • 役員の住所変更
  • 役員の氏名の変更

取締役会設置会社とは?

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役員変更登記の様式は【取締役会を設置する会社】と【取締役会を設置しない会社】の2種類あります。

取締役会の設置は、会社を設立した時の【登記する事項】に記入されています。 【取締役会非設置会社】の場合、取締役は1人でもかまいません。一人株式会社など少人数で設立する株式会社がこの形になります。

【取締役会設置会社】

取締役会を設置する場合は3人以上で設置されます。

取締役会の設置が義務付けられているのは公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社です。

その他の会社は設置しなくてもかまいません。

取締役会設置会社では取締役会で取締役会の決議によって取締役の中から選ばれます。 そのため役員変更登記申請の添付書類に取締役会の議事録の提出が求められます。

種類別役員変更登記必要な書類一覧

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再任(重任)の場合の役員変更登記に必要な書類

再任(重任)の場合役員変更はに必要な書類は、取締役会の設置の有無、取締役非設置会社でも役員が選任される方法で提出する書類が変わります。

取締役会設置会社の役員変更登記に必要な書類

取締役会設置会社の役員変更登記に必要な書類は以下の通りです。

株式会社変更登記申請書

登記の事由に【取締役,代表取締役及び監査役の変更 】 と記入します。変更があった役員の役職を記入します。

  • 登記すべき事項
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト(株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面)
    後の項目で説明します。
  • 取締役会議議事録
  • 就任承諾書 役員に重任した人数分
  • 委任状
株主リストとは?

株主リストは役員変更登記の次の場合に必要になります。

株主リストは2016年から義務付けられた添付書類です。 取締役会非設置会社など小規模な会社では、株主総会は半ば形骸化して、書面上のものになりがちです。

  • 株主総会の決議が必要な場合
  • 株主全員全員の同意が必要な場合です。

取締役会非設置会社で株主総会で代表取締役が選ばれる場合は、株主総会の決議が必要になるので株主リストが必要となります。

株主リストの内容

議決権数3分の2に達するまでの人数の株主を10名まで記入します。議決権割合が3分の2に達する人数まで記入します。

  1. 株主の氏名又は名称
  2. 住所
  3. 株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類及び数)
  4. 議決権数
  5. 議決権数割合

これら5点を代表者が証明します

株主リストの文例

株主リストは以下の内容を記入します。

  • 氏名か名称
  • 住所
  • 株主ごとの株式の数と議決権の数
  • 株主ごとの議決権割合
対象 株主総会等又は総株主の同意 株主総会
上記の年月日 令和○年○月○日
上記のうち議案 全議案
氏名または名称 住所 株式数 議決数 議決権数の割合
1 ○村 ○お ○県○市○町○番○号 30 30 30.0%
2 ○田 ○子 ○県○市○町○番○号 25 25 25.0%
3 ○木 ○一 ○県○市○町○番○号 20 20 20.0%
合計 75 75.0%
総議決権数 100

令和○年○月○日

株式会社○○

代表取締役 ○○○○  印

取締役会非設置会社にも役員の選定方法に違いがある

取締役会を設置しないのが取締役会非設置株式会社です。

取締役会非設置株式会社でも、代表取締役の選ばれ方によって書面が変わります。取締役設置会社が必ず取締役会で代表取締役を選定する義務があるのに対して、取締役会非設置会社はを選定する義務がありません。

この場合取締役全員が代表権を持つことになります。
取締役会非設置会社は代表取締役を設置する必要はありませんが、設置してもいい。

もし代表取締役を設置するなら、二通りの選定方法があります。

  • 株主総会で選定する。
  • 取締役の互選で選定する。

互選は取締役どうしの選挙になります。取締役の過半数の賛成を得ると代表取締役に選ばれます。

互選は役員変更をするたびに株主総会をひらく手間を省き、取締役だけで代表取締役を選定できます。 ほとんどの取締役会非設置会社では互選が採用されています。

互選をするためには会社定款に「代表取締役は取締役の互選より定める」という規定を追加しなければなりません。 そのためには会社定款変更登記が必要になります。

互選で代表取締役を選定した場合は、互選書の提出が必要になります。

取締役会非設置会社の役員変更登記に必要な書類

取締役非設置会社の役員の変更は決議方法あ2つあります。
株主総会か互選になります。

取締役会非設置会社が株主総会で役員変更を決議する場合に必要な書類
  • 株式会社変更登記申請書
    登記の事由に【取締役、代表取締役及び監査役に変更】と記入します。
  • 登記すべき事項
  • 株主総会議事録
  • 就任承諾書
  • 株主リスト(株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面)
  • 委任状
取締役会非設置会社が互選で役員変更を決議する場合に必要な書類
  • 株式会社変更登記申請書
    登記の事由に【取締役、代表取締役及び監査の変更】と記入します。
  • 登記すべき事項
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト(株主の氏名又は名称,住所及び議決権数等を証する書面)
  • 就任承諾書
  • 定款(取締役の互選によって代表取締役を選定する定めがある定款を添付する)
  • 委任状
役員が辞任、または死亡した場合に必要な書類

新たに就任された役員の本人確認証明書が必要になります。 任期前に役員を交代した場合は株主総会が臨時株主総会になるので【臨時株主総会の議事録】が必要です

取締役、代表取締役が辞任する場合は辞任届が必要になります。 死亡した場合は死亡届または【法定相続情報一覧図】の写しが必要です。 【法定相続情報一覧図】は2017年から施行されている【法定相続情報証明制度】を利用するために必要な書類になります。

この一覧図を作成することで、情報が一元化され相続手続が以前より簡略化されます。 死亡した場合、辞任の手続きも同じ書面で済ませることができます。 任期前の辞任や死亡になるので株主総会が臨時株主総会となります。

株式会社役員が辞任により新たな役員(取締役)が就任した場合の必要な書類
  • 株式会社変更登記申請書
    登記すべき事由に【取締役の変更】と記入します。
  • 辞任届(辞任の場合)
  • 死亡届(死亡の場合)死亡届又は法定相続情報一覧図の写し
  • 臨時株主総会議事録
  • 株主リスト(株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面)
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 本人確認証明書
  • 委任状
役員の住所変更の場合に必要な書類

役員の住所が変更した場合は、申請書類の【登記の事由】に役員の住所変更を記入し、【登記すべき事項】に新住所を記入します。

  • 株式会社役員変更登記申請書
    登記すべき事項に【取締役または代表取締役の住所変更】と記入します。
役員の氏名変更の場合に必要な書類
  • 株式会社変更登記申請書
    申請書の登記の事由に【取締役または代表取締役の氏変更】と明記します。
    名前が変わった場合はな変更と書き換えます。
  • 登記すべき事項
    新しい氏名を記入します。
  • 委任状

また結婚しても仕事の時には旧姓を使用する人のために、婚姻前の氏の記録するよう申出ることができるようになりました。
婚姻前の氏の記録は本人の希望なので、義務ではありません。 姓が変わったことで別人と認証されることを防ぐためです。

婚姻前の氏の記録の申出ができるのは以下の場合です。

  • 設立の登記申請
  • 役員の就任による変更の登記申請
  • 役員の氏の変更の登記申請

添付する記載するべき事項に
姓が変わった役員現在の氏名と婚姻前の姓を記入します。

氏名が変わったことを証明する文書

  • 戸籍謄本や戸籍抄本
  • 戸籍の記録事項証明書

が必要になります。

監査役の役員変更登記

監査役は取締役の職務執行に違法性や不当性がないかチェックする役割があります。

会社定款で監査役を設置する場合は2種類あります。

  • 会計監査だけを監査する
  • 会計監査だけでなく業務全般を監査する

非大会社かつ非公開会社、つまり多くの株式会社では会計監査だけを担っています。

2015年の会社法の改正により、会社定款に監査役の事項には「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する」旨の定款の定めを記すことが義務づけられました。

  • 株式会社変更登記申請書
    登記の事由に【監査役の変更】と記入します。
  • 登記すべき事項
  • (前任者が辞任の場合)辞任届
  • (前任者が死亡の場合)死亡届または法定相続一覧図の写し
  • 臨時株主総会議事録
  • 株主リスト(株主の氏名または名称、住所及び議決権数を証する書面)
  • 就任承諾書
  • 本人確認証明書
  • 委任状

役員変更登記には登録免許税を忘れずに

役員変更登記には登録免許税が必要です。
資本金1億円以下の会社では10,000円。
資本金1億円以上の会社では30,000円になります。

書類申請の場合変更申請書の添付書類に収入印紙を貼って提出します。 ネット申請の場合、ネットバンキングからの入金が可能です。

株式会社の役員変更登記のまとめ

取締役会設置株式会社の場合、役員選任の決議を取締役会で決議しますから、取締役会議事録が必要です。

取締役会非設置会社は株主総会で役員選任の決議をする場合は株主総会議事録と株主リストが必要になります。 役員の選任を互選で行う場合は互選書が必要になります。

合同会社の役員変更登記に必要な書類

合同会社の役員は業務執行社員という肩書になり合同会社の代表は代表社員という肩書になります。

合同会社の役員は社員扱いので任期はありません。ですが加入する場合、退社する場合には変更登記手続きが必要です。

合同会社変更登記申請書の登記の事由に【業務執行社員の退社または加入】と記入します。

総社員の同意書 会社定款に基づく互選によって、加入する業務執行社員を代表社員と定めた場合は以下の書面を添付します。 【定款、業務執行社員の互選による代表社員の選任を証する書面及び就任承諾書】 職務執行者の選任に関する書面 職務執行者の就任承諾書 委任状

役員変更登記の委任状とは?

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役員変更登記を本人が行わない場合は全ての申請書の添付に委任状が必要になります。

役員変更登記は常に変化する法人登記に対応できる専門家に任せよう。

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法務省は法人登記がよりスムーズになるため、またより公平性を高めるため、常に制度を改善しています。 そのたびに申請方法に違いが出てきたり、添付する書類が追加されたりしています。

法人登記を依頼する行政書士や司法書士には常に最新情報を入手して、新制度に対応できる専門家を選びましょう。

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金子 武弘
記事の監修者 金子 武弘
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
日本一周中に税理士合格を果たすなど、アクティブでフランクに頼りやすいところがポイント。
徹底した経営者目線を大切に、なんでも対応ができるオールラウンダーな税理士を目指す。

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