事業資金としてまとまったお金を作りたいときに頼るべきところが銀行です。ただし、このところの不況にともない、回収が見込めない事業に対しては融資の審査を通さないことも増えています。ここでは、銀行から融資を受ける際のポイントと、なるべく低金利で借り入れを行うためにやるべきことなどをまとめて紹介します。
「銀行から融資を受ける」とは?
そもそも「融資」とは、資金を融通することを指しています。金融機関や貸金業者が企業や個人へお金を貸すことがこれに当たります。事業者が融資を受けるために、いくつかの知識を有しておくと便利です。
銀行からの融資には2つの種類がある
「2つの種類の融資」とありますが、銀行がお金を貸すということはどちらも同じです。ただ、「保証」の点で違いがあります。
銀行融資①信用保証制度による保証付融資
一つは「信用保証制度による保証付融資」です。これは、信用保証協会が保証人になることを条件に、融資を行うというものです。
万一返済が不能になった場合は、信用保証協会が借入金の一時立て替え払いを行います。 融資を受ける際には原則的に連帯保証人を立てる必要がありません。ただ、融資額には上限があることと、融資を受ける事業主は、信用保証協会へ信用保証料を支払う必要があることを覚えておきましょう。
ただし、この制度を適用した融資を受ける場合には条件があり、すべて満たす必要があります。たとえ、遠方にある「金利が低く審査がおりやすい金融機関」から融資を受けようとしても、申込先の信用保証協会が管轄する都道府県に事業実態がなければ保証を付けることはできません。
銀行融資②プロパー融資
プロパー融資とは、信用保証協会による保証が付かない融資を指します。この場合、金融機関から連帯保証人を立てることや、担保として抵当権設定などを求められる場合があります。 企業側のメリットとしては、信用保証協会へ支払う信用保証料の払い込みがないことが挙げられます。また、融資上限はありませんので新規事業を立ち上げる時の事業投資資金を作る場合などに用いられます。
銀行から融資を受けた場合の平均金利や金利の条件とは?
銀行は利息や手数料などで利益を上げています。ただ、一般的な金利に関しては指標がありますし、法律でも上限金利が定められているので、どのような銀行でもほぼ同じ金利といえるでしょう。ただ、銀行の特色や金融商品によってわずかながら金利が変わりますので、気を付けましょう。
金融情勢によって金利の変動があるため、「金利は何%」ということはできませんが、日本政策金融公庫が提示する、中小企業事業向けの主要利率一覧表を確認すると「基準となる金利」がわかります。また、この利率一覧表には「特別利率」が提示されていますが、これは一定の条件を満たすことによって適用される金利です。すべての中小企業等が適用されるわけではありませんが、条件を満たすために経営方針を見直すことも一案です。
銀行から融資を受ける手順
簡単に融資のフローをまとめてまいります。
- 相談・申し込み
- 審査→落ちたら1.へ戻る。審査が通れば3.へ
- 人的担保として保証人を供出する
- 物的担保として、抵当権設定を行うための不動産を供出する
- 契約→融資の実行
もちろん、提示すべき書類の準備なども必要になります。
できるだけ金利を下げて銀行からの融資を受ける条件とは?
融資を受けられたとしても年利が高ければ、事業計画自体の立て直しが迫られることだってあります。できるだけ金利を下げてもらえるよう交渉するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。
銀行融資の条件①会計ソフトを用いてわかりやすい帳簿を作成する
銀行としても、現状の売り上げ・取引高などを見たいと考えます。また貸借対照表や損益計算書といった月次書類や決算書類の流れを見て現状の経営状態を把握し、融資を決めることもあります。 手書き帳簿では、不正が疑われたり、その場しのぎの経理と思われる可能性もあります。もちろん見にくい書類となる可能性もありますよね。 会計ソフトを使うことで、「デイリー・月次・年次」という会計の流れもつかめ、会計処理の透明性がプラスできます。
銀行融資の条件②書面添付制度を利用する
「書面添付制度」とは、税理士が会計処理に携わった旨を記載した書面を、決算申告書に添付できる制度です。この制度を利用することで、透明性の高い決算業務がなされていることが、税理士の身分で証明できます。そのため、銀行としても信頼性が高い書類として受け取ることができます。ただし、税理士に書類作成を依頼するため、顧問料や決算書作成費用が掛かります。
銀行融資の条件③市場金利が下がっているときに融資を受ける
融資を受ける際には、契約時の金利が適用されるため、市場金利が下がっているときに融資を受ければそれだけ返済時の金利負担を減らすことができます。 市場金利とは、住宅ローンなど融資に対する金利を総称したもので、経済や政治の変化に応じて日々変動するものです。
ただし、企業が「融資を受けたい」というときに、金利のタイミングをうかがうことは難しいでしょう。もちろん「金利が低いから融資を受けたい」という申し出は即却下です。
現在融資を受けている場合、当時の借り入れ金利よりも低くなっている場合、金利の見直しを融資先の銀行に依頼することができます。この取引がうまくいかなければ、金利が低いタイミングで他金融機関へ乗り換えを行ってもよいのです。
銀行から融資を受ける際に知っておきたい交渉術
銀行から融資を受ける際覚えておきたい知識をまとめました。
銀行融資の交渉をうまく進める条件①借入枠を把握する
追加で融資を受ける場合「コミットメントライン」と呼ばれる銀行融資枠(借入枠)に注意しなければいけません。 融資枠とは「あなたの会社には最高ここまでの金額を限度にお貸しします」というもので、融資枠までなら何度でも審査なしで融資を受けられる確約が取れます。 借入枠を把握せずに追加融資を申し込むと「返済計画と営業状況が不明確」という理由で融資自体が打ち切られることもあるので、追加申し込みを行う際には気を付けましょう。
銀行融資の交渉をうまく進める条件②融資の目的を明確に伝える
新規融資を申し込むときは、なぜお金が必要なのかをきちんと伝えなければいけません。新規事業立ち上げ・事務機器導入などの事業投資・立ち上げ後の当面の運転資金など理由が明確でないものに対しては門前払いとなってしまいます。理由なくお金は渡せないというのは個人間でも一緒ですよね。
銀行融資の交渉をうまく進める条件③将来性を感じさせる事業内容と計画を言えるようにする
不況と呼ばれるこのご時世、貸し渋りは当たり前。今では融資しているお金を積極的に回収する「貸しはがし」の状況下にあります。貸し倒れによる銀行共倒れのリスクを負ってまで、融資を積極的に行うことはまずありません。事業計画内容が抽象的である場合や、事業開始後の返済計画や回収計画が稚拙なものであれば、審査に至るまでもなく門前払いです。
融資を申し込む場合は、事業計画書などの書類が必要になります。銀行を納得させるまでの書類を作成し、口頭でもきちんと説明できるまで話を詰めていきましょう。もちろん、話を盛りすぎることや信ぴょう性が疑われる事業内容はNGです。
銀行融資の交渉をうまく進める条件④自分には返済能力があることを示す
起業など新規事業立ち上げなどの場合には当てはまらない可能性もありますが、返済の条件を提示することも大切です。これまでの営業実績や銀行取引実績がある場合、これまでの資金繰り表を提示するとともに、借入を行った場合の資金繰りシミュレーションも作成し「返済できる」ことをアピールしましょう。
銀行からの融資はきわみ事務所に相談を!
銀行から融資を受ける場合は、いろいろなハードルがあります。特に新規融資や借入枠を超えた追加融資の場合は門前払いの可能性も見え隠れしています。書類や会計などをきちんと整理し、銀行員が納得できる説明ができるかといった点がカギとなります。きわみ事務所では資金調達の相談を受けることができますので、まずはお気軽にご相談ください。