資金調達

新型コロナウイルス感染が拡大!中小企業向け融資制度を徹底検証!

新型コロナウイルス感染が拡大!中小企業向け融資制度を徹底検証!

コロナウイルス感染で、イベントや商業施設への出入りが自粛されています。そのことから、様々な業種が大きな打撃を受けている状態です。そこで政府は中小企業を対象に、無担保・無利子での融資を行うことを発表しました。

この記事を読む方々の中には、下記のような不安があるのではないでしょうか。

「国が発表した新型コロナウイルス感染症緊急対応策は万全なの?」
「対象は?フリーランスも含まれるの?」

通常でも厳しい資金繰りの中で経営を続けている中小企業、小規模事業の経営者、またフリーランスも含む個人事業主においては、未だかつてない不況が押し寄せようとしています。国からどのようなサポートがあるのか詳しく説明していきましょう。

中小企業者等を対象とした新たな支援対策とは?

国が設立した新型コロナウイルス感染症対策本部によると、令和2年2月14日に緊急対応策第一弾が、そして令和2年3月10日には、第二弾を発表しました。

第一弾の内容とは?(令和2年2月14日発表)

まず第一弾では、どのような業種に、どんな融資(貸付)を行うかを発表しています。

セーフティネット貸付の要件緩和と対象を拡充

日本政策金融公庫では、資金繰り支援が必要な場合、売上の減少にかかわらず貸し付けの対象を広げました。具体的には、コロナ対策用の相談窓口を全国に開設。支援の対象を今後の影響が懸念される事業者にまで拡大したのです。

衛生環境激変特別貸付

これは、一時的な(度重なるキャンセルなど)業況悪化した飲食店、旅館業など経営安定化を図るための融資制度です。

セーフティネット保証制度の業種拡大

47都道府県の指定地域では、コロナ感染症で売り上げが減少している中小企業、小規模事業者を対象にセーフティネット4号(※)が利用可能になりました。

また、特に重大な被害を被っている、乳業・美容・理容業をはじめとする316業種には、セーフティネット5号(※)が利用可能になり、その後業種の追加がありました。(指定期間は、令和2年3月31日まで)

316業種の詳細はこちら

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《追加のあった業種》

(※)セーフティネット4号とは

【信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の 100%を保証する制度】

(対象):自然災害等の突発的事由(噴火、地震、台風等)により経営の安定に支障を生じている中小企業者

(目的):災害救助法が適用された場合及び都道府県から要請があり、国として指定する必要があると認める場合において、資金供給の円滑化を図るため、

参考:経済産業省

(※)セーフティネット5号とは

【信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行う制度。】

(対象):全国的に業況の悪化している業種に属することにより、経営の安定に支障を生じている中小企業者

(目的):経営継続が困難な中小企業経営者に資金供給の円滑化を図るため、

参考:経済産業省

第二弾の内容とは?(令和2年3月10日発表)

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無利子・無担保での貸し付け

この対策のポイントは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」を併用するところです。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」とは?

日本政策金融公庫をはじめとする、企業向け融資を行っている金融機関が、業績悪化している事業主、フリーランスも含めて、融資枠別枠を設定して、無担保、無利子で融資するというものです。

融資後の3年間は、金利を0.9%引き下げて実施します。

「特別利子補給制度」とは

上記「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を行った事業主にたいして、特に厳しい状況にある事業主、フリーランスに対して利子補給を行うことで、資金繰り悪化を防止する制度です。

この「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」を併用することで実質無利子になるという仕組みになっています。

参考:融資内容の詳細は、全国の日本政策金融公庫各支店申請方法は中小企業庁

マル経融資の金利引き下げ

マル経融資とは?

「小規模事業者経営改善資金融資」の通称です。

【日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度】

(対象):商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の経営指導員による経営指導を受けた小規模事業者

参考:東京商工会議所でのマル経融資の詳細

危機関連保証(100%保証)

【売上高が前年同月比▲15%以上減少する中小企業・小規模事業者に対して、更なる別枠(2.8億円)を設置】

上記の別枠とセーフティネットと併せて最大5.6億円の信用保証を拡大しています。

(対象):資金繰りが逼迫していることを踏まえ、全国・全業種の事業者

※保証対象事業種は限定されています。また、認定は事業所の所在地で行いますので、法人の場合は本店、個人事業主の場合は、主な事業所がある区へ申請してください。

参考:東京都新宿区の場合

事業持続化を図る補助金証明書発行

【小規模事業者が直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大等)等に対応するため販路拡大に必要な経費の一部を補助するもの】

参考:制度の詳細(全国商工会連合会HP)

コロナ対策での中小企業融資のメリット

この項目では、国の融資制度を活用しての「無担保、無利子」について本当にメリットがあるのか?深堀していきます。

無担保、無利子ってメリットはあるの?

少しここで、無担保、無利子で融資を受けることのご説明をしましょう。

例えば、自宅を購入する時に、ほとんどの人が住宅ローンを借ります。

「住宅ローンだって、利子はあるけど、保証人はいらないし、無担保では?」と思う方がいるかもしれません。確かに保証人は要りませんが、団体生命保険に加入する必要はあります。わかりやすく言えば、自分の体で保証するということです。そして、住宅ローンは無担保ではありません。住宅ローンを組んだ時に、同時に借り入れた金融機関(多くの場合が銀行)が抵当権を設定します。もし、ローンが払えなくなれば、銀行が自宅を差し押さえてしまいます。銀行は何も損をすることがありません。

こうなってくると、この無利子、無担保で融資を受けるということはかなり大きなメリットなのです。もし返済が滞っても、無担保ですからすぐに持ってかれるものはありません。返済を待ってもらえるのです。

やはり日本国は、法人に対して、税金面でも融資においても優遇していることがよくわかります。

報道による有名企業の動き

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この項目では、先日の3月19日に報道された、東京ディズニーランドで働く非正規雇用労働者との労使交渉についてご紹介します。

非正規雇用労働者にこそ手厚い休業手当を支給すべし

3月19日に配信されたニュースによりますと、東京ディズニーランドで働くショーなどに出演する非正規雇用労働者の組合「なのはなユニオン」は、ディズニーランド休園での休業手当について、運営側のオリエンタルランドに対して、給料の10割を保障するように要請書を提出しています。

休園にあたり、オリエンタルランドは、シフトはすべて明日から解消とだけの通知をして、休業中の保障について何の説明もなかったということです。労働基準法では、休業中の手当ては6割となっていますが、非正規雇用労働者たちは、10割支給してもらえないと生活できないという現状です。

これはオリエンタルランドだけの問題ではありません。日本国内の多くの製造業、サービス業などでは、その労働力を非正規雇用労働者に依存している状態ではないでしょうか。

困った時だけ利用するということなく、いつでも気持ちよく働ける環境を労働者へ提供するのも経営者の務めです。多種多様な融資内容についてご説明してきましたが、是非、この非常時に活用していただき、大切な労働力の確保にも繋げてください。

コロナ感染症対策融資なら税理士に相談を

今回、設定された緊急対応策としての中小企業向けの融資を効率的に利用するためのコツをご紹介します

まず、コツとして考えられるのが、

  • 自社の事業内容が対象となっているかを確認する
  • すでに受けている融資があるなら、返済とのバランスをよく検討する
  • 現在の収支を確認して、今後の資金繰りをじっくりと検証する

無利子、無担保と言っても、やはり「借入金」であることには違いはありません。

貸借対照表、損益計算書などの経理データをじっくり見直して、今後の事業計画を立てながら、借入金の額を決めていく必要があります。

助成金、緊急対応策としての中小企業向け融資に詳しい税理士に相談してみることをお勧めします。

コロナウイルスはいつ終息するのか不透明な現状だからこそ、自社の経営面では、感染症拡大、地震、台風など災害時においての企業経営アドバイス実績のある税理士と顧問契約することで、今後の見通しを正確にたてることができます。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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