補助金・助成金

小規模事業者持続化補助金の対象者や申請期限は?

小規模事業者持続化補助金の対象者や申請期限は?

小規模事業者が、事業継続や販路拡大に取り組むにあたり活用できるのが、「小規模事業持続化補助金」です。支給された補助金は、将来の売上につながるような新商品の開発、販路開拓に使用することができます。さらに、新型コロナウィルス感染症の影響を受けた事業者に対しては補助金の引き上げなどの措置もとられています。

今回は、小規模事業持続化補助金の対象事業者や支給条件、申請方法などについてご紹介します。なお、新型コロナウィルスに関連し、補助金の支給内容等については執筆時点(2020年5月11日)より、変更が起こることもあります。補助金の申請時は、税理士等外部専門家にも相談の上、最新の情報をチェックしながら進めることをおすすめします。

小規模事業者持続化補助金制度の概要

小規模事業者持続化補助金は、下記の定義に基づく小規模事業者、および一定の要件を満たす特定非営利活動法人に対する補助金制度です。補助金の申込時点ですでに会社を設立している、もしくは開業届を出している小規模事業者で、下記の定義に該当し、対象者範囲に含まれる事業者であれば申請が可能です。

【小規模事業者の定義】

業種 常時使用する従業員数 ※会社役員、個人事業主本人、期間を定めて雇用する労働者を除く
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) 5人以下
サービス業のうち、宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下

【対象者範囲】

補助対象者

  • 会社および会社に準じる営利法人
    (例:株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、特例有限会社、企業組合、協業組合)
  • 商工業者である個人事業主
  • 法人税法上の収益事業(法人税法施工令第五条に規定される34事業)を行う、認定特定非営利活動法人ではない特定非営利活動法人

補助対象者

  • 医師、歯科医師、助産師
  • 系統出荷による収入のみの個人農業者、個人林業者、個人水産業者
  • 企業組合、協業組合を除く、協同組合等の組合
  • 一般社団法人、公益社団法人
  • 一般財団法人、公益財団法人
  • 医療法人
  • 宗教法人
  • 学校法人
  • 農事組合法人
  • 社会福祉法人
  • 申請時点で開業していない創業予定者
  • 任意団体 等

小規模事業者持続化補助金の対象となる事業

小規模事業者持続化補助金の対象となる事業は、商工会議所等とともに作成した経営計画をもとに行う、販路開拓や業務効率化の取り組みについてです。例えば、新商品の開発や宣伝するための販促用PRやチラシの作成、送付、ポスティングなどです。ネット販売システムの構築やブランディング専門家からの指導なども対象になりうる事例とされています。

また、業務の効率化のため必要な店舗改装や、システムの導入費用も補助金の対象になりうるものとされています。小規模事業者持続化補助金の公募要領にも、どのような事例が対象となりうるか紹介されています。申請時には確認してみるとよいでしょう。

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費となるには、次の条件をすべて満たす必要があります。

なお、費用項目は「①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費(補助対象経費総額の1/2が上限)、⑫委託費、⑬外注費」となっています。

【対象経費となる条件】

  • 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  • 交付決定日以降に発生し、対象期間中に支払いが完了した経費
  • 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費

引用:小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金の対象者や申請期限は?の画像1

小規模事業者持続化補助金の補助率・補助額

小規模事業者持続化補助金の補助率は補助対象経費の2/3以内、補助上限額は50万円です。ただし、新型コロナウィルス対策として、設立日または開業日によっては、補助上限額が100万円まで引き上げられています。

小規模事業者持続化補助金の申請対象期間

小規模事業者持続化補助金は年数回受付が行われますが、令和2年度から申し込みの受付は通年行われています。各締切日のタイミングで、それまでに申し込みした事業者の審査が行われることとなります。なお、申請書類は郵送または電子申請により提出となります。郵送の場合、締切日当日消印有効です。

補助率 補助対象経費の2/3以内
補助上限額 50万円(75万円以上の補助対象となる事業費に対して50万円(75万円未満の場合はその2/3の金額))
※複数の小規模事業者等が連携して共同事業を取り組む場合は「1事業者あたりの補助上限額」×「連携する小規模事業者等の数」で500万円を上限とする(単独・共同の併用可)
補助上限の特別枠 100万円
※法人設立日または開業日が令和2年1月1日以降の法人または個人事業主は、150万円以上の補助対象となる事業費に対し100万円(150万円未満の場合はその2/3の金額)
受付締切日
第1回 2020年3月31日
第2回 2020年6月5日
第3回 2020年10月2日
第4回 2021年2月5日
※各回の問合せ先 日本商工会議所 小規模事業者持続化 補助金事務局
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-11-8
TEL:03-6447-2389
問い合わせ対応時間:9:30~12:00/13:00~17:30
(土日祝年末年始除く)
https://r1.jizokukahojokin.info/files/8915/8796/3000/koubo_r1_ver4.pdf
小規模事業者持続化補助金の対象者や申請期限は?の画像2

小規模事業者持続化補助金の申請から補助金受領までの流れ

補助金を申請し、受領するまでの手順は、下記の通り進んでいきます。

  • 経営計画書・補助事業計画書の作成
  • 地域の商工会議所等で、補助事業者の要件を満たしているかなどの確認や、事業支援計画書等の作成・交付を依頼する
  • 締切日までに日本商工会議所(補助金事務局)へ申請書類一式を送付する
  • 日本商工会議所による審査(採択・不採択)の決定
  • 採択の場合、交付決定後販路開拓の取り組みを実施する
  • 所定の期限までに実績報告書等を提出する
  • 日本商工会議所による報告書等の確認
  • 報告書等の不足、不備がないことの確認が完了次第補助金を請求・受領する(精算払い)

申請手順の①、②については、商工会の指導や助言を受けることができます。ただし、依頼については締め切りまでに十分余裕をもって行いましょう。

提出書類については、下記の書類は必須となります。

  • 小規模事業者持続化補助金事業にかかる申請書
  • 経営計画書兼補助事業計画書①
  • 補助事業計画書②
  • 事業支援計画書
  • 補助金交付申請書
  • 電子媒体(CD-R、USBメモリ等)

その他、法人の場合は直近の貸借対照表および損益計算書、個人事業主の場合確定申告書なども必要となります。申請資料について不明な点がある場合は商工会をはじめ、税理士等外部専門家にも相談しながら準備を進めましょう。

なお、採択により採用された場合は、補助事業終了後にも実績報告書の提出が必要です。補助事業で取り組んだ内容や、支出内容が分かる書類を補助金事務局へ提出しなければなりません。

小規模事業者持続化補助金申請のメリット

小規模事業者持続化補助金を申請するメリットは、将来の売上につながる可能性がある経費に対し、補助が受けられることです。創業間もない会社や個人事業主の場合は、補助金の引き上げも行われているので、新商品開発や販路開拓を検討している場合には、活用価値があると考えられます。

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小規模事業者持続化補助金申請時の注意点

小規模事業者持続化補助金を申請する際は、いくつか注意したいポイントもあります。判断に悩んだ際は商工会や税理士等にも相談しましょう。

これから創業する予定の場合は申請できない

小規模事業者持続化補助金は、創業している会社や、開業している個人事業主等が対象です。したがって、これから創業する予定の場合は申請ができません。

アルバイトやパートが常時使用する従業員数に含まれるかは相談を

小規模事業者持続化補助金の場合、対象となる事業所の従業員数は、会社役員や個人事業主本人および、期間を定めて雇用する労働者を除いた人数で判断することとなっています。したがって、アルバイトやパートも、人数に含まれないのが基本です。ただし、勤務状況によっては含まれる場合もあるようなので、申し込みをする際は、事前に商工会議所や商工会等に相談するようにしましょう。

対象経費となる費用は補助金の交付決定後

補助対象経費は、補助金の交付が決定してから発注、購入、契約した費用が対象です。交付決定前の費用は対象外となるので注意しましょう。ただし、展示会の出展に限っては、交付が決定する前に申し込んでもかまいません。

小規模事業者持続化補助金の採択率を上げるには加算点を意識する

小規模事業者持続化補助金は書類審査が基本であり、採点数を上げることで採択率のアップも図ることが可能です。補助金の審査は、基礎審査と加点審査が行われます。基礎審査では、必要書類がすべて提出されているか、対象者の要件に合致しているか、事業者の技術やノウハウなどに基づいた経営計画課などを審査されます。

基礎審査のあと、加点審査が行われます。加点審査項目は、経営状況や今後の経営方針の適切性、賃金アップに取り組んだり、経営力の向上を図ったりする事業者、あるいは過疎地域で販路開拓に取り組む事業者などさまざまな加点項目があります。

さらに、今般の新型コロナウィルス感染拡大によって、事業に影響を受けながらも販路開拓等に取り組む事業者かどうかも、加点審査項目の一つに入っています。ひとつでも多くの加点審査項目をクリアすることで、採択率も有利になるでしょう。

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新商品開発や販路拡大に小規模事業者持続化補助金の活用を

小規模事業者持続化補助金は、資金使途が限られるものの、これから新商品の開発や販路拡大を検討している事業者にとって、有意義な補助金といえます。申請にあたっては、小規模事業者に該当し、商工会議所や商工会の支援を受ける必要がありますが、採択されれば将来の売上につながる開発や研究の資金として活用できるでしょう。小規模事業者持続化補助金の申請は、経営計画等必要書類も多いです。不明な点は商工会議所や商工会をはじめ、税理士等専門家にも相談しながら、準備を進めていきましょう。

企業の教科書
竹内 欣士
記事の監修者 竹内 欣士
弁護士、社会保険労務士

知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく、人の世は住みにくい(夏目漱石「草枕」)。
日々、知識を活かす智恵こそが大切だと痛感しています。知を重んじつつ頼らない。情を大切にしつつ流されない。意地を胸に秘めつつ通さない。そのバランスを図りながら、依頼者に寄り添う「身近な相談相手」を目指してまいります。

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