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東京都の感染拡大防止協力金の概要は?支給要件や申請手続きの方法

東京都の感染拡大防止協力金の概要は?支給要件や申請手続きの方法

東京都では新型コロナの緊急事態措置期間において都の要請に従い、施設の休業等に協力した事業主に対し、感染拡大防止協力金の申請を受け付けることになりました。新型コロナウイルス感染拡大に伴う対応策は、国や自治体でさまざま打ち出されていますが、この協力金を活用すれば休業に伴う売上減少の一部補填が見込めるでしょう。今回はこの記事で、感染拡大防止協力金の概要や支給要件、受給のポイントについてご紹介します。なお、新型コロナウイルスに関する支援策は、日々情報が更新されています。執筆時点(2020年6月)とは内容が異なる場合がありますので、申請時は最新の情報をご確認の上手続きを進めましょう。

東京都の感染拡大防止協力金とは

東京都が実施する感染拡大防止協力金は、2020年5月7日からの新型コロナ感染拡大防止のための緊急事態措置期間において、都の要請等により休業や営業時間短縮などに全面協力した事業主に対し、支給されます。協力金の申請受付は2回に分けて行われます。なお、本社が東京都以外にある場合でも、都内にある店舗が休業や営業短縮となった場合は、支給対象となります。

感染拡大防止協力金(第1回) 感染拡大防止協力金(第2回)
対象 都内に事業所があり、東京都の緊急事態措置等による協力依頼を受け、休業や営業時間短縮の全面協力をした施設を運営中小企業・個人事業主等
対象期間 4/16~5/6まで休業や営業時間の短縮を実施した事業者 5/7 ~5/25まで休業や営業時間の短縮を実施した事業者
支援額 50万円(2事業所以上を有する事業者は100万円)
申請受付開始日 4/22 6/17
申請受付期間 4/22~6/15 6/17~7/17
申請方法
  • 専用サイトからオンライン申し込み
  • 郵送
  • 都税事務所、支所庁舎への持参
支給開始日 5/11 未定
問い合わせ 東京都緊急事態措置等・感染拡大防止協力金相談センター
TEL:03-5388-0567(受付時間:平日・休日 9時~19時)

感染拡大防止協力金の支給額

東京都の感染防止協力金の支給額は、単独店舗の場合50万円となっています。ただし、2店舗以上を有する事業者に対しては100万円が支給されます。

感染拡大防止協力金の申請要件

感染拡大防止協力金は、下記のすべての要件を満たす場合、申請が可能です。

【感染拡大防止協力金の申請要件】

  • 東京都内に事業所があり、中小企業基本法第2条に規定する中小企業および個人事業主であること。また、大企業が実質的に経営に参画していないこと。
  • 緊急事態措置を実施する前(2020年4月10日以前)から、次のいずれかの対象施設(※)に関して必要な許認可等を取得の上、運営していること
    • 「基本的に休止を要請する施設」に属し、休止を要請されている施設
    • 「施設の種別によっては休業を要請する施設」に属し、休止を要請されている施設
    • 「社会生活を維持するうえで必要な施設」の内、「食事提供施設」に属し、営業時間短縮の協力を要請されている施設

    東京都総務局HP「対象施設一覧」

  • 2020年4月16日から2020年5月6日までの全期間において、東京都の休業要請に応じ、休業や営業時間短縮を行っていること
  • 申請事業者の代表者や役員、従業員等が暴力団または暴力団員ではなく、かつ将来にわたっても該当しないこと。また、暴力団や暴力団員が経営に事実上参画しないこと。

感染拡大防止協力金における「中小企業」の範囲

感染防止拡大協力金における中小企業の範囲は、下記の通りです。

業種 資本額または出資総額 常時使用する従業員数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
製造・建設・運輸ほか 3億円以下 300人以下

なお、2020年5月7日より、支給対象範囲が拡大され、次に該当する法人(従業員数が中小企業と同程度のもの)も対象となります。

  • 特定非営利活動法人(NPO法人)
  • 一般社団法人、一般財団法人
  • 事業協同組合等
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感染拡大防止協力金の申請手続きの流れ

感染拡大防止協力金の申請から支給までの流れは、およそ下記の通りです。

  • 申請書類を入手する
  • 申請書類の作成・提出
  • 申請書類の審査
  • 協力金の支給可否に関する通知を事業者へ送付
  • 支給対象の対象施設名(屋号等)が「東京都感染拡大防止協力金」のサイトに掲載される
  • 協力金の支給

なお、申請から支給までの日数は現時点(2020年6月7日)で1か月程度が目安とされていますが、提出書類に不備等がある場合は、さらに延びる可能性があります。

申請書類の入手方法

感染拡大防止協力金の申請書は、東京都感染拡大防止協力金のポータルサイトでダウンロードが可能です。また、最寄りの都税事務所・支所および、都内区市町村など関係機関でも配布されています。

申請時に必要な提出書類

感染拡大防止協力金には下記の書類の提出が必要です。なお、場合によっては追加書類の提出及び説明を求められることもあります。

  • 東京都感染拡大防止協力金申請書兼事前確認書
  • 誓約書
  • 緊急事態措置以前から営業活動を行っていることがわかる書類(①~③のすべて)
    1. 営業活動を行っていることが分かる書類の写し(受付済の確定申告書、店舗外景写真等)
    2. 業種にかかる営業に必要な許可等をすべて取得していることが分かる書類の写し(飲食店営業許可、酒類販売業免許等)
    3. 本人確認書類の写し(運転免許証、パスポート、保険証等)
  • 休業等の状況が分かる書類(休業を告知するポスターやチラシ、ホームぺージ等)

申請方法は3種類から選択可能

感染拡大防止協力金の申請書類は、オンライン提出か郵送、持参の3種類の提出方法から選択できます。

オンライン提出の場合は、感染拡大防止協力金のポータルサイトから提出しましょう。郵送の場合は、都庁第一本庁舎にある感染拡大防止協力金申請受付まで、簡易書留など郵便物の追跡ができる方法で送ります。また、持参の場合は、封筒に「東京都感染拡大防止協力金申請書類在中」と明記の上、最寄りの都税事務所・支所庁舎内に設置されている専用ボックスに投函しましょう。

なお、対面での書類提出はできません。対面での説明も受け付けてもらえないので、不明点は東京都緊急事態措置等・感染拡大防止協力金相談センターまで問い合わせましょう。

感染拡大防止協力金申請時の注意点や受給のポイント

感染拡大防止協力金を申請する際は、いくつか注意点もあります。スムーズな受給のために、ポイントを押さえておきましょう。

専門家に書類確認をしてもらうほうがスムーズ

感染拡大防止協力金の申請は、税理士などの専門家が申請要件を満たしているか、事前の書類チェックをすることにより、スムーズな申請や支給を目指しています。

対象となる専門家は下記の通りです。顧問税理士や公認会計士など、これまでに指導や相談をしている専門家がいれば依頼するとよいでしょう。

  • 東京都内の青色申告会
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 中小企業診断士
  • 行政書士

なお、専門家に依頼した場合、事前確認にかかる費用は一定の基準によって、東京都が別に措置しており、申請者に請求されることはありません。ただし交通費や郵送料などの実費は除きます。

専門家の事前確認は必須ではありません。ですが、円滑な受給を目指すのであれば、専門家の書類確認を依頼するほうがおすすめです。

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休止対象施設は東京都防災ホームページで確認を

感染拡大防止協力金の対象となる施設については、東京都防災ホームページに記載されています。

食事提供施設(飲食店、料理店、喫茶店、和菓子・洋菓子店、タピオカ屋、居酒屋、屋形船)等は休止要請の対象外となっていまが、適切な感染防止対策と営業時間短縮の協力要請は行われています。

営業時間の短縮については、20時~翌5時までの間に営業している店舗に対し、5~20時までの間の営業(アルコール類は19時まで)を要請されています。この要請に協力し、営業を5~20時までに短縮した場合や、休業した場合は協力金の対象となります。ただし、この対象に宅配やテイクアウトは含まれません。

テイクアウトに切り替えた飲食店も短縮営業で対象に

食事提供施設に宅配やテイクアウトは含まれませんが、飲食店がテイクアウトに切り替えて営業した場合は、店内飲食の営業時間を短縮し、20~5時まで営業しない場合、対象となります。なお、この時間帯にテイクアウトを行う場合でも対象となります。

協力金は緊急事態措置期間以前の開業が対象

感染拡大防止協力金は、緊急事態措置以前(2020年4月10日)に開業している事業者が対象です。例えば第2回の場合は、緊急事態措置期間が延長された5月7日以前に開業し、営業実態がある事業者が対象となります。

要件を満たせば第2回も受給可能

第1回の感染拡大防止協力金を受給している場合でも、要件を満たしていれば第2回の協力金を受給することが可能です。条件に合致する場合は、申請しましょう。

不正受給はペナルティの対象

感染拡大防止協力金を不正受給した場合は、支給決定の取り消しとなります。協力金を受け取っている場合は返金するとともに、協力金と同額の違約金を支払うペナルティが課せられますので、適正に申請を行いましょう。

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まとめ

東京都の感染拡大防止協力金は、要件を満たせば支給される協力金です。都の要請により休業等を行い、減少した売り上げの補填に活用できるでしょう。

申請は自分でもできますが、スムーズな申請・受給には専門家に事前確認してもらうことをおすすめします。協力金を検討する場合、日頃から助言・相談をもらっている顧問税理士等がいる場合は、受給について相談してみてはいかがでしょうか。顧問税理士等がいない場合は、これを機によきパートナーを見つけるチャンスとなるかもしれません。

また、新型コロナウイルスの支援策は、日ごと情報が更新されており、感染拡大防止協力金についても今後、現時点(2020年6月7日)以降変更が出る可能性があります。申請は最新の情報を確認の上、行うようにしましょう。

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記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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