会社を設立しようと思っても「何から始めて、何を準備すればよいのかわからない」という方は多いのではないでしょうか?難しいイメージがある会社設立ですが、実はポイントを押さえて準備しておけば簡単にできるのです。
本記事では、会社設立までの流れと準備しておくものや、会社を設立するときに必要な手続きをご紹介します。チェックリストも記載しているので、これから独立を考えている方や法人化に向けて準備する個人事業主の方は参考にしてみてください。
会社設立までの流れと準備しておくもの8選
これまで資本金が1000万円以上、取締役が3名以上、監査役が1名以上必要だった株式会社ですが、2006年に施行された通称「新会社法」によって資本金は1円以上、取締役は1名以上、監査役は任意になり、会社設立に際してのハードルがグッと下がりました。
そこで、会社設立を考えている方のために、設立するまでの流れや準備しておくものを8つご紹介します。
1.会社名を準備しよう!
会社のイメージを左右することにもなる会社名。決めるときは、以下の5つの「I」を押さえて準備しましょう。
- Impact:インパクト
- Interest:興味
- Information:情報
- Impression:印象的
- Idea:アイデア
実際にある会社の名前のつけ方を参考にするのもおすすめです。ただし、有名企業の名前をそのまま使ったり、会社の業務内容を誤解させるような名前をつけたりできないので注意しましょう。
2.定款作成時に必要になる事業目的
定款とは、会社の基本的な原則を記した書類のことです。会社を設立する際には、必ず準備しなければなりません。法人設立の準備のなかでも特に重要なのが、事業の「目的」です。
投資家や銀行に出資をしてもらうためにも、しっかりとした事業目的を準備することは大切です。将来営む可能性のある事業も含めて書くと、より良い事業目的になるでしょう。
3.会社の所在地を決めよう!
会社の所在地は、定款に書かなければならない項目の1つ。所在地となるのは、以下の2パターンがあります。
- 自宅・・・賃貸の場合は契約書に「法人不可」と書かれているケースがあるので、確認が必要です。
- 事務所を新規で借りる、または購入する・・・事務所を新規で借りたり買ったりする場合は、契約前に会社の所在地にする旨を通告しておきましょう。事前に伝えない場合は目的外使用として、契約解除されることがあります。
「契約書などの確認が面倒」という方は、レンタルオフィスや登記可能なコワーキングスペースを選ぶのもおすすめです。
4.会社の資本金を準備しよう!
上述したように、新会社法では資本金は1円以上と定められています。しかし現実的に考えると、会社にはPCや事務用品などの備品、人を雇う場合には給与が必要なため、資本金1円で会社を設立するのは無謀と言えます。
会社が軌道に乗るまでの約半年間、問題なく運営できるだけの金額を準備しておくと良いとされているので、会社の規模にもよりますが300〜500万円は事前に用意しておくと良いでしょう。
5.資本金を出してくれる人を集めよう!
上記の資本金の出所によって、設立方式は以下の2つに分かれます。それぞれの特徴を把握しておきましょう。
- 発起設立・・・会社の発起人など身内で出資金をまかなう方法。発起人と出資者が同一なので、経営の意思決定がスムーズなのが特徴です。
- 募集設立・・・身内以外の投資家に出資を募る方法。申請の際の手続きが複雑なので、外資系企業の設立など特殊なケースで用いられます。
6.株式会社も合同会社も機関設計が必須
機関設計とは、代表取締役や取締役、監査役や会計参与など会社の運営方針を決定する人を決めることです。ただし、株式会社と合同会社の機関設計は大きく違うので、確認しておきましょう。
- 株式会社の機関設計・・・取締役会を設置するかどうかを選ぶことができます。発起人以外が株主にいる場合は取締役会を置き、重要な決定事項がある場合に逐一株主総会を開かなくて済むようにするのがおすすめです。
- 合同会社の機関設計・・・合同会社は出資者=社員なので、取締役会の有無は考える必要がありません。代表社員と業務執行社員のみ決めておきましょう。
7.会社用の印鑑を準備しておこう!
会社用の印鑑は、以下の4つが必要になります。特に代表者印は設立の手続きで必要になるので、早めに準備しておくのがおすすめです。
- 代表者印(法人実印):法務局に登記手続きをする際に必要です。通常直径18mmの丸印。
- 銀行印:銀行口座の開設などに使用します。
- 社印(角印):社内文章や請求書など一部の社外文章に使用されます。
- ゴム印(横書き):契約書の署名欄に押す用。本店所在地、電話・FAX番号、会社名、代表者名が彫られていることが多いです。
8.会社設立にかかる費用を明確にし、準備金を用意しよう!
資本金とは別に、会社設立の手続き上で発生する費用もあります。ここでは、株式会社と合同会社の設立にかかる最低金額をご紹介します。
株式会社
- 定款用の収入印紙代:4万円
- 公証人への認証手数料:5万円
- 定款の謄本手数料: 約2,000円
- 登録免許税:15万円
合計:約24万2千円
合同会社
- 定款の収入印紙代:4万円
- 登録免許税:6万円
合計:約10万円
なお、定款の収入印紙代は電子定款を活用すれば、印紙代は発生しません。
士業事務所によっては電子定款に対応しているところもありますので、少しでも費用を抑えたい場合には電子定款に対応しているかどうかに着目して依頼をすることをおすすめします。
会社設立に必要な手続きについて
会社設立には様々な書類申請などの手続きがありますが、ここでは主要な3つをご説明します。
定款認証
定款が効力を発揮するためには、公証役場で認証を得る必要があります。必要なものは以下の4つ。
- 株主全員の印鑑証明
- 収入印紙4万円
- 定款認証手数料5万円
- 定款3部
会社代表者印提出
法人として認められるために、印鑑を登録する必要があります。こちらは公証役場ではなく、法務局に提出しなければならないので事前に準備しましょう。持ち物は以下の2つ。
- 登録する会社代表者印
- 会社の代表者の実印
設立登記申請
最後に設立登記申請書を提出すれば、会社の設立は完了です。添付書類は、主に以下の5つ。ただし、提出書類は会社の種類などによって変わるので、必ず確認してください。
- 定款
- 資本金の払込があったことを証する書面(証明書)
- 資本金の額の計上に関する証明書
- 設立登記申請書
- 代表取締役の印鑑証明
- 就任承諾書
会社設立に必要な準備をチェックリストで確認しよう
いざ準備が整ったら、以下のチェックリストで最終確認をしましょう。
- 会社名の決定
- 事業目的の決定
- 会社の所在地を決定
- 資本金の金額を決定
- 資本金を誰から集めるかを決定
- 会社の機関設計を決定
- 会社の印鑑・印鑑証明を作成
- 会社設立の準備金を用意
- 定款認証
- 会社代表印提出
- 設立登記申請
会社設立の準備まとめ
新会社法によって資金面などのハードルが下がり、独立起業・会社設立はそこまで難しいものではなくなりました。しかし、流れを知っておくのと知らないのとでは、手続きを進めるスムーズさが違うので、今回ご紹介した流れや準備しておく8つのことを確認しておきましょう。
- 会社名
- 事業目的
- 所在地
- 資本金の金額
- 資本金を誰から集めるか
- 機関設計
- 会社の印鑑
- 準備金
また、公証役場や法務局など、手続きによって場所が違うので注意が必要です。添付書類と共に確認してください。