会社設立をする前・した直後の起業家向けの支援プログラムがたくさんあります。創業融資はもちろん、創業セミナー、税金などの専門家への無料相談など、起業支援の内容は充実しています。
しかし、プログラムの種類がたくさんあるため、「何の支援を受けるべきか」について迷うところでしょう。そこで、起業支援プログラムを網羅的に説明します。
銀行融資だけじゃない、公的融資も受けることができる
設立資金の調達は銀行以外からでも可能であり、国や自治体などの公的融資が受けられます。
国や自治体からも借りられる
国や自治体は起業支援として、創業融資を積極的に実施しています。それぞれの公的融資の内容と仕組みについて説明します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の母体は国であり、企業に対し無担保・無保証で融資してくれるというのが大きな特徴です。創業融資の種類はおもに3つあります。
- 新創業融資起業家向けの融資制度であり、新規開業および確定申告を2期終えていない企業が対象になります。
- 中小企業経営力強化資金起業家向けの融資制度ですが、新創業融資よりも金利や貸付条件が優遇されています。しかし、税理士などの認定経営革新等支援機関の助言や事業計画書の作成が義務付けられているため、事務的な手間がかかります。
- 女性、若者/シニア起業家支援資金「女性」「35歳未満」「55歳以上」の起業家を対象にした融資制度であり、新創業融資よりも優遇されています。
自治体
各自治体の信用保証協会が銀行借入金を保証し、起業家に対する創業融資のハードルを下げることで起業支援をしています。融資を受けた企業は利子と別に、信用保証協会に信用保証料を支払います。
東京都中小企業制度融資「創業」を例にすると、起業前から開業5年未満の企業が保証の対象になり、「区市町村の認定特定創業支援事業による支援」または「商工団体等による創業支援」を受けたことの証明がある場合には、利率が0.4%優遇されます。
商工中金
商工中金の新事業育成資金が起業家向けの融資制度になります。「技術的水準が高い」または「製品・サービスに特色を有する」など新たな事業を起業家に限定されるため、行う国や自治体の公的融資よりハードルが高くなります。
また、事前に商工中金の株主になることが融資を受ける条件です。
東京都創業ネット
東京都の起業支援プログラムであり、特徴は次の通りです。
資金調達のメニューが豊富
東京都創業ネットの資金調達のメニューが豊富です。
- 東京都中小企業制度融資「創業」前述の通り、創業融資制度です。
- クラウドファンディングを活用した資金調達支援起業家がインターネット上でクラウドファンディング事業者を介して、不特定多数の人から資金調達することを費用面で支援しています。具体的には、クラウドファンディング事業者に支払う手数料の原則1/2(上限額30万円)を東京都が補助します。
また、資金調達の仕組みを利用して不特定多数に対する新規事業の広告・PRも可能です。
- 女性・若者・シニア創業サポート事業信用金庫・信用組合による女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)を対象として創業融資、地域創業アドバイザーによる経営サポートを組み合わせた起業支援です。低金利・無担保と年3回までの無料経営相談サービスなどが特色です。
- 創業助成金(東京都中小企業振興公社)後大きな成長や多くの雇用の創出が期待できる事業分野で起業する場合には、創業助成金の対象になります。給付金は「創業期に要する経費の一部の3分の2以内(上限額300万円、下限額100万円)」です。
セミナー参加ができる
創業支援、新規事業の立ち上げ、異業種・異分野の交流促進など起業家の課題に応じたメニューが用意されています。たとえば、女性・若者・シニア創業サポート事業なら次の通りです。
- 創業支援セミナー
- 事業計画書作成支援セミナー
- 業種別セミナー(飲食業、小売業、保育サービス、介護サービス、ネットビジネス、ソーシャルビジネスでの創業がテーマ)
- 創業事業の課題解決セミナー(創業後対象)
- 女性向け長期セミナー(有料)
- 長期セミナー(有料)
Startup Hub Tokyo(スタートアップハブトウキョウ)
Startup Hub Tokyoは起業の準備段階の人から検討段階の人までをサポートする施設であり、プレアントレメンバー申込に無料で申し込むことが利用条件になります。
無料で入館できる
プレアントレメンバー申込が済めば、施設に無料で入館できます。室内は起業のための作業や打ち合わせに活用でき、1000冊以上の関連書籍があります。
経営相談も無料
事前予約制により、起業経験者に無料で経営相談ができ、1回の時間は30~40分です。また、水曜日は専門家に相談でき、「資金・知財・雇用・法律」の各分野に対応しています。
立地の良さ
立地場所が東京都千代田区丸の内であり、JR東京駅・有楽町から徒歩5分、地下鉄千代田線二重橋前駅の3番出口に直結しています。
セミナー・イベント
ビジネスモデルの作り方などのセミナー、起業家同士の交流会などのイベントがほぼ毎日開催されています。
キッズルーム(一時保育サービス)
子育て中の人を対象に事前予約制で一時保育サービスが申し込めます。
都内でもおすすめの自治体は?
積極的に起業支援を実施している自治体について紹介します。
豊島区「としまビジネスサポートセンター」
官民協働で運営している「としまビジネスサポートセンター」の起業支援は次の通りです。
特定創業支援(起業時の優遇措置)
- 法人設立時の登録免許税が半額
- 日本政策金融公庫の新創業融資の自己資金要件が免除
- 東京都中小企業制度融資「創業」の利率が引き下げられる
融資あっせん
- 豊島区「起業資金」の融資を金融機関にあっせんする
- 日本政策金融公庫「新創業融資制度」の利子補給(利子負担分の一部補助)が受けられる
豊島区の補助金
次の費用の一部について補助金を支給します。
- 見本市等出展支援:見本市や展示会への出展料
- ホームページ作成支援:新規作成にかかった費用
- 専門家派遣制度:東京都中小企業振興公社の「専門家(中小企業診断士、社会保険労務士、税理士、公認会計士など)派遣制度」利用料
専門家による個別相談
起業・創業、売上拡大、税務・経理、労務の各専門家が個別相談に応じます。
女性起業家支援
起業相談、起業塾、ネットワークを構築する交流会などにより女性起業家を支援しています。
港区
創業融資のあっせん、創業セミナー、利子補給など一般的な起業支援に加えて、事務所など自宅と独立した物件について、月額賃料の3分の1(最大月5万円)を1年間補助します。
目黒区
創業したての起業家にインキュベータオフィスを提供しているのが目黒区の特色です。創業融資のあっせん、創業セミナー、利子補給なども実施しています。
民間団体の活用も
自治体によっては起業支援を民間団体が担っています。
品川区|武蔵小山創業支援センター
日本政策金融公庫の融資相談会や、税理士・社会保険労務士・行政書士などの専門家との個別相談が充実しています。セミナー開催やインキュベータオフィスの提供もしています。
公益財団法人大田区産業振興協会
創業者支援と専門家派遣によるビジネスサポートが起業支援の2本柱です。
専門家に相談を
東京の起業支援プログラムは専門家に無料相談できる所がたくさんありますが、回数制限や予約が埋まっているなど満足できない可能性があります。
専門家に相談するのも手
起業支援プログラムで不安に感じる・満足できない場合には、認定経営革新等支援機関に相談するのも一つの手です。特に中小企業経営力強化資金で資金調達をする場合、融資の通過後も定期的なフォローが義務付けられているため、事業の成長度合いに見合ったアドバイスが受けられます。
なお、認定経営革新等支援機関である、きわみ事務所では会社設立や資金調達の相談を受け付けています。代表税理士はITベンチャーで役員を務めた経験があるという、業界でも数少ない「経営者目線」のアドバイスができる税理士です。まずはお気軽にお問い合わせください。