結婚や出産、マイホーム購入などのライフイベントが控えている方も多い30代。将来的な老後資金・教育資金について考え始める時期でもあり、資産形成の方法や資産配分についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。
当記事では資産形成について悩んでいる30代に向けて、おすすめの資産形成方法や注意すべきポイントなどを解説します。
30代の資産形成でおすすめの運用方法
30代の資産形成としておすすめの運用方法は、次の4つです。
- 株式投資
- 投資信託
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 個人年金保険
株式投資
株式投資は、株式会社が発行する株式を売買して資産を増やす資産形成です。「安いときに買って高いときに売る」という売買益(キャピタルゲイン)や、株式を保有し続けて配当金や株主優待などの利益(インカムゲイン)が得られます。
株式投資のメリットは、投資信託や債券などの金融商品よりも大きな利益を得やすい点です。また、株主優待が貰えたり株主としての権利を得たりなど、金銭面以外の恩恵も大きな資産形成方法と言えるでしょう。
ただし、他の金融商品よりも損失のリスクが大きいデメリットがあります。とはいえ、30代はある程度損失が出ても取り返しが利く年代であるため、株式投資による資産形成は30代にはおすすめです。
もし少額で株式投資を行いたいのであれば、株式累積投資(るいとう)やミニ株取引などから始めてみましょう。
投資信託
投資信託とは、多数の投資家から集めた資金を元手に専門家が運用を行い、その成果に応じて投資家へ分配金が配分されるという金融商品です。専門家は株式・債券・不動産・デリバティブなどに分散し運用します。
投資信託のメリットは、専門家による運用や分散効果によって、株式投資よりもローリスクとなる点です。初めて資産形成を検討する初心者の方にも、おすすめの金融商品と言えます。
ただし、株式投資ほど大きな利益は得にくい点と、元本割れのリスクはゼロではない点がデメリットとなります。資産形成をしたいけど、子育てや家庭があって大きな失敗したくない30代の方は、投資信託での運用を検討してみてください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人確定拠出年金)とは、毎月掛金を拠出して商品の運用を行い、その運用益を公的年金に上乗せできる私的年金です。iDeCoの掛金で運用する商品や掛金額は、自分で選びます(掛金は上限あり)。
iDeCoのメリットは、掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になる点と、運用益がすべて非課税になる点です。余裕のある30代のうちに運用して積み立てつつ、節税効果を得られます。
反面、iDeCoは60歳になるまでお金を一切引き出せないのがデメリットです。資産の流動性は限りなくゼロになります。また、運用成果によっては元本割れのリスクもあります。元本割れを避けたい場合は、元本確保型商品を選択しましょう。
個人年金保険
個人年金保険とは、毎月保険料を一定の年齢まで払い込み続け、受け取り開始時期に年金として受け取れる保険商品のことです。商品の種類によって、決まった一定期間の間で受け取れるものと、生涯に渡って受け取れるものがあります。
iDeCoとの違いは、途中解約すると、すぐ払込保険料に応じた金額を受け取れる点です(通常は実際の払込保険料より少なくなる)。iDeCoの場合は途中で払込をストップしても、60歳まではお金が戻ってきません。ライフプランの変化への強さは、個人年金保険のほうがiDeCoより優れています。
ただし、個人年金保険は払い込んだ保険料分しか年金に反映されず、iDeCoのように運用益に応じた利益を受け取れません。iDeCoと比べると、インフレに弱いのがデメリットと言えるでしょう。また、払い込んだ保険料は所得控除となるものの、iDeCoのように全額は対象となりません。
なお、iDeCoと個人年金保険の併用は可能です。
初めての株式投資や投資信託ならNISA制度の活用がおすすめ
30代から資産形成をスタートさせる場合、ライフイベントでの出費や、予期しない大きな損害などに備えて、投資による余計な出費を避けたいと思う方も多いと思います。
そんなときは、国が用意したNISA制度(少額投資非課税制度)の利用がおすすめです。NISA制度を活用すれば、発生した利益に金融所得税20.315%が課されず、確定申告も原則として必要なくなります。忙しい社会人にもおすすめの制度です。
なお、NISA・つみたてNISAはそれぞれ対応している証券会社でしか口座を開設できません。証券会社には、事前にNISAおよびつみたてNISA口座に対応しているかどうかを、確認しておきましょう。
非課税投資枠が多いのは一般NISA
一般NISAとは、一定の金額までの株式銘柄と投資信託から発生した利益(値上がり値・配当金・分配金など)が、年間120万円・5年間まで非課税とできる制度です。とくに株式投資を行う際は、利用をおすすめします。
2024年からは現行の一般NISAから、非課税投資枠の変更や二階建て構造となる新NISA制度がスタートします。
長期的かつ安全な投資ならつみたてNISA
つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援する目的で設立された非課税制度です。
NISAと比べると非課税投資枠が最大40万円と少なめです。しかし対象期間は20年と4倍となっています。また、つみたてNISAの対象となる銘柄は国へ届け出た長期・積立・分散投資に適した投資信託のみであるため、どの銘柄を選んでも比較的安全な運用が可能です。
なお、つみたてNISA口座における銘柄の買付は必ず積立投資となります。自然と時間分散効果を得ることが可能です。
30代の資産形成で注意すべきポイントは?
30代の資産形成で注意すべきポイントは次のとおりです。
- 資産形成の目的を明確にすること
- ある程度のリスクがある投資にもチャレンジしてみること
- 年収や生活水準を踏まえた投資にすること
資産形成の目的を明確にすること
資産形成を実施する場合、ただ漠然と「お金を増やしたい」「備えたい」と思って始めるのは適切ではありません。
なぜなら金融商品は商品ごとの異なる特徴を持っており、事前に設定した目的に合った金融資産を選ぶのが一般的であるからです。目的がなければ、どの資産形成方法を選択すればよいのか、方針が定まらなくなります。
資産形成を検討する際は、「資産形成の目的」と「目的を達成するために必要な期間」を試算しておきましょう。
例えば、60歳以降の老後資金を貯めておきたい場合は、長期投資による複利効果(長期的な値上がりや配当金・分配金による積み立て)に期待しつつ、他の余剰資金でハイリスク・ハイリターンの投資に挑戦するのもよいです。
一方で子どもの教育資金を貯めたいときは、ハイリスク・ハイリターンの投資で失敗すると、子どもの入学資金が捻出できず取り返しがつかない可能性が考えられます。このケースだと、リスクの低い投資信託による運用や学資保険への加入などの選択肢が考えられます。
30代の場合は、今後控えるライフイベントや自身のキャリア次第でも資産形成の目的は大きく変わるはずです。事前にしっかりと計画を立てておき、計画に適した資産形成を実施しましょう。
ある程度リスクがある投資にもチャレンジしてみること
30代での資産形成の場合、仮に失敗したとしても後で損失分を取り返せる可能性が高くなります。将来的な昇進による昇給や副業、節約、節税などで、ある程度自分で収支をコントロールしやすいからです。
しかし失敗が50代や60代となると、損失をカバーする資金は退職金や年金となります。60代以降は原則として「貯蓄を取り崩す」という生活となり、将来的な収入増加は若いときほど期待できません。もしこの年代で資産形成に失敗してしまうと、取り返しがつかなくなってしまいます。
そのため30代は、ある程度リスクがある投資にチャレンジしやすい年代とも言えます。余剰資金に余裕があるときは、ハイリスク・ハイリターンの資産形成に挑戦するのもよいでしょう。
年収や生活水準を踏まえた投資にすること
20代と同様にある程度チャレンジできる年齢であること、また20代より収入が増えている場合が多い30代ですが、だからといって投機やギャンブルのような資産形成を狙うのは避けましょう。あくまで、現状の年収や生活水準を踏まえた投資を心がけるのが大切です。
投資の基本は「余剰資金で行うこと」です。もし積立金額や購入金額を大きくし、生活費にも及ぶレベルの投資をして失敗すると、取り返しがつかなくなる危険性があります。
また、iDeCoや個人年金保険で毎月の支払額を高額にしすぎると、肝心の普段の生活が圧迫されてしまいます。ましてや結婚・子育て・マイホーム購入などを見据える30代の場合は、将来に向けた貯蓄よりも優先してお金を使うべき場面も多いでしょう。
そのため、30代で資産形成を始める前には、現状の資産状況やキャッシュフローなどをしっかりと確認しておくことが大切です。
30代の収入・支出事情まとめ
ここからは30代での資産形成の参考となるよう、30代の収入・支出事情を簡単にまとめました。今回は、次の項目について解説します。
- 30代の平均年収
- 30代の平均消費支出額
- 30代の金融商品保有額の内訳
- 30代のライフイベントでかかる費用
30代の平均年収は約430万円
国税庁が発表する「民間給与実態統計調査(令和2年)」によると、30代の平均年収は30~34歳が400万円、35~39歳が437万円となっていました。
また、転職サービスdodaの「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)2020年9月~2021年8月」では、30代の平均年収は437万円と公表されていました。
以上を考えると、30代の平均年収は約430万円だと推測されます。
民間給与実態統計調査の全年齢の平均年収は433万円となっており、30代は日本におけるおおよそ平均的な年収であるとわかります。
30代の平均消費支出額
総務省統計局e-Statの「家計調査報告書(2021年)」によると、34歳までの単身世帯の1ヶ月当たりの平均消費支出額は155,046円となっていました。
同じく二人以上の世帯の場合は、34歳までの1ヶ月当たりの平均消費支出額は、253,802円となっています。
なお統計ではライフイベントに関する支出は含まれていません。あくまで日常生活で支出される数値となります。
30代の金融商品保有額の内訳
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査2021年(二人以上世帯調査) 」によると、30代の金融商品保有額の内訳は次のようになっていました(小数点第2位は切り捨て)。
- 預貯金額:50.5%
- 株式:17.9%
- 生命保険:9.8%
- 投資信託:6.8%
- 個人年金保険:4.1%
- 財形貯蓄:3.9%
- 債券:2.1%
- 金銭信託:2.1%
- 損害保険:1.3%
- その他金融商品:1.3%
預貯金額は半分以上を占めていますが、株式や投資信託などの金融商品、個人年金保険や財形貯蓄などの制度といった、預貯金以外への資産配分も実施されています。
30代のライフイベントにかかる費用
30代でよく発生するライフイベントにかかる費用の平均は次のとおりです。
- 結婚:約460万円
- 出産:約50万円
- マイホーム購入:マンション約4,400万円、一戸建て約3,440万円
- 子どもの教育費:幼稚園~大学卒業まで約3,000万円
多くの人にとって、30代には出費がかさむライフイベントが目白押しとなっています。20代の頃と比べて収入は上がっているものの、将来のための貯蓄だけでなく、リアルタイムで必要な費用も計算しながら、資産形成に回す資金を検討しておきましょう。
30代の資産形成ならIFAに相談するのもおすすめ!
30代は、20代のようなチャレンジ寄りの資産形成がまだ許されやすい年代です。しかし、大きな失敗をするとライフイベントに影響したり、積み立て方針を間違えたまま時間が進むと将来的に取り返しがつかなくなったりなど、気をつけるべき点も数多く存在します。
もし自身の収入状況や今後のライフプランに適した資産形成について相談したい場合は、資産形成・運用のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するのもおすすめです。
IFAは証券会社から独立した立場で業務を行うため、営業ノルマや業績に左右されず、顧客に最適な資産形成プランを提案してくれます。また、IFA自身も元証券会社や保険会社勤務の方が多いため、資産形成に関する実務経験も豊富です。
資産形成についてお悩みの場合は、ぜひIFAを利用してみてはいかがでしょうか?