資産運用

投資信託におけるリスクとは?リターンとの関係や運用時の注意点を解説

投資信託におけるリスクとは?リターンとの関係や運用時の注意点を解説

投資信託は、専門家に運用を任せられるうえに、100円からの少額投資に対応する商品も多く揃っている点がメリットです。しかし投資信託の運用にも、他の投資と同じくリスクが存在します。

投資信託のリスクを知ることで、金融商品の理解やリスクを考慮した売買取引の実行、市場分析力の向上などの効果が期待できます。

当記事では、投資信託におけるリスクの意味や種類、リスクとリターンとの関係、投資信託を行う際の注意点などをまとめました。リスク低減につなげやすい長期投資や分散投資についても解説します。

投資信託におけるリスクの考え方と種類

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投資活動におけるリスクとは危険性のことではありません。「予想どおりには動かない可能性」という考え方になります。

リスクが大きい状態は「ハイリスク・ハイリターン」、リスクが小さい状態は「ローリスク・ローリターン」になるイメージです。要は価格のブレ幅の大小が、リスクの大小を表しています。

以下では、投資信託のリスクはどういった要素で変動するのかを解説します。

価格変動リスク

価格変動リスクとは、金融商品の価格が常に上下する可能性のことです。金融商品は、国内外の経済状況や政治動向、企業業績、トレンドなどで価格が日々変動します。

たとえばコロナ禍で業績を落とした業種は株価が下がり、売上を伸ばした企業は株価が上昇しました。事前にコロナ禍を予想できるかと言われると不可能に近く、価格変動リスクを表す状況の1つと言えます。

また、過去にはリーマンショックや米国大統領の交代などが要因で、株価・債券価格が変動した例も見られます。このように投資信託を含めた金融商品は、常に価格変動リスクと隣合わせであると言えるでしょう。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、円と外貨の為替レートが動く影響で、外資建ての資産価格が変動する可能性のことです。為替レートは、各国の経済成長の度合いやインフレ率、国際収支など見た投資家が、どのような売買を行うかによって変わります。

たとえば著しい経済成長が見られる新興国があると、多くの投資家が同じ国を投資対象とします。すると新興国の通貨の価値が上がり、その新興国の株式や債券を組み込んでいる投資信託の価格も上昇するでしょう。

原則として外貨建て投資信託の基準価格は、外貨より円の価値が高い「円高」だと下がり、円より外貨の価値が高い「円安」だと上がります。

信用リスク(デフォルトリスク)

信用リスク(デフォルトリスク)とは、有価証券(株式や債券のこと)を発行する組織の経営悪化・財政破綻などが原因で、債務不履行(利息や元本の支払いが滞ること)が起こる可能性のことです。

債務不履行を起こす可能性がある企業や自治体は、投資家からの信用を失われます。すると、その組織の株式や債券が売りに出されるため、当該組織の株価や債券価格は大きく下落する確率が高くなります。

債券の場合は、「格付け」を見ることで信用リスクを確認可能です。D~AAAまでが振り分けられ、信用力や支払い能力が高い「投資適格」はBBB以上、信用力や支払い能力に不安がある「投資不適格(投機的格付け)」はBB以下です。

格付けが高いほどリスクが低い債券になりますが、格付けが低い債券は価格が安く利回りも高くなる傾向があります。

金利変動リスク

金利変動リスクとは、金利の変動によって資産価値が変動する可能性のことです。とくに、債券が多く組み入れられている債券型の投資信託への影響が大きいリスクになります。

債券は市場金利の影響を強く受ける金融商品です。債券の金利は発行時にあらかじめ決まっており、購入後も金利は変動しません。

たとえば市場金利が4%から5%に上昇すると、市場金利より低い金利4%の債券は価値が下がり、債券価格が下がります。逆に市場金利が3%に低下すると、金利4%の債券の価値が上がり、債券価格が上がります。

つまり市場金利の継続的な上昇があると、債券価格も継続的に下がるリスクを考慮しなければなりません。債券型の投資信託の長期保有を考えているときは、購入時に慎重に検討しましょう。

流動性リスク

流動性のリスクとは、所持する金融商品が売りたいときに市場で売れない可能性のことです。

流動性リスクとして考えられるのは、企業の不祥事や業績不振で上場廃止となったり、株式価値の減少によって希望価格で売れなかったりなどが挙げられます。希望するタイミングで売却できないと、運用計画に支障をきたす確率も上がります。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、国を意味するCountryの名のとおり、投資対象国や地域の経済・政治状態の影響で価格が変動する可能性のことです。

国の財政破綻やバブル経済の崩壊は、2022年時点でも珍しい現象ではありません。投資対象国の金融商品の価値が暴落するリスクは、常につきまといます。

また、投資対象国の金融商品取引ルールの改正や新しい規制の創設などがあると、投資家の運用計画の変更を余儀なくされる可能性があります。

投資信託にまつわるその他のリスク

投資信託にまつわるその他のリスクは次のとおりです。

その他のリスク 概要
解約による資金流出に伴うリスク 短期間に解約が集中することで、解約資金捻出のために不利条件での売りが発生し基準価格が変動する可能性
転換社債に関するリスク 株式に転換できる社債が、株価や金利変動の影響を受けて価格が変動する可能性
資産分配リスク 複数資産に投資する際、特定の資産への配分が大きかったことが原因で投資全体の成果が変動する可能性
特定の商品に投資するリスク 上場投資信託証券や中小企業、エマージング市場(新興諸国市場)、金など、特定の商品にまつわる価格変動の可能性

投資信託におけるリスクとリターンの関係

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上記グラフは、金融商品におけるリスクとリターンの一般的な傾向を表したものです(商品や状況によって変動あり)。

原則として投資信託におけるリスクとリターンは比例関係にあります。「ハイリスク・ローリターン」「ローリスク・ハイリターン」など、どちらかが高いまたは低い状態は原則として存在しません。

投資信託における「利回り」について

投資信託のリターンとは、投資信託の運用で得た利益のことです。どれくらいの利益を得られたかの指標の1つに「利回り(トータルリターン)」があります。

利回りとは、投資金額に対する利益の割合です。投資信託の利益には、投資信託の売却による「売却益(キャピタルゲイン)」と、配当や利子などの値上がり値を投資家に分配した「分配金(インカムゲイン)」があります。

1年あたりの利回りの計算式は次のとおりです。

(売却益+分配金)÷運用年数÷投資金額×100

たとえば投資金額100万円・運用年数3年・売却益5万円・分配金10万円と仮定すると、(5万円+10万円)÷3年÷100万円×100で利回りは5%になります。この投資信託の場合だと、100万円投資したら1年間で5万円のリターンが期待できる計算です。

投資信託を選ぶ際は、分配金や分配利回り(投資額に対する分配金の割合)に加えて、トータルでの利益を考慮して検討してください。

金融庁の公式サイトにある「資産運用シミュレーション」を利用すれば、毎月の積立額・想定利回り・積立期間を入力することで、将来的にいくら積み立てられるかの概算ができます。

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(出典:金融庁|資産運用シミュレーション

なお、基準価額からいくら上がったかの指標は「騰落率(とうらくりつ)」で表されます。基準価額1万円で1年後に1万500円になったときは、騰落率は5%です。

投資信託における平均利回り

投資信託の利回りや分配金利回りなど指標は、証券会社が公表するランキングや目論見書などで確認できます。

投資信託全体の平均利回りについては、割り出すのは難しいのが実情です。投資信託の商品の多さや商品ごとの運用成果、投資時期など多数の要因が複雑に絡み合い、算出が困難になるためです。

投資信託運用の指標としては、「ベンチマーク」が使われます。ベンチマークとは、投資信託を始めとする金融商品の運用指標とする基準のことです。株式の割合が多い投資信託の場合、市場や商品の平均値を表すことが多い日経平均株価やTOPIXが、ベンチマークとしてよく採用されています。

ある投資信託の利回りが5%だったとしても、ベンチマークが10%だとその投資信託は運用成果がよいとは言えません。投資信託購入時は、ベンチマークとの比較も見ておきましょう。

安全は間違い?知っておくべき投資信託の注意点

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投資信託は「株式投資や暗号資産(仮想通貨)よりは安全」「専門家が運用するから安心できる」と言われることも多い金融商品です。しかしあくまで金融商品であり、安全面や金銭面などにおいて、危険という意味のリスクも存在します。

以下では事前に知っておくべき投資信託の注意点を見ていきましょう。

元本を割る可能性がある

投資信託には元本保証がありません。損失は自己責任扱いになるため、運用成果やリスクによっては元本を割ったり、ゼロになったりする可能性があります。

ただし投資信託の販売会社、運用会社、信託銀行など投資信託にかかわる機関が破綻した場合は、投資家の信託財産はすべて守られる仕組みになっています。

各種手数料や信託報酬などのコストがかかる

投資信託は財産の運用・管理を任せられる反面、さまざまなコストがかかります。具体的なコストは次のとおりです。

  • 購入時手数料(ノーロード型商品なら無料)
  • 信託報酬(運用管理費用)
  • 監査報酬
  • 売買委託手数料
  • 信託財産留保額 など

発生するコストは、各種商品の目論見書などで確認可能です。

タイムリーな売買ができない

投資信託の購入や換金にあたっては、「ブラインド方式」が採用されています。ブラインド方式とは、銘柄の時価評価が決まって基準価額が確定する前に、その日の取引を締め切る方法です。申し込み段階では、投資信託の価格がわからなくなっています。

もし価格が確定した後に取引ができると、株式投資のように売却益を狙って売買を行う投資家によって、既存の投資家の利益が阻害されてしまいます。ブラインド方式は、受益者間の平等性を保つために設立された制度です。

以上のことから、投資信託は株式投資におけるデイトレードのような、タイムリーな売買が難しい金融商品といえます。

悪質な詐欺の勧誘に巻き込まれる可能性がある

2022年現在、投資信託にまつわる詐欺業者や悪質なインフルエンサーによる被害が増えてきました。金融庁や消費者庁でも、投資詐欺によるトラブルが増加傾向と公表しています。

投資信託に限らず、投資活動を進めていると悪質な勧誘に出くわす可能性が上がります。詐欺師ほど言葉巧みに誘導してくるので、被害を受けないよう注意しましょう。

「風説の流布(株価変動を目的とした虚偽の情報を流すこと)」や「金融商品取引業者による断定的判断の提供」は、金融商品取引法で禁じられています。悪質な勧誘を受けた際は、金融庁金融サービス利用者相談室や最寄りの警察署に相談してください。

初心者が投資信託でリスクを低減させるには?

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リスクが大きい投資信託は、高い運用成果が出る可能性と大きな損失を被る可能性が混在しています。これから投資信託の購入を考えている初心者にとって、リスクのある投資を避けたい人も多いはずです。

ここからは初心者が投資信託における、リスク低減の効果が見られる傾向にある方法を解説します。必ずしもリスク低減を保証する方法ではない点をご留意ください。

長期投資でコツコツと運用する

長期投資とは年単位といった長期間、金融商品を売買せずに保有し続けることです。

投資信託を始めとする金融商品の価格は、短期間のうちに大きく変動する可能性が高いです。しかし長期間保有すればするほど、価格の振れ幅が小さく収束する傾向にあることが、さまざまな調査から判明しています。

また、長期投資は次のメリットを享受できるため、金銭的コストを抑えることが可能です。

分配金や利子を使った再投資で追加の利益を生める「複利効果」が大きくなる
購入・売却時にかかる手数料が短期保有より少なくなり、全体のコストが下がる
一時の価格の上げ下げで心理的に焦り、誤った買増や損切りを行う可能性が低くなる など

分散投資で価値下落のリスクを減らす

分散投資とは、売買のタイミングをずらす「時間分散」、複数の銘柄・商品を購入する「資産・銘柄分散」、各国の商品を購入する「地域分散」などを実施して投資する方法です。

時間分散

時間分散とは、1回の購入タイミングで全額投資するのではなく、購入時間をずらし複数回に渡って投資する方法です。時間分散の方法としてよく挙げられるのが、定期的に一定金額を購入し続ける「ドルコスト平均法」です。

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(出典:金融庁|投資の基本

ドルコスト平均法は、商品価格が低いときは購入数が多くなり、商品価格が高いときは購入数が少なくなります。

資産・銘柄分散

資産・銘柄分散とは、経済状況などに応じて異なる動きを見せる金融商品を、それぞれ分散して購入する方法です。1つの資産や銘柄が大きく値下がりしても、他商品の値上がりでカバーできます。

投資信託はもともと複数銘柄から構成される商品であることから、株式投資よりもリスクが低いとされています。加えて購入する投資信託も分散させると、さらなる資産分散効果が期待できるでしょう。

地域分散

地域分散とは、「米国株と中国株」や「先進国の株と新興諸国の通貨」といった、異なる地域の資産や銘柄などを組み合わせて投資する方法です。

投資信託のなかにも、外国株式・外国債券などを中心に構成する商品があります。外国の金融商品は初心者だと手が出しづらいイメージがあるものの、日本の資産と一緒に購入することでリスク分散につながります。

情報収集能力・分析力をつけて購入銘柄を見極める

長期投資や分散投資を実施しても、運用成果が見込めない投資信託を購入し続けるとリスク低減とはなりません。投資に関する情報収集能力や分析力を身につけて、購入する投資信託を見極められるようにしましょう。

初心者が取り組みやすい勉強方法は次のとおりです。

  • マネー雑誌や入門書などで市場の基本的な動きを学ぶ
  • 株価チャートの動きを読めるようにする
  • 証券会社やIFAなどの専門家にアドバイスをもらう など

正しいリスクを知り安全な投資信託の運用を!

投資信託におけるリスクとは、リスクとリターンの振れ幅のことを意味します。金融商品の価格は予想どおりには動かないため、常にリスクを意識した投資が大切になります。長期投資や分散投資などを駆使し、さまざまなリスクに対応できるようにしておきましょう。

「まだ初心者なので、投資信託ごとにリスクを考えながら買うのが大変」とお悩みの場合は、金融商品運用のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)への相談をおすすめします。独立系という中立の立場から、投資信託に関するさまざまなアドバイスを受けられるでしょう。

企業の教科書
記事の監修者 安藤 正道
きわみアセットマネジメント株式会社 取締役

金融商品仲介業「きわみアセットマネジメント株式会社」取締役。
きわみアセットマネジメント株式会社は特定の金融機関に属さず、お客さまのライフプランに最適なアドバイスができるIFA法人です。お客さまの一生涯のパートナーとなり、寄り添います。ご相談は無料ですのでお気軽にお問合せください。

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