会社設立

【会社設立のキホン】決算書の見方|財務分析の方法をわかりやすく解説!

【会社設立のキホン】決算書の見方|財務分析の方法をわかりやすく解説!

会社設立すると、毎期決算を行って決算書を作成して納税する義務があります。決算書は、単に業績を税務署に報告するだけでなく、株主や取引先に対して会社の取引活動を明確にする目的もあります。

会計設立において、自社の決算書をしっかり分析して会社の経営状態を見直すことが大切です。そこで今回は、会社設立時に知っておきたい、決算の見方・財務分析の方法をご紹介しましょう。

会社設立時に知っておきたい会社決算(法人決算)とは?

会社決算(法人決算)とは、個人事業主でいえば毎年2月15日から3月15日に行われる確定申告に当たります。法人の決算申告は、決算月(事業年度)終了日の翌日から2か月以内に行う必要があります。

法人の決算は、税務署に経営近況を報告して、正しく税金を納付するだけでなく、株主や取引先、銀行などの金融機関への業績を伝える目的もあります。

会社決算(法人決算)の流れ・フロー

【会社設立のキホン】決算書の見方|財務分析の方法をわかりやすく解説!の画像1

法人決算の大体の流れ・フローをみていきましょう。最近は、便利な会計ソフトがあるので、決算作業を開始する前に準備しておくと良いです。決算月(事業年度)までの領収書や請求書、通帳のコピーなどを会計ソフトにデータを打ち込みます。自動で計算してくれる会計ソフトは、打ち込んだ数値を元にして決算書類を作成してくれます。

決算書は10年間の保存義務があるので、提出する前にコピーを取り、保存しましょう。

キャッシュフロー計算書とは?

決算書の一つにキャッシュフロー計算書がありますが、どんな書類なのでしょうか?キャッシュフロー計算書は、キャッシュ(現金)の収入と支出を表す決算書です。企業が現金を何に使ったか、何に投資したか明確にするのが目的です。

会社の事業活動は、掛取引や固定資産の減価償却などがあり、損益と資金の動きは必ずしも一致する訳ではないからです。金融商品取引法が適用される上場企業の場合は、キャッシュフロー計算書を作成する義務があります。

キャッシュフロー計算書は以下の3つの分野に分けられています。

▼キャッシュフロー計算書
(1)営業キャッシュフロー/営業活動
(2)投資キャッシュフロー/投資活動
(3)財務キャッシュフロー/財務活動

それぞれの意味と見方を見ていきましょう。

(1)営業キャッシュフローは、商品・サービスの仕入代金、利益、人件費などの現金(キャッシュ)の収入と支出を記載します。

営業キャッシュフローの見方は、プラスになっていれば企業として業績が良い意味になり、マイナスの場合は負債があることがわかります。

(2)投資キャッシュフローは、企業が投資した設備投資、固定資産の取得や売却、有価証券の取得・売却といった投資活動による現金の流れを記載します。

投資キャッシュフローの見方は、プラスは軌道に乗っていること、マイナスはまだ投資の結果が出ていないことが分かります。

(3)財務活動によるキャッシュフローは、会社が借り入れた資金、社債の発行や増資など、資金が何に調達または返済されたかを記載します。

財務キャッシュフローがプラスは資金の借入や社債の発行、マイナスは借入金の返済や配当金の支払いをしたことが分かります。

決算で作成する書類は?

法人決算に必要な書類は多くあり、制作に時間がかかるため、税理士などの専門家に依頼するとスムーズに進みます。ここでは、決算でよく使われる用語を解説いたします。

(1)総勘定元帳…全ての取引を勘定科目ごとに記録した書類
(2)領収書綴り…領収書を一つにしたもの
(3)決算報告書…貸借対照表・損益計算書・勘定科目内訳説明書・個別注記表の総称
(4)法人税申告書…決算申告書を添付したもの
(5)消費税申告書…消費税の申告をする際に必要な書類
(6)法人事情概況説明書…事業内容、従業員数などを記載した書類
(7)地方税申告書…法人住民税、法人事業税の申告をする際に必要な書類
(8)税務代理権限証書…決算業務を税理士に委託した場合に必要な書類

要注意!決算申告は期限あり

決算申告は決算月(事業年度)ごとに決算をまとめて、決算日から2ヶ月以内に申告と納税を行う必要があります。

例えば、決算日が4月30日の場合、申告期限は6月30日となります。決算書類の作成する前の準備段階は、領収書、請求書等の帳簿の整理をします。会計ソフトを使い、会計情報を入力して決算書類を作成します。書類は10年間の保存の義務があるので、決算書類を申告して納税する前にすべてコピーをとっておきます。

決算申告が期限までに間に合わない場合はどうなる?

決算申告の申告期限は事業年度の終了日にあたる決算日から2ヶ月以内です。決算申告する目的は、税務署に適切に納付するだけでなく、株主や取引先へ1年間の業績をまとめて報告する意味もあります。

もし、決算申告が期限までに間に合わない場合はどうなるのでしょうか?

正当な理由なく申告期限を1日でも過ぎてしまうと、延滞税や加算税など附帯税のペナルティが課されます。決算申告が間に合わなかった年の青色申告は無効となることがあります。青色申告は、赤字の繰越控除や、減価償却の特例といった節税に役立つものです。

2期連続で期限が過ぎてしまうと青色申告の承認は取り消されることがあるので注意が必要です。

決算公告の義務と罰則規定

会社法により、会社設立をすると決算公告の義務が定められています。ただし、株式会社は決算公告を行う必要がありますが、合同会社は不要です。

株式会社は定時株主総会にて承認されたら、貸借対照表などをホームページなどに最低でも5年間は公開します。もし、公開しなかったり、不正をしたりした場合は罰則があり100万円以下の過料が科されます。不正広告により第三者に損害を与えた場合は損害賠償責任を問われるので注意しましょう。

決算公告の3つの公開方法

会社法により決算公告は3種類の方法が認められています。会社設立の際に3種類の公告方法の中から適切なものを定款に定めると良いです。

(1)官報公告
官報公告とは、官報に掲載して公告とすることです。官報は独立行政法人である国立印刷局が編集・発行している国の機関紙に当たります。掲載するスペースにより掲載料がかかり、2枠あたり約6万円です。

(2)新聞公告
新聞公告は、新聞に掲載する広告であり、日刊の新聞(全国紙、地方紙どちらでも可)に掲載されます。先程の官報公告よりも掲載料は高めです。

(3)電子公告
電子公告はインターネット上(自社のホームページまたはインターネット公告サービスなど)に掲載する広告です。掲載料の相場は約3万円とリーズナブルですが、電子公告は5年以上の掲載が必要になります。

決算書の見方・財務分析の方法

決算書を見れば、会社の収益力や財政状態などが丸わかりです。しかし、多くの数値が記載されているので、簡単には決算書を理解することはできません。会社の問題点や改善する課題を読み解くためには財務分析指標を使って決算書を分析しましょう。

まずは、決算書を構成する貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の意味や目的を理解しましょう。

財務分析とは、貸借対照表や損益計算書から会社の収益性を確認したり、業界標準値から同業他社と比較分析したりすることです。損益計算書の売上高と利益、貸借対照表の総資本等と比較すると収益性を分析できます。

貸借対照表の資産、負債、資本からは支払能力や倒産危険度などの経営の安定性を分析することができます。

赤字決算を出した時の対策法

赤字決算になったときはどう対処すれば良いでしょうか?翌期以降黒字になると予想できるなら赤字にして欠損金を出しておけば、税務調査の確率が下がります。銀行からの借り入れは、本来融資は返済の見込める企業に貸すため、赤字決算企業への融資は厳しくなります。

赤字決算は1年限りと捉えて、赤字の原因を追求することが大切です。

まとめ

今回は、会社設立時に知っておきたい、決算の見方・財務分析の方法をご紹介しました。

自社の決算書には期限があること、期限が過ぎたら罰則があることもおさえておきましょう。決算書を通して、社内でもしっかり分析して会社の経営状態を見直すことが大切です。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

タイトルとURLをコピーしました