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起業で借金するメリット・デメリットとは?|借金は悪くない?

起業で借金するメリット・デメリットとは?|借金は悪くない?

起業してビジネスを展開するにあたり、必要不可欠な運転資金をいかに確保するかが重要です。しかし借金をして資金調達をすべきか、無借金にこだわるべきか、という二択で悩む方も多いのではないでしょうか?今回は、起業で借金をするメリット・デメリット、起業で失敗しないための心構え、適切な資金調達方法について解説します。

起業時に借金をするメリット・デメリット

借金は悪いイメージがありますが、起業する上では事業を成長させて利益を増やすことができます。借金をして起業することで、次のようなメリットを得ることができます。

起業で借金をするメリットとは?

業種を問わず、起業する際は運転資金が必要になります。自分で貯金したお金を資金として起業するのも1つの方法ですが、借金をして資金調達することも有効です。借金をして起業することによって、次のメリット・デメリットがあります。

起業で借金するメリット①事業を成長させて利益が増やせる

借金で資産を増やすことで、機械の購入や設備投資、新たな広告を打ち出すといった対策が行えるようになり、事業が成長して利益を増やすことに繋がるからです。 たとえば、自己資産(資本金)100万円で営業利益率20%の条件で起業し、100万円の売上があった場合、残るお金は100万円×20%の20万円です。

一方、資本金100万円で150万円を年利4%で借入して起業し、150万円の売上を得た場合、次のように残るお金を増やすことができます。

  • 営業利益…150万円×20%=30万円
  • 支払い利息…150万円×4%=6万円
  • 残るお金…30-6=24万円
借金を元手に事業をすることで、結果的に利益を増やすことができるのです。つまり、事業資金を資産から出す必要がないので、手元に現金を残せるのもメリットの1つといえます。

起業で借金するメリット②銀行からの信頼が得られる

銀行から借入をして返済した実績があると、銀行側にとって信頼できる相手と見なされます。その信頼があると他の銀行でも融資が受けやすくなり、新たな資金調達先を獲得することも可能です。

起業で借金するメリット③現預金残高を確保できる

現預金残高(手持ちの現金)が高いと、倒産するリスクを減らすことができます。また、銀行側は返済目途が立たなくなるリスクを避けたいので、借金が残っていたとしても、現預金残高が高い方に融資をするのが一般的です。借金は増えても結果的に現金を増やせるので、さらなる事業拡大で利益を生むことができます。

このように「借金=悪」ではなく、起業する上でいえばメリットが大きいのが特徴です。無借金では事業拡大に数年はかかるところを、借金をすると早いスピードで成長することができます。

起業で借金をするデメリットとは?

起業するときに借金をするメリットがある一方、デメリットになることも当然あります。利益を増やすことだけに注目せず、以下のデメリットも把握して借入することが重要です。

起業で借金するデメリット①売上不振でも利息を支払う必要がある

借金をしても利益が出ていれば問題ありませんが、不景気で売上不振になったとしも、利益から利息を支払い続けなければなりません。加えて、利益の約40%は法人税が課されるため、それを差し引いた利益から返済する必要があります。

起業で借金するデメリット②無駄な出費が増える

借金をすると一気に残高が増えることで、お金を簡単に使ってしまうケースがあります。これまでの資金繰りが苦しいほどこの傾向が高く、あれこれとお金を使いって結果的に無駄な出費が増えてしまうのです。

このように、借金をするからには返済することが基本です。利益が減っても返済は続くので、先を見越した返済計画が必要になります。

起業で無闇に借金をしないための心構え

起業で借金するメリット・デメリットとは?|借金は悪くない?の画像1

起業してみたいという希望はあっても、失敗するかもしれないという不安で踏み留まる方も多いでしょう。しかし、起業は綿密な計画を立てても失敗したり、思い付きで起業して成功したりするケースもあります。失敗するケースはパターンが決まっており、それを回避すれば成功に近付くでしょう。

起業で無闇に借金をしないためには?

事業が失敗するかどうかは、次に挙げる心構えがあるかによって左右されます。特に、脱サラをして起業する方は、次のポイントを把握しておくのがおすすめです。

起業で無闇に借金をしない方法会社を辞めない

会社を辞めずに安定収入が確保できる状態で、いわゆる「日曜起業(副業)」からスタートすることをおすすめします。 会社を辞めてから独立起業を目指す方も多いですが、すぐに軌道に乗せることはかなり難しいものです。会社を辞めて事業一本に絞っても安定した収入が得られない不安から、無理な解決策を取ろうとして失敗することが珍しくありません。

起業で無闇に借金をしない方②固定費はなるべく安く

起業当初はパソコンなどの必要最小限の設備にお金を使い、事務所の賃料などの固定費は安くすることが重要です。

起業すると高額なお金を扱うようになると、本当に必要なものではないものにお金を使うケースがよく見受けられます。大きな事務所を構えたり、従業員を雇ったりすることは、継続的な固定費となって経営を圧迫しかねません。

起業で無闇に借金をしない方法③スモールビジネスから始める

初めて起業する場合、失敗することを前提に考えて、小規模のビジネスから始めることが重要です。まずは売上を増やすよりも、少額でも黒字経営を目指すことが結果的に軌道に乗せる近道になります。つまり、小さく初めて徐々に事業を拡大し、利益を増やすのが最善の対策です。

失敗しない起業は、利益が出るまで会社を辞めない、無駄にお金を使わない、小さく始める、という3つのポイントが重要です。当たり前のことといえますが、起業すると犯しやすいミスなので注意しましょう。

失敗リスクが低い起業を選んで無闇な借金を減らす

失敗しない心構えを持つと共に、失敗するリスクが少ない起業方法を選ぶのも有効です。失敗リスクが低いといえる方法は、以下のものが挙げられます。

無店舗経営

無店舗経営とは、ネットショップや自宅の一部で起業することです。特に、ネットビジネスは元手がほとんどかからないため、初めての起業に最適でしょう。 実店舗を構えると賃料の固定費が発生しますが、無店舗であれば費用を最小限に留めることができます。

在庫を抱えない業種

物を仕入れて売る小売業は、在庫を抱えるリスクが伴います。そのため、クリーニング店や探偵業、結婚相談所などの技術やサービスで対価を得るビジネスを選ぶと、在庫による失敗を防ぐことが可能です。

フランチャイズ

フランチャイズは数百万の資金が必要というイメージがありますが、現在では100万円前後で開業できるフランチャイズも数多くあります。たとえば、物産展の出店や、家事代行、リペア(修理)、訪問介護など、幅広い業種があるのが特徴です。店舗を持たずに訪問する業種にすると、費用をより抑えて起業できます。

このように、少額からスタートできる業種はさまざまあります。理想は高く持つことも大切ですが、現実をしっかりと見据えたビジネスを行いましょう。

起業する前に知っておくべき資金調達の方法

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借金をして起業するかどうかは別にして、資金調達の方法を知っておくと万が一の事態が起きても安心でしょう。代表的な資金調達の方法は、以下のものがあります。

資金調達方法

友人知人からお金を借りる方も少なくありませんが、後々でトラブルになる可能性があるので避けた方が無難でしょう。そのため、起業する際の借入は、公的な方法を利用することをおすすめします。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、国が100%出資している金融機関であり、起業家に対する手厚い支援を行っているのが特徴です。特におすすめなのは「新創業融資制度」で、無保証・無担保で3,000万円まで借入できます。創業時の方が融資条件の優遇があるので、なるべく早く申請すると良いでしょう。

信用保証協会の制度融資

信用保証協会法に基づいている公的機関で、日本政策公庫の新創業融資制度よりも低金利で借入できる「制度融資」があります。

ただし、信用保証協会は各都道府県に置かれており、自治体によって制度が異なることがあります。金融機関と保証協会の2つの承認が必要で、融資実行までに時間がかかるのもデメリットといえます。

国や自治体の助成金や補助金

国や地方自治体が行っている起業者向けの助成金や補助金は、借入とは異なるため基本的に返済が不要というメリットがあります。助成金は支給額が少ないものの、受給条件がゆるいのでスモールビジネスの開業に適しているでしょう。

ただし、国や地方自治体で内容が異なる上に、告知が公式ホームページだけで見つけにくいという注意点があります。

起業する前に公的な資金調達方法を知っておくと、銀行に借りるよりお得に資金調達が可能です。これらの制度は大々的な告知がないため、自分でしっかりと調べるようにしましょう。

まとめ

起業する上で借金は必ずしも悪いものではなく、事業の成長を促すために有効です。借金にもデメリットがあるので、それらを把握した上で借入しましょう。また、起業をしてもすぐに成功するのは稀であり、失敗することを念頭に置いて起業することが大切です。初めから多額の資金を使わず、小さいビジネスから大きくするのが初心者にとって得策といえます。まずは公的な制度による借入も視野に入れつつ、資金を上手に利用して事業を拡大しましょう。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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