会社設立

【2021年】合同会社のメリット・デメリットを徹底紹介

【2021年】合同会社のメリット・デメリットを徹底紹介

合同会社について、聞いたことはあるけれど詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。

合同会社は、個人事業主(フリーランス)の方など、個人でお仕事をされている人たちにとってかなり役立つものなのです。

そこで今回は、合同会社がどういったものなのか、合同会社をつくるメリット・デメリットについて詳しくご紹介していきたいと思います。

気になる節税効果についてや、設立後のトラブル回避方法などにも触れてご説明したいと思いますので、ぜひチェックしてみてください。

合同会社とは?

合同会社とは、株式会社のような会社形態で、「ひとりまたは複数の人たちがそれぞれお金を出資し、出資した額だけ責任を負う会社」のことです。日本では比較的新しい会社の形態ではありますが、昨今では国内で設立される会社のうち、約4分の1が合同会社であるといわれています。なお、国内で設立ができる会社の形態は以下4つあります。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合資会社
  • 合名会社

合同会社は「経営者=出資者」という関係で成り立ちます。これは、出資者すべての人に会社に関する決定権があるということです。もちろん、決定権を得るということは責任もでてきます。合同会社の場合、法的責任として出資者は出資額以上の責任は発生しません。

株式会社の場合、出資金額に応じて株式を得ることができ、各株主に利益が還元されます。ですが、合同会社の場合は、株式の制度が適応されないために利益を自由に分配し、出資した割合に関係なく利益を分けることができます。

合同会社の5つのメリット

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前述で合同会社に関するメリットをひとつあげましたが、合同会社には他にもさまざまなメリットがあります。

以下では、気になる設立にかかる費用や、手間について詳しく説明していきます。

登録免許税が安い

登録免許税とは、会社の登記を行う際に国に納める税金のことです。会社を設立する際には登録免許税を支払わなければなりません。このとき、株式会社と合同会社では、納める税額に大きく差があります。

  • 株式会社・・・約15万円
  • 合同会社・・・約6万円

合同会社にかかる登録免許税は、株式会社と比べ、約1/3の金額の納税で済むため、初期コストをおさえて会社を設立することができます。

さまざまなコストが発生する創業時に、この価格差は大きなメリットだと言えるでしょう。

初期費用が安い

会社を設立する際には、定款(ていかん)と呼ばれるすべての発起人の同意を得て定めた、企業の根本原則を記載したものを公証役場に提出しなければなりません。

これは株式会社も合同会社も相違ありません。ですが、合同会社の場合は公証人の認証が不要となります。つまり、合同会社を設立する場合は、株式会社設立時には公証人に対して支払わなければならない52,000円のコストカットできるということです。

株式会社 合同会社
定款認証印紙代 40,000円 40,000円
定款認証手数料 52,000円 0円
登録免許税 150,000円 60,000円
合計 242,000円 100,000円

 

また、前述した通り、株式会社と比べ登録免許税も安く済むため、設立費用の合計額で考えると約100,000円以上の差がでてきます。

合同会社の場合、株式会社とは違い会社設立を専門家に依頼すると、0円で設立することも可能なため、初期費用を抑えていきたい場合には税理士などの専門家へ相談することもおすすめします。

 

決算の公告義務がない

会社を設立すると決算の際に株主や債権者など、会社と利害関係にある関係者に重要事項を知らせる公告義務が発生します。主に以下の項目で公告を行わなければなりません。

  • 解散
  • 株券提供公告
  • 資本金額の減少
  • 吸収合併や分割吸収など
  • 組織変更

こちらの公告義務については、株式による利害関係をもつ株式会社が対象となっており、合同会社については、決算の公告義務がありません。

通常、公告を行う際には、官報や新聞、インターネットを通して公告を行う必要があります。これらの利用には掲載費用が必要となるため、公告を行わなくてよい合同会社は出費を抑えるのに便利な会社設立方法だと言えるでしょう。

有限責任である

会社設立の際に覚えておくべき項目のひとつに責任範囲があり、責任範囲には以下の2種類が存在します。

  • 無限責任・・・会社でトラブルによる損害が発生した場合に、出資者が自分の出資額に関わらず負債総額すべてに責任がある
  • 有限責任・・・トラブルによる損害が発生しても自分の出資額内で責任を負う

合同会社の場合、責任範囲は株式会社と同様に「有限責任」に該当します。

自由度の高い経営ができる

合同会社は自由度の高い経営ができることもメリットの一つです。株式会社では、出資額に比例した利益配分となりますが、合同会社の場合、出資した額の大小とは関係なく、利益配分が可能です。そのため、貢献度の高い社員に対して、利益配分の比率を高く設定し、配当することが可能になります。

また、株式会社では制約の多い、定款による組織設計も合同会社であれば、公証人の認証が不要なため、手間も少なく、自由に規定することができます。

その他にも、株式会社では、重要事項を取り決める際には株主総会を開催しなければなりませんが、合同会社では出資者(社員)と経営者は同一であるため、株主総会は開催する必要がありません。スピード感が重要となる会社経営において、迅速な意思決定が可能となる合同会社は株式会社に比べ自由度が高いといえるでしょう。

合同会社の4つのデメリット

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合同会社はメリットも多いですが、もちろんデメリットも存在します。

デメリットにもしっかりと目をとおして、あなたが会社を設立する障壁になってしまわないかチェックしてみてください。

上場できない

東証一部上場、上場企業などの言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。また、会社を設立しいつかは会社の規模を大きく=上場したいと考えている方も多いと思います。

「上場」とは、東京証券取引所などで証券売買を自由に行えるようになることをさし、上場するためには、いくつかの条件があります。

合同会社が上場できない理由のひとつとして、株式の流通があげられます。

合同会社の場合、株式という概念がないため、上場をするための条件を満たすことができず、上場することができません。

そのため、上場を視野に入れたうえで会社を経営していきたい場合には、株式会社を設立する必要があります。ですが、合同会社で設立してしまったからといって必ずしも上場が不可能というわけではありません。合同会社から株式会社へ組織変更をすることもできますので、初期費用を抑えたい場合には合同会社で設立して、その後軌道にのって資金に余裕が生まれた際に株式会社に変更するという手もあります。

どの組織形態を選ぶにしても、形態変更の際や、上場を目指す場合には専門家の助力が必要不可欠であるため、途中から専門家を入れるよりも設立時から依頼し、会社のことをよく知ってくれている専門家とともに会社の拡大を目指していくことをおすすめします。

合同会社の認知度が低い

合同会社とは、2006年に施行された新会社法という法律から生まれた会社設立方法であり、15年と歴史の短い会社形態となっています。

「政府統計の統計窓口」によると、2020年の会社総数が1,253,975件に対し、合同会社は87,409件と約7%程度であり、まだまだ数は少なく認知度も低めです。
(引用:登記統計 商業・法人リンク

そのため、株式会社に比べると少しだけ取引先や金融機関からの信用力は劣ります。

ですが、アメリカでは合同会社はメジャーな会社形態であり、昨今ではGoogle、Apple、Amazonの日本法人が株式会社から「合同会社」に移行しました。年々合同会社への注目は高まっており、設立数も増え続けています。

近い将来、株式会社と同等の信頼のある会社形態となっていくでしょう。

資金調達の方法が限られる

合同会社の場合、株式会社とは違って株式が存在しないため、株式を発行し出資者に購入してもらうことによって資金を調達するということができません。

また、投資を得る方法としてベンチャーキャピタルなどの方法も存在しますが、ベンチャーキャピタルは株式上場や値上がりをした際の利益を狙ったファンドですので、株式上場をすることができない合同会社は対象外となります。

では、合同会社の場合はどのように資金調達すればいいのでしょうか?

合同会社の場合には、融資やクラウドファンディングの他、ファクタリングなどの方法によって資金調達が可能です。

調達できる金額と調達したい金額の兼ね合いを考えたうえで、設立する会社の形態を選択しましょう。悩んだ際には資金調達のプロである税理士などにご相談することをおすすめします。

人間関係に軋轢が生じやすい

合同会社は、「人に重きをおく組織形態」です。出資額に関係なく、1人1票の議決権をもつことができます。一見、とても理想的な組織形態のように思えますが、意見の対立が起こった場合に、経営や業務に多大なる影響を及ぼす可能性もあります。

また、利益配分を自由に決められることが合同会社のメリットでもありますが、自由に決められるが故に、社員同士の対立を招く可能性もあります。利益配分によって人間関係がこじれないようにするためにも、あらかじめ定款には「出資額に応じた利益配分」等の記載をしておくことをおすすめします。

まとめ

本記事では合同会社を設立するメリットとデメリットをあげてきましたが、合同会社がそうであるように株式会社にもメリット、デメリットが存在します。

両方の特徴をしっかりと理解したうえで、自身が目指す会社の形にあった企業形態を選ぶようにしましょう。

自身にあう企業形態や資金調達の仕方などで迷ったときには、税理士などの専門家に相談することもおすすめします。創業時に良い専門家に出会うことができるかどうかは、その後の経営にも大きな影響を及ぼしますので、なるべく多くの専門家とお話ししご自身にあった専門家を選ぶようにしましょう。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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