会社設立

定款の事業目的を作成するポイントをわかりやすく解説!|定款の事例も紹介!

定款の事業目的を作成するポイントをわかりやすく解説!|定款の事例も紹介!

定款を作るときに頭を悩ませるのが事業目的の項目です。会社設立をする訳なので、どんな事業をしたいかはすでに決まっていることと思います。しかし、したい事業をどのように具体的に表現したら良いのか分からないことがあります。どんな風に文字にして表現出来るのか、サンプルになる例などをピックアップしてみました。

事業目的を書くときに気をつけるべき注意事項や、後から内容を変更することが出来るのかどうかなども調べてみましたよ。

定款の事業目的はなぜ必要なのか?

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どうして事業目的を定款に書く必要があるのでしょうか。事業目的が書かれることによって、設立された会社が第三者に対して何をする会社なのかが明確になるからです。

新たに設立される会社が商業なのか工業なのか、それとも不動産業を営むのかが明確になるのです。定款に書かれた内容というのは法人登記簿謄本に登録されます。

誰かが会社の実在性を確認したいときや、会社の事業内容を調べたいときに参照されます。

事業目的がはっきりしていない会社は、なんだか怪しい会社と思われて敬遠されてしまいます。反対にきちんと事業目的が書かれていると、会社の実態が把握しやすくなり信用されるのです。

定款の事業目的を考えるときのポイント

事業目的を考えるときには、いくつかのポイントを覚えておかなければなりません。

それぞれのポイントについて説明します。

定款の事業目的を考えるポイント①法律違反は承認されない

当然のことながら事業内容は法律の規制範囲内でなければ承認されません。泥棒やドラッグの密輸などの事業目的は法律違反となるのでダメです。公序良俗に明らかに反する事業も不適合となるので覚えておきましょう。

さらに資格が必要な事業であるにもかかわらず、資格を有していない場合も認められません。例えば、歯科治療という事業をするには歯医者の資格を持っていないと法律を遵守していないことになります。

弁護士資格を持っていないのに、弁護士業務をするというのもこれに当てはまります。

専門士業しか出来ない業務を、株式会社の事業目的にすることは出来ません。

定款の事業目的を考えるポイント②営利目的でないと承認されない

事業は営利目的でなければ成りません。つまりお金を稼ぐことが目的の事業でなければならないのです。社会福祉のための出資や、永勤退職従業員のためのサポートなどは事業目的としては認められません。あくまでも株式会社は営利目的で設立される必要があります。

どうしても社会福祉やボランティアなどをメインの事業にしたいなら、株式会社ではなくNPO法人、つまり特定非営利活動法人を立ち上げた方が良いでしょう。

定款の事業目的を作る際の注意事項とは?

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事業目的を作る際にどんな注意事項があるでしょうか。

定款の事業目的で気を付けること①事業の数

事業の数を多く書きすぎてしまうなら、一体何をしたい会社なのか分からなくなってしまいます。方向性が定まっていない会社だと見なされ、信用されなくなる可能性があります。

もちろんすぐにスタートさせたい事業だけではなく、将来的に取り組みたい事業を書いておくことは問題にはなりません。

しかし、あまりに事業の数が多すぎると、計画性のない会社と判断されることがあるので注意してください。上限の数は定められてはいませんが、多くても5個くらいにしておくことをおすすめします。

定款の事業目的で気を付けること②使用する文字

事業目的を書くときに使う文字にも気をつけてください。基本的に日本語しか使うことが出来ません。アルファベットなどの日本語以外の文字は使えないことを覚えておきましょう。

Tシャツ販売事業と書きたくなるかもしれませんが、日本語で書くようにしてください。

衣料品販売と書くことが出来るかもしれません。

Webサイト制作と書きたいときには、インターネットサイト制作と言い換えられます。辞書を活用したり法務局の担当者に聞いたりして、日本語でどのように表現できるかを考えてください。

定款の事業目的で気を付けること③受けたい融資

政府や自治体の融資を受けたいと思っているときには、どのように事業目的を書くか注意する必要があります。

日本政策金融公庫などから操業融資を受けようと計画しているなら、農林や漁業関係の事業目的にすると融資審査を通過できないことがあります。検討している融資の対象事業と対象外の事業を最初に把握してから、事業目的を書くようにすると良いです。

定款の事業目的に許認可が必要かどうかを確認しよう

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事業目的を考えるときに、許認可や届け出が必要かどうかを確認してください。特定の事業には役所の許認可が必要となります。建設や不動産、介護事業などは色々な許認可が必要となってきます。会社設立の前に必要な許認可を得られているかどうかを確認してください。

または、許認可が必要ではない事業になっているかをチェックしましょう。

特に、許認可が必要な事業は事業目的の記載フォーマットが決まっていることがあります。

前もって専門家に尋ねるようにすると間違いが無いです。

例えば、飲食店を経営したい場合には、どのような許認可がないといけないのでしょうか。

  • 食品営業許可
  • 食品衛生責任者

保健所へ食品営業許可の書類を提出していなければなりませんし、店舗に食品衛生責任者が1人いる必要もあります。深夜にアルコールを販売したいときには、深夜における酒類提供飲食店営業届出を最寄りの警察署に出さなくてはなりません。

また、マッサージ店を営みたいときには、いくつかの許認可や届け出が必要となります。

  • あん摩マッサージ指圧師の資格
  • 施術所開設届出

まずはあん摩マッサージ指圧師の国家資格が無ければなりません。鍼灸をする事業なら、はり師やきゅう師の国家資格が必要です。

ただしカイロプラクティックや足裏マッサージ、エステマッサージなどは国家資格の届け出が必要ないことがあります。マッサージ店をしたいなら保健所に施術所開設届出を出しておくことも必要です。

注意したい別の事業として、ペットショップや派遣業があります。ペットショップをしたいなら、動物取扱業の登録を各自治体の都道府県動物愛護センターでしていなければなりません。動物取扱業の登録は、保健所ですることも可能です。ペットショップの店舗に、動物取扱責任者を任命しておくことも忘れないでください。

派遣業を経営するケースでは、自分の会社が一般労働者派遣事業となるのか特定労働者派遣事業となるのかをまず調べます。一般労働者派遣事業なら許可が必要ですし、特定労働者派遣事業なら届出が必要となります。

このように事業目的によって、どのような許認可を取得しておかなければいけないかが変わってきます。

定款の事業目的の実際の例を見てみよう

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実際の事業目的の例を見てみましょう。例えば、経営コンサルタントを行う会社の事業目的例は下記のようなものです。

  • 経営コンサルタント業
  • 環境改善に関するコンサルティング業務
  • 医療機関・介護施設等の経営コンサルティング業務

保険の代理店として事業目的を書くときには、このように書くことが出来ます。

  • 損害保険代理業
  • 自動車損害賠償保障法に基づく保険代理業

自動車を直したり販売したりする会社の事業目的はどうしたら良いでしょうか。

  • 自動車整備事業
  • 新車、中古車販売業
  • 中古自動車の解体及び部品の販売

旅行や観光関係の営業をしていきたい会社の事業目的は、下記のようにかけるかもしれません。

  • 国内、海外旅行を対象とした旅行企画、旅行手配などの旅行業法に基づく旅行業者代理業
  • 観光情報の提供及びツアーの企画・運営
  • 旅行業法に基づく旅行業及び旅行業者代理業

自分がしたい業種の事業目的の書き方例は、インターネットで検索するとたくさん出てきます。すでに登記されている事業目的から選んだ方が承認されやすいので、過去の例を参考にしてください。

事業目的を書いた後に、前各号に附帯する一切の業務、という表現を含めるようにしましょう。この表現を入れておくと事業目的の範囲が広がり、将来的に会社が事業内容を調整したとしても定款を変更しなくても良くなります。

定款の事業目的はいつ参照されるのか

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定款の事業目的はどのようなときに参照されるのか確認しておきましょう。銀行や信用金庫に融資を依頼し、金融機関が審査をするときに定款を確認します。

その際に事業目的の部分を見て、実際に営んでいる事業と違いが無いかを審査します。もし定款の内容と実際の事業内容が違うと、信頼できない会社だと判断されてしまいます。

国や地方自治体に補助金や助成金を申請するときにも定款の事業目的が重要になってきます。補助金や助成金は特定の事業向けのものがあります。対象の事業をしている会社かどうか調べるためにチェックされます。

どこかの企業と提携したり、別の会社から出資を受けたりする際にも定款の事業目的が利用されます。相手企業はこちらが信用できるかどうか定款を調べます。何をする会社で、どのような方向性を持っているのかを定款の事業目的から読み取ろうとするのです。

まとめ

会社の運営において重要な局面で定款の事業目的は利用されていきます。ですから、事業目的を書くときには念入りな準備を行っていきましょう。

定款の事業目的は自分の会社を信用してもらうために欠かせない項目です。融資を受けるときや補助金を申請するとき、他の企業と提携する場面などに定款の事業目的がチェックされます。

事業目的が曖昧だと信用されない会社と判断されますし、事業目的が明確でそれに沿って会社を運営しているなら信頼できると判断されます。作成するときには法律違反の事業ではないか、必要な許認可を得ているかなどを確認してください。

あまりにたくさんの事業内容を書いてしまうと、何をしたい会社か不明確になってしまいます。書く際には、日本語だけを使って書くようにも気をつけましょう。誰が見ても会社の実態が分かるような事業目的を書いてくださいね。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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