税金・税務

損益分岐点の計算方法を解説!利益を最大化する損益分岐点の設定方法とは?

損益分岐点の計算方法を解説!利益を最大化する損益分岐点の設定方法とは?

損益分岐点は、売上高から費用のすべてを引いたときに、利益がゼロになるところです。企業にとって、年間を通じて活動を続けて利益がゼロでは、経営者にとっても従業員にとってもうれしい結果とはいえません。そこで、前もって損益分岐点を計算し、利益目標を立て、売上高も具体的な数値を導きだすことが重要です。

損益計算書の勘定科目の見方もふくめ、管理会計の基本ともいえる損益分岐点やよく似ている限界利益についても説明します。

損益分岐点の基本をわかりやすく解説!

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損益分岐点は、シンプルにいえば売上から費用(固定費+変動費)を引いたときに利益がゼロになる点です。

損益分岐点:売上-費用=利益=0

損益分岐点の計算がなぜ企業にとってなぜ必要なのかについて詳しくみていきます。

損益分岐点のあり方

損益分岐点は、赤字転落を避けるためにも、最低限これだけ売上が必要だという意識を持ち、企業が存続していく可能性を探る指標にもなります。計算は簡単ですが、未来に向けてとなると単純ではありません。

企業が新しい期を迎えるとき、予算作成をおこないます。損益分岐点を計算するのは、過ぎてしまった決算の結果を分析するよりも、企業の持続可能な未来を描くために、利益を最大にするよう目標値を設定するために重要なのです。

費用はふたつに分類できる

損益分岐点を知るために、大切なのは費用の性格を知ることです。費用はその性格によって固定費と変動費のふたつに分けられます。

固定費とは

固定費は売上高の増減に関わらず、一定の金額が発生します。

  • 事業所や工場の地代家賃
  • 人件費
  • 保険料
  • 借入金の支払利息
  • 減価償却費
  • 広告宣伝費
  • リース料

企業が事業を継続している限り、製造や販売をストップしても支払わなければならないため、大きな負担がかかります。

変動費とは

売上高の増減によって、金額が増えたり減ったりする費用が変動費です。

  • 原材料費や仕入原価
  • 加工費
  • 外注費
  • 販売手数料
  • 運送料

工場などの人件費も固定費となっているのは、工場の操業を何らかの原因で停止したとしても、給与は支払うからです。繫忙期などに一時的に雇い入れた人の人件費は変動費になる場合もあります。よくかかった費用の性格を分析することで、それぞれの企業の実態にあった分類をおこないます。

損益分岐点を計算し目標売上高を設定する

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損益分岐点は、売上高から費用を引いた値がゼロになるところです。赤字にならないためには、損益分岐点を上回る売上高が必要ということになります。

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損益分岐点の計算方法

損益分岐点は売上高が増加するグラフで、「売上高」の線と「固定費+変動費」の線が交わる点です。つまり売上高から変動費だけを引いた利益で固定費をきっちりまかなえる点になります。

たとえば固定費が100万円かかっていると仮定します。ひとつ1600円の商品を600円で仕入れて、販売に関する諸経費が200円かかっていた場合、商品ひとつ売るごとに800円の利益があります。

固定費をまかなうためには、1250個の商品を売ればいいわけです。損益分岐点の販売数量はこれで計算できますが、1種類の商品だけを売っている企業はないため、現実的ではありません。そこで、損益分岐点売上高を計算します。

損益分岐点目標を達成するには、売り上げを上げるか、コストを削減するかの2択が基本です。コスト削減の方法について詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。

損益分岐点売上高

売上高から変動費を引いた値(=利益)の売上高に対する割合で、固定費を割って計算された数値が損益分岐点売上高です。以下の式で計算します。

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先の例でいけば、800円の利益は売上高1600円に対して0.5の割合になります。100万円の固定費を0.5で割って求められた200万円が損益分岐点売上高です。200万円は最低達成しなければいけない売上高で、あとは利益を残すために売上高の目標を立てます。

粗利益と限界利益の違い

売上から仕入を引いた値が粗利益ですが、損益分岐点の計算に粗利益率を使うと損益分岐点売上高は実際よりも少ない額になります。たとえば、1600円の商品を600円で仕入れているので、粗利益率は0.625になり、100万円を0.625で割ると160万円にしかなりません。

製造や販売にかかる変動費のうち仕入以外の費用を加えなければ実態が捉えられないのです。損益分岐点売上高を計算するための利益を「限界利益」といい、変動費すべてを引いて求める点が粗利益とは異なりますので、注意が必要です。

損益分岐点の計算方法を知って利益を最大に

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損益分岐点を理解すれば、経営改善の道筋がみえてきます。損益分岐点の計算に必要なファクターのうち、売上増額が攻めの方策、費用削減が守りの方策です。

損益分岐点の施策:売上を増やす

売上を増やすのは、どの企業にとっても当たり前すぎることですが、業界ごとに売上を分解して考えることが重要です。売上単価は適正か、不当な値引きや返品を受けていないか、大口取引先と小口取引先で単価に差をつけているか、など考えられる要素はたくさんあります。

損益分岐点の施策:固定費を減らす

売上高を上げるために関係のない家賃や人件費が減らせれば、損益分岐点を下げられます。借りているオフィスにデッドスペースがないか、余剰人員がいないか、などは常にチェックするほうがよいでしょう。

新型コロナウイルス感染拡大によって、さまざまな助成金がありました。家賃支援給付金と雇用調整助成金は、まさに固定費をカバーしてくれるものです。

損益分岐点の施策:変動費を減らす

変動費は工場での原材料や工程の見直しや改善によって、仕入先の変更などで削減可能です。見逃しがちなのが運送料です。運送会社によって差がありますから数社を比較します。ですが、変動費の削減は製品や商品の品質低下につながるリスクがあります。着手には注意しなければならないでしょう。

損益分岐点の計算は問題の洗い出しにも役立つ

損益分岐点を常に意識することで、企業は利益体質になっていきます。未来に向かって継続し持続可能な社会の一員であり続けるためにも、経理データの分析は重要です。固定費と変動費は社会情勢によって動きます。時流を捉えて、助成金なども活用すれば固定費が削減可能です。損益分岐点売上高の計算をとおして、企業が抱えている問題の洗い出しにも有効に働くでしょう。

起業の経理担当の方は、とくに損益分岐点についてざっくり分析できるようにしておくことが大切なスキルとなります。ただ、今いる会社の損益分岐点を把握した結果、「このままこの会社にいると危ないかも」といったケースもあるでしょう。

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企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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