資金調達

無借金経営で会社設立するのってホントは良いこと?悪いこと?

無借金経営で会社設立するのってホントは良いこと?悪いこと?

会社を設立する際に資金が足りず、借金をしてしまうことに躊躇している方は多いのではないでしょうか?「できれば無借金経営がしたい」と考えている方もいるでしょう。

しかし、実は無借金経営が悪いものなのかというと、そうとは言い切れません。借金がなくても、キャッシュがなくて倒産(黒字倒産)することもあるのです。

そこで本記事では、実際に無借金経営は悪いものなのか、大企業の実例と共にご紹介します。メリット・デメリットも解説するので、これから会社を設立するにあたり借金をするかしないかで悩んでいる方は、参考にしてみてください。

無借金経営って良いこと?

なんとなく良いイメージのある無借金経営ですが、実際はどうなのでしょうか。なぜ良いイメージがあるのか、大企業は無借金経営を行っているのかをご説明します。

無借金経営と聞くと、安心感がある

無借金経営と聞くと安心感がある理由は、主に2つ。

  • 借金がないに越したことはない
  • 借金がないと財務基盤は盤石で安定している

どちらも日常生活での「借金」に対する先入観や思い込みを、会社にも当てはめているにすぎません。ただ、それによって経営者の心的負担が軽くなっているのも事実でしょう。

無借金経営の実例(ソフトバンク、トヨタなど)

それでは、実際に大企業は無借金経営を行っているのでしょうか?実は名だたる大企業でも、借金経営をしているケースは数多くあります。以下の2社を例に挙げてみてみましょう。

  • ソフトバンク・・・超優良企業と名高いソフトバンクですが、有利子負債は14兆円もあり、2015年から3年連続で負債額1位を獲得しているほど。しかしこれは、日本が今低金利であることを利用し、事業拡大の投資を積極的に行っていることの影響で、経営に問題があるわけではありません。
  • トヨタ・・・世界にシェアを広げているトヨタも、2015年3月期の借金は19兆円と莫大でした。これもトヨタが金融事業を運営していることが原因で、むしろ業績は好調です。

無借金経営のメリット

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借金経営は悪いものではありませんが、無借金経営にもメリットはあります。ここでは主な3つをご紹介します。

無借金経営のメリット①利息を支払わなくてすむ

借金をすると、借りた額に利息を付けて返済しなければなりません。つまり、結果的に借りた額よりも多い額を返済する必要があるのです。しかし、無借金経営であれば返済することもないので、利息を払う必要もありません。

無借金経営のメリット②借金返済に追われなくてすむ

借金には、もちろん返済期限が定められています。会社を設立した当初から借金があると、返済期限までに売上を伸ばさないといけない、というプレッシャーがかかることも。しかし、無借金経営であれば返済に追われることがないので、心的ストレスなく会社を運営できます。

無借金経営のメリット③外部の取引先からも信用される

借金がないということは、事業で利益が出ている間は資金繰りは心配なく、財務基盤が安定しているということ。決してないとは言い切れませんが、倒産のリスクも軽減されるので、外部の取引先から信用されやすくなります。

また、上述した「無借金経営に対する漠然とした良いイメージ」が取引先の信用を得る際に良い方に働いている側面もあります。

無借金経営のデメリット(借入することのメリット)

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良いこと尽くしのように思える無借金経営ですが、借入をした方が良いということも。ここでは、借金経営の3つのメリットをご紹介します。

無借金経営のデメリット①金融機関から情報が収集できる

金融機関から借入をしておくと、金融機関との関係構築につながるので、いざという時に役立ちます。数多くの会社を審査している金融機関は、情報量がとても多いので、経営に関するアドバイスを受けることができるのです。

また、他社の財務状況などを教えてもらうことはできませんが、自社を評価してもらうことで、客観的に自社の状況を知ることができます。

無借金経営のデメリット②レバレッジ効果が利く

レバレッジ効果とは、負債を利用することで株主資本利益率を変動させる効果のこと。株主資本利益率は、以下の計算式で算出できます。

    ROE(株主資本利益率)=ROA(総資本営業利益率)+(ROA-負債利子率)×負債/自己資本

つまり、投資で得られる利益率>借入金の金利率であれば、借入をした方が良いということ。無借金経営にこだわり、「資金がないから事業拡大ができない」というのは、むしろ損をしているのです。

無借金経営のデメリット③外部からの信用を得られる

無借金経営のメリットと同じ内容ですが、根拠は全く違います。

借金経営で外部からの信用を得られる理由は、金融機関、特に銀行の借入審査がとても厳しいから。借入審査では事業計画や実績など、さまざまな点を考慮して「貸し付けてもしっかりと返済可能」と判断します。だからこそ、借入審査を通った会社は問題ない、と捉えることができるのです。

借金=悪ではない

日本人は、借金=悪と考える方が多いように思えます。それは借金をするということに対して良いイメージを持っていないからです。会社を経営するという観点からみれば借金=悪ではないということを理解しておきましょう。

借金があっても資金が続けば会社は継続できる

借入、つまり借金があったとしても、資金が続いている限り会社は継続可能です。逆に、借金がなかったとしても、資金が足りずに倒産してしまうこともあります。

会社の資金繰りに関しては、「借金=悪」ではないので、無借金経営にこだわる必要はありません。

まとめ

会社の設立当初は、これから事業を拡大させていくために借入や融資があるのは当然。また、会社を大きくするためにも資金調達は不可欠です。

無借金経営で得られるものもありますが、会社の将来を考えたときには借金はむしろすべきと言っても良いでしょう。もちろん、過度な借金(資金調達)は会社を傾ける原因になりますので、資金調達に関しては信頼のできる税理士などに相談することをおすすめします。適度な借金をして、銀行との良い関係性を築き、より良い経営を目指してください。

なお、きわみ事務所では会社設立や資金調達の相談を受け付けています。代表税理士はITベンチャーで役員を務めた経験があるという、業界でも数少ない「経営者目線」のアドバイスができる税理士です。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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