資金調達

保証協会と日本政策金融公庫の違いを分かりやすく解説|仕組みとメリットとは

保証協会と日本政策金融公庫の違いを分かりやすく解説|仕組みとメリットとは

会社設立時や経営に必要な資金調達をする際、保証人が見つからないから保証協会を利用しようと考えている方は多いのではないでしょうか?実は、保証協会を利用することで得られるメリットはたくさんあるんです。しかしそもそも保証協会をご存じない方もいるでしょう。

そこで本記事では、保証協会とはなんなのかを、日本政策金融公庫との違いと併せてご説明します。また、保証協会のメリットも詳しくご紹介。これから保証協会を利用しようか悩んでいる方は、是非参考にしてください。

保証協会(信用保証協会)とは

保証協会とは、信用保証協会法に基づいて作られた公的機関。中小企業・小規模事業者のために設立され、資金調達の際に保証をすることで、資金調達がスムーズにできるよう支援しています。

信用保証制度の仕組み

信用保証制度とは、中小企業が保証協会を利用することで金融機関からの資金調達を円滑に進める制度。詳しくは以下のような流れで行います。

  • 信用保証協会に直接、または金融機関を通じて申し込み
  • 信用保証協会による会社の信用調査や審査
  • 審査に通った場合は、金融機関に信用保証書を発行
  • 金融機関は信用保証書に基づいて融資
  • 返済条件に従って金融機関に返済

最大の特徴は、もし会社が返済不可能になったときには、信用保証協会が代位弁済をする点。金融機関からすると、返済されないという事態が起こらないので融資しやすい、ということです。

銀行との違い

保証協会はあくまで“保証”をするだけの機関。対して銀行は、融資に値するかの審査から融資、回収まで全てを行う機関です。

ただし、銀行が保証協会などを利用せず単体で融資を行うケースはとても稀。もし会社が返済出来なかったときに、全ての金額を損失として被ってしまうからです。そのため、事業実績などがない会社設立時や、個人資産などがない中小企業が銀行からの融資を受けられる可能性は極めて低いと言えるでしょう。

日本政策金融公庫との違い

同じ公的機関である保証協会と日本政策金融金庫ですが、ここでも「融資を行っているか」という大きな違いが存在します。簡単に言えば、日本政策金融公庫は銀行のような公的機関なのです。

日本政策金融公庫の最大の特徴は、保証人が不要ということ。つまり保証金がかからないということです。保証協会を利用して銀行から融資を受けた場合の金利は2%ですが保証料がかかるので、金利が2~3%はかかる日本政策金融公庫とどちらを利用するかは、会社の状態を見て決めると良いでしょう。

保証協会を利用するメリット

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保証協会を利用するメリットは、主に4つ。ここでは、それぞれどのようなメリットなのか詳しくご説明します。

融資の枠を増やせる

融資の枠を増やすとは、銀行に保証協会を利用せずに申し込んだ融資と、保証協会を利用した融資の2つを同時に受けられる可能性があるということ。単純に言えば、受けられる融資額を増やすことに繋がります。

保証協会を利用せずに融資を申し込んだ場合、上述したように銀行の審査は厳しいので、得られる融資は少額、または審査が通らないことがほとんどです。しかし保証協会を利用すれば、融資を得られる可能性は大幅に広がります。

融資実績の有無も銀行から融資を得る際には重要なので、融資実績を作るためにも保証協会を利用して融資を得ておくのはおすすめです。

保証人、連帯保証人が必要ない

保証人や連帯保証人とは、万が一返済が出来なくなった場合、代わりに返済の義務を負う人のこと。事業が上手くいかなくなったときなどに返済の責任が丸々降りかかってくるので、親族であっても断られることは多いです。

しかし、保証協会を利用すれば保証人や連帯保証人を立てる必要はありません。また、保証協会の利用に際しても保証人は必要ないので、親族や知人などに責任を負わせる事態を避けることができます。

担保が不要

保証人が必要ないということは、担保が必要なのでは……と思う方もいるでしょう。しかし、保証協会の利用においては、基本的に担保も必要ありません。

そもそも保証協会が会社の信用調査・審査を行い、信用保証書を発行する際、不動産担保に依存しない金額を設定しています。そのため、担保は必要ないのです。

ただし、借入額が高額であったり業績が悪化して赤字を出している場合など、限られたケースの場合は担保を求められることもあります。

保証制度がニーズに応じて多様にある

保証協会には、ニーズにそって制度が多様にあるのもメリットの1つ。融資を効率よく受けるためには、最適な方法で最適な額を受けるのが大切です。

保証協会には、中小企業の経営支援のための「経営力強化保証制度」や複数の保証付き融資の債務一本化のための「借換保証制度」など、様々な保証制度があるので状況に応じて選ぶことができます。

それぞれの保証内容や金利、条件などが異なるので、会社に合った保証を見つけることができるでしょう。

まとめ

事業実績や融資実績がない会社の場合、銀行から融資を得られる可能性はとても低いのが現実です。しかし信用保証協会を利用すれば、融資を得られる可能性は大幅に上昇します。保証協会の信用調査が必要にはなりますが、保証人や担保を立てずとも融資を受けられるのは魅力的。

知人や親族に保証人を断られてしまった場合のみならず、今回ご紹介したように保証協会を利用するメリットは数多くあります。資金調達に行き詰まったときは、保証協会の利用を考えてみてはいかがでしょうか?

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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