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リーガルテックとは?現在までの到達点と今後の展望を弁護士が解説

リーガルテックとは?現在までの到達点と今後の展望を弁護士が解説

リーガルテックは、法務とITを融合させる画期的な試みとして、近年の法律業界で大きな注目を集めています。

リーガルテックにより、今後法律関係の業務は大幅に効率化され、弁護士や法務部の働き方も大きく変わっていくことでしょう。

この記事では、リーガルテックの現状と、今後どのようにリーガルテックが法律業界を席巻するかの展望を弁護士が解説します。

リーガルテックとは?

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リーガルテック(LegalTech)とは、「法律(Legal)」と「技術(Technology)」の融合を表す言葉で、主にIT技術を活用して法律業務の効率化を支援する製品やサービスを指しています。

裁判官・検察官・弁護士の法曹三者の業務は、

  • 紙ベースでの書面のやり取り
  • FAX送信
  • 目視での校正作業

などに代表されるように、古典的で面倒なスタイルが依然として主流です。

しかし、近年ではAIを含むIT技術の発展が著しく、海外企業や国内一般企業の間では、業務にIT技術を活用することはもはや当たり前になっています。

法律業界でも、最近弁護士を中心として、業務へのIT技術の活用について注目が集まり始めました。リーガルテック・ベンチャーを立ち上げる弁護士も登場し、実際にリーガルテックを活用する弁護士も増えてきています。

国内で普及しているリーガルテック4選

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リーガルテックという言葉がよく用いられるようになったのは比較的最近ですが、IT技術を法務に活用する試み自体は、限定的ながら以前から存在していました。

その中でも以下のサービスについては、現時点でも弁護士や法務担当者の間で、一定以上の普及を見せているといえるでしょう。

 

【リーガルテック】判例・文献検索データベース

弁護士や法務担当者によるリサーチにおいて、判例・文献検索データベースの活用は今や欠かせません。

参考:TKCローライブラリー

参考:判例秘書

以前であれば、オフィスに判例集や雑誌を揃えておかなければ、十分な判例や文献の情報にたどり着くことができませんでした。

しかし現在では、判例・文献検索データベースを利用すれば、パソコン一つで必要な情報へアクセスできるようになり、非常に便利です。

 

【リーガルテック】電子契約サービス

ペーパーレス化の波が押し寄せる中で、電子契約サービスも急速に利用が拡大しています。

電子契約サービスを利用すれば、

  • 紙の契約書の保管・管理コストを削減できる
  • 締結をオンラインで対面せずに行える

といったメリットがあります。

電子契約サービスの普及はベンチャー企業が中心でしたが、最近では大企業にも利用が拡大中です。

 

【リーガルテック】契約書レビューのクラウド化

契約書をレビューする際にはメールでのやりとりが依然として主流ですが、クラウド上で契約書をレビューする試みも広がっています。

クラウド上のレビューを行うことにより、

  • 進捗管理が容易
  • 複数人が同時にレビューできる

などの観点で、業務の効率化が可能です。

 

【リーガルテック】弁護士ポータルサイト

弁護士と依頼者のニーズをマッチングさせる目的で立ち上げられた弁護士ポータルサイトは、弁護士数の増加も相まって、近年一層活発に活用されています。

弁護士ポータルサイトでは、弁護士が事務所の情報を登録し、弁護士への依頼を検討する人は、地域や分野などの条件で弁護士を検索します。

そうすると、条件にマッチした弁護士が検索結果として表示されるので、あとは依頼者が直接弁護士に連絡を取って依頼に至る、という仕組みです。

 

これからに期待される未来のリーガルテック3選

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すでに普及しているリーガルテックとして紹介した4つは、いずれもそれほど目新しいものではなかったかもしれません。

しかし今後は、さらなるリーガルテックの発展により、以下に例を挙げるように、法律業務の飛躍的な効率化が期待されています。

 

【リーガルテック】契約書の自動作成サービス

企業法務を取り扱う弁護士にとって、契約書の作成は非常に時間を取られる作業です。AIや自然言語処理技術の発展により、内容・体裁ともに整った契約書を自動で作成するサービスの性能が上がれば、弁護士の事務処理時間を大幅に削減できます。

なお現在でも、定型的な契約書については、ひな形のデータをあらかじめ入れておくことによって、自動で契約書を出力するサービスは存在します。

ただし、細かい調整ができないことや、複雑でオーダーメイドの契約書には対応できないことなど、依然として発展途上の段階です。

企業法務を取り扱う大手の法律事務所での使用にも耐え得る、高性能の自動作成サービスが登場すれば、契約実務全体を根底から変革することは間違いありません。

 

【リーガルテック】法務デューデリジェンスの自動化

弁護士の花形業務といえば、「M&A」をイメージする方も多いでしょう。M&A取引を行うに当たって重要となるのが、「法務デューデリジェンス」という作業です。

他の会社と合併などを行う際には、相手の会社に法的問題がないかどうかについて、膨大な契約書などの書類を隅々までチェックして調査を行います。これが「法務デューデリジェンス」です。

現状、国内のM&A取引に当たっては、基本的に弁護士が人海戦術により、法務デューデリジェンスを手作業で行っています。案件によっては、法務デューデリジェンスのためだけに10名~20名程度の弁護士が駆り出され、昼夜を問わず膨大な書類に目を通し続けることになります。

そのため、M&A取引は実質的に、若い弁護士を多く抱えることができる大手法律事務所しか取り扱えない業務になっているのです。

法務デューデリジェンスをすべてAIが自動で行ってくれるようになれば、

  • M&A取引を規模の小さい法律事務所も取り扱えるようになる
  • 若い弁護士にとって、よりクリエイティブな仕事に割ける時間が増える
  • M&A取引にかかる費用を圧縮できる

などの変化が生じ、M&A取引に関する弁護士の勢力図を大きく塗り替えることでしょう。

 

【リーガルテック】裁判所のAI化

リーガルテックが究極的に発展すれば、「裁判を主宰するのは裁判官ではなく、AIになるのではないか?」ということもしばしば話題に上がります。

裁判では、両当事者の主張のうちどちらが合理的なのかを、証拠に現れる微妙なニュアンスまでくみ取って判断しなければなりません。現状のAI技術では、裁判官による高度な判断を再現することは不可能です。

しかし今後、AIの情報認識能力が飛躍的に向上すれば、リアルタイムで両当事者の言い分を正確に評価できるようになるかもしれません。そうなれば、法令や判例の内容を正確かつ膨大に記憶できるAIの方が、裁判官よりも優れた判断権者となるでしょう。

ただし、市民がAIによる裁きを受けるということについて納得するかどうかという点は、また別の問題として存在します。この点に関しては、他分野も含めて、今後の人間とAIの共存関係がどのように変化していくかに注目しましょう。

 

法務担当者はリーガルテックの波にどう対処すべきか?

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リーガルテックがさらに発展すると、法律業界では人員削減の動きが加速するでしょう。法務の世界では、定型的・形式的な業務が多く残っていることも事実であり、こうした業務の多くはリーガルテックのサービスに取って代わられます。

その反面、法務人材がよりクリエイティブな仕事に注力できるようになるメリットもあります。リーガルテックをうまく活用した法務担当者は、人間にしかできない業務に注力することによって、さらに自らの個性を発展させ、他の同業者との差別化を図るでしょう。

こうしたリーガルテックの波に対処するには、法務担当者は以下の点に留意して対処する必要があります。

 

単純作業以外の強みを身につける

定型的な契約書の作成・レビューなどの単純作業については、すぐにでもリーガルテックで代替されてしまう可能性があります。

法務担当者としては、人間ならではのリーガルテックに代替されない強みを身につけなければなりません。

たとえば弁護士であれば、顧客との人間的なコミュニケーションを密に取り、顧客を自分のファンにさせるような取り組みが求められるでしょう。その場合、顧客の人間的な機微をよく観察し、また顧客のビジネスをよく理解することがますます必要になります。

また、先例を踏まえただけでは対応できない新しい法務を提案できることも、人間としての強みになり得ます。新しいものを生み出すには基礎がしっかりしている必要があるため、一朝一夕には成り立ちませんが、来たるリーガルテック時代に備えて、法律の素養を一層高めていく必要があるでしょう。

 

リーガルテックを使いこなす道を模索する

リーガルテックが発展した世界では、弁護士をはじめとした法務担当者もAIをはじめとしたIT技術を使いこなせなければ、同業他社に後れを取ってしまいます。

そうならないように、常日頃からリーガルテックについてのアンテナを張って、その活用方法について考える癖を付けておきましょう。

「技術的なことは苦手」という方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合は、エンジニアなどと連絡を取ってアドバイスを求めるのも一つの方法です。

 

リーガルテック時代はすぐそこに|アンテナを張って素早い適応を

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リーガルテックの発展はこれからが本番という状況ですが、AI技術が日進月歩で急速に発展していることを見ると、短期間であっという間に法律業界を席巻してもおかしくありません。

法務担当者としては、すぐそこまで迫ったリーガルテック時代に取り残されないように、最新情報のアップデートに努めましょう。

企業の教科書
増山 晋哉
記事の監修者 増山 晋哉
弁護士法人 きわみ事務所 代表弁護士

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