「交通費の計算ってどうするんだろう?」
「交通費の計算で気を付けることって?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、交通費の計算方法についてお悩みの方に向け、
- 交通費の計算方法(通勤方法別)
- 交通費を支給する際に気を付けること
- 実際にあった交通費の不正受給事例
などを分かりやすく解説していきます。
記事を読むことで、交通費について知っておくべきことを網羅的に把握することが可能です。
通勤方法別!交通費の計算方法
以下では、「公共交通機関」「自動車通勤」、2つのケースに分けて交通費の計算方法を解説していきます。
公共交通機関の交通費計算
公共交通機関を利用して通勤してもらう場合、まずは本人から「利便性」「運賃」などを基にして、最適な通勤方法を申告してもらう必要があります。
そして、本人から申請してもらった通勤方法と本人の居住地を照らし合わせ、問題が無ければ定期代として通勤手当を支給します。たとえば、「バス」「電車」などを通勤方法として選ぶのが一般的です。
自動車通勤の交通費計算
自動車通勤の場合は定期がありませんから、まずは交通費計算の基準を設定しておく必要があります。基準から具体的な支給額を決める際は下記の計算式を利用してください。
A×B×ガソリン代÷平均燃費=通勤手当の支給額
A=通勤にかかる往復の移動距離通勤
B=1ヶ月の平均的な労働日数
平均燃費は車によって変わりますので、会社全体で基準となる数値を決めておきましょう。この時、バイクと自動車で燃費が変わるため、別々に設定しておくとよいです。
また、ガソリン代は変動しますので、平均値より少し多めに設定しておくことをおすすめします。平均値より多くしておけば、労働基準監督署にその都度届け出る手間が無くなり、変更の際の対応がスムーズになります。
なお、従業員の通勤に「高速道路」「有料道路」などが含まれる場合は、1カ月分の通行料金を支給するのが一般的です。
交通費の計算に関して知っておくべき3つこと
以下では、「公共交通機関」「自動車通勤」の交通費を計算する際に、知っておくべきことを解説していきます。
従業員とのトラブルを防ぐためにも、しっかりと目を通しておいてください。
交通費は非課税
交通費は15万円を限度額として、非課税対象になります。
なお、定期の利用料金は1ヶ月分ではなく、3ヶ月分・6ヶ月分を目安に支給するとよいです。たとえば、6ヶ月での支給を基準にした場合、運賃の節約ができますし、作業の工数を減らすことができます。
また、支給した定期期間以内に従業員が辞めた際の対処法として、払い戻し、及び会社に返金してもらうための規定を設けておきましょう。規定を設けておけば、未然にトラブルを防ぐことができます。
交通費を支給しなければいけない法律はない
交通費を支給しなければいけないという法律はありません。つまり、社員に交通費を支給しなくとも社会通念上では何の問題も無いのです。
ただし、交通費はほとんどの企業が支給していますし、交通費の支給をなしにしてしまうと有能な人材を逃してしまうリスクがあります。
転職サイトでも、交通費を支給しない企業は検索の絞り込み機能ではじかれる可能性がありますから、できる限り支給はした方がよいです。
労働基準監督署に届け出る義務がある
外部からの影響や、会社の状況で就業規則を変更する場合、会社はその都度届け出をしなければいけません。
また、就業規則については会社側が自由に決められるのですが、「会社と従業員、どちらにとっても利益・不利益のバランスが同等」でないと、労働基準監督署からは認められません。
たとえば、厚生労働省が公開している就業規則作成における指針モデルでは、「賃金に関わる規定・各種手当については詳細で明確に記入する必要がある」と定められています。
就業規則で不公平感が生まれないようにする
不公平感を生まないためにも、就業規則では下記3つのことを決めておく必要があります。公平な就業規則を選定しておくことで、未然にトラブルを防ぐことができ、スムーズに契約締結を行うことができます。
①支給対象となる交通手段・・・「公共交通機関限定」「公共交通機関とマイカー通勤両方を含める」のどちらかになるケースが多い
②支給の限度額・・・交通費の限度額を決める(15万円までは非課税ですが、超えても問題はありません)
③各雇用形態への対応・・・正社員以外(パートタイム・アルバイトなど)にも同等額の交通費を支給するのかどうか
上記の3点は、「不平等だ」という声が上がりやすい項目なので注意しておいてください。
たとえば、正社員より通勤日数が少ないアルバイトに正社員と同等額の交通費を支給すると、当然ながら正社員は不平等だと感じます。だからといって従業員全員に支給するとなると、会社から近い従業員と遠い従業員との間に不平等が生じてしまいます。
このように、交通費の支給にあたり注意すべき点は多く、そのどれもが大事なものとなっています。以下にて更に詳しく見てみましょう。
出張の交通費を支給する際の注意点
出張の交通費を支給する際に注意すべき点は下記の通りです。
- 社員に立て替えてもらうのはNG
- 必ず締め日を設定しておく
上記2点について詳しく解説していきます。
社員に交通費を立て替えてもらうのはNG
以下の点から、社員に立て替えてもらうのは避けるべきだといえます。
- 不正しやすい環境を生みやすくなる
- 会社の経費と個人の支出が曖昧になりやすくなる
- 会社の信用が落ちて早期退職につながりやすくなる
などといったデメリットがありますから、社員に立て替えてもらうのは避けるようにしましょう。
不正が起きやすい環境にしないためにも、どんな費用・形式であれば経費と認めるのかをハッキリとさせ、いつまでに請求するべきなのかを明確にしておくことが大切です。そして、社員には規定通りに経費を運用してもらえるよう、情報の共有は徹底して行う必要があります。
必ず締め日を設定しておく
交通費などの経費が発生してから、何日までに申請するべきかを設定しておくことが重要です。このルールが曖昧だと不正の温床になってしまい、会社にとって予期せぬ損害を生むリスクがあります。一般的には、経費が発生してから5~7日以内に締め日を設定します。
また、交通費の請求を受ける際は、決められた形式で提出させるようにするとよいです。
たとえば、交通費であれば「出張報告書」「営業報告書」などと一緒に提出するような規定を設けておくのがおすすめです。
交通費の不正受給がないように注意!
交通費の管理をしっかりと行わないと、社員が交通費を不正受給するリスクが出てきます。
不正受給というのは、故意的に交通費や通勤費を受給することです。たとえば、「引っ越しで住居を変えたのにも関わらず、新しくなった交通手段・通勤通路などを再申請していない」などといったケースです。
従業員が誤解していたり、忘れてしまっていた場合は再申請することで許してもよいのですが、悪意があると発覚した際には懲戒処分にすることも可能です。なお、従業員が悪意をもって不正受給していた場合は、過払い分を返還してもらうこともできます。
以下では実際にあった不正受給の実例を紹介していきます。
交通費の不正受給事例1.申告した通勤手段と実際の通勤手段が違う
不正受給の事例でもっとも多いのが、申告した通勤手段と実際の通勤手段が違うケースです。
たとえば、従業員の申告では「電車での通勤」となっているものの、実際には自転車や徒歩で通勤しているケースです。つまり、従業員からすれば交通費で支給されたお金が浮くことになるのですが、それ自体が立派な不正受給になります。
こういった不正受給を防ぐためには、従業員の通勤手段を定期的に確認するしかありません。未然に防ぎたいのであれば、「不正が発覚した場合は返金してもらいます」といった趣旨の規定を作って共有しておくとよいです。
交通費の不正受給事例2.住んでいる場所を虚偽する
会社にとっても大きめの被害になりやすいのが、従業員が住んでいる場所を虚偽しているケースです。
たとえば、「従業員本人が実際に住んでいるところから、更に遠いところで住んでいことにして差額分を受け取る」といったケースです。
こちらも不正が発覚した際には、返還してもらうことが可能なうえ、懲戒処分にすることもできます。ですが、こういった不正受給が起きないようにするように対策することこそが、会社の勤めであることを覚えておきましょう。
交通費は明確な基準を定めて不正受給のない環境を!
交通費は不正受給が起きやすい側面がありますから、会社側がしっかりと対策することが大切です。
交通費の不正受給だけであれば金額も少ないですが、一度不正が起きると連鎖的に大きな不正受給につながっていく可能性があります。
そういった不正の温床を作らないためにも、「経費申請の締め日」「申請の際の形式」などは必ず明確にしておきましょう。
徹底した管理が不正受給をなくし、社内外から信頼される会社の形成につながります。