税理士の選び方についてお悩みですね。良い税理士と契約するには、初対面で確認すべきことが9つあります。
契約前にチェックできていなければ、「相談しても的確なアドバイスがもらえない」「節税効果があまりなかった」と後悔することになりかねません。
そこで今回は、良い税理士を選ぶためのチェックすべきポイントや信頼できる税理士と契約を結ぶ方法をご紹介いたします。事前に決めておくことやダメな税理士の特徴についても言及しているので、参考にしてください。
自社にとって有益な税理士の選び方を知って、経営者にとって良きパートナーを見つけましょう。
良い税理士と契約するために初対面で確認すべき9つのポイント
良い税理士と契約するためには、以下のような9つのポイントをチェックしましょう。
- 第一印象が良い
- 打ち合わせのための準備をしてきている
- 法人における税務知識に詳しい
- 自社の業界に詳しい
- 自社と同じ規模の会社に強い
- 見積もりを提示してくれる
- 経営や財務状況のアドバイスをしてくれる
- 融資アドバイスをしてくれる
- 他の士業とのパイプが強い
(1)第一印象が良い
まず、初対面での第一印象が良いかチェックしましょう。第一印象が良ければ、あなたとの相性が良い可能性が高いからです。
というのも、税理士に任せる業務は経営の根幹とも言える内容ばかり。ビジネスパートナーとして一緒にやっていけるかは、第一印象で判断できます。
第一印象から「だらしなさそう」「知ったかぶりしているな」「偉そうに話す人だ」と思うのであれば、契約はしないでおきましょう。逆に、初対面から話が弾んだり言いたいことが言えたりするのは、相性が良い証拠です。
まずは、「信頼できそう」「誠実そう」だと思えるかを対面で確認することをおすすめします。
(2)打ち合わせのための準備をしてきている
打ち合わせのために事前準備をしてきているかをチェックしましょう。なぜなら、準備のできる人は業務を実直にこなせる人だからです。
たとえば、以下のような点を確認しておきましょう。
- 会社情報を把握してくれている
- 事前に質問した内容を税理士から話してくれる
- 見積書を用意してくれている
打ち合わせの準備ができているのであれば、契約後もしっかりと仕事をこなしてくれるでしょう。
(3)法人における税務知識に詳しい
法人における税務知識に詳しい税理士であるかを確認しましょう。
というのも、税理士にも得意分野があるからです。すべての税務知識に精通している税理士はいないといっても過言ではありません。
相続や個人事業主の節税に強い税理士に頼んでも、最善の節税効果は得られないでしょう。そのため、事前に法人における税務知識に詳しいかを確認すべきです。
税理士事務所のサイトやチラシに「顧問税理士」「税務調査対策」といった言葉があるか確認しておきましょう。また、対面では「いくつくらいの会社の顧問をされていますか?」と聞くと、経験・実績を知ることができます。
(4)自社の業界に詳しい
自社の業界に詳しい税理士かどうかも確認すべきポイントです。業界によって節税のコツや会計処理方法が違うことがあります。
とくに、インターネットを使った広告収入やITについては知識がなければ、最適なアドバイスをもらえないでしょう。そもそも、自社の事業内容をよく理解していない人に経営のアドバイスをもらっても従おうとは思えません。
以下のことを確認すれば、自社の業界についての理解度を測れるでしょう。
- 自社と同じ業種の会社を担当している
- 自社サービスの説明をして理解をしてくれている
ただ税務知識を持っているだけでなく、自社の業界に詳しく話のできる税理士を選びましょう。
(5)自社と同じ規模の会社に強い
自社と同じ規模の会社に強いかという点にも注目しましょう。
会社の規模によって税金対策や財務状況のアドバイスが変わってきます。
たとえば、スタートアップの会社と数十年も安定した会社であれば必要な知識が違うでしょう。資金調達1つを取っても、融資の審査の通りやすい書類の書き方は変わります。
実際に「どれくらいの規模の会社の顧問をされていますか?」と聞いてみると、得意な会社の規模が見えてきます。
(6)見積もりを提示してくれる
初めての打ち合わせで、しっかりと見積もりを提示してくれる税理士を選びましょう。
なぜなら、契約後「この業務は別料金が必要だ」と高額な報酬を請求されるリスクを回避するためです。はっきりとした顧問料金や顧問契約の内容にどのような業務が含まれているのかを確認しましょう。
また、記帳代行や確定申告は別途費用を設けているケースが多いです。事前に料金表をもらっておくと、今後どれくらいの費用が必要なるかがわかります。
予算以上の費用を請求されないよう、初回の打ち合わせで見積もりを出してもらいましょう。
(7)経営や財務状況のアドバイスをしてくれる
経営や財務状況のアドバイスをしてくれる税理士を選びましょう。月ごとにキャッシュフローから見える経営課題を指摘してくれる税理士もいます。
たとえば、以下のようなアドバイスをしてくれるでしょう。
- 最適な在庫量
- 売掛金・買掛金の管理方法
- キャッシュを多く残す方法
経営について頼れる専門家が身近にいないのであれば、税理士に頼ることも選択肢として考えましょう。
(8)融資アドバイスをしてくれる
融資アドバイスや資金調達に強い税理士であることを見極めましょう。いずれ事業転換や設備投資をする機会があるかもしれません。
融資は税理士の専門分野ではありませんが、経営に携わる税理士であれば金融機関とのパイプも強いです。融資アドバイスをもらえるか判断するには、「もし、今資金調達するとしたら、どれくらい融資してもらえそうでしょうか?」と聞いてみましょう。
一般的に、創業時の融資の実行率は30%程度です。
しかし、なかにはほとんどの融資を実行させる実力を持つ税理士もいます。見込みの融資額や融資を受けるための具体的なアドバイスを話してくれるのであれば、契約後も融資アドバイスをもらえるでしょう。
(9)他の士業とのパイプが強い
税理士以外の士業とのパイプが強いかを確認しましょう。なぜなら、1人の税理士からさまざまな専門家とつながれると効率よく経営のアドバイスがもらえるからです。
たとえば、以下のような専門家とのつながりを聞いてみてください。
- 司法書士
- 行政書士
- 社労士
- 弁護士
会社設立や経営をしていく中で、さまざまな専門家にお世話になる機会があります。たとえば、会社設立を一任するなら司法書士、企業と契約書を交わす時には弁護士の力が必要です。
専門家が必要になるたび探していると、時間と労力がかかってしまいます。「困ったことがあれば、あの税理士さんに電話しよう!」と、窓口を揃えておくとスムーズに課題解決に向かえます。
税理士と契約する前に決めておきたい2つのこと
良い税理士と契約するためには、事前に以下の2つのことを決めておきましょう。
- 税理士に依頼する業務範囲
- 予算
依頼する業務範囲と予算を決めていなければ、初対面で「自社にとって良い税理士であるか」を判断できないからです。
税理士に依頼する業務範囲
税理士にどのような業務を依頼したいのかを明確にしておきましょう。
なぜなら、不要な業務が見積もりに入っていても気づかないまま無駄な報酬を払うことになるからです。
たとえば、確定申告代行だけをお願いしたいのであれば、顧問契約を結ぶ必要はありません。できるだけ低コストで契約を結ぶためにも、依頼する業務内容を決めておきましょう。
税理士にお願いできる業務は、主に以下の6つです。
- 日常の税務相談
- 記帳代行
- 税務書類の作成
- 税務申告の代理
- 経営コンサルティング
- 融資アドバイスや他の士業の紹介
日常の税務相談
日常の税務相談に答えてもらえます。
たとえば、税務署から連絡があったとき、わからないことがあればすぐに税理士に質問できるでしょう。会社設立後は、新しい税務処理に直面することが多いです。
- 交際費の処理
- 従業員の源泉徴収の方法
- 年末調整の方法
顧問契約を結んでおけば、いつでも気軽に質問・相談に答えてもらえます。
記帳代行
日々の経費や売上などの記帳を代行してもらえます。月に1度の訪問があるのなら、1ヶ月分の領収書や請求書を渡すとすべて記帳してもらえます。
社内に経理担当がいないのであれば、税理士に頼むことで経営者は本業に集中できます。
記帳代行を依頼すると、顧問契約とは別途報酬が必要となるケースがあるので事前に確認しておきましょう。
税務書類の作成
税務書類の作成をすべて任せることができます。税務書類の作成代行は税理士の独占業務なので、税理士以外の専門家には任せられません。
たとえば、会社では以下のような税務書類が必要です。
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 給与支払報告書
すべての書類の提出が必要とは限りませんが、自社に必要な書類を見極め期限までに提出することは意外と大変です。
税務書類の作成は、内容によって顧問契約に入ってたり入っていなかったりします。事前に確認をしておくことをおすすめします。
税務申告の代理
確定申告や消費税申告など、税務申告の代理を任せられます。
会社の税務申告では、以下のような書類を添付しなければなりません。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 販売費及び一般管理費の明細
- 個別注記表
確定申告書と一緒に、決算期から2か月以内に作成して提出する必要があります。書類作成には専門知識が必要ですので、税理士の力が不可欠です。
顧問契約をしなくても、税務申告の代理だけをスポット契約することもできます。
ただし、決算直前だと請け負ってもらえない可能性があります。決算期を迎える半年前には、税務申告の代理を行ってくれる税理士を見つけておきましょう。
また顧問税理士がいても、税務申告の代理には別途費用が発生するケースが多いです。あらかじめ見積もりや料金表を提示してもらっておくと安心できます。
経営コンサルティング
財務状況から経営コンサルティングを依頼することも可能です。
お金の使い方や設備投資のタイミングについては、的確なアドバイスがもらえるでしょう。また地域に根強い税理士であれば、同じエリアのビジネスパートナーを紹介してビジネスチャンスを作ってくれるかもしれません。
他の会社を知っている税理士だからこその助言が効果的なこともあります。財務状況から会社の課題を指摘してもらえると、解決の糸口を見つけられるかもしれません。
融資アドバイスや他の士業の紹介
融資アドバイスや他の士業の紹介をしてくれる税理士もいます。
税理士の本業とは外れますが、できることなら相談の窓口を1つにまとめたいものです。必要であると感じるのであれば、融資アドバイスや他の士業の紹介をしてもらえるのか事前に確認しておきましょう。
予算
事前に税理士に支払える報酬の予算を決めておきましょう。なぜなら、見積もりをもらっても「高い」「安い」の判断ができないからです。
ちなみに、税理士の報酬費用の相場は以下の通りです。
依頼内容 | 費用相場 |
---|---|
顧問契約 |
|
記帳代理 | 仕訳量に応じて月々1万~3万円以上 |
確定申告代理 |
|
予算が決まれば、適正な値段で契約できるでしょう。
【NG】契約後であっても変更するべき顧問税理士
契約した税理士が以下のような項目にあてはまるのであれば、顧問税理士を変更することを検討しましょう。
- 説明がほとんどない
- 脱税を勧めてくる
説明がほとんどない
会計や申告書の内容について説明のない場合は、顧問税理士を変更しましょう。
税務申告には、細かいやり方や手段が選択できるようになっています。税理士は2つの方法が選択できる場合、どちらが納税者にとって有利となるのかを説明する責任があります。
なかにはきちんとした検証や説明をしないで申告を進める税理士も。事前の確認や説明をしない税理士は非常にリスクを含んでいるといえます。
とくに、法人税や消費税の確定申告に間違いは許されません。間違えて過少申告していた場合、加算税を支払う必要があります。
また、説明不足が原因で節税ができなければ、会社が損してしまいます。毎月の記帳や決算の時に不明な点は、質問をして確認してください。
税務関係は「知らなかった」では済まされないため、安心して任せられる税理士に変更しましょう。
脱税を勧めてくる
当然ですが、脱税を勧めてくるような税理士とは縁を切りましょう。なかには不正な領収書を経費とみなしたり、架空の請求書を作ったりする悪い税理士もいます。
万が一、脱税してしまうと税務署から悪質性に応じたペナルティが課されます。悪質性が高いと判断されると逮捕にいたることもあり得るのです。
会社の社会的信用も失うため、経営不振に陥る可能性も考えられます。
税理士は、会社が納めるべき税額を正しく申告するために雇うものです。不正な領収書や架空の請求書は節税ではなく、脱税行為であることを理解しておきましょう。
税理士選びに失敗?残念な税理士の事例
税理士を選ぶときは、慎重に見極めましょう。顧問税理士を変更することは簡単ではありません。
契約内容に「3か月前には解約の旨を伝える」と盛り込まれているケースが多く、思い立った日に変更できないからです。また、決算を迎える直前から確定申告をするまでの間は引き継ぎが難しいため、新しい税理士との契約を交わしづらいです。
税理士選びに失敗してしまった3つの事例を見てみましょう。
- 質問をしても回答が遅くて結局自分で調べるハメになる
- 本人でなく新人やスタッフが来社する
- 税務調査の立ち合いで頼りない
質問をしても回答が遅くて結局自分で調べるハメになる
「税に関する質問をしても、何日も返信がなかった」ということが頻繁に起こるかもしれません。
返答を待っている間に税務署からの期限が迫り、自分で調べなければならないなんていうことも。電話をしても回答できるスタッフがいなければ、「頼れない」と判断し、次第に相談をしなくなっていきます。
サービス精神のないレスポンスの遅い税理士だと感じたら、顧問税理士を変更することをおすすめします。レスポンスの遅い税理士と契約を結ばないためには、初回の打ち合わせの連絡や見積書の送付のスピードをチェックしておきましょう。
本人でなく新人やスタッフが来社する
「契約を結んだ担当税理士ではなく、新人や事務所のスタッフが代理で来社するから困った」という事例もあります。
初回の打ち合わせで「自社にピッタリだ!」と思っても、本人が来社しなければ相談にも乗ってもらえません。メールや電話という手段もありますが、月に一度対面で話すからこそできる相談もあるでしょう。
しかし、新人やスタッフだと知識が甘く、頼りにならないことも多々あります。定期的な来社の契約をするのであれば、誰が来社するのかを確認しておきましょう。
税務調査の立ち合いで頼りない
税務調査の立ち合いで頼りなかったり、税務署職員の言いなりだと感じたりすれば、税理士を変えた方が良いでしょう。
本来、顧問税理士や確定申告の代行をした税理士であれば、会社の状況を理解しているはずです。仕訳の内容や怪しい税金対策をしていないかもチェックをした上で、正しい確定申告を行うことが仕事といえます。
しかし、「なぜそういった仕訳になっているか分からないです」「確かに経費に値しないですね」といった受け答えはまるで責任感がありません。会社の税務を任せることはやめておく方が良いでしょう。
信頼できる税理士を探す3つの方法
会社設立や決算が近づくタイミングで税理士を探したいと思っている経営者は多いでしょう。
信頼できる税理士を探すには、以下の3つの方法があります。
- 家族や知人に紹介してもらう
- ネットで探す
- 会社や家の近くで探す
家族や知人に紹介してもらう
家族や知人が会社を経営しているなら、紹介してもらうと安心です。
というのも、実際に契約している人の評価を聞いた上で契約を交わせるからです。人柄や仕事ぶりはお墨付きがあると言えます。
しかし、「知り合いが良くしてもらっているから」という理由だけで契約を結ぶのはやめましょう。知り合いの会社とあなたの会社は別物だからです。
自社と同じ規模の会社の実績や業界知識を持っているか、事前に聞いておくことをおすすめします。
ネットで探す
ネットで探すことも有効です。というのも、事前に何に特化している税理士であるかがわかるからです。
どのような会社をサポートしているか実績を理解した状態で依頼できます。料金も税理士事務所のサイトで公開していることが多く、安心して依頼できるでしょう。
しかし、担当者の人柄や仕事ぶりについては、実際に会ってみなければわかりません。自分の目で良い税理士であるかをチェックしましょう。
会社や家の近くで探す
会社や家の近くで税理士を探すのも良いでしょう。よく使う駅前や会社までの道のりに税理士事務所がないか探してみてください。
会社や家の近くに税理士事務所があれば、困ったときにすぐ駆けつけてもらえます。問い合わせる前に税理士事務所のサイトを確認し、どのような実績があるのかを確認しておけば安心です。
また税理士自身の人柄や仕事ぶりについては、問い合わせ時の対応や打ち合わせのときに確認をしましょう。
おわりに
税理士を選ぶときには、以下のポイントに注目しましょう。
- 第一印象が良い
- 打ち合わせのための準備をしてきている
- 法人における税務知識に詳しい
- 自社の業界に詳しい
- 自社と同じ規模の会社に強い
- 見積もりを提示してくれる
- 経営や財務状況のアドバイスをしてくれる
- 融資アドバイスをしてくれる
- 他の士業とのパイプが強い
なかでも、「自分の会社や自分との相性が良いか」を見ることが大切です。経営者のパートナーとして何でも相談できるような税理士を見つけましょう。
税理士法人きわみ事務所では、会社設立やスタートアップ企業の税務を徹底サポートいたします。もちろん、税務にとどまらず経営や融資のアドバイスも可能です。
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