「法人税法って一体なんなの?」「節税する方法はないの?」など経理をしていれば何かと気になることも多いのではないでしょうか。
経理担当をおこなうのであれば、必ず知っておきたいことの1つですので、この記事では法人税法の種類や計算方法、節税方法まで詳しく紹介していきます。
法人税法とは?
法人税法とは、法人を運営する上でかかってくる様々な法人税についての取り決めを定めている法律のことです。
法人税は納付する義務があり、第一条で「この法律は、法人税について、納税義務者、課税所得等の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続き並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする」という記載があります。
出典:法人税法
法人を適切に運営するために、法人税法は知っておく必要がありますが、細かいところは毎年変更があったり、臨時措置が取られたりと何かとわかりにくい傾向があります。
業務に影響がある部分に関しては覚えておく必要があるので、この記事を参考にチェックして業務に役立ててください。
法人税を納める法人と納める必要のない法人
決済時に黒字の場合、法人税がかかってきます。赤字の場合は納める必要はありません。
ただし、都道府県や市町村に納める法人住民税には「均等割」という、赤字でも納めなければならない金額が定められています。
この記事では地方税である法人住民税には触れず、国税である法人税についてご説明していきます。
法人税を納める必要のある法人
法人税を納める必要のある法人は以下に該当するものです。
- 普通法人
- 協同組合など
いわゆる株式会社や有限会社など数多くの会社が法人税を納める必要があります。
他にも協同組合の場合でも全ての所得に対して法人税がかかってきます。普通法人に関しては資本金が1億円を超えていない場合は軽減税率が適用されるのでチェックしてみてください。
法人税などの税金の納付が終了し税務署の審査が終わると、納税証明書を発行できるようになります。国税庁に直接請求を行いますが、請求は常時受け付けています。
納税証明書は融資をしてもらう際にも必要になる重要な書類ですので、必要な場合は請求してみてください。期限は基本的にありませんので、提出先の指定する期間に発行したものを提出しましょう。
法人税を納める必要のない法人
全ての所得に対して法人税がかかる一方で、法人によっては法人税を納める必要がない場合があります。
- 公共法人
- 公益法人
- その他の社団など
金融公庫や公営ギャンブルなどを運営している場合は、法人税の支払いは必要はありません。
他にも、学校法人や社会福祉法人など、そもそも営利目的ではない会社に関しても法人税はかかりません。
不動産貸付業など合計34種類のものがこの公共法人として決められています。
例えばPTAや近所での付き合いを元に作成されたチームなども法人税はかかりません。学校行事などで使用するものに関してもかかることはありませんので、安心してください。
ただし、公益法人などであっても収益を得る目的の「収益事業」を行った場合には、法人税が課されます。
出典:法人税法4条
法人税の計算方法
法人税を求めるための計算式は以下のとおりです。
「法人税額=課税所得×法人税率-控除額」
単純な計算式で求めることができますが、日頃しっかりと帳簿をつけていてこそすぐに計算できるものなので日々の積み重ねが大切です。
また、法人税額を計算する上で必要になる課税所得を求める計算式も紹介するので参考にしてください。
「課税所得=益金-損金」
こちらに関しても益金と損金さえわかれば課税所得を簡単に計算することができるので、法人税額を計算するときの参考にしてください。
最後の法人税率については企業ごとに違います。
区分 | 適用関係(開始事業年度) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
平28.4.1以後 | 平30.4.1以後 | 平31.4.1以後 | |||||
普通法人 | 資本金1億円以下の法人など(注1) | 年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 0.15 | 0.15 | 0.15 | |
適用除外事業者 | 19%(注2) | ||||||
年800万円超の部分 | 0.234 | 0.232 | 0.232 | ||||
上記以外の普通法人 | 0.234 | 0.232 | 0.232 | ||||
協同組合等(注3) | 年800万円以下の部分 | 0.15 | 0.15 | 0.15 | |||
【16%】 | 【16%】 | 【16%】 | |||||
年800万円超の部分 | 0.19 | 0.19 | 0.19 | ||||
【20%】 | 【20%】 | 【20%】 | |||||
公益法人等 | 公益社団法人、公益財団法人又は非営利型法人 | 収益事業から生じた所得 | 年800万円以下の部分 | 0.15 | 0.15 | 0.15 | |
年800万円超の部分 | 0.234 | 0.232 | 0.232 | ||||
公益法人等とみなされているもの(注4) | 年800万円以下の部分 | 0.15 | 0.15 | 0.15 | |||
年800万円超の部分 | 0.234 | 0.232 | 0.232 | ||||
上記以外の公益法人等 | 年800万円以下の部分 | 0.15 | 0.15 | 0.15 | |||
年800万円超の部分 | 0.19 | 0.19 | 0.19 | ||||
人格のない社団等 | 年800万円以下の部分 | 0.15 | 0.15 | 0.15 | |||
年800万円超の部分 | 0.234 | 0.232 | 0.232 | ||||
特定の医療法人 (注5) |
年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 0.15 | 0.15 | 0.15 | ||
【16%】 | 【16%】 | 【16%】 | |||||
適用除外事業者 | 19%(注6) | ||||||
【20%(注6)】 | |||||||
年800万円超の部分 | 0.19 | 0.19 | 0.19 | ||||
【20%】 | 【20%】 | 【20%】 |
引用:国税庁 法人税の税率
他にも実効税率という言葉もあり、経理担当者としてはややこしいことばかりかもしれません。中小企業や大企業によって計算方法もことなります。
ですが、難しく感じる必要は全くありません。基本的には税理士が専門的な知識を使用し調整を行ってくれます。ですので、担当税理士は居たほうがよいですし、申告の際に焦る必要がないのでおすすめです。
法人によっては中間報告が必要な場合も
前年度の法人税の金額が20万円以上になっている法人は、法人税の中間報告が必要になります。
仮決算をして計上するものなので、仮払いとして計上します。最終的に年税額との調整を行い正しい数字を入れられるようにしておくのです。
期限に関しては法人税法第71条で「法人はその事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内に中間申告書を所轄の税務署に提出し、納税しなくてはならない」という決まりになっています。
ちなみに税務署に紙で提出している場合は、中間報告のお知らせが税務署から届く仕組みになっていますが、e-Taxで行った場合は紙の資料は届きません。お知らせBOXに入っているので随時チェックしましょう。
別表は全て作成するわけではない
法人税など税金に関わるものにはたくさんの別表がありますが、この全てを作成する必要はありません。
自社の状況に応じて作成するのが一般的ですので、企業に必要と思うものを選択しながら作成してみてください。還付に関わる別表もあるので上手に活用してください。
法人税の節税方法
法人税を納付することは企業の義務ですので、納付する必要がありますが「そもそも法人税は節約できないのか」と思っている人も多いでしょう。
そこで今からでもできる法人税の節税方法を紹介していきます。
法人税の節税:損金に計上できるものを増やす
法人税は最終的に利益(黒字)になった場合に納める必要の出てくる税金です。
つまり、損金として計上できる科目がおおければ、最終的に赤字になるので、結果的に法人税を節税することにつながります。
何でも含めて良いわけではありませんが、損金として計上できるものの領収書はしっかりと保管しておくのも重要です。
逆に益金を減らすことも節税につながります。といっても、純粋に利益を減らすのではなく形状のタイミングがずらせる売り上げを作ることも節税につながります。
法人税の節税:特別控除を利用する
決算する時のポイントとして特別控除というものがあります。
法人税は必ず納付する必要のある税金の一種ですが、企業の種類などによっては優遇処置を受けることができます。
通常の企業であれば、資本金が1億円以下の場合は軽減税率が適用されるので、節税につながります。
法人税は帳簿管理の徹底を!
法人税法とは、法人の納める税金に対してかかる取り決めなどを記載した法律であることがわかりました。
必ず納付する必要があるので、きちんと管理してきっちりした金額を支払う必要がありますが、節税する方法ももちろんあります。
計算方法は日頃の帳簿管理を徹底していればそこまで難しくありません。難しく考えずしっかり管理をおこなってみてください。