毎月お給料から引かれる所得税や、住民税など、われわれは税金をしっかり国に収めています。しかし、税金の種類やどのような場合に収める必要があるのかなどあまり詳しくはわかっていない場合が多くあります。当記事では、税金の分類と種類について、しっかりと解説します。
税金には種類がある?
毎月お給料から引かれる所得税や、住民税など、われわれは税金をしっかり国に収めています。しかし、税金の種類やどのような場合に収める必要があるのかなどあまり詳しくはわかっていない場合が多くあります。
当記事では、税金の分類と種類について、しっかりと解説します。
税金の分類と種類とは?
税金とはそもそもどのようなものなのでしょうか。
税金とは、租税とも呼ばれ、国や地方公共団体が、公共財や公共サービスの経費として、法令の定めに基づいて国民や住民に負担を求める金銭のことを言います。
税金の種類は、約50種類あります。
そして、税金の収め方の違いにより、直接税と間接税の2通りに区分することができ、公平な課税のために多くの種類や仕組みがあります。
次では直接税と間接税の区分とそれぞれの違いについて解説します。
税金の種類①直接税とは
まず直接税について見ていきましょう。
直接税とは、税金を収める義務のある人(納税者)と税金を負担する人(担税者)が同じである税金のことを言います。
直接税の種類には以下のようなものがあります。
直接税の種類①国税
- 所得税個人の1年間の利益(所得)にかかります。
- 復興特別所得税東日本大震災からの復興に必要な財源の確保のため、2013年から2037年までの25年間、所得税額の2.1%を収めます。
- 法人税会社や協同組合などの法人の利益にかかります。
- 相続税無くなった人から財産を相続したときなどにかかります。
- 贈与税個人から財産をもらったときにかかります。
直接税の種類②地方税
県税
- 県民税個人の住所または居所法人の事務所、事業所などがある都道府県に対して納めます。
- 事業税個人、法人が事業を営んでいる場合、利益(所得)にかかります。
- 自動車税自動車(軽自動車等を除く)を所有しているときにかかります。
- 不動産所得税土地や建物を取得したときにかかります。
市町村税
- 市町村民税個人の住所又は居所、法人の事務所、事業所などがある市町村に対して納めます。
- 固定資産税土地や家屋、事業に使う機会などを所有しているときにかかります。
- 軽自動車税軽自動車や原動機付き自転車などを所有しているときにかかります。
税金の種類②間接税とは
次に間接税を見ていきましょう。
関節税とは税金を納める義務のある人(納税者)と、税金を負担する人(担税者)が異なる税金のことをいいます。
間接税の種類には以下のようなものがあります。
関節税の種類①国税
- 消費税商品を買ったときや、サービスの提供を受けたときに、地方消費税と合わせてかかります。
- 酒税清酒、ビール、ウイスキーなどを製造上から出荷したときにかかります。
- 揮発油税自動車のガソリンなどを製造上から出荷したときにかかります。1Lあたり48.6円です。
- たばこ税タバコを製造上から出荷したときにかかります。たばこ税とたばこ特別税があります。1000本あたり6622円
- 関税輸入品を国内に持ち込んだときにかかります。
- 印紙税各種の契約書、領収書などのような、経済取引を行ったときに作成される文書にかかります。
関節税の種類②地方税
県税
- 地方消費税商品を買ったときや、サービスの提供を受けたときに、消費税と合わせてかかります。
- 道府県たばこ税タバコの製造業者などが、小売販売業者に売り渡したときにタバコの本数に応じてかかります。1000本あたり930円。
- ゴルフ場利用税ゴルフ場を利用したときにかかります。
- 軽油引取税元売業者などから経由の引取をした容量に応じてかかります。
市町村税
- 市町村たばこ税タバコの製造業者などが、小売販売業者に売り渡したときにタバコの本数に応じてかかります。1000本あたり5692円。
- 入湯税温泉(鉱泉浴場)に入浴したときにかかります。
各税金の仕組み
次に各税金の仕組みについて見て行きたいと思います。
所得税
所得税とは個人の所得(収入から経費などを引いたもの)に対してかかる税金です。
所得が多くなるほど、税率が高くなります。
個人の所得にかかる税金のことを「所得税」といい、会社で給料をもらっている人や自分で商売をして利益を得ている人にかかります。
所得税は、1年間のすべての所得からいろいろな所得控除(その人の状況に応じて税負担を調整するもの)を差し引いた残りの所得(課税所得)に税率をかけて計算します。
税率は、所得が多くなるほど段階的に高くなる累進税率となっており、支払い能力に応じて公平に税を負担するしくみになっています。 会社に勤めている人と自分で商売をしている人では、納税方法が異なります。
会社に勤めている人は勤務先の会社が、あらかじめ本人の給料から所得税を差し引いて、本人に代わってまとめて納税します。これを源泉徴収といいます。
自分で商売をしている人は、1年間の所得と税額を自分で計算し、税務署に申告します。これを確定申告といいます。
法人税
法人税とは、消費税、所得税と並ぶ重要な国税のひとつで、「法人が得た利益に対してかかる税金」です。個人が利益を得たときにかかる所得税と、同じようなものだと考えていいでしょう。
法人税は、税金を納める「納税者」と、実際に税を負担する「担税者」が同じである「直接税」です。ちなみに「間接税」は、納税者と担税者が異なる消費税などを指します。
また、納税の方法は、納税者みずからが税額を計算した上で、所轄の税務署に申告・納税する申告納税方式となっています。
事業活動によって得られた所得に対して課される法人税は、会社の形態によって種類が変わります。
「各事業年度の所得に対する法人税」は、一事業年度において法人が得た所得に対して課されるものです。一般的に「法人税」といえば、この「各事業年度の所得に対する法人税」を指します。
なお、「事業年度」とは、法人税を課す所得を計算する期間のことで、基本的には各法人が定款などで定めている会計期間と同一です。
「各連結事業年度の連結所得に対する法人税」とは、企業グループを1つの納税単位とする「連結納税制度」で計算した場合の法人税になります。「各事業年度の所得に対する法人税」に代わって課されます。
各連結事業年度の連結所得に対する法人税を適用するか否かは各法人の自由ですが、適用する場合はすべての子会社が対象になります。申告と納税を行うのは親会社で、子会社は連結所得の個別帰属額などを記載した書類を税務署に提出します。
「特定信託の各計算期間の所得に対する法人税」とは、おもに信託会社を対象として、特定の信託を運用している場合に課される法人税です。
「退職年金等積立金に対する法人税」とは、退職年金業務等を営む信託会社や保険会社などに対して課される法人税です。
法人が、雇用する従業員の退職年金として払い込んだ掛金は、信託会社や保険会社では、払込みをした年度に計上されます。しかし、実際に課税されるのは従業員が退職して年金を受け取ったときになります。
退職年金等積立金に対する法人税は、このタイミングのずれに対して課せられる法人税です。
なお、法人と一口にいってもその種類はさまざまで、特性や目的によって「課税される法人」と「課税されない法人」に大別されます。
「普通法人」には、株式会社や有限会社、合資会社などが分類されます。日本に本拠地がある場合、国内で得た所得はもちろん、海外にある支店の所得についても、法人税の納税義務があります。
普通法人に対しては、原則としてすべての所得に法人税が課税されますが、期末資本金が1億円以下の場合は税率が軽減されます。
また、「協同組合等」には、原則として法人税が課税されます。農業協同組合や労働者協同組合のほかに、信用金庫も該当します。ただし、税率は普通法人より軽減されています。
そして、「公益法人」は、株式会社や有限会社をはじめとする一般法人と違って、営利を目的とする法人ではございません。祭祀、宗教、慈善、学術、技芸といった公益のみを目的としています。そのため、原則的に法人税は非課税です。
ただし、収益事業を行って収益から生じた場合は、課税対象となります。
さらに、国や地方公共団体が運営する「公共法人」に対しては、法人税は課税されません。
住民税(道府県民税・市町村民税)
住民税とは住んでいる(会社がある)都道府県、市区町村に納める税金です。
道府県民税も市町村民税も一括して市区町村に納めます。
道府県民税と市町村民税は合わせて「住民税」と呼ばれており、住民がそれぞれ住んでいる(会社がある)都道府県や市区町村に納める税金です。「住民税」は住民(や会社)が平等に負担する金額(均等割)と、前年の所得の額に応じて負担する金額(所得割)から成り立っています。
「住民税」も所得税と同じように、会社に勤めている人と、自分で商売をしている人で、納税方法が異なります。
まず、住民税の「均等割」は年額で、市町村民税3000円+道府県民税1000円=4000円です。平成26年度から平成35年度までの間は、地方自治体の防災財源確保のために、市町村民税が3500円、道府県民税が1500円と年額で1000円引き上げられています。
さらに「所得割」といって一定の計算方法に基づいて計算した後に税率(10%)をかけるものがあります。内訳は道府県民税が4%、市町村民税が6%になっています。
しかし税率については全国一律ではなく、地方自治体によって独自の裁量で制限税率の範囲内で、所得割、均等割とも税率設定を行い課税してもよいことになっているので、お住まいの市区町村によっては標準税率ではないところがあります。
住民税が非課税になる場合は3つのパターンがあります。
(1)均等割および所得割の両方が非課税となる場合
- 生活保護法による生活扶助を受けている人
- 障害者、未成年者、寡婦または寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下の人
(2)均等割が非課税になる場合 ※所得が下記の算式により算定した金額以下のとき
- 均等割の非課税基準35万円×(控除対象配偶者・扶養親族の合計数+1)+21万円* *算式中の21万円は、控除対象配偶者または扶養親族がいる場合に加算される
(3)所得割が非課税になる場合 ※所得が下記の算式により算定した金額以下のとき
- 所得割の非課税基準35万円×(控除対象配偶者・扶養家族の合計数+1)+32万円* *算式中の32万円は、控除対象配偶者または扶養親族がいる場合に加算される。
※(2)(3)の均等割や所得割の非課税の基準は、各市区町村によって異なります。
参考: 市町村税関係資料
住所地と納付先
1月1日現在に住所を有する都道府県および市区町村に納付します。このため、1月1日以後に住所を移転した場合でも、その前年度分の住民税は1月1日に住んでいた住所地に納付することになります。たとえば、1月1日に東京に住んでいて大阪に引っ越した場合には、納付するのは東京の市区町村です。さらに年の途中で出国した場合については、翌年に住民税は課税されません。12月31日に出国するのか翌年の1月1日に出国するのかで税負担が異なってきます。
参考: 個人住民税(区市町村民税・都民税)特別徴収の事務手引き
酒税
酒税とは日本酒、ビールなど、お酒にかかる税金です。
製造者または輸入者が納税しますが、負担するのは消費者です。
日本酒やビール、ウイスキーなどのお酒にかかる税金のことを「酒税」といいます。 アルコール分1度以上の飲料が対象になり、税額はお酒の種類やアルコール度数によって細かく決められています。製造者または輸入者が納税しますが、価格に含まれているため、負担しているのは消費者です。
たばこ税・たばこ特別税
たばこ税とは、たばこにかかる税金です。 たばこ税は製造者または輸入者が納税しますが、負担するのは消費者です。
紙巻たばこやパイプたばこなど、各種のたばこにかかる税金のことを「たばこ税・たばこ特別税」といいます。製造者または輸入者が納税しますが、価格に含まれているため、負担しているのは消費者です。たばこ税は国に納められる国税と、地方に納められる地方税に分けられます。
※たばこ特別税(たばことくべつぜい)は、一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律(平成10年法律第137号)に基づき、製造たばこに対して、当分の間課されることとなった税金です。
※地方税分は、道府県たばこ税と市町村たばこ税の合計です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は一目で税金の種類を掴んでいただけるように、一覧表にさせていただきました。
ぜひ当記事を参考にしていただき、税金の種類を正確に学んでいただければ幸いです。