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社長は年金がもらえるのか?会社設立後の年金について、詳しく解説!

社長は年金がもらえるのか?会社設立後の年金について、詳しく解説!

会社設立後、大規模な会社ならまだしも、一人会社の社長や、小規模の会社の社長の場合、社長自身の年金がどうなるか、気になる人はいるのではないでしょうか。個人事業であれば老齢基礎年金(国民年金)ですが、会社員であれば厚生年金です。

しかし社長はどのような年金でしょうか。ここでは会社設立後の社長の年金について解説します。

年金制度を軽くおさらい

会社設立後に社長が年金をもらえるかどうかの前に、まずは日本の年金制度について解説します。

日本の年金は2階建て

日本の年金制度は「2階建て」と呼ばれています。20歳を超えてから滞納せずに毎月納めていれば基本的にもらえる国民年金を「1階」、その上に会社員ならさらにもらえる厚生年金、他にも1階の国民年金に上乗せしてもらえる国民年金基金があり、それは「2階」に属します。

また、企業年金のような私的な年金制度もあります。これは1階の国民年金と2階の厚生年金のさらに上に属する3階部分にあたります。

このように階数が上がれば上がるほど、老後に受給できる年金が増える仕組みとなっています。また年金制度では加入する人の立場によって、呼び方があります。

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  • 第1号被保険者:自営業者、無職
  • 第2号被保険者:会社員、社長
  • 第3号被保険者:第2号の被扶養配偶者[専業主婦(夫)や低所得の妻もしくは夫]

どの立場にあっても全員が国民年金の加入者であることは変わりません。それでは国民年金と厚生年金を解説します。

国民年金

国民年金とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方すべてが強制加入しないといけない年金制度です。自営業や農業、漁業に従事している人は自分で納めることになります。

国民年金は年金制度の基礎(1階部分にあたる)ですから、会社員でも国民年金には加入していることになります。また国民年金の保険料は、平成30年度(平成30年4月~平成31年3月まで)ですと、月額16,340円です。

1年間で16,340円×12カ月=196,080円になります。20歳から60歳まで40年間払いつづけると、196,080円×40年=7,843,200円を総額で支払うことになります。

また、国民年金の保険料は毎年度見直しが行われており、その額は年々増えています。このままいくと少子高齢化により日本の年金制度は崩壊しますから、総額はさらに大きくなるでしょう。

厚生年金

厚生年金とは日本の年金制度の2階部分にあたる年金で、1階の国民年金に上乗せされて給付される年金です。65歳以降に、1階の国民年金の金額に、厚生年金保険の受給額が加算され、1階と2階の合計金額を受給することとなります。

厚生年金に加入するのは、主に会社員です。会社(法人)に属するのであれば、強制加入しないといけない制度です。また、自営業者であっても常時雇用する人数が5人以上であった場合には、強制加入業者となります。

常時雇用する従業員が4人以下でも従業員の2分の1以上が加入に同意する場合には申請をすることにより、任意加入(強制加入業者ではないが入ることができる)できます。

厚生年金の保険料の決め方は、毎年4~6月の給料(支給ベース)を元に計算する標準報酬月額と、賞与に対して共通の保険料率をかけて算出します。例えば平成29年9月、標準報酬が20万円の場合、20万円×18.3%=36,600円(全額)です。

厚生年金は会社と従業員で折半(労使折半と言います)します。ですから先ほどの36,600円が毎月納める厚生年金の場合、従業員の負担は36,600×50%=18,300となります。18,300円が給料から控除(引かれる)される厚生年金ということです。

最終的にもらえる厚生年金の金額は、厚生年金に加入してきた期間の長さと、支払ってきた保険料の額によって決まります。

社会保険とは

今まで厚生年金の話をしていましたが、ここで社会保険について整理します。社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険をまとめて社会保険と呼びます。

会社にすれば、社会保険に加入しますから、国民健康保険(国保)と老齢基礎年金(国民年金)に新たに入る必要はなくなり、社会保険だけでこれらが全てカバーされることとなります。

社会保険では、扶養の条件や国民健康保険と金額などが変わりますが、一般的に条件がよくなることが多く、法人は社会保険の強制加入業者とはいえメリットのほうが大きいでしょう。

会社設立後の社長はどの年金にあたる?

会社を設立した場合に、社長の年金は、社会保険の一つである厚生年金(2階部分)の加入者になります。つまり他のサラリーマンと同じ扱く、第2号被保険者となります。

誰もが知っているような大企業の社長でも、反対にどれだけ小さい会社の社長であっても、他の会社員と同じく厚生年金の加入者となります。

社長の給料は、役員報酬と呼ばれ、会計上別の勘定科目となりますが、会社からもらえる給料に変わりありません。社会保険の標準報酬月額表も社長だけ別に作られているわけではありません。社長も会社員も同じ扱いで、社会保険の加入者となります。

会社を設立後の社長の妻(専業主婦)について

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会社を設立後に、社長の妻が専業主婦だった場合、どうなるでしょうか。専業主婦は第3号被保険者と呼ばれ、階数ですと1階部分にあたります。自営業者の妻の場合は、1階の国民年金を支払う必要がありますが、社会保険である厚生年金に旦那が加入し、妻が専業主婦もしくは定められた金額以下の収入であれば「扶養」となり、妻自身が国民年金を支払う必要はなくなります。

妻の扶養の条件

年間の収入が130万円(60歳以上、もしくは障碍者の場合は180万円)未満であることが社会保険の扶養の条件ですが、気を付けないといけないのは、年間トータルではなく、見込み額を年額に換算して判定するということです。

具体的に言いますと、直近3ヶ月の給料の平均を12倍し、130万円未満であれば社会保険の扶養者になることできます。

それでは社長の妻はどのような扱いになるでしょうか。社長であったとしても、厚生年金の加入者ですから、社長の妻も、他の従業員の妻と同じ扱いとなります。

つまり、社会保険の扶養の条件を満たしていれば、社長の妻も社会保険の扶養扱い(第3号被保険者)となり、社会保険料を自ら支払う必要はありません。その代り将来もらえる年金は、1階部分の国民年金部分だけです。

もし扶養から外れるほど働き、社長の妻自ら社会保険に加入すればそれだけ老後にもらえる年金の受給額は大きくなります。

社長の妻であったとしても、社会保険の扶養に入れますし、さらに扶養から外れるほど(具体的には年金見込み収入が130万円以上)、社長自身の会社で働いても社会保険に加入できます。

法人は家族であっても給料を出すことができます。社会保険の加入者となる必要書類を提出すれば、会社の経費は増えますが、妻でも社会保険に加入ができます。もちろん社長も社会保険の加入者ですから夫婦そろって社会保険にそれぞれ加入する形をとることができます。

具体的に言いますと、例えば社長が月額50万円、妻(社長の会社で経理として働いている)が月額20万円それぞれ給料をもらっていますと、それぞれ社会保険に加入し、老後はそれぞれ加入した期間と支払った金額に応じて厚生年金を受給することができます。それには法人の資本金がいくらであっても関係ありません。

妻が扶養から外れることが悪い風に捉える人もいますが、老後にもらえる年金が増えるわけですし(専業主婦のような第3号被保険者であれば国民年金しか妻はもらえない)、さらに会社としても経費が増えることにより法人税の節税にもなります。

節税と言いましてもキャッシュアウト(現金が流出)することには変わりませんから、会社の財務状況に応じて考える必要があります。

利益がいつも出て困るぐらいでしたら、社長の妻に扶養から外れるくらい給料を出し、経費を出すことで利益を抑え、さらに社長と社長の妻の老後に備えるなど、法人にすれば様々な選択肢が与えられます。

今もし個人事業もしくは独立を考えているのであれば、将来に備えるという意味で、法人は選択肢の一つとして考えましょう。

会社設立(一人会社)の社長は社会保険に加入しないといけないのか?

だれも従業員を雇わずに社長一人会社であっても、役員報酬が出ている限り、社会保険には加入しないといけません。とはいえ、社会保険に加入すれば、妻を第3号被保険者として扶養に入れることができます。

社会保険に入れば一人会社であれば労使折半とはいえ、結局自分で全額納めるようなものですから、一見費用がかさむだけに見えますが、扶養のことを考えるとそこまで損するわけではなく、むしろ保証が手厚くなる分メリットのほうが大きいと言えるでしょう。

勘違いしてはいないことが、社会保険のうち厚生年金の扶養については、「20歳以上60歳未満の配偶者(内縁の配偶者含む)」のみが対象です。

しかし健康保険の扶養に関しては、内縁配偶者やその父母、子なども対象となるため、扶養の範囲は広くなり、より社会保険に加入するメリットが増えると言えるでしょう。

会社設立後の社長の役員報酬がゼロであった場合、どうなる?

ここで疑問に思うことの一つが、従業員が誰もおらず一人会社で、もし役員報酬がゼロ、つまり無報酬であれば社会保険はどうなるかです。

会社を設立すれば、資本金がいくらであろうと社会保険の強制加入業者です。しかし、資金繰りが苦しく、役員報酬が支払われていない場合、社会保険に加入する義務はありません。そもそも社会保険料の算定は、月額報酬がいくらで計算しますから、ゼロの場合は、計算のしようがないということです。

気を付けないといけないことは、1円でも出ていれば、最低金額の社会保険料は支払う必要が出てきますし、さらに従業員が1人でもいればこれもまた社会保険の強制加入業者となりますから、社会保険料に支払う必要があります。

このようになりますと、役員報酬をゼロにすれば社会保険料を支払わなくて済み、一見資金繰りが楽になるようにみえますが、社会保険に加入しなくていいということは、国民健康保険と国民年金に加入する必要があるという事です。

もちろん妻がどこか別のところで働いており、妻の扶養に入るという手もありますが、そうでない場合は、何かしらの保険に入らないといけませんから、注意しましょう。

結局、会社設立後の社長は将来年金がもらえるの?

結論から言いますと会社設立後の社長は、他の会社員と同じく社会保険に加入し、厚生年金の第2号被保険者扱いです。老後は他の会社員と同じく加入した期間と支払った金額に応じて国民年金と厚生年金が受給できることとなります。

どれだけの金額が老後にもらえるかどうかは、社長の給料次第です。頑張って会社を繁盛させ、社長の役員報酬の金額を上げれば上げるほど、将来もらえる年金の金額は増えていくことになります。

まとめ

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社長であっても他の会社員と同じく社会保険に加入し、相当期間年金を収めていれば、老後に年金がもらえます。独立を考えていたが将来不安な人は、社長も年金がもらえることを念頭に行動を起こすことをおすすめします。

将来はだれにも分かりません。だからこそ今できることをし、後悔のないようにしていくべきではないでしょうか。また、年金制度も将来どうなるかわかりません。今現時点ではこのような制度になっておりますが、法律が改正されればこれもまた保証されるわけでありません。

もし独立を考えているのであれば、悪い方向に変わる前に計画を立て、早め早めに行動に移すことをおすすめします。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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