会社法がどんなものなのか気になっている方はいませんか。 会社を設立し、経営者として運営して事業を展開していくためには、法律の知識も必要になります。
会社法は、法人を対象とする法律であり、会社法で定められた範囲内で健全に会社を経営していくために必要です。
この記事では、会社法についてより詳しく解説しています。
会社法について全く理解できていない方でも、わかるように記事執筆しているため、ぜひ一読してみてください。
会社法とは?
会社法とは簡単にいうと、会社の設立から解散、組織運営や資金調達などの会社に対するルールを法律としてまとめたモノのことを指しています。 例えば、経営者や起業を考えているビジネスマンの方には有名な話ですが、平成18年の会社法ができたことによって資本金の制限がなくなり、資本金1円で会社を設立できるようになりました。
平成17年以前の会社法改正までは「株式会社の場合は最低1,000万円」、「有限会社の場合は最低300万円」の資本金が必要でした。
会社法の改正は会社経営自体のルールを大きく変えてしまう可能性があるほど、企業にとって重要な法律の1つなのです。
会社法の成り立ち
会社法が施行されたことによって、これまで分散されていた以下の3つの法律が1つにまとまりました。
- 商法第2編
- 株式会社の監査などに関する商法の特例に関する法律
- 有限会社法
法律が分散されていると、該当するいずれかの項目に従いながら適応しなければならなかったりして、非常に分かりづらいことが多く不便な部分が非常に多くありました。
会社法が施行されたことによって、これらが一本化され改めて法律を再編成したものが新しい「会社法」の1つです。
経営者にとって会社法の知識が必須
会社法は、会社経営に対する機動性や柔軟性を向上させることによって、健全な会社経営を図るなどを主な目的として定められたモノであり、会社に対するあらゆるルールが定められています。 会社法は全ての企業が対象であるため、会社をこれから経営されている方にも必須の知識であると言えるでしょう。
会社にはどんな種類のものがある?
会社法における会社の種類は、株式会社と持分会社の2種類に分類されています。
- 株式会社
- 持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)
旧商法では、株式会社の他に有限会社という会社の種別が存在しました。
しかし、新会社法の施行によって有限会社制度が消失したため、今から新たに有限会社を設立することが出来なくなりました。
会社法では「株式会社」と「持分会社」で区分されていますが、株式会社と持分会社ではどんな違いがあると言えるのでしょうか。
株式会社
株式会社は不特定多数の出資者から大きな資金を集めて、大きな事業を展開し営利を目的に活動しています。 株式会社では、業務を執行する際に「出資者(株主)」と経営を執り行う「取締役」が区別されており「所有と経営の分離」がされているという特徴があります。
ただ株主が取締役を兼ねているオーナー会社では結果として社員が会社を運営することになります。
日本では、持分会社と株式会社では圧倒的に株式会社の方が利用されています。
株式会社における株式には以下のような特徴があります。
株式平等の原則
会社法では「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならい」と規定されています。 これを「株主平等の原則」と呼んでいます。議決権や配当請求権が持株数に応じて与えられているのも「株主平等の原則」の表れであるとも言えます。
株式譲渡自由の原則
株主は、その株主が有する株式を原則として自由に譲渡できるという原則のことです。 株式会社において株主は「間接有限責任」を負うのみとされており、会社の債権者は株主に対して直接に再建の履行を請求することはできません。
また、債権者にとっては、会社財産だけが頼りになるため、株主の側にも出資の払戻しが原則として認められていません。
出資の払戻しができない分、株主には資金回収の方法が必要となるため「株式譲渡自由の原則」が認められています。
株式の種類
株式は1種類だけではなく、下記の3種類のものを発行することが可能です。
- 譲渡制限株式・・・譲渡に際してその会社の承認が必要な株式
- 優先株式・・・剰余金や残余財産の分配に関して他の株式よりも優越する内容となる株式
- 議決権制限株式・・・株主総会での議決権の全部または一部が制限された株式
権利内容に何も制約がない基準となる株式を普通株式と呼ばれているため覚えておきましょう。
持分会社
持分会社とは、先ほど解説したように「合同会社」「合資会社」「合名会社」の3つを総称したものを指しています。 持分会社を設立するメリットは「会社は一体誰のものなのか?」を考えた時に、出資者と経営者が同じなため双方の対立がないという点です。一方、株式会社の場合は、株主の存在を無視することが不可能です。
株主という出資者がいるため、人事や経営方針にも株主の顔色を伺わなければならないのです。
持分会社である場合は、社員が従業員であると同時に出資者でもあるため、会社内でのルールや方針などを決めて書類として提出する定款の作成時や、法人の意思決定の際にも、そういった問題はありません。
有限責任と無限責任の違い
会社は万が一に倒産した場合、誰かが未払いになった借金などの支払い義務を負わなければなりません。 この借金などの支払い義務を誰が、どのくらい負うのかを定めるために作られているのが、「有限責任」と「無限責任」です。
一般的な企業である株式会社や合同会社(LLC)は有限責任です。
有限責任の場合は、出資した範囲内を上限としその責任を負うことになり、それ以上の支払い義務は発生しません。
反対に、合名会社や合資会社、さらに個人事業として事業を行う場合には無限責任となります。無限責任の場合、会社が倒産した時に会社に負債があると、その負債総額を債権者に返済しなければならなくなります。
会社を設立した人からすると、責任の範囲が狭い方がリスクが低いため、無限責任よりも有限責任の方が望ましいと言えます。
会社法における社員の規定と役割
会社法において役員として定義されているのは「取締役・会計参与・監査役」の3役で、それぞれ役員は会社全体をまとめるなどの会社にとって非常に重要な役割を担っています。
会社法で定められている役員の役割には以下のようなことが存在します。
取締役
取締役会というのは、株式会社の業務執行を決定し会社の運営を担うための機関で、株主総会で選任されます。取締役は株主から非常に厳しく評価されるため、会社にとって非常に責任重大です。
取締役会の任期は一般的に2年から最長10年と定められることが多いです。
会計参与
会計参与は、会計監査人がいない中小企業を対象としていて、取締役や執行役と共同で会社の会計を行なっている機関です。 会計参与になれるのは、公認会計士や税理士などの国家資格保持者や監査法人のみです。
監査役
監査役は、取締役の職務執行などで違反がないかどうかを監査すると共に、定時株主総会で提出される会社計算書類を監査している機関です。 これと同時に監査方針の決定や監査報告の作成なども行う機関です。
会社法が活用される場面
会社法が活用されている場面としては、以下のような場面があります。
- 会計帳簿の保存期間
- 募集株式を発行する場合
- マイナンバーの法人番号
会計帳簿の保存期間
会社法では会計に関する帳簿及び計算書類は10年間保存しておかなければならないことが、会社法第432条及び第435条で定められています。 一方、法人税法では法人税施行令規則第59条により、7年間の計算書類と帳簿書類の保存が定められています。
平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされました。
それに伴い平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。
また、平成27年度及び平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。
募集株式を発行する場合
会社が安定した企業活動を行なうために、円滑な資金調達が必要不可欠となります。
株式会社が資金調達する手段として、以下の方法が挙げられます。
- 金融機関から融資を受ける
- 新株を発行する
- 自己株式を処分する
- 社債を発行する
中でも新株の発行と自己株式の処分は「募集株式の発行等」とし会社法第199条以降で定められています。
募集株式の募集事項の決定は、株主総会の決議を経なければならないことは会社法第199条第2項でも定められています。
株主総会で決議すれば、募集事項の決定を取締役会に委任することができることに関しては、会社法第200条によって定められています。
しかし、201条1項の規定によって、公開会社では募集事項の決定は取締役会の決議を経なければならないこととされています。
また株券は、原則として発行しないことは会社法第214条、株式を自由に譲渡することができることは会社法第127条にて定められています。
マイナンバーの法人番号
マイナンバーの法人番号は1法人につき1つの法人番号が本社に対して通知されています。
会社法第4条(住所) 会社の住所は、その本店の所在地にあるものとする。
というものによるものです。
「会社」と一口に言ってもそれが、本店や支店、親会社、子会社に該当するのかは不明確です。
しかし会社法で定められている、会社の住所とは「本店の所在地」であると明確に定義されているため、マイナンバーの法人番号は本社のみに通知されます。
最低限覚えておきたい会社法
会社法は全てを合わせると979条まで規定されており、非常に膨大な条文が存在します。 こうした膨大な量に加えて記載されている言葉の使い回しや表現構成などが複雑化されており、法律を専門に扱う専門家でさえ難しい法律だと言われています。
最低限、覚えておきたい会社法の条例を以下にまとめているため、会社を経営される方なら、ぜひ覚えておくと良いでしょう。
第2編「株式会社」(第25条~第574条)
株式会社の設立から、株式発行に関する手順、会計方法、さらには取締役機関の設置や解散、清算など、株式会社の経営に関する様々な規定が定められています。
第3編「持分会社」(第575条~第675条)
持分会社「合同会社、合資会社、合名会社」の3種それぞれの形態に関する様々な規定が定められています。
第5編「組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転」(第743条~第816条)
会社組織の再編や変更、合併や会社分割、株式交換や株式移転など、M&Aをおこなう際の手続きなどに関する規定が定められています。
第7編「雑則」(第824条~第959条)
株式会社の解散命令や、訴訟、非訟、登記、公告に関する規定が定められており、損害賠償など起訴のルールをはじめ、会社の登記方法や登記期限なども定められています。
参考:会社法
会社法まとめ
今回は会社を運営する際の会社法とは何なのか、どんな場面で会社法を利用しているのかなどについて解説してきました。 会社法は会社を運営する上で非常に重要な法律であるため、これから会社を設立しようと考えている方も知っておきたい法律の1つです。
ただ会社法も非常にボリュームがあるため、全てを自分で理解するのはかなり難しいですよね。
法律や税金などの専門分野に関しては、専門家の人の意見を聞くのが1番なので、経営者の方は何かわからないことがあったら専門家に相談してみてください。