会社設立

会社を設立したあとの手続きと流れを徹底解説

会社を設立したあとの手続きと流れを徹底解説

会社を設立する前の準備はたくさんあります。しかし、会社を設立後にすべき手続きもいくつかあるのです。設立までに定款を作ったり資本金を入金したりすると、登記が終わってほっとするものです。

登記申請をしたらそれで手続きが終わりだと思ってしまいます。実は登記の後にも重要な手続きが残っているのです。会社設立後には、どんな手続きをしなければいけないのか詳しく解説していきます。

都道府県などの自治体に行ってすべきこと

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まずは地方自治体に行ってすべきことについてチェックしておきましょう。地方自治体に行って地方税に関する手続きをしなくてはなりません。この地方税の手続きをする前に、どんな税金を支払う義務があるのか知っておく必要があります。

  • 住民税
  • 事業税
これら二つの税金は地方税として地方自治体に支払うべきものです。会社が都内にあれば都道府県税事務所に行けば良いですし、それ以外の場所なら自治体の法人住民税課に行ってください。

各自治体で届け出る書類のフォーマットが微妙に違っています。会社を設立してから提出までの期限も自治体によって異なっているので気をつけてください。都内なら会社設立後15日以内ですし、それ以外の自治体は大体15日から1ヶ月以内となっています。

税務署に届け出る書類の締め切りについて解説

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税務署に届け出る書類の締め切りについても知っておきましょう。法人設立届出書は会社設立後2ヶ月以内に提出すべきです。提出するときには、いくつかの添付書類を忘れないようにしてください。

  • 定款のコピー
  • 株主名簿
  • 貸借対照表
以前は登記事項証明書も添付しなければいけませんでしたが、今は必要ありません。株主名簿や貸借対照表は決まったフォーマットがあるわけではないので、自分で作成した書類を添付してください。

青色申告の承認申請書は、会社設立後3ヶ月以内に提出しなければなりません。この提出を忘れてしまうと白色申告になってしまいます。青色申告の方が節税が出来るので、早めに申請しておきましょう。3ヶ月以内に事業年度末が来てしまうなら、年度末の前に必ず提出しておいてください。

社員の給与に関係した書類の締め切りについて

会社の社員に給与を支払うために必要な書類は給与支払事務所等の開設届出書です。この書類は会社設立後1ヶ月以内が締め切りです。自分の会社は社員が自分しかいないから届け出をしなくても良いだろう、と考えてしまうかも知れません。

しかし、自分しかいなくても社員が1人いる訳なので、この書類提出は必須となります。 社員数が少ないときに覚えておきたいのは、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出です。

この書類を提出しておくと、源泉徴収所得税の納付が半年に一回で良くなります。通常は毎月しなければならないのですが、社員の数が少ない会社は半年に一回にまとめられます。社員が9人までであればこの申請が出来ます。

他に提出すべき書類の締め切りとは?

他には減価償却資産の償却方法の届出書や、棚卸資産の評価方法の届出書が必要です。減価償却資産の償却方法の届出書は、会社設立後の1期目の確定申告が締め切りです。この書類は減価償却資産を定額法にしたい法人だけが作成すべきものです。

棚卸資産の評価方法の届出書の締め切りも1期目の確定申告の提出期限です。1期目の最後に在庫している棚卸し資産の評価を、自分で選びたいときに提出してください。有価証券を持っていて、帳簿への算出方法を移動平均法以外にしたいときには、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書が必要です。

締め切りは有価証券を取った日を含む事業年度の確定申告の提出期限です。忘れてならないのは、法人の資本金が1千万円を超えていたなら消費税関係の届出書を出すという点です。

締め切りは適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです。

労働基準監督署ではどんな手続きをしなければいけないの?

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労働基準監督署ですべき手続きは、下記の書類を提出することです。

  • 労働保険 保険関係成立届
  • 労働保険 概算保険料申告書
社員を雇うと会社には労働保険に入る義務が生じます。業務を行っているときに怪我をした社員へ労災保険を適用するために必要な手続きです。

保険関係成立届は労災に加入するための届け出です。社員を雇った日から10以内に提出してください。

概算保険料申告書は、保険料を申告したり納付したりするための書類です。社員を雇用してから50日以内に届けなければなりません。

これらの手続きは雇っているのが正社員でもアルバイトでも必要となります。自分の会社の所在地を監督している労働基準監督署へ行って手続きをします。

上記の二つの書類は、電子政府の総合窓口e-Govからダウンロードすることが可能です。

年金事務所での手続きに必要なこととは?

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年金事務所ですべき手続きについて具体的に解説します。会社を設立した後は社会保険に入らなければなりません。社会保険加入の手続きを年金事務所で行っていきます。提出しなければいけない書類は主に三つです。

  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
  • 健康保険 被扶養者(異動)届
会社設立後に必ず健康保険・厚生年金保険 新規適用届を提出しなければなりません。もし社員が社会保険へ加入する条件を満たしているなら、健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届を提出する必要があります。

その社員に被扶養者がいるケースでは、健康保険 被扶養者(異動)届も同時に届け出なければなりません。

これらの書類は日本年金機構の公式ホームページからダウンロード出来ます。年金事務所に行くのが大変なときには、郵送かインターネットから書類を送れます。インターネットを使って手続きをしたいなら、いくつかの上限を満たす必要があります。詳しくは公式ホームページをチェックしてください。

ハローワークですべき手続きを徹底解説

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社員を雇うなら、ハローワークでの手続きが必要です。 ハローワークでは雇用保険の手続きをしていきます。

下記の二つの書類を提出してください。

  • 雇用保険 適用事業所設置届
  • 雇用保険 被保険者資格取得届
雇用保険 適用事業所設置届は従業員を雇って、その従業員が31日以上働く見込みがあるときに提出しなければなりません。労働時間が毎週20時間以上であることも雇用保険の条件です。雇用をしてから10日以内に届け出る必要があります。

一旦、雇用保険 適用事業所設置届を提出したなら、後は雇用保険の条件を満たす新たな従業員を雇うごとに雇用保険 被保険者資格取得届を提出してください。

雇用保険 被保険者資格取得届の締め切りは、従業員が入社した日の翌月10日までです。

これらの書類はハローワークの公式ホームページからダウンロード出来ます。提出するときはハローワークの窓口に行っても良いですし、電子政府の総合窓口e-Govから手続きをすることも可能です。

会社設立後にすべき会社内での手続きってあるの?

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会社設立後にすべきなのは社外の手続きだけではありません。

社内での手続きも必要となります。 どんな手続きが必要になるのでしょうか。

役員報酬を決めよう

会社設立後の3ヶ月以内に役員報酬を決めなければなりません。 定款で決めておくことも出来ますし、株式会社なら株主総会で決定する必要があります。 株主が自分1人でも株主総会をしてください。 自分で総会を開き、決定した内容を株主総会議事録に記録しておく手続きが必要です。 この手続きは会社法318条で定められているので必ず行ってください。

議事録の作り方

初めて議事録を作る人は、どうしたら良いのか分からないかも知れません。議事録は難しいものではなく、シンプルなもので良いので安心してください。株主総会を開いた場所と日時、参加した人たちの名前を記載していきます。

それから役員報酬というテーマについて話したこと、最終的にどんな決定がなされたのかを書いておきましょう。誰がどんな発言をしたかなどを書いておくことも大切です。作成した議事録は印刷してファイルに綴じておくか、ハードディスクやUSBメモリなどを使って保存しておきましょう。

会社設立後の手続きをサポートしてくれるサービスとは?

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ここで紹介してきた会社設立後の手続きを行うのは大変だと感じるかも知れません。実はこれらの手続きを簡単に行えるサービスがあります。

設立したい会社名や資本金などを入力していくだけのサービスです。指定されたフォーマットに情報を入力していくだけで、会社設立前後に必要な書類を自動で作成してくれます。

コストが安くなる電子定款なども作ってくれるので便利です。

インターネット上だけでは終わらない手続きがありますが、どこに行けば良いかも教えてくれます。 公証役場や年金事務所、そして法務局や税務署などの場所をガイドしてくれるので助かりま す。

どの場所でどの書類を提出すれば良いか指示してくれます。印鑑や口座の準備、会計のためのソフトなどもすべて整っているので初めて会社を設立する人には役立つでしょう。

しかし、すでに会社設立の経験がある方は、自分でした方が楽だと感じるかも知れません。 各自のニーズに応じてどのように手続きをしていくか決めましょう。

まとめ

起業するための手続きは会社設立前だけではなく、会社設立後も多くあります。地方自治体に行って地方税に関する手続きをしたり、税務署でいくつかの書類を提出したりしなければなりません。

税務署に提出する書類は多いので、それぞれの締め切りを間違えないようにしてください。 労働基準監督署や年金事務所での手続きについても忘れないようにしましょう。

労災や社会保険は、従業員に気持ちよく働いてもらうためには必須の事柄です。会社外の手続きだけではなく、会社内の手続きも覚えておかなければなりません。

役員報酬を決めるために株主総会を開いたり議事録を作ったりしてください。登記申請後に安心してしまうのではなくて、設立後の手続きを最後までこなしていきましょう。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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