会社を設立する際には税務署や都道府県税事務所など、さまざまな機関に届出書などを提出しなければなりません。そのほかにも事業に使用する備品などを準備する必要がありますが、忘れてはいけないのが「印鑑」です。会社が発行する請求書や契約書など、ほとんどの書類には押印する必要があります。しかし、印鑑にはそれぞれの用途に応じて種類が分かれているため、
「どのような印鑑を使用すればよいのかわからない」
「そもそも印鑑は必要なのか」
と考える人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 会社設立に印鑑は必要なのか
- 会社で使用する印鑑にはどのような種類があるのか
- 印鑑はどこで購入するのがよいのか
このような疑問について解説していきます。印鑑の種類と使用用途をしっかりと把握し、納得がいく印鑑をつくるための参考にしてください。
会社の設立に印鑑は必要?
会社を設立する際には必ず印鑑の準備をしておく必要があります。
会社を設立する際には、
- 会社の実印
- 発起人の実印・印鑑証明書(定款認証時)
これらを準備しておく必要があります。
定款とは会社に関するさまざまな事項をまとめた規則のようなものであり、一般的には次のような構成になっています。
- 総則 (会社の商号や本所所在地、目的など関する事項)
- 株式 (発行株式数、株式譲渡制限規定など関する事項)
- 株主総会 (開催時期や議決要件など関する事項)
- その他の機関 (役員の人数や役員の任期などに関する事項)
- 計算期間 (事業年度や配当などに関する事項)
- 附則 (資本金の額や発起人の氏名などに関する事項)
定款を作成した後は、公証役場で認証を受ける必要があり、認証を受ける際には次のものを準備する必要があります。
- 定款3部
- 発起人の印鑑証明書
- 委任状
- 発起人の実印
- 発起人の身分証明書
定款の認証を発起人ではなく、代理人がおこなう場合は、委任状が必要です。委任状を提出する際には委任状のほかに、代理人本人であることを証明する身分証明書も必要です。委任状は定款の認証をおこなう公証役場のホームページにあるサンプルを参考にしましょう。
会社で使用する印鑑の種類とその役割
会社で使用する印鑑にはいくつかの種類があり、それぞれ役目が異なります。印鑑はそれぞれの用途に合わせて使用する必要がありますが、業務内容によっては必要ではないものもありますので、「どの印鑑を用意しておけばよいのかわからない」という人はぜひ参考にしてください。
会社実印/代表社印
会社実印(代表社印)は会社の設立手続きの際に必ず必要な印鑑です。
会社実印は会社を代表する印鑑であるため、
- 会社にとって重要な契約を結ぶ際
- 市区町村や官公庁などへの書類提出の際
などに使用されます。
会社印には会社の名前だけではなく、「代表取締役之印」や「代表社之印」といった役職名などの文言を刻印します。そのため、会社の代表者として使用する印鑑でもあることから「代表者印」と呼ばれることもあります。
また、会社印の形は丸形のものがほとんどであるため、「丸印」と呼ばれることもあります。
会社銀行印
会社銀行印は金融機関での手続きの際などに使用する印鑑です。
会社銀行印を使用する場面としては、
- 法人用の口座を開設する際
- 手形取引や小切手などを発行する際
などがあげられます。
銀行印は一般的に会社名のほかに、「銀行之印」という文言が刻印されています。
会社銀行印は会社実印として使用できますが、会社銀行印を紛失してしまった場合、同時に会社実印を紛失したことにもなるため、なるべく個別に作成しておくことがおすすめです。会社銀行印は会社実印と同様に丸形であることから、差別化をはかるためにも、小さめのサイズでつくることが一般的です。
会社角印/社印
会社角印は社内向け文書や、社外向け簡易文書を作成する際などに使用する印鑑のことをいいます。
会社角印/社印を使用する場面としては、
- 社内への通知文書などを作成する際
- 領収書や見積書、注文書などを発行する際
などがあげられます。
会社角印は会社実印や会社銀行印とは異なり、四角の形状であることから「角印」と呼ばれています。また、社内文書に使用される機会が多いことから「社印」と呼ばれることもあります。
会社角印には会社名が刻印されますが、「~株式会社乃印」といったように、会社名の語尾に「印」や「之印」といった文言をつけたものが一般的です。
また、会社角印は使用頻度が高い印鑑であるため、偽造され悪用されるケースもあります。そのため、書体などにおいても偽造されづらいものにすることをおすすめします。
会社認印
会社認印は会社実印や会社銀行印などの代わりといった位置づけの印鑑です。会社によっては会社角印を会社認印の代わりとする場合もあります。
会社認印を使用する場面としては。
- 荷物や郵便物などを受領する際
などがあげられます。
会社認印は使用機会が多く、自由度の高い印鑑であるといえます。会社認印には「会社名」のほかに、「代表取締役之印」や「代表社之印」といった役職名などの文言を刻印します。会社実印と同じような内容となるため、サイズや印影などデザイン面に気をつけることで、悪用されるリスクを回避できます。また、会社で使用する印鑑の中でも最も文字が読み取りやすくなっているケースが多いです。
印鑑証明書とは
印鑑証明書の正式名称は「印鑑登録証明書」といい、押印された印鑑が本人のものであることを証明するものです。会社を設立する際には発起人全員の実印が必要ですが、その際にも実印による押印と印鑑証明書を提出することで、押印された印鑑が本人のものであることを証明できます。
印鑑証明書は事前に印鑑登録をおこなう必要があります。印鑑登録は住民票を登録している自治体でおこなうことができ、登録後は「印鑑登録証」が交付されます。ここまでの手続きをおこなえば、自治体にて印鑑証明書を取得できます。また、自治体以外のコンビニエンスストアなどに設置されている専用端末でも印鑑証明書は取得でき、その際には印鑑登録証が必要です。
会社の印鑑は何を基準に選べばよい?
会社の印鑑に限らず印鑑にはさまざまな種類があり、「どのような印鑑をつくってよいのかわからない」といった人は多いのではないでしょうか。
印鑑をつくる際には
- 素材
- 大きさ
- 書体
など、さまざまな要素において何を優先するのかを決めていかなければなりません。会社の印鑑は設立の際だけではなく、これからの長い期間使用することからも、納得がいく印鑑をつくるようにしましょう。
印鑑の素材で選ぶ
印鑑の素材に使用されるものの代表例としては、
- 木材を使用したもの
- 水牛の角などを使用したもの
- 金属系のもの
- その他のもの
などの素材があります。
素材にはそれぞれ特徴があり、素材の特徴や金額などのバランスを考慮しながら選んでいく必要があります。
素材 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|
木材系 | 柘 (ツゲ) |
・硬さと粘りのバランスが良い ・捺印性が高い ・耐久性はふつう ・手入れをおこなうことで長期間の使用が可能 ・価格も手頃でコストパフォーマンスに優れている |
薩摩本柘 (サツマホンツゲ) |
・一般的な柘よりも粘りが強い ・耐久性はふつう ・一般的な柘よりも捺印性が高い ・乾燥に弱い ・価格も手頃でコストパフォーマンスに優れている |
|
黒檀 (コクタン) |
・非常に硬く、耐久性が高い ・落下などの衝撃に弱い ・光沢があるため、高級感がある ・硬さゆえに彫刻の質が落ちることがある ・コストパフォーマンスに優れている |
|
白檀 (ビャクダン) |
・耐久性はふつう ・捺印性はふつう ・防虫効果が高い ・保管などが非常に楽 ・価格がやや高い |
|
彩樺 (サイカ) |
・ひび割れや歪みが非常に少ない ・耐久性が高い ・変形しづらい ・捺印性はふつう ・木目が非常に美しい ・価格がやや高い |
|
屋久杉 (ヤクスギ) |
・柘と同等の耐久性がある ・年輪などの木目に非常に高級感がある ・こまめな手入れが必要 ・希少価値が高く価格も高い |
|
水牛系 | 牛角(芯持ち) | ・耐久性はふつう ・捺印性が高い ・「ふ」と呼ばれる独特の模様が特徴的 ・カラーバリエーションが豊富 ・定期的にオイルなどで拭くことで長持ちする ・価格はふつう |
黒水牛(芯持ち) | ・ひび割れや歪みが少ない ・耐久性が高い ・捺印性が高い ・漆黒の高級感がある ・定期的にオイルなどで拭くことで長持ちする ・価格は牛角よりも高い |
|
象牙 | ・耐久性が非常に高い ・捺印性が非常に高い ・大切に保管することで一生涯使用できる ・落ち着きのある色合いで高級感がある ・使用するたびに艶がでてくる ・価格が高い ・高級印鑑として有名 |
|
金属系 | チタン | ・耐久性が非常に高い ・捺印性が非常に高い ・非常に軽量 ・湿気に強い ・価格は普通 ・コストパフォーマンスに優れている |
カーボンチタン | ・耐久性が非常に高い ・捺印性が非常に高い ・非常に軽量だが丁度よい重量感がある ・湿気に強い ・価格は高い |
|
その他 | プラスチック(ラクト) | ・耐久性が非常に低い ・捺印性が悪い ・入手しやすい ・値段が非常に安い |
印鑑の大きさで選ぶ
印鑑をつくる際は素材だけではなく、大きさにも注目する必要があり、それぞれの印鑑の種類に応じて適切なサイズ選びが重要となります。
①会社実印/代表社印
会社実印は会社を代表する印鑑であるため、大きく作りたくなるものですが、大きければ良いという訳ではなく、サイズがきちんと定められています。
印鑑のサイズについては、次の条件を満たしていなければ印鑑登録をおこなうことができません。
- 辺の長さが1cmを超えていること
- 3cm以内の正方形の中に収まるサイズであること
会社実印は丸形で作られることが多く、サイズも18mm~21mm程度の大きさで作るのが一般的です。
②会社銀行印
会社銀行印は会社実印と同じ「社名」「役職名」が刻印されているため、サイズなどで差別化を図る場合が多いです。会社銀行印には会社実印のようにサイズの規定がないため、会社実印よりも小さめのサイズで作ること一般的です。また、会社実印と同様に丸形でつくられることが多い印鑑でもあります。
③会社角印/社印
会社角印は会社の印鑑の中でも一番大きいサイズでつくることが多く、一番存在感のある印鑑です。会社角印は会社設立の際や銀行口座開設の際などに使用するほかの印鑑とは異なり、領収書や請求書といった日常業務の中でも使用頻度の多い印鑑です。
そのため、他の印鑑よりも大きめに作られる場合が多く、サイズとしては18mm~24mm程度の大きさが一般的です。
④会社認印
会社によっては会社角印を会社認印とする場合もありますが、会社名のほかに、役職名を刻印した丸形の小さめの印鑑を会社認印とする場合もあります。この場合の会社認印では、形状が丸形であるということが特徴です。
サイズとしては会社実印よりも小さい16.5mm程度の大きさが一般的です。
それぞれの印鑑の目安となるサイズは次のとおりです。
印鑑の種類 | 一般的なサイズ |
---|---|
①会社実印/代表社印 | 18mm~21mm程度 |
②会社銀行印 | 16.5mm~18mm程度 |
③会社角印/社印 | 18mm~24mm程度 |
④会社認印 | 16.5mm~18mm程度 |
印鑑の書体で選ぶ
印鑑選びにおいては書体も非常に重要な要素といえます。印鑑の書体はのさまざまで、同じ書体でも製造元によっては若干の違いがある場合もあります。書体によっては非常に読みづらい書体もありますが、これにはきちんとした理由があります。
それは、「偽造による悪用防止」です。
特に会社実印や会社銀行印は会社にとって非常に重要な印鑑であるため、悪用されるようなことがあってはなりません。そのため、一般的には重要な印鑑になればなるほど複雑な書体の印鑑をつくります。
印鑑で使用される代表的な書体としては、
- ①隷書体
- ②古印体
- ③篆書体
- ④吉相体
などがあります。この順番は読みやすさの順番でもあり、④の吉相体は偽造防止の観点から会社実印や会社銀行印に用いられることが多い書体です。吉相体は複雑な漢字であれば読み取ることすら難しく感じるほどです。
反対に①隷書体や②古印体は書体の読みやすさから会社認印として用いられることが多い書体となっています。
そのため、一般的な印鑑と書体の組み合わせは次のとおりです。
①隷書体 | ②古印体 | ③篆書体 | ④吉相体 | |
---|---|---|---|---|
会社実印 | × | × | ◎ | ◎ |
会社銀行印 | × | × | ◎ | ◎ |
会社角印 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
会社認印 | ◎ | ◎ | △ | △ |
◎……より適している
〇……適している
△……なるべく避けた方がよい
×……避けた方がよい
このように書体の特徴を把握したうえで、印鑑の種類に応じて適切な書体を選びましょう。
会社の印鑑はどこで購入すればよい?
印鑑の購入方法については、
- 店舗で購入する
- インターネットサイトで購入する
この2つの方法がありますが、一番安心できるのは印鑑専門店での購入です。店舗での購入の場合、疑問に思うことや購入に関するアドバイスなどを、その場で受けることができることが一番のメリットです。しかし、納期の問題やコストの問題などがあるため、それぞれの予算やお住いの地域の状況に合わせて購入方法を検討する必要があります。
店舗での購入
最近ではさまざまな店舗で印鑑を購入できますが、店舗で購入するとなると、
- ①100円均一ショップ
- ②文房具屋
- ③印鑑専門店
このうちのいずれかで購入することになるかと思います。理由はさまざまですが、店舗での購入の場合、一番のおすすめは③印鑑専門店です。
①100円均一ショップ
100円均一ショップで販売している印鑑は、個人の認印として使用する分には何も問題ないですが、ビジネスシーンで会社が使用する印鑑としては不向きです。
100円という破格の安さで印鑑を購入できますが、そのほとんどがプラスチック素材によるものばかりです。そのため、耐久性が非常に低く、長い期間使用することが難しいといえます。また、書体もシンプルで誰でも読み取りやすいことから、偽造され悪用されるリスクもあります。
②文房具屋
文房具屋で販売している印鑑についてもビジネスシーンには不向きといえます。
文房具屋では価格が1,000円前後という安さで印鑑を購入できますが、①100均一ショップと同様で、
- 印鑑としての質はあまり良くないこと
- 安価ゆえに耐久性が低いこと
このような特徴があげられます。そのため、認印であれば特に問題ありませんが、あまりおすすめはできません。
③印鑑専門店
会社の印鑑をつくる際は印鑑専門店でつくることが一番だといえます。
専門店で印鑑を購入する場合には、
- 素材の種類が豊富であること
- サイズも自由に注文できること
- 書体もさまざまな書体から選ぶことができること
などのメリットがあげられます。あまりの種類の多さに戸惑うこともあるかと思いますが、そのような場合には、店員さんに尋ねることで自分に合った印鑑を作ることができます。
ただし、印鑑専門店で購入することについてはデメリットもあり、
- 素材によっては価格が非常に高くなることもある
- 注文から受け取りまでに時間がかかることがある
このようなデメリットがあります。また、名字が特殊である場合や、デザインが複雑になっている場合は納期が非常に遅くなってしまうこともあります。
しかし、会社実印や会社銀行印などは会社にとって非常に重要であることから、なるべく専門店で作成したほうが良いといえます。
また、
- 偽造されにくい書体
- 長期間使用しても壊れない耐久性
などの面においても安心なのは専門店での購入です。
インターネットサイトでの購入
近所に印鑑専門店がない場合は、インターネットサイトで購入するのもおすすめです。最近では「会社設立印鑑セット」などの名前で、
- 会社実印
- 会社銀行印
- 会社角印
といったセット販売もおこなわれており、会社設立の際に事業者が悩まずに購入できるように印鑑の解説や、おすすめの印鑑などの顧客サポートも詳細に記載されています。
また、印鑑専門店と同様に豊富な種類から自分好みの印鑑をつくることができます。
印鑑販売おすすめサイト3選
最近ではインターネットサイトで印鑑を購入する人も多いのではないでしょうか。ここではインターネット販売をおこなっている3つのおすすめサイトをご紹介します。
ハンコヤドットコム
年間42万7,902件の出荷実績から印鑑ネット通販専門店シェアNo.1を誇る大手印鑑通販専門店です。会社用の印鑑だけでなく、シャチハタの販売実績においても12連続1位を獲得している実績のある会社です。
印鑑の素材をはじめ、デザインや書体についても豊富な種類から選ぶことができ、会社設立セットも販売されています。
また、ハンコヤドットコムはシリーズに応じた自社サイトを運営しており、
- ハンコヤドットコム総合サイト
- チタンやカーボン製の印鑑販売サイト
- 女性向けのかわいいデザインの印鑑販売サイト
- 手彫りにこだわった印鑑販売サイト
- シルバー専門印鑑販売サイト
専門自社サイトを複数開設することにより、素材などの特徴に応じて購入者が選びやすい工夫がされています。
販売商品についても法人・個人を問わず使用できるデータ印や慶弔印なども販売されており、事業者にとって必要な印鑑がすべてそろってしまう程の豊富な種類です。そして、購入した印鑑の保証期間は他のサイトよりも長い30年となっています。
はんこプレミアム
はんこプレミアムは本来、「印鑑の材料卸売業者」として設立しています。そのため、自社工場で印材(印鑑の材料となるもの)を加工することができることや、自社所属の職人による彫刻作業により、加工費用を大幅に削減することができています。そのため、品質の保証はもちろんのこと、注文からお届けまでのスピードが非常に速いことも特徴で、即日出荷(有料)にも対応しています。
また、卸売業者であることを最大限に生かし、良質な材料を一度にまとめて仕入れることで、
- 販売価格を大幅に抑えられていること
- 最新の材料を使った新商品が続々と販売されている
などの特徴があげられます。
販売されている商品の種類も豊富で、法人設立セットをはじめ、印鑑の用途に応じてさまざまな印鑑が販売されています。さらに、購入した印鑑の保証期間は10年となっています。
平安堂
平安堂は印材の中でも象牙などの高級印材の種類が多いことが特徴の印鑑販売サイトです。関東圏に60店舗を展開し、インターネット販売だけでなく、店舗販売においても人気のある会社です。
価格帯としては他の2社よりも比較的高価になりますが、品質に定評があり、お客様の声にも
「届いた商品が完成見本と一緒で丁寧なつくりに感動した」
「機械彫りとは全然違い、繊細な美しい文字で気に入りました」
など多くの声が寄せられています。
また、平安堂には次の5大サービスがあり、こちらも人気の理由となっています。
- ①象牙100年保障制度(特選本象牙・極上本象牙・日輪の印材のみ対象)
- ②印鑑の彫り直しサービス
- ③印鑑供養
- ④旧字の簡単注文(手書きフォームの活用)
- ⑤わかりやすい印鑑の選び方
法人設立セットなどの販売もあるため、一般的な印材での印鑑ではなく、象牙をはじめ、マンモスの牙やマッコウクジラの印材など、こだわりの印材で印鑑をつくりたい人におすすめのサイトです。
会社の印鑑は経費にできる?
会社で使用する印鑑については、経費として処理できます。しかし、会社の設立前に購入した印鑑代金は経費にならないと思っている人は多いのではないでしょうか。また、会社によっては高額な印鑑を購入する場合もあるかと思います。
そのため、会社の印鑑を購入した場合の経理処理は、
- ①会社設立前に購入した場合
- ②会社設立後に購入した場合
この2つに分けられ、それぞれの状況と金額によって経理処理が異なります。
①会社設立前に購入した場合
1つあたりの購入金額 | 開業費 (繰延資産) ※1 |
一括償却資産 (固定資産) ※2 |
少額減価 償却資産 (固定資産) ※3 |
器具備品 (固定資産) ※4 |
---|---|---|---|---|
(1)10万円未満 | 〇 | × | × | × |
(2)10万円以上20万円未満 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
(3)10万円以上30万円未満 | × | × | 〇 | 〇 |
(4)30万円以上 | × | × | × | 〇 |
②会社設立後に購入した場合
購入金額 (1つあたり) |
消耗品費 (費用) |
一括償却資産 (固定資産) |
少額減価 償却資産 (固定資産) |
器具備品 (固定資産) |
---|---|---|---|---|
(1)10万円未満 | 〇 | × | × | × |
(2)10万円以上20万円未満 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
(3)10万円以上30万円未満 | × | × | 〇 | 〇 |
(4)30万円以上 | × | × | × | 〇 |
※1開業費(繰延資産)
任意のタイミングで費用に計上できます。つまり、設立初年度において赤字である場合には無理に費用計上する必要はなく、翌年以降で黒字になった場合に費用計上することで、税額を抑えることができます。
※2一括償却資産(固定資産)
一括償却資産として資産計上し、3年間に分けて費用に計上できます。
※3少額減価償却資産(固定資産)
一定の要件を満たす法人については「少額減価償却資産の特例」を適用することにより、購入年度において全額を費用に計上できます。
※4器具備品(固定資産)
諸説ありますが、一般的に印鑑の法定耐用年数は5年となっているため、5年間に分けて費用に計上できます。
印鑑の経理処理については、場合によってはどの経理処理をおこなうことが最適であるかを検討する必要があります。税金を安く抑えるためにも慎重に経理処理を検討しましょう。
まとめ
印鑑は会社を設立するために必ず必要であり、長い期間使用する大切な商売道具でもあります。そのため、何も考えずに簡単に作るのではなく、素材やデザイン、書体などの特徴をしっかりと把握して作るようにしましょう。また、会社の設立には印鑑だけではなく、届出書の提出や登記手続きなど、さまざまな準備をおこなっていかなければなりません。どの手続きも専門性の高いものばかりですので、印鑑の制作も含めて、専門家の意見を聞くことで最善な準備をおこなうことができます。