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学生起業を成功させるためのポイント|学生起業の成功事例

学生起業を成功させるためのポイント|学生起業の成功事例

大学生は卒業後に企業に就職する方が多いですが、将来の選択肢は会社に入る「就社」だけではありません。

文部科学省・厚生労働省の調査によると、2020年10月1日時点で2021年3月大学卒業予定者の就職内定率は69.8%となり、5年ぶりに70%を下回りました。近年では、在学中に起業をする学生も増えてきています。

本記事では、学生起業を考えている方や起業に興味をもっている高校生や大学生を対象に「学生起業」の方法やメリット、成功事例についてまとめてみました。

学生起業とは

学生起業とは、言葉どおり学生がビジネスを立ち上げることです。学生時代に起業した人は「学生起業家」と呼ばれています。

ここ数年では「スタートアップ」という言葉もよく耳にするようになりました。スタートアップという言葉も「起業」「新規ビジネスの立ち上げ」といった意味で使われます。

学生起業のメリット

「起業に興味はあるけど学生の自由も満喫したい」「社会人になってある程度の貯金をしてからビジネスをはじめたい」と思う大学生もいるでしょう。

ここでは、学生起業だからこそのメリットを解説します。

起業準備に使える時間が長い

大学生が自由に使える時間は、社会人と比較にならないほど長いといえるでしょう。

春休みや夏休みなどの長期休暇を含めると、起業のために使える時間はあるはずです。また、起業したビジネスが軌道に乗りそうであれば「休学してビジネスに専念する」という最終手段を選択することも可能です。

成功を収めた若手起業家の多くは「創業時代は生活時間のすべてが仕事であった」と語ります。大切なのはビジネスを軌道に乗せるまでの時間といえるでしょう。

起業リスクが低い

学生時代にどれだけ失敗しても「やり直すチャンス」は残っています。多少の無理をしても体力的にカバーができるのも若さのメリットです。

学生起業に失敗はつきものです。学生起業を諦めることになったとしても、起業準備で学んだ経験を社会人として活かせることは間違いないでしょう。

起業のタイミングは学生時代だけではありません。そのため、失敗をおそれることなく前向きにチャレンジできるのです。

起業を支援してくれる人が多い

熱意のある学生には様々な人が手を差し伸べてくれるものです。大学のOB・OGや起業家を訪問して、アドバイスをお願いしてみるのも良いでしょう。学生起業家は、通常の学生生活では得られない人脈を形成できます。

また、学生向けのビジネスコンテストや起業支援プログラムを活用することも選択肢の1つです。

近年では、起業を志す学生を支援する大学も増えてきました。たとえば、2006年に慶應義塾大学は「慶應藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)」を設立。大学内に独立行政法人中小企業基盤整備機構が地域と連携して運営する起業家育成施設があります。

大学での研究成果を起業につなげる「大学発ベンチャー企業」が国内に約2,000社あるといわれています。上場を果たした大学発ベンチャーは、ぺプチドリーム株式会社(東京大学)、CYBERDYNE株式会社(筑波大学)、サンバイオ株式会社(慶應義塾大学)などが有名です。

収入を度外視できる

学費や生活費を保護者から支援してもらう学生が多く、たとえ「給料ゼロ」でも生きていける学生もいます。

社会人になれば、家賃や生活費といった固定費を稼ぐ必要があります。結婚して家族いる場合は、簡単に「給料」を捨てることはできません。経済的な制約がない学生だからこそ、起業活動に専念できるメリットがあるといえるでしょう。

ビジネス力を養える

学生起業という経験を通じて、「企画力」「営業力」「対人力」といった社会人として不可欠なビジネス力が身につくでしょう。

20年ほど前までは「従順に上司に言われたことをやる人」が評価される時代でした。しかし、技術や製品のライフサイクルが著しく変化する中で「不確実な未来の変化に対応できる人」「前例のないことに積極的に取り組める人」が評価される傾向にあります。

学生起業の経験は、将来の就職・転職活動でも役に立つでしょう。

学生起業のデメリット

学生起業を具体的に考える際には、リスクとデメリットも併せて理解しておく必要があります。

大学生活との両立が困難になる

学生起業の準備には、かなりの時間を要します。単位が足りずに留年してしまう人や、ビジネスにのめりこむことで休学や退学する人も珍しくありません。

また、学生起業に真剣に取り組むとサークル活動や飲み会への参加は難しくなるでしょう。大学生らしい生活を送ることは、難しくなる可能性が高いです。

ビジネス失敗のリスク

学生起業家は、社会経験の少なさからビジネスに失敗してしまうこともあります。悪質なビジネスの誘いに乗らないよう注意が必要です。

また、知識の乏しさをつかれて不利な契約を締結させられないようにしましょう。判断に迷うときは、信頼できる人に相談することが大切です。

学生起業を成功させる3つのポイント

学生起業を成功させる3つのポイントを解説します。

  • 起業目標と期限を明確にする
  • 支援者を見つける
  • 大学卒業後にどうするのかを決めておく

起業目標と期限を明確にする

ビジネスには、具体的な目標と期限が必要です。

「そもそも何のために起業をするのか?」「いつまでに何をするのか?」「売上や利益の見通しはどうなのか?」と自問自答を繰り返したうえで、方針を設定して進捗管理をしましょう。

支援者を見つける

学生起業を成功させるためには、支援者である「教えてくれる人」「助けてくれる人」の存在が不可欠です。近年では起業を支援する大学も増えていて、学内の支援制度から調べてみるのもよいでしょう。

また、資金面での支援者がいるとビジネスを大きく推進できます。先輩起業家やエンジェル投資家を探す、クラウドファンディングを活用する手段もあります。

大学卒業後にどうするのかを決めておく

学生起業家は、いずれ大学を卒業します。

そのため、大学卒業後の姿をあらかじめ想定しておくとよいでしょう。「卒業後も経営者として会社を経営する」「働きながら副業として続ける」「後任者へ引き継ぐ」「事業譲渡する」など、具体的な大学卒業後の進路を決めておくことも必要です。

学生が起業する前に知っておきたいこと

社会人経験のない学生が起業を考える際、「いったい何から始めてよいのか?」「学生起業に向いているビジネスとはどんなものか?」「学生時代に起業するリスクはあるのか?」など様々な疑問が生じることでしょう。

ここでは、学生起業に適した事業や展開方法を解説します。

スモールビジネスからスタートする

学生起業で成功するためには、まず小さな一歩から踏み出すことです。

学生でも始めやすいビジネスとして、下記があげられます。

  • イベントビジネス
  • 学習塾・家庭教師
  • シェアハウス運営
  • Webサイト制作・アプリ開発

イベントビジネス

イベントビジネスとして、セミナーや講演会などが学生でも始めやすいビジネスでしょう。

イベントにかかるコストは、会場費、講師料、告知費用くらいで、ほとんどコストをかけずに始められるビジネスです。告知はSNSを上手に活用すれば、さらにコストを抑えられるでしょう。

イベントのポイントは、学生が集まりやすそうなテーマ設定と講師の選定です。大学生という肩書を活かせば、第一線で活躍している社会人がオファーを引き受けてくれる可能性も高いです。

また、「優秀な学生とつながりをもちたい」「大学生にアンケートを実施したい」と考える企業もあり、双方のニーズを合致させることがポイントといえます。

2020年から新型コロナウイルスの影響により、多くのイベントがリモート形式で開催されています。そのため、マネタイズ(売上回収)方法にも工夫が必要になってきます。

イベント型事業は、集客がすべてです。「リモート面接対策セミナー」など時代のニーズに沿ったテーマを心がけましょう。

学習塾・家庭教師

学習塾や家庭教師は大学生のアルバイト1つであり、全国には大学生が運営する学習塾や家庭教師センターも多くあります。そのため、学生でも始めやすいビジネスです。

学習塾は教室に通うことが通常ですが、コロナ禍の2020年以降では「リモート指導」も主流になってきました。教室の家賃を支払うことなく「オンライン学習塾」に挑戦してみることも良いでしょう。講師1人で提供できるサービスには限界があり、講師と受講者をマッチングさえる仕組みづくりが不可欠です。

シェアハウス運営

昨今では学生や若い人を中心にシェアハウスが人気であり、学生でも始めやすいビジネスです。シェアハウスは、所有不動産を運営する方法と既存物件(受託物件)を運営する方法に区分できます。

そのため、学生起業では大きな初期投資が不要な受託物件運用型が適しています。シェアハウスの運営は、備品の交換から居住者からのクレーム対応まで幅広く、時間にゆとりがある学生に向いているスモールビジネスといえるでしょう。

Webサイト制作やアプリ開発

プログラミングやWebデザインなどのスキルを活かして、個人事業主として企業のWebサイト制作、アプリ開発などに携わる学生が増えてきています。

ITベンチャー企業などで、インターン生としての修業期間を経てから起業を志すのも多いです。

学生向けビジネスの成功事例

ビジネスを立ち上げる際に大切なのは、「誰からお金をもらうのか」ということです。学生起業家の多くは大学生に囲まれていて、大学生のニーズを把握でき市場調査も簡単に実施できます。

学生起業家による「学生向け」ビジネスの成功事例をご紹介します。

タダコピ

「タダコピ」は、全国197大学に設置されている学生向けの「無料コピーサービス」です。慶應義塾大学と中央大学の学生起業家が設立した株式会社オーシャナイズが立ち上げました。

コピー用紙の裏面に企業広告が印刷されている代わりに、学生は無料でコピーができるというシンプルなビジネスモデルです。広告は大学生を対象としているため、就活やアルバイト情報などが多くなっています。

美大生・美大卒業生のためのフリーマガジン「PARTNER」

「PARTNER」は美大生・美大卒業生向けのメディアです。2007年から「PARTNER」を発行しており、武蔵野美術大学の学生起業家が設立した株式会社が立ち上げました。

フリーマガジンとWebサイトの編集・取材・デザイン・制作すべてを美大生が担当しており、企業と美大生をつなぐプラットフォームとなっています。

すごい時間割

「すごい時間割」は、2021年現在40万人以上が利用している「時間割アプリ」です。「すごい時間割」は慶應義塾大学の学生起業家である、鶴田浩之さんが設立した株式会社Labitが開発しました。

「すごい時間割」では、あらかじめ登録されている講義を選ぶと即座に時間割を作成でき、レポートの提出期限やテストの日程管理もできます。また、友達と時間割や空きコマをシェアできることも特徴です。

「時間割アプリ」は、2014年にリクルートに事業譲渡されています。

学生起業で成功した企業の成功事例

起業家を志すのであれば、ロールモデルを探すことがとても重要です。

ソフトバンクグループ社長の孫正義さんは、学生時代に音声付電子翻訳機を開発しシャープに売却した話は有名です。また堀江貴文さんは、東京大学在学中に有限会社オン・ザ・エッジを設立し、2000年に上場を果たしました。

世界的には、1975年にビル・ゲイツがハーバード大学休学中にマイクロソフトを創業し「Windows」を開発しています。そして、2006年にはマーク・ザッカーバーグが、ハーバード大学在学中にFacebookを立ち上げました。

ここでは、学生起業家によって誕生した企業の成功事例をご紹介します。

BASE株式会社(Eコマース)

鶴岡裕太(つるおかゆうた)氏は、東京工科大学在学中にクラウドファンディング「CAMPFIRE」でインターンをしていた頃、家入真一氏と複数のサービスを立ち上げていました。

会社設立のきっかけとなるネットショップ作成サービス「BASE」のプロジェクトを開始。わずか1カ月で1万店舗を達成し、2021年にBASE株式会社として法人化されました。

株式会社Baycare(訪問介護マッチング)

洞汐音(ショーン)氏は、早稲田大学在学中にITを活用した訪問介護ビジネスを立ち上げています。

2025年には介護職員が30万人不足するといわれており、世の中のニーズをうまくとらえた事例といえるでしょう。ベンチャーキャピタルから1億円の出資を受けることにも成功しています。

株式会社Gunosy(情報キュレーション)

テレビCMでも有名な「グノシー」は、2012年に福島良典(ふくしまよしのり)氏が東京大学大学院在学中にサービスを開始しています。

福島氏は予定していた就職を辞退し、Gunosyの事業化を継続しました。2014年からKDDIと提携を進め、ニュースアプリで広告配信をスタート。2017年には、東証一部に上場しています。

株式会社PoliPoli(政治SNSアプリ)

政治プラットフォーム「ポリポリ」は、2018年に伊藤和真(いとうかずまさ)氏が慶應義塾大学在学中に起業し立ち上げたSNSです。

議論が白熱して炎上しやすい政治をテーマに、有権者と政治家が自立性をもって議論ができるSNSです。政治や行政のイノベーションとなることが、期待されています。

株式会社Progate(プログラミング学習)

株式会社Progateは、加藤將倫(かとうまさのり)氏が東京大学工学部在学中に立ち上げ、Web系プログラミング言語を学習できるオンラインサービスです。

株式会社Progateは、2014年に設立され株式会社DeNAなどから出資を受けています。また、2021年には登録者数10万人を突破し、急成長しています。

株式会社ジラフ(買取価格比較サイト)

2014年に麻生輝明(あそうてるあき)氏が、一橋大学在学中に売却プラットフォームサービス「ヒカカク!」をリリースしました。

2014年に合同会社ヒカカクを創業後、翌年2015年に現在の株式会社ジラフへ組織変更しました。またメルカリなどから出資を受け、累計7億円の資金調達に成功しています。

株式会社フラミンゴ(外国語講師マッチング)

金村容典(かなむらひろのり)氏は、立命館大学大学院法学研究科に在学中に株式会社フラミンゴを創業しました。

多文化共生社会の実現に貢献するため、外国語を学びたい人が講師を探してレッスンを予約できるアプリ「フラミンゴ」を運営しています。

株式会社リブセンス(インターネットメディア事業)

村上太一(むらかみたいち)氏は、早稲田大学在学中に起業家養成講座のビジネスコンテストで最優秀賞を売商し、2006年に株式会社リブセンスを早稲田大学内で創業しました。

成功報酬型の求人サイト(現マッハバイト)から立ち上げ、2012年に史上最年少で東証一部へ上場しています。

おわりに

学生起業には、起業準備に使える時間が長いことが最大のメリットといえます。

起業のタイミングは学生時代だけではありませんが、学生起業を諦めることになったとしても、起業準備で学んだ経験を社会人として活かすことができるでしょう。起業を支援してくれる人が多く、失敗を恐れることなくチャレンジできるのです。

また、学生起業にも「個人事業主としてスタートするのか?」「株式会社や合同会社を設立してスタートするのか?」などを考える必要があります。会社の設立や納税方法は、税理士に相談することをおすすめします。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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