「起業したいけれど、資金がない……」「今ある資金で足りるか不安……」と感じている方は多いのではないでしょうか?法律上では株式会社の資本金は1円からでもOKとなっていますが、1円だけあれば会社が設立できるかというと違うのが現実です。
本記事では、実際のところ会社を設立するにはいくら必要なのかを項目別にご紹介。必要な資金をどのように調達するかも5つご紹介するので、これから企業をする方、資金調達に悩んでいる方は是非参考にしてみてください。
会社設立に必要な最低資金はいくら?
会社を設立する際、最低限必要なのは資本金と設立登記費用の2つ。ここではそれぞれの詳しい内訳と、最終的にかかる費用をご説明します。
会社設立の資金1.資本金
資本金とは、会社設立時の運転資金のこと。多ければ多い程資金繰りは楽になるので、「体力のある会社」と見なされます。以前は株式会社を設立するのに1000万円の資本金が必要でしたが、新会社法の施行により資本金1円での企業が認められるようになりました。
しかし、1円で起業するのはあまりおすすめできません。会社を設立する際の平均資本金額は300万円ですが、会社の規模などにより必要な額は異なります。以下の点を踏まえて必要な額を用意しましょう。
- 初期費用+運転資金×3ヶ月
- 取引先や仕入れ先に信頼される額であるか
- 消費税の免税が受けられるかどうか(1000万円未満であれば最大2年間免税)
- 融資をどの程度利用するのか(資本金によって受けられる融資額が異なるため)
会社設立の資金2.設立登記の費用
設立登記とは、国にどのような会社を設立するかの届出のこと。書類を提出するだけ、と考えられがちですが、実は費用がかかります。かかる費用の内訳は以下の通り。
- 定款に貼る収入印紙代:4万円(電子定款の場合は不要)
- 定款の認証手数料:5万円
- 定款の謄本手数料:約2000円
- 登記の際の登録免許税:15万円(資本金額×0.7%と比較して大きい方)
- 登記事項の証明書:600円
- 印鑑証明:450円
全て合わせると、かかる費用は約25万円。ただし、司法書士や行政書士に設立代行を依頼すれば収入印紙代がゼロになるので、約21万円で設立登記が可能です。事務所によって代行費用は異なりますが、約1万円からとリーズナブルなので、書類の不備などのリスクを鑑みても、依頼するのが得策でしょう。
会社設立にかかる平均費用
上述した2つの資金以外にも、パソコンや事務用品の購入費用、HPの作成費用などが必要になります。こういった雑費にかかる初期費用は平均すると約150〜180万円程度。資本金が平均額の300万円だったと仮定すると、会社設立にかかる費用は約500万円ということになります。
ただし、これはあくまで目安の金額でしかありません。500万円で充分足りることもあれば足りないケースもあるため、税理士などのプロに相談して決めるのがおすすめです。
会社設立に必要な資金を調達する方法
会社を設立したいけれど、資金が足りない……という場合も数多くあるでしょう。その場合は、資金調達が必要です。ここでは、5つの資金調達方法をご紹介。それぞれの条件やメリットなどを理解して、会社に合った方法を選びましょう。
会社設立のための資金調達法1.補助金・助成金(自治体や国)
補助金・助成金とは、自治体や国が行っている会社設立の支援制度。融資とは違って返済不要なのが最大のメリットで、起業促進や地域の活性化などを目的に行われています。
それぞれの補助金・助成金によって募集要項などが異なるので、会社に合ったものを自治体や経済産業省、厚生労働所のHPにて探してみると良いでしょう。ただし、助成金が条件に合えばどんな会社でも受けられますが、補助金は条件に合っていても受けられない可能性があるので注意が必要です。
会社設立のための資金調達法2.VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受ける
VCとは、ベンチャー企業に出資する金融機関のこと。将来有望なベンチャー企業に出資(株式を購入)し、株式公開後に株式を売却、その差額で儲けることを目的としています。
VCの最終的な目標が「いかに利益を生み出すか」なので、出資を受けるにはとても厳しい審査が必要です。会社設立前の事業プランの段階では、ほぼ不可能と言っても良いでしょう。ただし、以下の2つの条件を満たしていれば可能性はあります。
- 事業計画の規模がIPO(株式公開)を超えている
- 5年以内の上場を目指している
審査が厳しい代わりに、受けられれば数億円規模の資金調達も可能です。事業プランに自信のある方は考えてみると良いでしょう。
会社設立のための資金調達法3.個人投資家
日本ではあまり一般的ではないですが、個人投資家から出資してもらうのも選択肢の1つ。「エンジェル」と言われていて、VCのように儲けを重視する人もいれば、事業内容を重視する人もいる多様性が特徴です。
つまり、個人投資家の共感を得られれば、多くの利益を期待できない事業であっても出資してくれる可能性があるということ。個人投資家とのマッチングサイトを利用するなどして、積極的に知り合っていきましょう。
会社設立のための資金調達法4.日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫とは、設立したばかりの会社でも受けられる可能性が高い融資。事業実績がなくても無担保無保証で受けられるのが特徴で、個人資産などがなくて他の方法で出資を得られない場合に有効な手段です。
ただし、創業資金の3分の1以上の自己資金を確認できることが条件で、最大2000万円という上限も定められているので、多額の資金が必要な場合には不向きでしょう。
会社設立のための資金調達法5.信用保証協会からの融資
信用保証協会とは、地方自治体が独自に行っている融資のこと。日本政策金融公庫よりも金利が安いのが特徴で、こちらも無担保無保証で受けることができます。
また、自治体によって条件は変わりますが、据置期間といって金利だけ支払って元本を返済しなくて良い期間が長めに設定されているのもメリットの1つ。東京都の場合は1年間と定められているため、日本政策金融公庫の6ヶ月よりも半年間猶予ができることになります。
ただし、信用保証協会の審査期間が2〜3ヶ月と少し長いということに注意しておきましょう。
会社設立の資金調達なら税理士に相談しよう!
会社設立の際に最低限必要なのは、登記費用の約25万円。しかし、他にも資本金や事務用品などの雑費などが必要になるので、約500万円を用意して会社を設立する人が多いです。ただしこの額はあくまで平均値なので、会社に合った資本金などを用意する必要があります。税理士などのプロに相談して、無理のない範囲で用意しましょう。
また、今回ご紹介した5つの資金調達の方法も、会社に合っているものと合っていないものがあります。こちらも税理士などのプロに相談し、どのような方法なら効率よく資金調達できるのかをアドバイスしてもらうのがおすすめです。