給料日のたびに手元にやってくる給料明細。いつも同じだからとそのまま放置していませんか?給料明細はただ今月の支給額を提示するためだけに発行されているわけではありません。
意外にも他のことにも使われることがあり、しっかりと保管しておくことが求められている書類です。
どうしてとっておくべきなのか、どのくらいの期間保管しておくべきなのか、もし紛失してしまったら再発行はできるのか、給与明細について詳しく解説します。
給料明細をとっておくべき3つの理由
毎月同じ額のお給料をもらっている人ほど、すぐに捨ててしまったり、確認もほどほどにどこかに置いてなくしてしまったりする給料明細。でも実は、給料明細は一定期間保管しておいたほうがいい大切な書類です。
その理由は次の3つ。うっかり紛失してしまわないように注意しましょう。
- 確定申告の提出書類として必要だから
- 失業給付金の申請に使う可能性があるから
- 給与額が正しく計算されているか確認するため
給与明細が必要なワケ:確定申告の提出書類として必要
副業をしている人や給与収入が2,000万円を超える人、ふるさと納税を利用して納税をしている人や医療費控除を受けたい人は確定申告をおこなう必要があります。
その際、所得を証明するものの提出が求められ、その書類に給料明細を使うことがあるので保管が必要です。
コロナウイルス関連で医療費の出費があった方はこちらも参考にしてください。
給与明細が必要なワケ:失業給付金の申請に使う可能性がある
万が一失業した時、失業給付の申請に給料明細を使います。
失業給付金の給付ができるかどうかはこれまでの収入額によって判断されます。その証明に必要になるのが給料明細なので、今はまだ退職の予定がない場合でも念のため保管しておくと安心です。
給与明細が必要なワケ:給与額が正しいか確認
基本給や時間給、残業代が正しく支給されているか確認せずに済ませている人も多いのではないでしょうか?
ヒューマンエラーや勘違いなどで間違っていることもあり得ます。「いつもと同じだから」と放置することなく、きちんと確認しておきましょう。
また、控除の欄も見ておく必要があります。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
- 所得税
- 住民税
40歳以上の人は介護保険料もかかってきます。特に年の変わり目にはミスも起こり得るので、給与担当者に任せきりにせず自分でも確認すると安心です。
給料明細は2~5年程度保管すると安心
保管しておくのが無難であることをご紹介しましたが、給料明細はどのくらい保管しておくべきなのでしょうか?明確に定められているわけではありませんが、2〜5年程度とっておくと安心です。
理由は以下の3つ。最短2年、長くても5年程度の保管でいいでしょう。
- 未払給与の請求期限が2年だから
- ローンを組む際に収入の証明が必要だから
- 確定申告の関連書類は5年保存が定められているから
未払給与の請求期限が2年だから
まず、未払給与の請求期限が2年と定められているため、万が一の場合に備えて保管しておくといいでしょう。
たとえば、残業代の未払いや基本給が間違っていた場合、会社に請求する権利がありますが、間違っていた証拠がなければ請求のしようがありません。
さかのぼって請求する際に重要な証拠となりますので、現時点で未払いの覚えがなくてもとっておくと発覚した時に慌てずに済みます。
ローンを組む際に収入の証明が必要だから
住宅や車の購入などでローンを組む際、これまでの収入を確認されます。収入の証明には給与明細を使うのであれば助かる書類です。
最低でも2年ほど確認がとれれば証明として価値がありますので、未来のローンのために念のため保管しておきましょう。
確定申告の関連書類は5年保存が定められているから
医療費控除を受けるために確定申告をした場合、関連書類は5年保管が義務付けられています。
「給与明細も同じように保管すること」といったように定められているわけではありませんが、万が一、税務署からの確認が入った場合に収入の証明ができるように医療費関連の書類と一緒に保管しておくと安心です。
参考:「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁」
【捨てた!なくした!】給料明細の再発行方法
給料明細を処分してしまったり、なくしてしまったりした場合、再発行はどのようにおこなえばいいのでしょうか?複雑な手続きが必要であるようなイメージがあるかもしれませんが、実はシンプルに人事などの給与担当部署に相談するだけ。
大抵の場合、再発行は可能です。場合によっては送付代を請求されるかもしれませんが、基本的には手数料などもかかりません。再発行までに1週間から数週間かかる可能性があるため、余裕をもって確認をしましょう。
企業の保管期限である3年を過ぎてからの再発行はできないこともあります。しかし、近年は情報をクラウド管理していて3年を超えて再発行できる場合もあるので、まずは確認することが先決です。
ただ、退職した企業に連絡するのはなかなか気が引けるものです……。できるだけ紛失しないようにきちんと保管しておきましょう。
給料明細の正しい保管方法とは?
給料明細は一定期間の保管が必要ですが、保管方法に悩む人も多いはず。大事な書類だからと気負わず、保管期間いっぱいとっておくことを重視しましょう。
保管方法で一番大切なのは保管場所をきちんと決めておくこと。年度ごとにまとめておき、バラバラにしないで残しておくといざと言うときに慌てずに済みます。
- 収納方法1. ファイリング
- 収納方法2. 箱に入れておく
- 収納方法3. PDFにしてクラウド保存する
給料明細の保管方法:ファイリング
一番ポピュラーな保管方法はファイリングしてしまうこと。バインダーは100円ショップで売っているもので構いません。給与明細に2穴パンチで穴を開けて入れてもいいですし、透明ポケットリフィルを入れてその中に明細を入れるのでもいいでしょう。
費用も500円ほどと安価ですし、大きさを揃えられるので見栄えもよく、場所もとらない保管方法です。どの年度のものなのか、背表紙に書いておくとわかりやすいですね。
給料明細の保管方法:箱に入れておく
ファイリングするのが面倒だという人は、直接箱に入れてしまう方法もオススメです。ファイリングと比べて、振り返りやすさや目的の書類の見つけやすさは劣りますが、手軽さはダントツ。
箱に入れて保管する際は、通販などで使われた段ボールではなく、丈夫な箱を一つ用意するといいでしょう。一つひとつは薄い紙でも数年分ともなるとそれなりの重量になります。移動や作業の際に崩れてしまわないよう、耐久性のある箱を選ぶと安心です。
給料明細の保管方法: PDFにしてクラウド保存する
保管期限を越えても破棄するのが不安だという場合には、書類をPDFにしてクラウド保存しておく方法もあります。PDFのクラウド保存は個人情報や容量の問題もありますので、慎重に判断しましょう。
企業で扱う書類のデジタル化については下記で詳しく解説しています。関連部署で働く方はぜひチェックを!
給料明細は保管しておくと安心
確定申告や失業給付金の申請に使ったり、給与が正しく支給されているかを確認したりするのに重要な給料明細。
2年から5年ほど保管しておくと安心ですが、万が一、紛失しても会社の給与担当部署に相談すれば基本的に再発行が可能です。
でも、円満退職でなかった場合、退職した企業に連絡するのが億劫に感じることもありますよね。なくさないように保管することがポイントになります。ファイリングしたり、箱に入れたりして、いざという時に「どこにいった?」と慌てないようにしておきましょう。
給料明細を見た時に違和感を覚えたら、雇用契約書を確認してみるといいかもしれません。基本給や時給が当初提示されていた額と異なっている可能性も……。
雇用契約書の詳しい見方については下記を合わせて確認してください。