新型コロナウィルスの感染者数が増加する中、国や自治体からは給付金や助成金による支援対策も続々と打ち出されています。生活の不安や、事業への支障を考えると、給付金や助成金の活用を急ぎたいところです。支援対策はさまざまありますが、今回は返済の必要がない資金を得られる給付金や助成金について、個人向け、個人事業主や法人企業向けの場合とに分けて概要をご紹介します。個人として、また事業者として利用できる制度をチェックし、効果的に活用していきましょう。なお、支援対策は随時情報が更新されており、執筆時点(2020年5月5日)以降、対象者や給付金額に変更が出る場合もあります。あらかじめご了承ください。
個人向け給付金
まずは個人向け支援対策として、主な給付金制度を見ていきましょう。給付金は条件に合致すれば必ず給付が受けられます。金額は少額ですが、短期的な資金として活用できるでしょう。
特別定額給付金(一律10万円の現金給付)
特別定額給付金は一人当たり一律10万円の現金給付が受けられる制度です。基準日時点で住民基本台帳に記録されている人であれば、国籍を問わずすべての人が対象となります。
特別定額給付金の申請書は、住民票のある市区町村から申請書が各世帯に届きます。申請方法は、郵送またはオンライン申請を選択可能です。
郵送申請の場合は、各市町村から送付される申請書に振込先口座を記入し、振込先口座の確認書類と本人確認書類のコピーとを一緒に返送します。
マイナンバーカードを持っている場合は、オンライン申請も可能です。オンライン申請の場合は、「マイナポータル」にアクセスし、申請内容の入力や、振込先口座の確認書類のアップロードを行います。オンライン申請の場合は、マイナンバーカードによる電子署名で本人確認をすることになります。
なお、いずれの場合も家族分の給付金は、世帯主にまとめて一括で振り込まれる仕組みとなっています。受付開始時期は、各市町村によってばらつきがあります。詳しくは住んでいる自治体に確認しましょう。
対象 | 基準日(2020年(令和2年)4月27日))時点で住民基本台帳に記録されている人 |
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給付額 | 1人あたり10万円 |
申請受付期間 | 郵送方式の申請受付開始日から3か月以内 ※受付開始時期は市区町村ごとに異なる |
申請方法 | 郵送申請方式またはオンライン申請方式 |
問い合わせ先 | 特別定額給付金コールセンター TEL:0120-260020 受付時間:9:00~18:30 |
子育て世帯への臨時特別給付金
児童手当を受給する、0歳から中学生のいる世帯には、一人当たり1万円の臨時特別給付金(一時金)が支給されます。支給は準備が整った市町村から行われることになっており、改めて申請する必要はありません。給付金の案内が送付されるので、必要な場合は届出書を返送すると、児童手当登録銀行口座等へ振り込みが行われます。
対象 | 対象児童にかかる2020年(令和2年)4月分(3月分含む)の児童手当受給者 ※3月31日までに生まれた児童が対象 |
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給付額 | 児童一人あたり1万円 |
申請受付期間 | 各市町村による |
申請方法 | 改めての申請は不要 |
問い合わせ | 子育て世帯への臨時特別給付金コールセンター TEL:0120-271-381 受付時間9:00~18:30(土日祝日除く) |
住宅確保給付金
住宅確保給付金はもともと、離職などによって住居を失った、または失うおそれが高い人で、就職活動をするなどを条件に、家賃相当額を一定期間支給するという給付金でした。ただ、このたびの新型コロナウイルスの影響を鑑み、2020年4月20日以降は対象範囲が拡大されています。
対象範囲は、これまでは離職・廃業後2年以内が支給の対象とされていましたが、休業等により収入が減少し、住居を失う恐れがある人も対象となります。「休業等」とは、個人の責任や都合によらない理由によって勤務日数や勤務時間が減少した場合や、就労の機会が大幅に減少し、経済的に困窮した場合を指します。
なお、住宅確保給付金は、フリーランスや自営業者でも申請は可能です。さらに、4月30日からはハローワークへの求職申込が不要になりました。支給期間は原則3か月間ですが、就職活動を誠実に行っている場合は9か月まで延長が可能とされています。申請方法について、詳しくは最寄りの自立相談支援機関まで問い合わせてみてください。
対象 | 離職・廃業後2年以内、または休業等で失業と同程度に収入が減り、住居を失う恐れのある人 |
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給付額 | 原則3か月(最長9か月)の家賃相当額を、自治体から家主に対し支給 ※居住地域の受託扶助と区別基準額が上限 |
申請受付期間 | 2020年4月20日~ |
問い合わせ | 全国の自立相談支援機関 https://www.mhlw.go.jp/content/000614516.pdf |
国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援
新型コロナウイルスによる影響で収入が減少した場合、国民健康保険料の減免措置による財政支援も行われています。減免措置は個人事業主も対象となります。保険料については、市区町村の条例に基づいて行われた減免措置となるようなので、詳しくは住んでいる自治体に相談しましょう。
対象 | 以下のいずれかに当てはまる世帯
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減免対象となる保険料 | 令和元年度分及び令和2年度分の保険料で、令和2年2月1日から令和3年3月31日までの間に納期限が設定されているもの |
問い合わせ | 各市区町村窓口 |
傷病手当金
万が一新型コロナウイルスに感染した場合は、傷病手当金が受け取れる可能性があります。傷病手当金は、全国健康保険の被保険者で、病気やケガによる休業をする場合に被保険者とその家族の生活を保障するための制度で、最長1年6か月の受給が可能です。
ただし、支給対象は被保険者本人のみとなり、家族が感染し、その看病のために休業する場合は支給対象外となります。申請は勤務先から保険者に対し行うことになります。詳しくは勤務先や加入している公的健康保険に問い合わせましょう。
対象 | 以下のすべてを満たした健康保険の被保険者
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給付額 | 傷病手当金が支給される前年の標準報酬月額 ÷ 30日 × (2 / 3) |
申請方法 | 勤務先から保険者への申請 |
休業手当
労働基準法第26条では、会社側の都合で労働者を休業させた場合、その休業期間中、労働者に対し、その平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならないと定めています。
新型コロナウィルスによる影響で会社が休業する場合も、休業手当が支給される可能性があります。ただし、新型コロナウイルスの影響による休業が、会社の都合での休業に該当するかは解釈が分かれるようです。詳しくは勤務先や労働局、労働基準監督署まで相談してみましょう。
なお、従業員自身が新型コロナウイルスに感染し、休業する場合は、会社の都合による休業には該当しないため、一般的に休業手当は支給されず、傷病手当による補填となります。
対象 | 会社側の都合で休業を命じられた労働者 |
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給付額 | 休業させた所定労働日について、その平均賃金の60%以上の手当 |
個人事業主・法人(企業向け)給付金や助成金支援
個人事業主や法人など企業向けには、新型コロナウイルスの支援対策として、給付金以外にも助成金による支援が打ち出されています。従業員を雇用している場合は、その維持をするためにも、助成金を活用していきましょう。
持続化給付金
企業向けの主な給付金には、法人最大200万円、個人最大100万円が支給される、持続化給付金があります。大企業を除く法人、フリーランスを含む個人事業主と、幅広く適用されるのが特徴です。
なお、支給対象となるのは、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年同月比の売上が50%以上減少している法人、個人事業主です。詳しい情報や申請は、「持続化給付金」の公式サイトから行いましょう。
申請時には事前に税理士などの専門家に必要事項の確認を依頼することで、ミスなくスムーズに給付を受けられます。
対象 | 資本金10億円以上の大企業を除く、中小法人等(医療法人、農業法人、NPO法人を含む)、フリーランスを含む個人事業者 |
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支給要件 | 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在する場合。計算方法は「前年の総売上 – 前年同月比▲50%月の売上 × 12カ月」。 ※対象月は、2020年1月から申請する月の前月までの間で、前年同月比の事業収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を任意で選択 |
給付額 | 個人事業者:最大100万円 法人:最大200万円 |
申請受付期間 | 2020年5月1日~2021年1月15日 |
申請方法 | 特設サイトでの電子申請(5/1~)または、「申請サポート会場(開設日時未定)」での申請 |
雇用調整助成金
個人事業主、法人等の主な助成金支援としては、雇用調整助成金があげられます。雇用調整助成金は、事業活動の縮小等を余儀なくされた事業者で、一時的な休業や教育訓練等で労働者の雇用維持を行った場合に対し、休業手当や賃金の一部を支援する助成金です。この雇用調整助成金も、今回の新型コロナウィルスの支援対策として特例措置が出されています。
特例措置の期間は、2020年4月1日~6月30日までとなっており、この期間は助成金額の増額や、条件緩和が実施されています。
なお、5月3日のニュースで、雇用調整助成金の日額上限上乗せの検討もされると発表がありました。今後によっては、さかのぼって措置される可能性もあるかもしれませんので、引き続き動向に注目が必要です。(執筆時点5月5日)
対象 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主 |
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助成額 | 前年の賃金100%相当額、または助成金の上限日額8,330円以上の休業手当を労働者に支払う場合、休業手当代の全額を国が助成する |
申請受付期間 | 2020年4月1日~2020年6月30日 |
申請方法 | 事業所所在地の管轄にあたる都道府県労働局またはハローワークに計画届、支給申請提出 ※郵送による提出も可能 |
問い合わせ | ・最寄りの都道府県労働局またはハローワーク または ・雇用調整助成金コールセンター TEL:0120-60-3999 受付時間:9:00~21:00(土日・祝日含む) |
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金
新型コロナウイルスにより小学校等の休校措置が取られていますが、従業員の中には子どもの世話で出勤できない場合もあるでしょう。会社や事業者として、小学校等に子供を通わせている従業員に有給休暇を取得させた場合は、新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の支給対象になる可能性があります。日額8,330円を上限とし、従業員に支払った賃金相当額は100%の助成が受けられます。
対象 | 2020年2月27日から6月30日までの間に、以下のいずれかが必要な労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別で、有給(賃金全額支給)休暇を取得させた事業主
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助成額 | 対象労働者の休暇中に支払った賃金相当額(※)×10/10(日額上限8,330円) ※賃金相当額は「日額換算賃金額✕有給休暇の日数」で計算 |
申請受付期間 | 2020年4月15日〜2020年9月30日 |
申請方法 | 申請は法人単位で行う。必要書類を配達記録が残る形で「学校等休業助成金・支援受付センター」まで郵送する。 |
新型コロナウイルス感染症による学校休業等対応支援金
新型コロナウイルス感染症による学校休業等対応支援金は、業務委託契約により収入を得ている人で、小学校等の休校等に伴い子どもの世話を行う必要があり、契約した仕事ができなくなった場合の支援金です。個人事業者やフリーランスなど、個人で仕事をしている人向けの支援金です。支援金額は1日当たり、定額4,100円となっています。
対象 | 以下の、いずれにも該当する人
※小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等 |
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支援額 | 就業できなかった日について、1日あたり定額4,100円 |
申請受付期間 | 2020年3月18日〜2020年9月30日 |
申請方法 | 所定書類に必要事項を記入の上、「学校等休業助成金・支援金受付センター」に申請書と証拠書類を送付 |
働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークを導入する企業も増えていますが、新たにテレワークを導入した場合の助成も行われています。「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」は、通常の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース等)に加え、特例として時限的に設けられているコースです。
なお、申請期限を過ぎても、通常のテレワークコース(働き方改革推進支援助成金(テレワークコース))ついては受付されています。
対象 | 労働者災害補償保険の適用がある、新型コロナウィルス感染症対策として、新たにテレワークを導入中小企業事業主(※試行的に導入している事業主も含む) |
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助成額 | 補助率:1/2(1企業あたり上限100万円) |
助成対象となる事業の実施期間 | 2020年2月17日~5月31日 |
申請期限 | 交付申請:2020年5月29日 支給申請:2020年7月15日 |
問い合わせ | テレワーク相談センター TEL:0120-91-6479 03-5577-4724(5月31日まで) 03-5577-4734(5月31日まで) (受付時間:平日9:00~17:00) メール:sodan@japan-telework.or.jp東京テレワーク推進センター(都内企業対象) TEL:0120-97-0396 受付時間:平日9:00~17:00 メール:suishin@japan-telework.or.jp |
新型コロナウイルス関連の給付金や助成金は今後も拡大や変更の可能性あり
今回は主な新型コロナウイルス関連の給付金、助成金をご紹介しましたが、このほかにも国や自治体が実施している支援対策はあります。また、ご紹介した対策についても、執筆時点(2020円5月5日)の情報であり、今後内容の拡充や変更が行われる可能性はあります。活用する際は各実施元の情報を確認したり、不明な点は専門家にも相談したりするなどして利用されることをおすすめします。