補助金・助成金

会社設立・起業時に利用できる助成金や補助金とは

会社設立・起業時に利用できる助成金や補助金とは

これから会社設立や起業をしようと思っている方にとって助成金や補助金を申請して、資金調達したい!と考える方も多いかと思います。

実際に、補助金や助成金は融資とは異なり、返済義務がありません。

そのため、企業経営にとってメリットのある資金調達方法です。

今回は次のことを詳しく解説していきます。

  • 助成金や補助金とはどんなものなのか
  • 助成金や補助金のメリットや注意点
  • どういった種類のものがあるのか

本記事を参考にして助成金や補助金を申請し、起業時の資金調達の役に立ててみてください。

助成金や補助金の特徴は?二つの資金の違いは何?

助成金や補助金は返済する必要がない資金調達の方法です。国や地方公共団体などが資金供給しています。

助成金の特徴は人に関する資金

助成金は主に人の採用やキャリアアップ、職場の環境改善など人に関する対策をとった企業に対して支給されます。

  • トライアル雇用奨励金や三年以内既卒者等採用定着奨励金など採用に関する補助金
  • キャリアアップ助成金などスキルを向上させるための補助金

条件を満たすと必ず支給されるため、補助金よりも受給しやすいのが助成金です。

補助金は企業経営を補助するための資金

補助金は企業経営をサポートし、事業者の活性化を促すための資金です。

具体的には設備の資金補助・事業承継に関する支援・地域活性化のための資金・IT導入に対する補助などが代表例です。予算が決まっているケースがほとんどのため、早めに申し込まなければいけません。

助成金と補助金の活用をすることで、起業間近の経営に大きく役立つ

助成金や補助金は経営の三大要素と呼ばれる「ヒト・モノ・カネ」を解決させる資金調達のため、起業時の事業運営に大きく役立ちます。

  • 資金調達のめどがつかない
  • 人を雇いたいけど、お金がない
  • 設備投資したいけど、設備が高すぎる

このような課題をお持ちの方も多いかと思いますが、このような課題は助成金や補助金によって解決させることができます。それでは実際に助成金・補助金にはどのようなメリットがあるか見ていきましょう。

起業時に助成金・補助金を活用する4つのメリット

助成金・補助金は起業時には活用すべき資金です。理由は下記の4つのメリットがあるためです。

  • 融資とは異なり、返済が不要
  • 起業を支援する助成金や補助金もある
  • 労働環境や社員の待遇を向上できる
  • 信用を得ることができる

融資とは異なり、返済が不要のため

助成金や補助金は融資とは異なり、返済が不要です。そのため、受給した金額はそのまま自己資金となるので、気軽に申請・利用できる資金といえます。

また、要件を満たした事業者には支給されやすい点もメリットとして挙げられます。返済不要で、支給されやすいため、資金調達時には最も便利な手法の一つといえます。

起業したての人や小規模な事業者を支援する補助金

起業したての人や小規模な事業者を支援する補助金もあります。

代表的な補助金としては次4つが有名です。

  • 地域創業的事業補助金:新たに創業する者に対して100万円~200万円を支給
  • 小規模事業者持続化補助金:小規模の事業者に対して50万円を上限として支給
  • キャリアアップ助成金:6か月以上雇用している非正規社員を正社員にし、6ヶ月継続雇用すると最大60万円支給
  • IT導入補助金:ITツール導入時に最大450万円を支給

これらの資金は起業したての人にとって使いやすい補助金となります。特に活用したい補助金が地域創業的事業補助金とITツール導入補助金です。

地域創業的事業補助金

地域創業的事業補助金は新たな需要や雇用を生み出す事業者に対して最大100万円または200万円(補助率は2分の1)まで補助をするという補助金です。

支給上限金額の違いは、外部からの資金調達を含めた計画かどうかです。

  • 最大100万円の場合は銀行など外部からの資金調達を含めない計画
  • 最大200万円の場合は銀行など外部からの資金調達を含めた計画

上限金額が高くなるため、外部からの借入を含めた計画にしておきましょう。

地域創業的事業補助金の申請から受給まで流れは以下の通りです。

  • 創業計画を作成する
  • 市町村に計画を提出し、特定創業支援事業の認定をうける
  • 地域創造的事業補助金に申請する
  • 書類審査(面接はなし)
  • 審査に通過したら、約1年後を目安に支給される

手続きが長いのがデメリットですが、創業時の事業拡大に大きく役立つ資金のため、起業時には必ず申請しておきたい補助金です。

IT導入補助金

IT導入補助金はITツールを導入して、効率性をあげたいと考えている中小企業や小規模事業者に対して、ITツールの導入費用を最大450万円まで補助するという資金です。ITツールはテクノロジーが発達した現在では必須のツールとなっており、起業時に活用したい補助金です。

IT導入補助金は具体的には下記の導入資金を補助してくれます。

  • RPAによる既存の業務の自動化・効率化
  • 売上アップのための顧客一元管理システムの導入
  • 社内の効率化をアップさせるための情報管理・共有システムにより

このように人が集まりにくく、資金が足りなくなりがちの起業時に補助金を活用してITツールを導入することで、生産性が向上します。IT導入補助金は起業時に活用したい補助金の一つです。

助成金を活用することで、社員の生産性向上につながる

助成金を活用することで、社員の待遇の改善を図ることができます。

  • 社員の生産性向上
  • 離職率低下
  • 新規採用者の増加

具体的に社員の待遇を改善できる代表的な助成金としては次のようなものがあります。

  • 業務改善助成金・・最低賃金を引き上げた場合最大450万円を助成する資金
  • 受動喫煙防止対策助成金・・分煙所などを設けた場合最大100万円を助成
  • ストレスチェック助成金・・ストレスチェックを実施した場合、1従業員につき500円まで助成

これらは代表例ですが、他にも従業員が働きやすくなるような数多くの助成金が支給されています。特に起業して間もないときは資金不足で従業員の待遇が悪化しやすいです。助成金を活用し、社員の生産性を向上させていきましょう。

信用を得ることができる

助成金や補助金は国や自治体が審査している資金で、審査を通過した企業や個人事業主のみが受け取ることができます。

そのため、国や自治体から認められた団体ということを証明しているため、信用力がつきます。起業して間もないときは信用力がないため、融資や人の採用の時に不利になりやすいです。助成金や補助金を受給し、信用力を付けることで、改善させましょう。

助成金や補助金を受けるには認定支援機関や社労士に相談しよう

助成金や補助金を受けるためには認定支援機関や社労士に相談することをおすすめします。

認定支援機関とは税務や財務に関するスペシャリストで経済産業省から認定を受けた機関のことをいいます。

認定支援機関として代表的な団体として挙げられるのが次のようなものです。

  • 税理士事務所・公認会計士事務所
  • 中小企業診断士
  • 金融機関
  • 商工会議所

起業して間もないときは助成金や補助金の申請の仕方や書類の作成方法でわからないことも多いかと思います。そのため、補助金は認定支援機関、助成金は社労士に相談した方が効率的です。

なお、きわみ事務所も認定支援機関(経営革新等認定支援機関)として認定を受けております。

助成金や補助金受給のポイント

助成金や補助金を受給するための5つのポイントがあります。

  • 情報収集して、補助金や助成金の種類を確認
  • 分かりやすい申請書を作成する
  • コストパフォーマンスを重視した事業計画書の作成
  • 効果的なプレゼンテーションをする
  • 何度でも申請してみる

これらのポイントを押さえることで、審査に通過する可能性が大きくあがります。

情報を収集して、どのような補助金・助成金があるかを確認

まずはどのような補助金や助成金があるのかを確認する必要があります。確認する上でおすすめできるサービスや団体は下記の通りです。

  • ミラサポ:公的機関の支援情報や情報提供をしているWEBサイト
  • J-net21:中小企業のビジネスを支援するポータルサイト
  • 自治体のホームページ
  • 商工会議所

分かりやすい申請書の作成

書類を受け取る側は業界知識がないケースがほとんどですので、専門用語は使わずに分かりやすい申請書を作成するように心がけましょう。事業の内容が分かりにくければ、申請も通過しにくくなります。

コストパフォーマンスを重視した事業計画書の作成

事業計画書の作成においてはコストパフォーマンスが重要視されます。つまり、助成金や補助金を使って何を導入して、どのくらいの効果が見込まれるのかを説明する必要があります。助成金や補助金によって導入するものがしっかり効果を出す予定である旨説明しましょう。

効果的なプレゼンテーションをする

助成金は書類の提出のみで終わるケースも多いですが、補助金の場合はプレゼンテーションが必要になるケースが多いです。プレゼンテーションが上手くいかない場合は、補助金の審査に通過することができません。

プレゼンテーションにおいて重要なポイントは下記の3つです。

  • 結論から話して、簡潔に分かりやすくする
  • 客観的なデータを用いる
  • 具体的な話をする

これらのポイントを用いてプレゼンテーションをすることで、効果的に相手に伝わります。プレゼンテーションは事前に練習しておかなければ、本番で話すことはできません。事前に想定される質問を考え、答えを用意し、繰り返し面接練習をしましょう。

補助金・助成金は何度でも申請できる

補助金・助成金は審査に落ちてしまっても、何度でも申請できます。そのため、一度審査に落ちたからといってあきらめず、受給できるまで何度でも申請してみましょう。

もちろん、同じような書類を何回出しても通過はしません。

なぜ審査に通過しなかったのか、どこが課題だったのかについて検証し、改善してから申し込みをしましょう。

助成金や補助金を受ける際の注意点

助成金や補助金を受ける際にはいくつか注意点があります。

  • 無理して受給をしてはいけない
  • 助成金・補助金は交付されるのが遅いケースも
  • 申請前に導入したものには原則支給されない

無理に受給をしてはいけない

助成金や補助金は返す必要のないお金ですが、無理して申請をしてはいけません。不正受給につながり、ペナルティの対象になるためです。不正受給に関するペナルティは主に下記のとおりです。

  • 延滞金+不正受給に相当する20%の金額が請求される
  • 刑事告訴の可能性もある
  • 5年間の支給停止

このように不正受給には大きなペナルティが課せられます。無理して数値をつくり補助金や助成金を受給する行為は絶対にやめてください。

補助金・助成金はあくまで経営の延長線上にあるものです。補助金・助成金ありきで計画をつくるのではなく、最優先すべきは自社の経営計画であることは忘れないでおきましょう。

助成金・補助金は交付されるのが遅いケースも

助成金・補助金は申請してから実際に交付されるまで時間がかかるケースが多いです。補助金の種類にもよりますが、申請から交付までおよそ半年から1年くらいの期間がかかります。運転資金にはある程度余裕を持ち、補助金・助成金の交付が遅れても対応できるような体制を整えておきましょう。

補助金は先に導入したものには支給されない

補助金は原則として申請前に導入したものに対しては支給対象外です。

助成金・補助金まとめ

今回は助成金・補助金について詳しくまとめてみました。

  • 助成金・補助金は返済する必要がない資金で、起業に大きく役立つ
  • 助成金は雇用や採用、社内環境の整備など人に対する資金
  • 補助金はIT導入や産業創出など事業に対する資金
  • 初めての申請には専門家と相談しながら書類を作成するのをおすすめ
  • 起業時には大きく役立つので、必ず申請しておく

助成金・補助金は起業時に大きく役立つ資金調達の方法です。活用して事業を大きく伸ばしていきましょう。

企業の教科書
竹内 欣士
記事の監修者 竹内 欣士
弁護士、社会保険労務士

知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく、人の世は住みにくい(夏目漱石「草枕」)。
日々、知識を活かす智恵こそが大切だと痛感しています。知を重んじつつ頼らない。情を大切にしつつ流されない。意地を胸に秘めつつ通さない。そのバランスを図りながら、依頼者に寄り添う「身近な相談相手」を目指してまいります。

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