主要簿のひとつである総勘定元帳。 すべての会社において作成することが義務付けられています。 難しそうなイメージがあるかもしれませんが、意外と簡単にエクセルで作ることができるんですよ。 特に、会計ソフトやシステムを導入するまでもないほどの取引件数しかない場合にはおすすめです。
実際に総勘定元帳をエクセルで作ろうとしたときに、様式に必要な項目をどのように入れていけば良いのかを、記入例とあわせて見ていきましょう。
総勘定元帳とは
総勘定元帳とは、現金、預金、仕入や売上など、勘定科目ごとの元帳であり、「会社のすべての取引がまとめられた帳簿」のことです。仕訳帳または仕訳日計表といった仕訳実績から転記していきます。
文字通り「すべての取引」を転記しなければならないため、取引量によっては膨大な内容になってしまうことも。
取引量がそれほど多くなければエクセルでも十分作成可能です。しかし、件数が多ければ費用対効果を考えて会計ソフトを導入することをおすすめします。
勘定科目については、詳しく紹介しているページがありますので、あわせてそちらも参考にしてください。
総勘定元帳をエクセルで作るときに必要な項目
総勘定元帳を作るときに必要な項目は次の7つ。総勘定元帳には残高式・標準式と2通りありますが、ここでは一般的な「残高式」を採用して表現していきますね。
- 表題:勘定科目名を記載。
- 日付:取引を行なった日付を転記。
- 摘要:相手勘定科目を転記。勘定科目が複数ある場合は「諸口」と記載します。仕訳日計表から転記した場合は「仕訳日計表」と記載。
- 仕丁:仕訳帳または仕訳日計表のページ番号(丁数)を記載。
- 借方・貸方:借方・貸方それぞれの金額を転記。
- 借/貸:残高で借方が多ければ「借」、貸方が多ければ「貸」と記載。
- 残高:残高金額を記載。
- 口座番号:各勘定の番号を記載。会社ごとに任意で設定する。※ページ番号ではありません。
必要な項目はこれだけで、作成は簡単です。
なお、転記するための基となる資料は、総勘定元帳へ転記する前までにどのような処理を行なっているかで異なります。
- 仕訳日計表を作成している場合:仕訳日計表から転記
- 仕訳帳を作成している場合:仕訳帳から転記
取引量が少ない場合、伝票などは起票せず仕訳帳のみを作成していることがあります。 ですが、一日の取引量が多ければ多いほど、その都度の確認や転記作業が大変になってしまいます。
そのため、多くの会社では「仕訳集計表」を作成し、1日単位や週単位でまとめています。 集計期間の取引金額が一目で確認できますし、総勘定元帳への転記が楽になります。
総勘定元帳への記入例
総勘定元帳への記入例をそれぞれのパターンで見ていきましょう。
- 仕訳日計表から転記する場合の記入例
- 仕訳帳から転記する場合の記入例
1.仕訳日計表から転記する場合の記入例
仕訳日計表を作成している場合、仕訳日計表から転記します。
【仕訳日計表の例】
この仕訳日計表を総勘定元帳に転記していきます。
【仕訳日計表から総勘定元帳へ転記した例】
摘要欄には「仕訳日計表」とだけ記載するので、非常に簡単です。 あとは借方・貸方それぞれの金額を入力して、残高を算出するだけ。
残高額は「直上のセルの残高額+借方金額-貸方金額」で算出できます。
なお、総勘定元帳に転記し終わったら、仕訳日計表の「元丁」欄に各勘定の口座番号を記載し、転記した履歴として残しておきましょう。
また、現金残高がマイナスになることは事実上ありえません。 同じ日に貸借両方の金額が計上される場合、借方(現金のプラス)を先に入力したほうが無難です。
2.仕訳帳から転記する場合の記入例
仕訳帳から転記する場合は、摘要欄に記載するものが変わります。 まずは仕訳帳の例を見ていきましょう。
【仕訳帳の例】
先に紹介した仕訳日計表と同じ内容の取引です。 これを総勘定元帳に転記すると、次の通りです。
【仕訳帳から総勘定元帳へ転記した例】
仕訳日計表と違うのは、摘要欄に「相手勘定科目を転記する」こと。 転記する基となる資料が違うと、記載する内容が変わりますので注意してくださいね。
なお、今回の例では現金について記載しましたが、実際には仕訳帳または仕訳日計表に記載してある勘定科目ごと、それぞれの総勘定元帳を作成する必要がありますよ。
総勘定元帳をエクセルで作るときの注意点
総勘定元帳をエクセルで作るときには、入力ミスに注意してください。 残高以外の項目は基本的に手入力か、仕訳日計表などの帳簿からのコピーアンドペーストです。打ち間違いや貼り付け箇所の間違いなど、ちょっとしたミスが発生しやすくなります。
こうした入力ミスを完全に防ぐのは難しいので、こまめに入力して項目や金額のズレがないかを随時チェックするのがおすすめです。
取引量が多くなってきたり、ミスが頻発したりして時間がかかるようであれば、費用対効果を考えて会計ソフトの導入を検討してみてくださいね。
総勘定元帳をエクセルで作るのは取引量が少ないうちだけ
取引量が少ないうちは、総勘定元帳をエクセルで作るのはおすすめできます。 エクセルの場合、一度様式を作成してしまえば、コピーするなどして他の勘定科目の元帳を作るのも簡単です。
しかし、転記は手入力やコピーアンドペーストによるため、どうしてもヒューマンエラーによる入力ミスが発生してしまいがち。 作成後・転記後のチェックは怠らないようにしてくださいね。
とは言え、エクセルよりも会計ソフトの方が圧倒的に優秀です。金額を入力したり、伝票を起票したりするだけで総勘定元帳に自動的に転記してくれるものがほとんどですので、手間が大きく省けます。取引量にあわせて、費用対効果の高い方を選んで使っていきましょう。
また、決算書についてまとめているページもありますので、そちらもあわせて参考にしてくださいね。