「税金や社会保険料を滞納してしまったらどうなるの?」と不安に思っていませんか。
もし、うっかりでも期日を過ぎてしまえば税金を滞納していると扱われてしまいます。
支払えるのであれば、すぐに振替用紙を持って支払いに行きましょう。
日本のどこかの市町村に住民登録をしていたり、日本での所得があったりすると、納税の義務が発生します。しかし、経済状況の悪化や新型コロナウイルス感染症の影響を受けて「税金が支払えない」という人も少なくないでしょう。
今回は、税金を滞納したらどうなるのかを分かりやすく解説いたします。
滞納してしまった場合の対処法や相談窓口も説明しているので、安心してください。すぐに差し押さえになることは、ほとんどありません。
この記事を読んで、相談窓口で猶予してもらえるように掛け合いましょう。
税金を滞納したらどうなる?
納税は日本国民の義務です。
しかし、やむを得ない事情によって支払えない場合もあるでしょう。もし、税金を滞納したらどうなるのか気になりますよね。
税金の支払い期限は、1日でも過ぎると滞納したとみなされます。
滞納をすると、以下のような順番で滞納処分を受けることになるので気をつけましょう。
- 督促状が届く
- 延滞税が発生する
- 滞納処分で差し押さえられる
しっかりと事情を説明すれば、ただちに財産を差し押さえられることはありません。
順番に確認していきましょう。
督促状が届く
税金の支払い期限を過ぎても支払いを行わなければ、督促状が届きます。
たとえば、地方税については、納期期限後20日以内に督促状を送らなければならないという法律があります。
未納の税金の督促状が届いたら、至急納税しましょう。すぐに納税できない場合は、差出人に対して至急連絡をして事情を話すべきです。
しかし、国や都道府県市町村など、税金によって納める行政が異なります。
督促状の差出人に連絡をすれば間違いないので、確認しましょう。連絡をすると、窓口まで来るように伝えられるケースが多いです。
できるだけ早く対応し、「払う気持ちはある」という誠意を見せましょう。
延滞税が発生する
納付期限の翌日から完納するまでの間、延滞税が発生するので注意しましょう。
延滞税がかかるケースとして、国税庁で以下のように規定されています。
(1) 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき。
(2) 期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき。
(3) 更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき。
令和3年1月1日以後、延滞税は以下のように定められています。
- 納期期の翌日から2月を経過する日まで→原則年7.3%
- 納期限の翌日から2月を経過した日以後→原則年14.6%
期日の翌日から納付する日までの日数に応じて割合が変わります。
ただし、令和3年1月1日以後の期間について延滞税特例基準割合+1%が適用されているので注意が必要です。
国税庁には、以下のように記載されています。
法定納期限(注1)の翌日から納付する日までの日数に応じて次の割合により延滞税が課されます。
[令和3年1月1日以後](1) 納期限(注2)の翌日から2月を経過する日まで
原則として年「7.3%」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合(注3)+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5%
(2) 納期限の翌日から2月を経過した日以後
原則として年「14.6%」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8%
ちなみに、「計算した延滞税の額に100円未満の端数があるときは、これを切り捨てて納付」と記載されています。
延滞税の計算例
たとえば、10万円の税金を3か月(90日間)滞納したとしましょう。
このとき、2か月分(60日間)の延滞税は以下のように計算します。
10万円×2.5%÷365日×60日間=400円(100円未満切り捨て)
2か月を経過して以降の1か月分(30日間)の延滞税は以下の通りです。
10万円×8.8%÷365日×30日間=700円
つまり、10万円の税金を3か月(90日間)滞納したときの延滞税は1,100円となります。
もしかすると「それくらいだったら延滞税を支払うから、後で納税しよう」と思う方がいるかもしれません。
しかし、その考えは捨てるべきです。
なぜなら、督促状を無視していると財産を差し押さえられる可能性があるからです。
滞納処分で差し押さえられる
督促状が届いた後も納税せずにいると、滞納行政処分で財産を差し押さえられる可能性があります。
なぜなら、督促状が届いて10日以内に納税しなければ、差し押さえができると法律で決まっているからです。
滞納処分による差押えは、滞納者が国税をその納期限までに完納しないことにより督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときに行うのが通常である
引用:国税徴収法|国税庁
実際には、すぐに差し押さえられることはなくても、電話を無視するなど不誠実な対応を取ると差し押さえされる可能性が高まります。
そもそも差し押さえとは、国によって自分の財産の処分を禁止されることです。
財産を強制競売にかけられて現金に換金し、強制的に納税させられます。
住宅・土地・現金・預金・給料・車・骨董品・有価証券・貴金属など、現金や現金に換金できるものが差し押さえられてしまうのです。
一度差し押さえられてしまうと、滞納税金などをすべて完納しなければ解除されることはありません。
税金を滞納して、即座に差し押さえされることは稀です。
しかし、法律で督促状が届いて10日以内に納税しなければ、差し押さえができると決まっていることを覚えておきましょう。
誠意が見られないと刑罰になることも
納税者の対応が悪質だと、懲役や罰金などの刑罰が科される恐れがあります。
払う気がなかったり、滞納処分を回避するために財産の隠蔽・損壊を行ったりすると悪質であるとみなされるからです。
法第187条は、納税者又は納税者と一定の関係がある者が、納税者に対する滞納処分の執行を免れ、又は免れさせる目的で、その納税者の所有に属する財産を、隠ぺい、損壊その他財産の価値を減少させる等の行為をした場合には、それらの行為者に対し、一定の刑罰を科することを定めたものである。
刑罰が科されることは、かなり稀です。
基本的に、支払おうとする誠意を見せれば差し押さえや刑罰を受けることはほとんどありません。
そのためにも、督促状が届いた時点で差出人へ相談するようにしましょう。
滞納税金の時効は事実上ない
「国税の徴収権の消滅時効」によると、滞納税金を徴収する権利は5年間行使しないことによって、時効により消滅すると記載されています。
しかし、時効になる5年目を迎えることはほとんどありません。
というのも、税務署からの督促や差し押さえなどが行われると時効が中断するからです。
ほかにも滞納者が一部納付をすることで、時効の経過は中断します。
そのため、事実上、滞納税金の時効はないものと考えておきましょう。
社会保険料の滞納も税金と同じ性質を持つ
社会保険料も税金と同じように、国民の義務として支払いをしなければならない保険料です。
社会保険とは、健康保険や厚生年金保険、労働保険など、会社に勤めている方が入る保険です。
従業員の給料から事前に保険料を徴収した会社がまとめて支払いを行います。
支払い期限までの支払いがなければ、滞納扱いとなるのです。
滞納をすると税金と同じように督促状が送られてきたり、延滞金が発生します。
最悪の場合、財産の差し押さえがされて、営業に支障をきたすかもしれません。
「そもそも社会保険にはなぜ入らなければならないのか?」という点から、詳しく確認していきましょう。
社会保険の加入義務
ほとんどの会社が従業員を社会保険に加入させる義務があります。
というのも、以下のような法人や事業所は、社会保険の加入が義務付けられているからです。
- 事業主を含む従業員1人以上の会社、国や地方公共団体などの法人
- 常時使用の従業員が5人以上いる個人事業所(一部の業種を除く)
あてはまる会社は、従業員を社会保険に加入させ、社会保険料を納める必要があります。
期日を守らずに滞納してしまうと、税金同様、督促状が届くので注意しましょう。
もし、払えない事情があるのであれば差出人へ連絡をし、今後の対応について相談することを強くおすすめします。
社会保険料を滞納しても従業員に不利益はない
万が一、社会保険料を滞納しても従業員が不利益を被ることはありません。
社会保険料の支払い義務は、従業員を雇っている法人や事業所にあるからです。
そのため、健康保険証が使えなかったり、年金が未払い処理をされたりすることはありません。
国民年金・健康保険も同じ
会社に勤めていない自営業・フリーランス・学生は、社会保険に加入できません。
代わりに、国民年金・健康保険に加入することが義務付けられています。
国民年金・健康保険の支払い期限を怠ると、税金と同じように督促状が送られてきたり、延滞金が発生したりするので注意しましょう。
差し押さえされないための最善の対応
税金や社会保険料の滞納による差し押さえを回避するなら、督促状が手元に届き次第すぐに電話をして猶予を申請しましょう。
支払うつもりがあるが、やむを得ない事情があることを説明すれば、差し押さえを回避できる可能性があります。
なぜなら、納税の猶予が認められれば、処分は下せないと法律で決まっているからです。
納税の猶予の猶予期間中は、その納税の猶予に係る国税につき、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる処分をすることができない。
ただちに差し押さえられないとしても、なるべく早く対応して最悪の事態を回避しましょう。
税金や社会保険料の滞納によって行われる財産調査とは
万が一、税金や社会保険料の滞納によって差し押さえ処分になると、財産調査が行われます。
「あなたの持っている財産がどれほどあるのか」を国が把握するための調査です。
財産調査について、国税庁は、以下のように位置付けています。
財産調査は、滞納処分の対象となる財産の把握にとどまらず、第二次納税義務及び納
税の緩和制度の要件調査などを行う上でも重要な手続である。
このような重要な位置付けとなっているため、財産調査は容赦無く行われます。
また、事前の連絡は不要であるため、督促を無視しているといきなり職員が調査にやってくることも。
まずは、保有している財産や家族、勤務先について質問されます。質問には正しく答え、誠実な対応をとりましょう。さらに、家や会社の中などの検査・捜索が行われます。
実際にどのようなことが調査されるのか確認していきましょう。
身辺調査
請求されている本人だけでなく、以下のような関係者にも調査は及びます。
- 勤務先
- 取引先
- 家族
税金や社会保険料が本当に払えないのかを把握するためです。
同居する家族がいない場合でも、戸籍の調査が行われます。
財産調査
以下のような調査が行われ、現金や現金に換金できるものがないか確認されます。
- 給料
- 銀行情報
- 不動産
- 生命保険
職員の質問に正しく答えなければ、職員によって家宅捜査されます。
現金が見つかれば、滞納している分を支払うよう指示されるでしょう。
自ら支払わない場合、差し押さえとなってしまいます。
生活や営業に支障の出る財産は差し押さえを避ける
滞納している本人や家族の生活・営業活動に支障のでる財産は差し押さえないよう配慮されます。
なぜなら、生活や営業ができなくなってしまうからです。
それでも生活や営業活動に関係のあるものならば絶対に差し押さえられないかというと、そうではありません。
多額の滞納がある場合に、他に適当な財産がなければ自宅などの重要な財産が差し押さえられることもあります。
国税庁の差押えの要件では、差し押さえる財産を選ぶ際は「滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障が少ない財産」を選ぶよう定められています。
ほかにも、差し押さえる財産を選ぶ際は以下のような財産を選ぶこととされています。
第三者の権利を害することが少ない財産であること
換価が容易な財産であること
保管又は引揚げに便利な財産であること
差し押さえされない財産
つぎのような財産は「差押禁止財産」として、差し押さえることが禁止されています。
- 衣服やキッチン用品、ベッド、3か月間の食料などの最低生活に必要なもの
- 仏壇や位牌などの信仰に必要なもの
- 車いすや義手など
また、基本的に車は差し押さえ対象ですが、車がなければ仕事に行けない等の事情があれば、差し押さえ対象から外れます。
税金や社会保険料が払えないときの相談窓口
もし、税金や社会保険料が払えないときは、それぞれの窓口へ相談に行きましょう。
督促状の差出人へ連絡をすれば、窓口を確実に案内してもらえます。
しかし、督促状が届く前や届いたけど無くしてしまった場合は、以下のいずれかの窓口で対応してもらうことが可能です。
- 市町村役場
- 税務署
- 日本年金機構
- 都道府県労働局
やむを得ない事情があって支払えなくても、窓口で相談すれば猶予が認められるかもしれません。
差し押さえを回避するためにも、早めに対応しましょう。
市町村役場
市町村役場では、地方税や国民健康保険料、国民年金保険料についての窓口があります。
- 地方税→納税課
- 国民健康保険・国民年金保険料→保険年金課
事前にお住まいの市町村役場へ電話をして、事情を説明しましょう。
猶予を認めてもらうためには、来所して申請手続きを行わなければなりません。
来所の際は、督促状(ある場合)・身分証明書・印鑑を持っていくとスムーズに手続きができます。
税務署
所得税や法人税、地方法人税などの国税については、税務署に窓口があります。
猶予が認められれば、猶予期間の延滞金の一部が免除されます。
いきなり税務署へ行く前に、国税局猶予相談センターへ相談をしましょう。
猶予制度の説明や対応方法について教えてもらえます。
国税局猶予相談センターの連絡先は、お住まいの都道府県によって異なるので確認しましょう。
ただし、国税局猶予相談センターでは猶予の申請はできません。
猶予申請に必要なものを教えてもらい、所轄の税務署の窓口で申請しましょう。
日本年金機構
社会保険の健康保険・介護保険・厚生年金保険については、日本年金機構が相談窓口となっています。
納付することで事業継続が困難になるなど、納付できない場合、猶予を認められる可能性があります。
厚生年金保険料等を一時に納付することにより事業の継続等を困難にするおそれがあり、一定の要件に該当する場合、厚生年金保険料等を分割納付できる仕組みがあります。事業主の方は、納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6月以内に「換価の猶予」の申請ができます。
猶予が認められると、社会保険料の各月分割での納付が可能です。
猶予期間中は延滞金の一部が免除され、差し押さえも猶予されます。
猶予の期間は、原則1年です。
しかし、完納できないやむを得ない理由があると認められると、最長2年まで猶予を延長されます。
猶予が認められるのは、納期限から6か月以内です。
できるだけ早く、所轄の年金事務所へ相談しましょう。
都道府県労働局
労働保険料については、労働局が窓口となっています。
労働保険料の納付が難しい場合、以下の2つの猶予制度を受けられるかもしれません。
一般猶予 | やむを得ない理由が認められれば、1年間の猶予を受けられる。さらに完納できない場合は、申請によって最長2年間の猶予期間延長を認められる場合がある。 |
---|---|
災害猶予 | 災害によって、20%以上の財産を損失した場合、最長1年間の災害猶予を受けられる。一般猶予を申請することで、合わせて最長3年間の猶予の延長を認められることがある。 |
一般猶予は、以下の条件を満たす場合に認められます。
(1)財産について災害を受け、又は盗難にあったこと
(2)納付者又はその生計を一にする親族などが病気にかかり又は負傷したこと
(3)事業を廃止し、又は休止をしたこと
(4)事業について著しい損失(申請前の1年間において、その前年の利益の額の2分の1を超える損失(赤字)が生じた場合)を受けたこと
(5)上記に類する事実があったこと
猶予の期間中は、延滞金の免除や財産差し押さえの猶予・解除といった効果を受けられます。
猶予を受けるために、所轄の都道府県労働局に申請しましょう。
新型コロナウイルス感染症による納税の猶予の特例(特例猶予)とは
新型コロナウイルス感染症の影響によって税金や社会保険料が滞納となる場合、納付の猶予を受けられるよう特例猶予の制度が設けられています。
特例猶予を受けるためには、各所申請しなければなりません。
- 申告所得税・贈与税・消費税などの国税
- 住民税・自動車税などの地方税
- 国民健康保険料・国民年金保険料
- 厚生年金保険料・労働保険料などの社会保険
- 労働保険料
それぞれの内容を確認していきましょう。
申告所得税・贈与税・消費税などの国税
申告所得税や贈与税、消費税などの国税について、新型コロナウイルス感染症の影響よって納められない事情があるなら、猶予の申請をすることができます。
たとえば、以下のような事由が例として挙げられているので確認しましょう。
1 新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合
2 納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった場合、国税を一時に納付できない額のうち医療費や治療等に付随する費用
3 納税者の方が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
4 納税者の方が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた場合、国税を一時に納付できない額のうち、受けた損失額に相当する金額
納税の猶予が認められると、以下の3つの効果を得られます。
1 原則として1年間納税が猶予されます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります。)。
2 猶予期間中の延滞税が軽減(注)又は免除されます。
(注)通常 年8.8%→軽減後 年1.0%(令和3年中の割合)
3 財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。
なおこの制度は令和3年2月1日をもって申請が終了となっています。ただし、令和3年2月1日までに納期限が到来する国税で、その納期限までに申請書を提出できなかった理由があると認められるときは、納期限後でも申請できます。
上記の条件に当てはまらない場合は、通常の納税の猶予によって、納付を猶予してもらうことが可能です。
詳しい申請方法については、国税局猶予相談センターへ問い合わせましょう。
住民税・自動車税などの地方税
住民税・自動車税などの地方税は、新型コロナウイルス感染症の影響によって納税が困難な人に向けて猶予制度を設けています。
以下のようなケースに当てはまる方は、早めに都道府県・市町村税務担当窓口へ相談しましょう。
(1) 財産に相当な損失が生じた場合
例) 新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、消毒作業が行われ、備品や棚卸資産を廃棄した
(2) ご本人又はご家族が病気にかかった場合
例) 納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が新型コロナウイルス感染症に罹患した
(3) 事業を廃止し、又は休止した場合
例) 納税者の方が営む事業について、新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置により、やむを得ず休廃業をした
(4) 事業に著しい損失を受けた場合
例) 納税者の方が営む事業について、新型コロナウイルス感染症の影響により利益が減少し、著しい損失を受けた
万が一、猶予の期限が切れても納税が困難であれば、別の猶予制度を受けられるかもしれません。
猶予の期限を確認し、納税が難しい場合は早めに都道府県・市町村税務担当窓口に相談しましょう。
国民健康保険料・国民年金保険料などの保険料
新型コロナウイルス感染症の影響によって保険料の納付が困難な場合、特例猶予を受けられる可能性があります。
保険料とは、具体的に以下の料金のことです。
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
- 後期高齢者医療保険料
- 介護保険料
市町村役所のそれぞれの窓口へ相談し、猶予の申請をしましょう。
猶予制度は、それぞれの保険料によって異なります。
今回は、京都市情報館に掲載されている情報をもとに、制度の内容を確認していきましょう。
国民健康保険料
新型コロナウイルス感染症の影響によって、条件に該当する世帯である場合、免除や減免が認められます。
対象世帯 | 減免の割合 |
---|---|
新型コロナウイルス感染症によって世帯主が重篤な傷病を負った又は死亡した世帯 | 全額免除 |
新型コロナウイルス感染症の影響によって、世帯主の収入が前年に比べて10分の3以上減少した世帯 | 前年所得によって一部免除(廃業・失業の場合は全額免除) |
条件に当てはまる場合も、申請しなければ猶予を受けられません。
対象の国民健康保険料は、令和2年2月相当分~令和3年3月相当分です。
令和3年3月末までに申請が必要なので、条件に当てはまる人は早めに申請をしましょう。
2020年2月時点では、令和3年4月以降の相当分についての猶予の特例は発表されていません。
しかし、他の猶予を受けられる可能性があるので、一度お住まいの市町村役場の担当窓口へ相談しましょう。
国民年金保険料
支払いが困難な場合、申請をすることで保険料の全額・または一部を免除されたり、猶予となったりする特例制度を利用できます。
猶予を受けられる対象期間は、令和2年度分(令和2年7月〜令和3年6月分)です。
対象となる方は、以下の2つの条件をいずれも満たした方となっています。
(1)令和2年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したこと
(2)令和2年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること
申請の受付は、令和2年5月1日より開始しています。
申請の期限についての記載はないため、できるだけ早く申請することをおすすめします。詳しくは市町村役場の年金窓口へ相談しましょう。
後期高齢者医療保険料
新型コロナウイルス感染症の影響によって、条件に該当する世帯である場合、免除や減免が認められます。
対象世帯 | 減免の割合 |
---|---|
新型コロナウイルス感染症によって、その者の属する世帯主が死亡又は重篤な傷病を負った被保険者 | 全額免除 |
新型コロナウイルス感染症の影響によって、その者の属する世帯主の収入が前年に比べて10分の3以上減少した世帯 | 前年所得によって一部免除(廃業・失業の場合は全額免除) |
対象期間は、令和2年2月1日から令和3年3月31日までです。
大阪府後期高齢者医療広域連合には、申請の締め切りは令和3年3月31日までと書かれていました。
条件に当てはまる方は、できるだけ早く申請を済ませましょう。
介護保険料
新型コロナウイルス感染症の影響によって、条件に該当する世帯である場合、免除や減免が認められます。
対象世帯 | 減免の割合 |
---|---|
新型コロナウイルス感染症によって、被保険者の世帯主が死亡、または1か月以上の治療を要する重篤な傷病を負った場合 | 全額免除 |
新型コロナウイルス感染症の影響によって、被保険者の属する世帯主の収入が前年に比べて10分の3以上減少した世帯 | 前年所得によって一部免除(廃業・失業の場合は全額免除) |
対象期間は、令和2年2月1日から令和4年3月31日までです。
新潟市のホームページに掲載されたお知らせには、申請の締め切りは令和4年3月31日までと書かれていました。
条件に当てはまる方は、できるだけ早く申請を済ませましょう。
厚生年金保険料・労働保険料などの社会保険
新型コロナウイルス感染症の影響によって厚生年金保険料や労働保険料などの社会保険の支払いが困難な場合、年金事務所への申し出によって猶予の特例を受けることができました。
しかし、すでに申請期限は終了しました。
- 厚生年金保険料の申請期限:令和2年2月26日
- 労働保険の申請期限:記載なし
労働保険の申請期限の期限の記載はありませんでしたが、「令和3年2月2日以降に納期限をむかえる労働保険料等の納付が困難な場合においては、「納付の猶予」又は「換価の猶予」を受けることができる場合があります。」と厚生労働省のホームページに書かれていることから、特例を受けることはできません。
もし、申請に間に合わなかった方は、通常の納付の猶予を申請することが可能です。
所轄の年金事務所へ相談し、分割・猶予の申請を行いましょう。
労働保険料
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合、労働保険料の猶予制度を受けられる可能性があります。
猶予が認められると、猶予期間中の延滞金が免除されたり、財産の差し押さえの猶予・解除といった効果が得られます。
2か月程度の間に、国税や地方税、厚生年金保険料などの猶予申請をしているなら、その申請書などを添付することで書類を省略することが可能です。
詳しくは、「新型コロナウイルス感染症等の影響による労働保険料等の納付に係る猶予制度のお知らせ 厚生労働省」の手引きを参考にしてください。
もし、特例猶予の猶予期間内の納付が困難な場合、所轄の都道府県労働局に相談しましょう。
猶予期間を継続できるか判断してもらうことが可能です。
おわりに
もし、税金や社会保険料などの滞納をしてしまったら、すぐに請求元へ連絡をしましょう。
督促状の差出人に連絡をすれば、間違いありません。
払う意思はあるが払えない事情があることを伝えることで、猶予の申請を案内してもらえます。
猶予が認められれば、延滞金が免除されたり、差し押さえを止めたりできます。
督促状や電話を無視すると悪質であるみなされ、最悪の場合、財産の差し押さえをされるかもしれません。
すぐに差し押さえされるケースは珍しいですが、国や自治体には権力があることを理解しておくべきです。
督促状が届いたら早めに各相談窓口へ連絡し、猶予の申請を行いましょう。