新型コロナウィルス感染拡大に関連する支援はさまざま行われていますが、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」もそのひとつです。「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」は東京都の独自制度で、都内の中堅・中小企業に対し、250万円を上限として、テレワーク導入に必要な経費の助成を行うものです。この記事では助成内容や給付対象となる事業者、助成額などについてご紹介します。なお、本時期は2020年5月11日時点の情報に基づき執筆しています。新型コロナウィルスに関する支援対策は日々情報が更新されており、今後変更となる可能性もあるのでご了承ください。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金とは
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金は、東京しごと財団の助成制度です。都内の中堅、中小企業で、テレワークを行うために必要な情報通信機器(パソコンやソフトウェア、クラウドサービスの購入・設置等)を整備し、新型コロナウィルス感染拡大防止や企業の事業継続対策とする事業者に対して助成されます。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の上限金額は250万円です。助成率は10/10なので、助成対象要件を満たす経費は全額支給が受けられるのが特徴です。ただし、申請は1事業者につき1回限り有効です。
助成事業の実施期間は支給決定日から2020年6月30日までに完了することとなっています。なお、「完了」とは、導入する情報通信機器の購入・設置等の準備が完了し、テレワークをすぐに始められる状態になっていることをいいます。
対象事業者 |
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助成金の上限 | 250万円(千円未満の端数切り捨て) |
助成率 | 10/10 |
申請方法 | 書類を郵送により提出 |
申請受付期間 | 2020年3月6日~5月12日(予定)※締め切り日必着 |
実施期間 | 2020年6月30日までに完了する取り組み |
助成金受付先 | 公益財団法人東京しごと財団雇用環境整備課 所在地:〒101-0065 千代田区西神田3-2-1 住友不動産千代田ファーストビル南館5階 TEL:03-5211-2397(受付時間:平日9:00~17:00(12:00~13:00を除く) |
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の助成内容
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の助成対象は下記の通りです。
【助成対象】
- 機器等の購入費
- 機器の設置・設定費
- 保守委託等の業務委託料
- 導入機器等の導入時運用サポート費
- 機器のリース料
- クラウドサービス等ツール利用料
なお、費用のうち、パソコンやタブレット、VPNルーター等機器の設置や設定作業費用、保守費用、機器の操作説明マニュアル作成費用、リース料等は助成対象となります。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金申請から助成金振込までの流れ
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の申請から助成金が振り込まれるまでの、主な流れは次の通りです。申請等は期限が決まっているので注意しましょう。
- 支給申請書の作成
- 事業計画書兼支給申請書、およびその他の必要書類を郵送にて提出(2020年5月12日必着)
- 東京しごと財団による審査・支給決定通知
- 助成事業の実施・完了(2020年6月30日までに完了)
- 実績報告書作成
- 実績報告書およびその他必要書類を郵送にて提出(2020年7月31日必着)
- 東京しごと財団による審査・助成額の確定通知
- 助成金請求書兼口座振替依頼書の提出
- 助成金の振込
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の申請方法
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金は申請様式をダウンロードし、期間内に郵送で提出します。申請様式は東京しごと財団の事業継続緊急対策(テレワーク)助成金募集要項にある、「支給申請様式等」の欄から行いましょう。
なお、申請にあたっては、下記の書類も提出が必要です。
- 事業計画書兼支給申請書(様式第1-1号)
- テレワークを活用した事業継続及び従業員の安全確保にかかる計画(様式第1-2号)
- 誓約書(様式第2号)
- その他助成事業申請に係る書類
その他必要な書類については、募集要項の「別表3 支給申請 提出書類および提出部数一覧表」や、東京しごと財団の事業継続緊急対策(テレワーク)助成金募集要項にあるチェックリストを活用して確認しましょう。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金申請時の注意点
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金を申請する際に注意したいのは、国や都、市区町村が実施する各種助成金との併給が認められないことです。したがって、すでにテレワーク導入に関する別の助成金を受給している場合は、原則対象外になります。
また、東京しごと財団が実施する下記の助成金または補助金を受給したことがある場合は、拡充にかかる費用のみ申請が可能となります。
- はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)
- テレワーク活用・働く女性応援助成金(テレワーク活用推進コース/テレワーク機器導入事業)
- 女性の活躍等職場環境整備助成金/多様な勤務形態の実現事業(1)在宅勤務、モバイル勤務、リモートワーク等を可能とする情報通信機器等の導入による多様な勤務形態の実現のための環境整備
テレワーク導入はほかにも支援対策あり
東京都の「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」は、予算範囲を超える申請がある場合は申請受付期間内でも受付終了となる可能性があります。ただ、事業継続緊急対策(テレワーク)助成金以外にも、厚生労働省が打ち出すテレワーク関連の助成金があります。受付期間を過ぎてしまった場合はこちらも検討してみてはいかがでしょうか。
働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」は、新型コロナ感染拡大を受け、特例として時限的に設けられた助成金です。概要は下記の通りです。
対象者 | 新型コロナウィルス感染症対策を目的とし、新規でテレワークを導入する中小企業事業者(試行的に導入している事業主) |
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助成対象の取り組み |
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支給要件 | 自事業実施期間中に助成対象の取り組みを行い、テレワークを実施した労働者が1人以上いること等 |
支給額 | 補助率1/2(1企業当たり上限100万円) |
交付申請期間 | 2020年3月9日~2020年5月29日(予定) |
助成対象となる事業の実施期間 | 2020年2月17日~2020年5月31日 |
なお、対象となる中小企業事業主は下記の通りです。ただし、労働者災害補償保険の適用があることが前提です。
【対象となる中小企業事業主】
小売業 | 資本または出資額5,000万円以下、常時雇用する労働者50人以下 |
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サービス業 | 資本または出資額5,000万円以下、常時雇用する労働者100人以下 |
卸売業 | 資本または出資額1億円以下、常時雇用する労働者100人以下 |
その他業種 | 資本または出資額3億円以下、常時雇用する労働者300人以下 |
令和2年度 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
厚生労働省は、前述の新型コロナウィルスの感染拡大により、時限的に設けられた助成制度とは別に、通常の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」も実施されています。助成対象の取り組みについては、新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースと同じで、申請受付期間2020年4月1日~2020年12月1日まで(予定)となっています。
なお、支給対象となる取り組みは、以下の成果目標の達成を目指して実施します。達成したかどうかについては、評価期間で判断を行います。評価期間とは、事業実施期間の中で1か月~6か月(交付決定の日から2021年2月15日)の間で、申請者が事業実施計画作成時に自ら設定するものです。
【成果目標の設定】
- 評価期間(※)に1回以上、対象労働者全員にテレワークを実施させる
- 評価期間において対象労働者のテレワーク実施回数が、週平均1回以上であること
支給額は、支給対象となる取り組みの実施にかかった経費の一部を、目標達成状況に応じて支給されます。支給対象になる経費は謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、 備品費、機械装置等購入費、 委託費です。契約形態がリース契約、ライセンス系契約等で「評価期間」を超える契約の場合は「評価期間」にかかる経費のみ対象となります。
また、支給額の助成額は、「対象経費の合計額×補助率」で算出されます。上限額を超える場合は 「1人当たりの上限額」×対象労働者数または「1企業あたりの上限額」のいずれか低い方となります。補助率は下記の表の通りです。
成果目標の達成状況 | 達成 | 未達成 |
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補助率 | 3/4 | 1/2 |
1人あたりの上限額 | 40万円 | 20万円 |
1企業あたりの上限額 | 300万円 | 200万円 |
テレワーク導入には事業継続緊急対策(テレワーク)助成金等の活用を
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金は東京都が独自に行ってる助成金制度です。助成率は10/10なので、審査に通過すれば対象要件を満たす経費は全額助成してもらえます。
ただ、申請受付期間に限りがあることや、予算の範囲を超える申請がある場合は、申請受付期間内でも受付終了となるかもしれません。その場合は、厚生労働省の実施するテレワーク関連の助成金を検討するのもひとつでしょう。
とはいえ、新型コロナウィルスに関する支援対策は今後も打ち出される可能性があります。国や自治体の最新の情報をチェックしつつ、申請について不明な点は専門家にも相談しながら、制度を活用していきましょう。