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個人事業主と法人、どちらで起業する?違いとメリット・デメリットとは

個人事業主と法人、どちらで起業する?違いとメリット・デメリットとは

個人事業主と法人、近年耳にすることが増えてきたフリーランスは、違いがわからず混乱してしまうことのある名称ではないでしょうか。働き方改革やテレワークの推進の影響で耳にすることの増えた3つについて詳しく解説します。
個人事業主と法人のそれぞれのメリット・デメリットや、法人化するベストなタイミング、法人化する際に意識しておきたい注意点もお伝えするので、起業を検討している方や新しい働き方に興味のある方はチェックしてくださいね!

個人事業主と法人、フリーランスの違い

個人事業主も法人、どちらも働くための“箱”というイメージがあるかもしれません。働くために所属する形態の名称です。
起業=法人設立ではありません。個人事業主として働く場合でも“起業”と呼べる点に注意しましょう。
それでは、個人事業主と法人、そしてよく耳にするフリーランスは何が違うのでしょうか?大きく分けると次の3つの違いがあります。

  • 設立するための手続き
  • 国や自治体に納める税金
  • 社会から受ける信用

次章からそれぞれ詳しく解説していきます。

個人事業主とは

まず、個人事業主から見ていきましょう。個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営むことを指します。個人事業主として活動する人を“社長”とは呼ばない点には注意が必要です。
個人事業主としてビジネスをはじめるためには、税務署に「開業届」を提出するだけ。その際に設定する、株式会社や合同会社といった名称のついていない「屋号」を使って事業を進めていきます。
事業年度は1月1日から12月31日と決められており、それ以外の期間を事業年度とすることはできません。法人は好きな事業年度を設定できるのでこの点は違います。
個人事業主は確定申告で納める税額を確定させます。個人事業主が払う所得税は累進課税のため、所得が低いうちは税額を抑えられるところがメリットです。しかし、計上できる経費の範囲が法人と比べて狭いといったデメリットがあることにも注意しましょう。
また、個人事業主・法人ともに一定の売上(1,000万円)を超えるまでは免税事業者となるため、消費税の支払いも不要になるメリットがあります。

法人とは

次に、法人とは“法人格”と呼ばれることもあり、もう1つの人(人格)ができると思ってもらえればわかりやすいかもしれません。
法人は大きく分けると、私法人(民間法人)と公法人の2種類です。民間法人はさらに2種類に分かれ、株式会社や合同会社などの営利団体と、NPOや一般社団法人といった非営利団体で成り立っています。
個人事業主は、事業で得た収入を事業主が使うことができますが(事業主借として計上可能)、法人は別人格なのでお財布も別です。したがって事業で得た収入を事業主(社長)が勝手に使うことはできません。
法人としてビジネスをはじめるためには複雑な手続きが必要です。簡単にご紹介すると、必要書類などの準備や定款の作成、定款認証や登記申請などがあります。開業届を提出するだけでいい個人事業主よりも、法人設立までにやるべきことが多いことがデメリットです。
事業年度は1月1日から12月31日までと決められている個人事業主と違い、法人の場合は1年を超えなければ事業年度の範囲が自由。「4月1日から3月31日まで」「10月1日から翌年9月30日まで」など、法人ごとに決められます。

フリーランスとは

近年よく耳にするようになった“フリーランス”とは、働き方の名前です。特定の企業に所属・雇用されることなく個人で仕事を請け負っている人のことをフリーランスと呼びます。
開業届を出している人が個人で仕事を請け負っているのなら、税務での区分は個人事業主です。法人化している場合にも、外注や従業員を雇わずに社長ひとりで仕事を請け負っている場合はフリーランスと呼ぶこともあります。
フリーランスとはあくまでも働き方に関する大きな枠で、その中に個人事業主や法人、個人が含まれるイメージです。

個人事業主と法人、それぞれのメリット・デメリット

個人事業主と法人、どちらで起業する?違いとメリット・デメリットとはの画像1

ここまで個人事業主と法人、フリーランスの違いについてご紹介してきました。一見するとどの働き方を選んでも問題ないように感じるかもしれません。しかし、個人事業主と法人にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
ここからは個人事業主と法人のメリットとデメリットを解説します。それぞれの詳細を理解し、自分がどの働き方を選べばいいのか検討してみましょう。

個人事業主のメリット・デメリット

まずは個人事業主のメリット・デメリットを挙げていきます。
法人化するよりも気軽にできるため、個人事業主として活動することを考えている人も多いのではないでしょうか?
法人化するよりも手軽にできる半面、社会的信用は法人より劣るのがデメリットです。

個人事業主の4つのメリット

個人事業主として活動をはじめるメリットは次の4つです。

  • メリット(1)手続きが簡単
  • メリット(2)低コスト
  • メリット(3)税務申告が簡単
  • メリット(4)一定の所得までは税金がお得
メリット(1)手続きが簡単

個人事業主として活動する1つ目のメリットが、法人化するよりも圧倒的に手続きが簡単であることです。
法人を設立する場合には、たくさんの書類を作成したり、各所へ提出しに行く手間など、多くの工程をクリアしなければなりません。一方で、個人事業主なら税務署へ開業届を提出するだけで済みます。
開業届もA4用紙1枚に、住所や氏名、連絡先や活動内容を簡単に記載するだけのシンプルなもの。最寄りの税務署に提出すれば、すぐに個人事業主としての営業をスタートできます。

メリット(2)低コスト

個人事業主として活動する2つ目のメリットは低コストではじめられることです。
法人として開業するには、定款認証費用や登録免許税、資本金の準備などが必要になり、最低でも20万円以上かかってしまいます。ビジネスが軌道に乗ってからであれば心配ないでしょうが、一からはじめようとする際に大きな出費は避けたいものでしょう。
一方で、個人事業主として開業するために必要な費用はありません。税務署に開業届を提出するだけなので、初めてのビジネスでも安心して挑戦できますね。

メリット(3)税務申告が簡単

個人事業主として活動する3つ目のメリットは、税務申告が簡単であることです。
“税務申告”と聞くと非常に難しい作業のように感じられるかもしれません。しかし、最近では利益の計算や確定申告が手軽にできる会計ソフトが開発されています。
ソフトの指示の通りに金額を入力していけば自動で確定申告書類が作成されるので、作業が負担になる心配はないでしょう。1年分の精算を一気にやるのではなくコツコツと進めていけば、考えているよりも簡単に終えられるはずですよ。

メリット(4)一定の所得までは税金がお得

個人事業主として活動する4つ目のメリットは、一定の所得までは税金がお得ということ。
個人事業主は所得税の支払いがありますが、累進課税という制度で税額が設定されます。累進課税制度とは、所得の多い人には多くの税金を、所得の少ない人にはある程度の税金を負担してもらう制度。
所得とは【収益−必要経費】です。そのため、売上があっても経費もそれなりにかかっている場合には支払う税金が安くなります。
一方で法人化した場合には、たとえ赤字であっても税金の支払いが必要になってくるので、この点は個人事業主のほうがメリットが大きいです。

個人事業主の3つのデメリット

ここからは個人事業主として営業していくうえで考えられるデメリットも押さえておきましょう。

  • デメリット(1)社会的信用が低い
  • デメリット(2)人材採用で不利
  • デメリット(3)所得が多いと税金の負担が大きくなる
デメリット(1)社会的信用度が低い

デメリットの1つ目は、社会的信用が低いことです。
資本金の支出や役員の登記などが必要になり、法人と比べると、開業届1枚で企業できる個人事業主は社会的信用度が低いといえます。
もちろん、近年では資本金1円から設立できるため一概には言えません。しかし、銀行や取引先から見ると“株式会社”という名称が入っていることは安心感を覚えます。
個人事業主の屋号に「株式会社」や「合同会社」といった名称は入れられないため、この点では法人のほうが優れているといえるでしょう。

デメリット(2)人材採用で不利

個人事業主として活動するデメリットの2つ目は、人材採用で不利であることです。
人材を採用する時にも個人事業主であることは不利になりがちです。銀行や取引先だけでなく、求人に応募してくる求職者にとっても安定している(イメージのある)企業に比べ、個人事業主では不安定さを感じてしまいます。
そのため同じような条件での求人であっても、多くの求職者は法人へ応募しやすい傾向です。多くの人手を必要とする状況になると、個人事業主では人材確保が難しいかもしれません。

デメリット(3)所得が多いと税金の負担が大きくなる

デメリットの3つ目は、所得が増えると税金の負担が大きくなること。
個人事業主は累進課税制度で所得税の税額を確定させます。累進課税とは、所得の多い人には多くの税金を負担してもらい、所得の少ない人にはある程度の税金を負担してもらう制度です。
そのため、所得が少ないうちは税金の支払いも少なくて済むのですが、所得が増えてくるとその分、課税額も増えてしまいます。一方で法人になると原則として一定税率。ある程度の所得になったら法人化したほうが、税金の節約につながります。

法人化するメリット・デメリット

個人事業主と法人、どちらで起業する?違いとメリット・デメリットとはの画像2

次に、法人として活動する際のメリット・デメリットもチェックしておきましょう。
法人は社会的信用が高いメリットがあります。一方で、個人事業主として動き出す際は開業届を税務署に提出すれば済みますが、法人として営業をはじめるためには複雑な手続きが必要というデメリットも……。

法人化する3つのメリット

法人として動き出すメリットは次の3つです。

  • メリット(1)社会的な信用度が高い
  • メリット(2)節税につながることがある
  • メリット(3)資金調達が比較的ラク
  • メリット(4)固定資産が差し押さえを受けない
  • メリット(5)社会保険加入で手厚い保証と優秀な人材の確保がしやすくなる
  • メリット(6)決算対策がしやすくなる
  • メリット(7)退職金制度を活用できる
メリット(1)社会的な信用度が高い

法人として事業を営む1つ目のメリットは、信用度が高いことです。
開業届の提出だけですぐに起業できる個人事業主よりも、複雑な手続きを経て開業する法人はいろいろな機関からの信用度が高くなります。融資を頼む銀行や取引先、一緒に働く人を採用する際も、個人事業主よりも信頼されるところがメリットです。

メリット(2)節税につながることがある

法人化することの最大のメリットは「税金対策」できるところです。給与面、福利厚生面など法人化することで可能になる節税は多くあります。

  • 給与所得控除の恩恵が受けられる
  • 家族に役員報酬を支払うことができる
  • 役員用社宅の賃料を費用計上する
  • 2年間消費税を支払わなくてすむ
  • 赤字を9年間繰り越すことができる
  • 生命保険を経費にできる
給与所得控除の恩恵が受けられる

個人事業主の場合は、給与所得はなく事業所得のみとなります。一方、社長であっても会社から給与を受け取ると給与所得となり給与所得控除が受けられるのです。

売上が2000万円あって、そこから仕入にかかったお金や水道光熱費、通信費などの経費を支払ったところ800万円が残ったとします。この800万円が事業所得です。個人事業主の場合はこれに所得税がかかります。法人化して会社から給与として800万円支給された場合は、その収入に対応した一定の金額を控除することができます。これを給与所得控除といいます。
800万円の支給額なら、200万円(収入金額×10%+110万円)(令和2年以降)が控除され、610万円にのみ所得税がかかります。
事業所得で800万円すべてに課税されれば、188万程度の税金を支払うことになるのに対して、600万円に対しての課税であれば126万円で済みます。差額は約62万円。利益を200万円少なく計上でき、税金の差額は62万円となればかなり大きな節税となります。

売り上げが高くなってくると法人化にする方がかなり得なことがわかります。

家族に役員報酬を支払うことができる

家族にも給与を支給することで、先ほどお話したように給与所得控除で節税対策ができます。個人事業主でも青色申告制度での納税業者なら青色事業専従者ということで家族に給与を支払うことはできます。しかし事前に税務署に働き方、年齢、採用条件などを届け出る必要があり、少し手続きが煩雑です。法人化しておくと家族に給与を自由に支払うことができて、所得の分散が図れて節税対策になります。

役員用社宅の賃料を費用計上する

これは社長の自宅にかかる家賃も会社の経費に計上しようということです。

個人事業主だと自宅兼事務所なら家賃を経費に入れることはできますが、自宅としてしか使っていないなら経費にはできません。

しかし、法人の場合社長の自宅が賃貸なら、会社が不動産管理会社と法人契約をして会社から家賃を支払うことができます。

2年間消費税を支払わなくてすむ

消費税法が改正されて、現行は2年前の売上高、または前期の上半期の売上高と給与支払額がどちらも1,000万円超の事業者は消費税を納めることになりました。これらの規定に当てはまらず、かつ資本金1,000万円未満の中小企業では、基本的に消費税は免除となります。

個人事業者で1,000万円以上売上があっても、その年の翌々年に資本金1,000万円未満で法人化すれば最大で2年間消費税は免除されるということです。

赤字を10年間繰り越すことができる

収益が赤字だった時に、翌年に赤字を繰り越すことを「欠損金の繰越控除」というのですが、個人事業主は3年間しか繰り越せないことに対して、法人化すると10年間繰り越すことができます。

スタートアップ企業では特に、初年度は赤字になることが多いです。初期費用が多く掛かると4~5年赤字が続くこともあります。3年間の繰越では足りません。

「欠損金の繰越控除」とは、初年度60万の赤字であって、翌年100万円の黒字となったら、100万円-60万円=40万円となり、40万円の部分にしか課税されないというしくみです。

これが個人事業主では3年間しか繰り越すことができません。このような繰越が10年間続くのは、中小企業にとっては節税となり大きなメリットです。

生命保険を経費にできる

個人事業主の場合は、年間保険料が最大で12万円までしか所得控除になりません。これは保険の種類が一般生命保険、年金、介護保険の3種類を一定額以上ずつ支払った場合です。

法人化しますと、法人と保険会社が契約して、受取人を法人とすることで一定条件を満たせば、支払った保険料がすべて経費となるのです。代表者に保険を掛ける場合、その保険料が全額控除されるならかなり大きな節税体策になります。

メリット(3)資金調達が比較的ラク

法人として事業を営む3つ目のメリットは、個人事業主よりも資金調達が楽であること。
何度もお伝えしているように、法人として事業を営むことは関係機関からの信用度が高いです。銀行からの信頼も得られるため、個人事業主よりも資金調達しやすいというメリットがあります。

メリット(4)固定資産が差し押さえを受けない

個人事業主ですと負債を抱えた場合は、社長個人に債務を返済しなければいかなくなり、支払うことができないとなると個人資産を差し押さえられます。個人の資産と会社の資産という線引きがないからです。それが法人化すると、株主、共同経営者が存在することで、株の持ち分、出資金の範囲内での責任をとるだけで会社が抱えた負債に関しての返済義務はなくなります。これを有限責任と言います。

メリット(5)社会保険加入で手厚い保証と優秀な人材の確保がしやすくなる

国民健康保険と国民年金、社会保険での健康保険と厚生年金では、その保障の手厚さが全く違います。社会保険に加入することで老後や病気になった時に手厚い保障があること自体が大きなメリットです。それに加えて、社会保険完備ということで従業員募集すると優秀な人材があつまりやすくなります。また建設業を営んでいる場合は、社会保険(国民健康保険でも可)に加入していないと公共工事の入札に参加できないということもあるので注意が必要です。

メリット(6)決算対策がしやすくなる

個人事業主だと1月~12月が会計期間で、決算日は12月31日と固定されていますが、法人化すると自由に決算月を決めることができます。仕入れが多い月を決算月から外すことで「棚卸」が楽になりますし、売上のピークを外すことで忙しい時期に決算月を設定しないようにできます。

メリット(7)退職金制度を活用できる

個人事業主には退職金制度というのはありません。毎月入ってくる事業所得から自分でリタイア後を想定して貯蓄おくしかないのです。それには退職控除がなくすべてに所得税がかかっています。法人化すると退職金制度が社長にも活用できます。

退職金所得(課税対象額)=(支給退職金-退職金控除額)× 1/2

となり所得税の課税率が低くなります。要するに、会社で貯めてくれたお金を低い所得税率で受け取れるということです。

法人化する3つのデメリット

続いて法人化するデメリットも押さえておきましょう。デメリットとして挙げられるのは次の3つです。

  • デメリット(1)設立までに時間と費用がかかる
  • デメリット(2)赤字でも税金を支払う義務がある
  • デメリット(3)社会保険の加入が必須
デメリット(1)設立までに時間と費用がかかる

法人化する際のデメリット1つ目は、設立までに時間と費用がかかること。
開業届を税務署に出せば済む個人事業主とは違い、法人を設立するには複雑な書類の記入や提出、諸費用や資本金の準備が必要です。株式会社だと定款認証も行うため、法人登記申請をするまでに20万円程度の費用が必要です。

一般的に、株式会社の設立に以下の費用がかかります。

  • 登録免許税 150,000円
  • 登記事項証明書発行 1通あたり600円
  • 印鑑証明書発行 1通あたり450円
  • 定款認証手数料 50,000円
  • 定款印紙代 40,000円(電子認証なら0円)
  • 定款謄本代 2,000円程度(2冊分)

加えて、定款には会社の住所や電話番号を掲載するため、自宅とは分ける人が多いです。そのため、テナント料・電話回線・インターネット回線・事務用品・備品などの初期費用がかかります。
会社の規模や立地にもよりますが、決して少なくないコストが発生することを覚えておきましょう。

デメリット(2)赤字でも税金を支払う義務がある

法人化する際のデメリット2つ目は、たとえ赤字でも税金の支払いがあることです。
個人事業主の場合には累進課税制度が適用されるため、所得が少なければその分、税金の支払いも少なくて済みます。しかし法人の場合には赤字であっても税金の支払いが必要です。
ある程度の収入が得られるようになってからの法人化が安心でしょう。

デメリット(3)社会保険の加入が必須

法人化する際のデメリット3つ目は、社会保険の加入が必須である点です。
社会保険と聞くと従業員がいる場合に限った話のように感じるかもしれません。しかしそうではなく、社長のみの法人であっても健康保険と厚生年金保険への加入が必須となります。
社会保険へ加入することは保険料の支払いが発生するということ。個人で加入する国民健康保険や国民年金と比べて、少し割高になることがあるので注意しておきましょう。

デメリット(4)法人住民税が必ず発生する

法人税以外にも、法人住民税が毎年必ず発生するようになります。法人住民税とは、会社の所在地の自治体に対して納税する税金です。
法人住民税には利益に対して課税されるものと、資本金や従業員に応じて課税されるものがあります。資本金や従業員に対する部分は会社の規模によって金額が決まっているため、赤字であっても納付しなければなりません。
自治体によって金額は異なりますが、道府県民税が2万円〜、市町村民税が5万円〜となっており、最低でも7万円の住民税が発生します。

デメリット(5)確定申告が複雑

会社を設立すると、確定申告が複雑になります。専門的な知識がなければ間違った申告をしたり、余分な税金を納めたりすることもあるでしょう。
そのため、多くの経営者が税理士に確定申告を依頼することになります。具体的には、以下のようなことを年に1度しなければなりません。

  • 法人税・地方法人税の確定申告
  • 消費税の確定申告(課税事業者の場合)
  • 法人事業税・都道府県民税の確定申告
  • 源泉所得税の申告と納税
  • 従業員の年末調整
  • 給与支払い報告
  • 法定調書合計表の提出

社長一人で確定申告をすべてやろうとすると、本業に集中できないほどの作業量です。個人事業主と比べて、確定申告が複雑になるので注意しましょう。

法人化するベストなタイミングと注意点

個人事業主と法人、どちらで起業する?違いとメリット・デメリットとはの画像3

ここまで解説した個人事業主と法人それぞれの良いところ・悪いところを理解したうえで、法人化する場合、どのタイミングがいいのでしょうか?一般的には、個人事業主から法人化するべきタイミングは下記の3つがポイントとされています。

  • 利益が800万円を超える時
  • 消費税の免税期間の終了時
  • 従業員を増やす時

また、法人化をすることによって、赤字でも税金の支払いが必要となったり、人件費の負担が増えたり、経理や事務作業が増えるなどの悩みがでてきます。法人化のタイミングで、税理士などの専門家に助力をあおぐことで、順調なスタートをきれるようにしましょう。
事業を継続するために最善の選択をしよう
独立を考えるようになると、個人事業主がいいのか、それとも法人設立がいいのか悩みますよね。この記事を読んでどちらがご自分に合った選択なのか見えてきたのではないでしょうか。
もし、イチからの事業スタートであれば個人事業主からはじめたほうがオススメです。ある程度、事業が波に乗ってきた段階で法人化を考えてみましょう。
一方ですでに基盤ができている状態からの独立であれば、法人設立してもいいかもしれませんね。個人事業主よりも経費として計上できるものが増えるので、節税にも繋がります。
事業を継続していくために最善の方法を選んで進んでいきましょう。

 

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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