人事・労務

新入社員の入社時に必要な手続きとは?

新入社員の入社時に必要な手続きとは?

新入社員を採用した場合、人事や労務担当者がする必要な手続きがたくさんあり、これは入社してすぐに手続きをしないといけないものがほとんどです。速やかに処理を進めるために、その内容を詳しく説明いたします。

新入社員の入社には、いろんな手続きが必要です。新入社員を採用してすみやかに行わないといけない手続き、または入社日までに持ってきてもらう書類など、大事な手続きがたくさんありますので、少し整理しておきたいと思います。

本来、入社してすぐに行わないといけない手続きを担当者が後手にまわすと、のちのち社員が不利益を被ることも。滞りなく実施する必要があります。

入社時までに記入しておいてもらう書類

入社時には全ての書類に目を通して記入し、すみやかに提出してもらえるように、事前に会社の方で準備をしておく書類を紹介します。

新入社員の手続き1.従業員登録票

面接時に履歴書を提出してもらっており、履歴書と内容が重複する項目もありますが、労務管理者が諸手続きに必要な情報を速やかに処理するために、書いてもらう様式を準備している会社がほとんどです。

  • 住所、氏名、生年月日、本籍地、連絡先電話番号
  • 学歴、職歴(職歴は雇用保険加入のため、特に重要)
  • 家族構成(扶養の有無を確認するため)
  • 緊急連絡先(氏名と続柄、電話番号)
  • 制服のサイズ、靴のサイズ(制服を支給するため)、血液型(万が一の時のため)

 

新入社員の手続き2.雇用契約書

雇用に関するすべての条件が記入されています。2通準備し、双方が1通ずつ保管する書類です。必ず目を通し、同意を得てから署名捺印してもらいましょう。

  • 雇用形態(期間の定めあり・なし)
  • 就業場所
  • 労働時間・労働日数・時間外労働
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 賃金・賞与の条件・各種手当・交通費等
  • 休日・休暇・有給休暇
  • 退職に関する事由
  • 保険加入状況

新入社員の手続き3.給与振込申込書

お給料を振り込むのに必要な書類です。会社によっては、振込先の情報が間違っていて、銀行の組戻しの手間を省くために、通帳の口座番号が表示されているページもしくはキャッシュカードなど、口座情報の写しを求められる場合もあります。

 

新入社員の手続き4.交通費申請書

交通費が支給される会社では、提出が必要です。また、労災時のことを念頭において、自宅から会社までの経路図を記入して提出する場合もあります。

 

新入社員の手続き5.住民票記載事項証明書の写し

最近は、個人情報の観点から提出を要求しない会社もあります。

 

新入社員の手続き6.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

こちらは扶養の状態を把握するために必要な書類です。年末調整時に条件によっては減税の対象となる場合があるため、扶養者の他に、障碍者や寡婦などに該当する場合は、その旨の記入や、証明できる書類を添付する必要があるものもあります。

 

新入社員の手続き7.資格一覧表

運転免許も含め、持っている資格を記入してもらい、資格者証の写しを添付してもらいます。運転免許証や、直接業務に必要な資格などは特に期限が切れていないかも確認しましょう。

 

新入社員の手続き8.同意書

近年は、SNS等の頻繁な利用により、情報漏洩が問題視されています。企業の情報が思わぬところから漏れたり、従業員が投稿したりする事を避けるために、雇用契約書とは別に、業務で知り得た情報等を一切口外しないといった同意書に署名をしてもらう会社が増えています。

 

また、これとは逆に、職種によっては、元請けや発注機関へ、従業員の個人情報(氏名、住所、生年月日、血液型、緊急連絡先、血圧等健康状態等)を「労働者名簿」として開示しなければいけない場合があり、それをその都度従業員に同意を得なくても、事務方で開示する旨の同意書にサインをもらう会社も増えています。

上記の書類の他に、労務担当者が記入・準備する書類として、出勤簿(タイムカード等)、労働者名簿、出勤簿などが必要になってきます。

新入社員の入社時に必要な手続きとは?の画像1

入社時までに揃えておいてもらう書類

こちらは公的な書類が多いため、確実に準備してもらいましょう。

  • 年金手帳の写し(生涯年金を受給する時に大事なものなので、会社で預かるのは厳禁です)
  • マイナンバーのわかるもの(通知書もしくはマイナンバーカードの写し)

万が一、マイナンバーのわかる書類が手元にない。実家にあってわからないなどの場合は、「マイナンバー付きの住民票」を市役所に行って発行してもらうとマイナンバーが表示されているので、それを代用して提出してもかまいません。

 

入社時の書類 中途採用の場合

中途採用の場合は下記のものも必要になります。

  • 前職の雇用保険被保険者証の写し(雇用保険番号の確認)
  • 前職の源泉徴収票(年末調整のため)
  • 健康診断書

 

入社時の書類 提出期限

上記の公的書類の提出期限は、下記の通りです。

  • 社会保険 入社した日から5日以内
  • 雇用保険 入社した翌月10日まで

 

諸々の書類の提出が滞った場合、例えば社会保険の場合は、保険証の発行が遅れ、病院に行ったときの手続きが煩雑になります(扶養家族がいる場合はその家族の方も同様です)。

雇用保険の加入が1か月でも遅れれば、のちのち本人が失業保険の請求行為をする時に、期間が足りなくなるといった事にもなりかねないため、すみやかに手続きを進めたいものです。

新入社員の入社時に必要な手続きとは?の画像2

まとめ

新入社員の雇入れは、会社に新風を巻き起こしてくれる起爆剤です。会社を継続していくということは、在籍している人と、新入社員とをうまく融合して社業の発展に臨むことが大切です。新しく入った社員は覚えることが山ほどあり、期待と希望を胸に入社してきます。

労務担当者も、一人雇入れするだけでも、上記の社内や社外の書類の他に、例えば制服を支給している場合には制服や作業服、デスクワークの人ならパソコンの設定、メールアドレスの取得、備品等の準備が必要です。

将来会社を担ってくれる新人社員が安心して業務に従事できるように環境を整えておきましょう。

企業の教科書
村宮 淳子
記事の監修者 村宮 淳子
社会保険労務士法人 きわみ事務所 所属社会保険労務士

2021年5月に登録したばかりの新人社労士です。
弁護士としては、就業規則作成を中心に、労働法分野に携わってきました。
また、大学ではこれから社会へ出ていく学生達に向けて、労働法に関する講義をしています。
今後は、社会保険労務士の専門分野である労働法、社会保険関係手続等や企業の労務管理について研鑽を深めるとともに、企業の担当者が気軽に相談できる社労士を目指したいと思います。

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