20~30代よりも収入が増え、さまざまなライフイベントにも直面する40代。加えて、定年後の生活も視野に入れたライフプランの見直しが必要になる年代でもあります。資産形成についてあらためて検討するにはよい時期です。
当記事では40代におすすめの資産形成の方法や気をつけるべきポイント、40代の収入・収支事情について解説します。
40代におすすめの資産形成方法
40代の資産形成は現在・将来の生活を考えると、20~30代だと挑戦しやすいハイリスク・ハイリターンな資産形成については、実行を検討する必要があります。
とはいえ、定年までは10~20年ほどあるので、完全な安定志向に振り切るのも早計です。長期的な目線を忘れず、自身の収入レベルや生活を考慮したバランスのよい資産形成を心がけましょう。
40代におすすめの資産形成方法は次のとおりです。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- つみたてNISAによる投資信託
- 不動産投資やJ-REITなどの不動産関係
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で設定した掛金を毎月積み立てていき、その運用益分を公的年金にプラスして受け取る私的年金制度です。
運用商品は自分で選べます。あらかじめ決められた金利で運用し、元本と利息が保証される「元本確保型」と、運用状況に応じて運用益が変動する「元本変動型」があります。
iDeCoのメリットは次のとおりです。
- 毎月の掛金が全額所得控除の対象になる(小規模企業共済等掛金控除)
- 運用益が出たときにかかる利益が非課税になる
- 運用益を受け取るときにかかる税金に非課税制度が適用される
(一時金受け取りは退職所得控除、年金形式受け取りは公的年金控除)
40代からiDeCoを始めるなら、10~20年ほどの積み立てられます。さらに掛金分の所得控除によって税金が安くなるので、将来に備えつつ現在の節税につながるのです。20~30代よりも収入にゆとりがあるときは、始めから多めの掛金を設定するのもよいでしょう。
ただしiDeCoで積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出せません。途中で掛金の減額や払込停止はできますが、「現金が急遽必要になったから引き出したい」はできないので注意しましょう。
つみたてNISAによる投資信託
つみたてNISAとは、国が設立したNISA制度(少額投資非課税制度)の1つです。つみたてNISA制度には「非課税投資枠」が設定されており、年間40万円までの金融資産から発生した利益であれば、全額が非課税になります(最長20年間)。
つみたてNISAは「少額からの長期・積立・分散投資を支援すること」を目的に設立されており、投資対象とできる金融商品は国へ届け出た長期・積立・分散投資に適した投資信託のみです。
また、つみたてNISAを利用する場合は、必ず積立方式での購入(毎月定期・定額で少しずつ購入する方法)する必要があります。
つまり、つみたてNISA自体がローリスク・ローリターンな制度となっているのです。大きな損失を避けたい40代にとって利用しやすい資産形成方法といえます。40代は老後まで10~20年ほどあることを考えても、20年まで非課税期間があるつみたてNISAは相性がよいと言えるでしょう。
なお、もう一つのNISA制度である一般NISA(2023年より新NISAに変更)は、年間120万円(新NISAは122万円)・5年間まで非課税になります。
不動産投資やJ-REITなどの不動産関係の投資
不動産関係の投資とは、株式や債券などの代わりに不動産を運用することで利益を狙う資産形成のことです。
不動産投資とは、不動産を売買して差額を得たり、不動産のオーナーになって家賃収入を得たりなどで利益を出す投資を意味します。家賃による安定収入、相続対策、生命保険の代用など、さまざまな面でメリットが大きい資産形成です。ただし、始めるにはまとまった頭金が必要になります。
次にJ-REITとは、投資信託の不動産バージョンです。投資家から集めた資金を専門家が運用する際、専門家の投資対象が不動産となっています。専門家が適切に不動産を運用して利益を発生させ、分配金として投資家に分配する仕組みです。
J-REITは他の投資信託と同じく少額から始められる点がメリットです。また、法人税の免除やマイナス金利の影響で、利回りが高くなる傾向があります。ただし、J-REITは不動産の所有者になるわけではないので注意しましょう。
40代の資産形成で注意すべきポイントは?
40代の資産形成において、注意すべきポイントは次のとおりです。
- 資産形成における目標をセットする
- 自分以外のライフイベントを考慮した資産形成を進める
- 長期・分散・積立による投資でリスクを抑える
資産形成における目標をセットする
どの年代にも言えることですが、資産形成を始めるときは「なぜ自分は資産形成を考えているのか」を、目標として明確にする必要があります。理由は次のとおりです。
- 方向性が定まらず、適切な思考や行動ができなくなる
- 目標に応じた金融商品が購入できず、無駄な出費に終わる可能性が高くなる
(安定志向なのにハイリスクハイリターンの商品を購入するなど)
そのため、資産形成を始める前には、目的と達成に必要な期間をあらかじめ検討することが大切です。
40代であれば、例えば「子どもの大学生活にかかる出費と、投資に回せる資金のバランスを考えたい」や、「15年後の定年に向けて、今のうちからコツコツと積み立てたい」などの目標が考えられます。
自分以外のライフイベントを考慮した資産形成を進める
自分のライフイベントが中心となる30代と比べて、40代の場合は家族のライフイベントも意識し始める年代になります。
例えば子どもが高校・大学進学を迎えたり、早ければ子どもの結婚・出産が発生したりする人も珍しくありません。人によっては、親の介護に関わっている方もおられるでしょう。
このように、40代は自分以外のライフイベントにかかる出費を意識する必要があります。自分の老後に向けた投資に回すお金と、さまざまなライフイベントに使う費用とのバランスを考えておきましょう。
長期・分散・積立による投資でリスクを抑える
20~30代と比べると、40代はリアルタイムでの支出額や定年までの時間などの要因で、資産形成における損失が取り戻しづらい年齢です。家族との生活や老後資金のために、不確実な投資より確実な貯蓄に回したほうがよいケースもあるでしょう。
自身の資産との兼ね合いもありますが、原則として40代は、リスク低減を意識した投資を検討する時期になります。そこで大切になるのは、投資の基本となる「長期・分散・積立」の考え方です。
長期投資
長期投資とは、数年~数十年の長期間で金融資産を保有し続け、配当金や複利効果(利息分をさらに投資に回して、より多くの利益を生んでいく効果)によって利益を出す考え方です。
短期的な売買を繰り返す方法よりも、リスクとリターンの関係が安定した投資方法となっています。
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分散投資
分散投資とは、購入する銘柄を複数に分散したり、購入するタイミングをバラしたりすることで、価格変動のリスクを低減させる投資方法です。1つの銘柄に集中するより、リスクを分散できます。
積立投資
積立投資とは、一定の金額で定期的に少しずつ買い増すことで、コツコツと資産を積み上げていく投資方法です。「少額から始められる」「時間分散によってリスクが低減できる」「購入のタイミングに迷わない」などのメリットがあります。
40代の収入・支出事情まとめ
ここからは40代での資産形成の参考となるよう、40代の収入・支出事情を簡単にまとめました。今回は、次の項目について解説します。
- 40代から増える出費
- 40代の平均年収
- 40代の平均消費支出額
- 40代の金融商品保有額の内訳
40代から増える出費は?
40代になると、20~30代ではかからなかった出費も徐々に増えてきます。大きな出費として上げられるのは「養育費・教育費」です。
40代ともなると子どもが大きくなり、食費や雑費、スマホ代、部活動費などの消費支出額が増加します。しかし子どもの交友関係や成長を考えると、出し惜しみは避けたいところです。
加えて40代は子どもが高校・大学入学を迎える方々も多くなり、入学金や学費、塾代などの教育費の負担も大きくなります。大学生活に必要なお金の目安は、500万(国立大学)~1,000万円(私立大学)です。子どもが中学生になった辺りから準備しておくのが適切でしょう。
また、40代は自分が退職した後に必要な老後資金を、本格的に準備する時期にもなります。平均寿命の伸びや物価・税金の増加などが要因となり、公的年金と退職金だけで生活するのが困難です。40代からしっかりと検討する必要があるのです。
さらに40代は購入したマイホームにかかる固定資産税や都市計画税、40歳から支払いが始まる介護保険料など、税金関係の支出も考えなければなりません。
40代の平均年収は約490万円
国税庁が発表する「民間給与実態統計調査(令和2年)」によると、40代の平均年収は40~44歳の平均年収は470万円、45~49歳の平均年収は498万円となっていました。
また、転職サービスdodaの「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)2022年9月~2021年8月」では、40代の平均年収は502万円となっています。
以上を考えると、40代の平均年収は約490万円前後だと推測されます。
民間給与実態統計調査の全年齢の平均年収は433万円です。40代は年功序列や社会的地位の影響で、平均よりも高い収入を得ている方が多いと言えるでしょう。
40代の平均消費支出額
参考値ではありますが、40代の平均消費支出額もご紹介します。
総務省統計局e-statの「家計調査報告書(2021年)」によると、35歳~59歳の単身世帯の平均消費支出額は180,109円でした。2人以上の世帯の場合は、40~44歳が299,656 円、45~49歳が324,678円となっています。
なお統計ではライフイベントに関する支出は含まれていません。あくまで日常生活で支出される数値となります。
40代の金融商品保有額の内訳
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査2021年(2人以上世帯調査) 」によると、40代の金融商品保有額の内訳は次のようになっていました(小数点第2位は切り捨て)。
- 預貯金:44.3%
- 株式::18.5%
- 生命保険:13.1%
- 投資信託:7.2%
- 個人年金保険:6%
- 財形貯蓄:3.3%
- その他の金融商品:2.7%
- 損害保険:2.5%
- 金銭信託:1.3%
- 債券:0.8%
預貯金が4割強を占めていますが、株式や生命保険などにもバランスよく配分されているのがわかります。
30代と比べると、生命保険や個人年金保険の割合が若干多いものの、全体的に見るとおおよそ同じ配分割合です。過半数が預貯金以外の金融資産を保有している結果となりました。
40代の資産形成ならIFAに相談するのもおすすめ!
40代の資産形成は、20~30代の頃なら躊躇なくチャレンジできた資産形成を、同じようにやるのは少しリスキーになってきます。とはいえ定年まではまだ時間があるので、リスク・リターンのバランスを意識した資産形成が重要になるでしょう。
もし子どもの教育資金や自身の老後資金など、40代の資産形成について相談したい場合は、資産形成・運用のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するのもおすすめです。
IFAは証券会社から独立した立場で業務を行うため、営業ノルマや業績に左右されず、顧客に最適な資産形成プランを提案してくれます。また、IFA自身も元証券会社や保険会社勤務の方が多いため、資産形成に関する実務経験も豊富です。
資産形成についてお悩みの場合は、ぜひIFAを利用してみてはいかがでしょうか?