会社設立

経営者の仕事は何?主な業務や社長のなり方、知っておくべき知識とは

経営者の仕事は何?主な業務や社長のなり方、知っておくべき知識とは

会社経営者と聞くと雲の上の存在に感じられ、どのようなことをしているのか詳しく知らない人もいるでしょう。一方で、働き方改革などの影響で起業が増え、急に自分が経営者になることも。

簡単に会社経営者にはなれますが、事業に真剣に向き合う姿勢が重要です。ここでは経営者の仕事内容や会社経営者になる方法、社長を目指すなら学んでおきたい資格について解説します。

会社経営者って何?経営者に求められること

会社経営者とは、経営に責任を持つ人のことを総称した呼び方です。「社長」や「CEO」と呼ばれることも。

たとえば、以下に当てはまる人はすべて会社経営者になります。

  • 会社員から会社社長になる
  • フリーランスが会社設立で社長になる
  • 株主が社長になる

会社経営者は、職業欄には「会社役員」と書くのが一般的。

報酬の金額は企業の規模によります。大企業の経営者であれば高額になりますが、中小企業や個人事業主の場合はそれほど高くない傾向です。

会社経営者に求められることには、次のようなものがあります。

  • 経営のリスクや課題への迅速な対応をすること
  • 常に情報のアップデートをすること
  • リスクへの備えをすること
  • 中長期的に会社の進む道を見据えること
  • 経営と真剣に向き合うこと

順番にご紹介します。

経営のリスクや課題への迅速な対応をすること

経営者は事業においての責任を1人で背負います。1つの判断ミスで、従業員や取引先に多くの迷惑をかけてしまう可能性が。

このような状況に陥らないためにも、事業を進める中で見えてきたリスクや課題において、迅速な対応をするフットワークの軽さが求められます。

従業員や経営者自身が見つけたリスクや課題について、把握しながら放置するような対応では経営者は務まりません。

  • どのような対応が必要なのか
  • いつまでに対応するのか

このようなことをすぐに判断・決定し、事業を進めていくことが求められます。

何に対し、どのようなリスクが生じるのかしっかりと把握するためには各方面に対するアンテナを常に張り巡らせておくだけではなく、さまざまな専門家との繋がりが重要になります。浮き彫りになってから信頼のおける専門家を探すのは困難です。常日頃から専門家と交流をもち、有事の際にも迅速に連携がとれるようにしていきましょう。

常に情報のアップデートをすること

いつまでも古いやり方や考え方にとらわれていることも、経営者としては未熟と言えるでしょう。

ビジネスの場だけでなく、世界の情勢は日々変化しています。変化に迅速に対応し、適応する能力も経営者には大切なスキル。

新しいシステムや常識、ツールを使いこなせるように変化に敏感であることが必要です。

もちろん、頻繁に改正される税法についても把握しておく必要があります。おきましょう。令和3年の税制改正で創設されたデジタルトランスフォーメーション投資促進税制については「【税制改正】デジタルトランスフォーメーション投資促進税制とは?」の記事をチェック。

そうはいったものの、税制は改正が頻繁であることはもちろん、とても複雑なため、忙しい経営者が税制まで把握することは難しいことと思います。その場合には、提案してくれる税理士を顧問として迎え、細かくアドバイスや報告を受けるようにしましょう。

リスクへの備えをすること

リスクに対する備えがまったくできていない事業者はとても不安定。

2020年頃から発生したコロナウイルス感染症のような突発的に起こる情勢の変化や、取引先からの受注停止などのトラブルにも対応できるように備えておくことが重要です。

コロナ禍でいえば、助成金や補助金など今だけの特別措置が多く発布されました。ですが、そういったものを受けられるようにするためには常日頃から、しっかりと税金などの申告をしていなければなりません。

このようなリスク対策ができていないと、従業員が路頭に迷うだけでなく、取引先にも影響が出たり、最悪の場合、倒産する可能性にもつながります。

従業員と一緒にリスクへの備えをすることも大切ですが、経営者個人としても会社を守れるような対策を練っておきましょう。

中長期的に会社の進む道を見据えること

経営者は会社の舵取りをする船の船長です。短期的な目標ももちろん大切ですが、中期・長期的にどこへ向かっていくのかを決めることも大切なこと。

「次はA駅へ行こう、その次はB駅」これでは最終的にどこに到着するのかわかりません。そうすると従業員もどの選択をするべきなのかが決めきれず、迷ってしまいます。

「A駅、B駅を経由してD駅に行く」とわかっていれば、遠回りしてC駅を通過することなく、最短距離でD駅へ進むことができるでしょう。最終地点を見据えることが大切です。

中長期の目標を決める際に大切なのは、実績に基づいた現実的な目標をたてることです。実際の数字と照らし合わせてしっかりとした明確な道筋を立てなければ、最短距離で目標を達成することができません。会社の成長スピードをあげるためにも、現時点での会社の状態を理解し、数値的目標を立てていくようにしましょう。

経営と真剣に向き合うこと

経営者は自分だけでなく、従業員や取引先、さらに会社自体の存続も背負っています。

経営者自身のプライベートももちろん大切ではありますが、経営のことを1番に考える姿勢が求められるでしょう。

プライベート優先で大切な会議を欠席したり、連絡がなかなかとれなかったりというような状況は絶対に避けるべき。

経営者でいる間は経営に真剣に向き合うことが必要になっています。

また、会社を経営していくにあたり、当たり前のことではありますが経営者だけが会社の経営に真剣であればいいわけではありません。経営をともに支える顧問税理士や弁護士、社労士など、会社の経営を左右する外部の人員こそ、しっかりと真摯に対応してくれる信頼のおける人物を選ぶようにしましょう。

会社経営者の重要な6つの仕事内容とは

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会社経営者のやるべき仕事内容は、外からではあまりわかりにくいもの。会社規模によっては社長に同行する機会が少ないこともあり、一体何をしているのか疑問に思うこともあるでしょう。

会社経営者が主におこなっている仕事には、次のようなものがあります。

  • 会社の進む道を決める
  • 適切な経営資源の配分をする
  • 従業員の育成や評価
  • 働きやすい職場環境の整備
  • 事業を前へ進める
  • 協力者やパートナーとの関係構築

順番に見ていきましょう。

会社の進む道を決める

先ほども触れましたが、経営者は会社の進むべき道を決める役割を担っています。会社の進むべき道とは、つまり経営方針のこと。

  • どのような会社にしていくのか
  • どんな理由で事業をするのか(経営理念)
  • どうしたら経営理念を達成できるのか

このような方針を決定し、従業員と共有することで会社の運営がブレずに済みます。

適切な経営資源の配分をする

限られた経営資源を適切に配分することも経営者の仕事。経営資源とはヒト・モノ・カネと言われることもあり、具体的には次のようなものが挙げられます。

  • 人材
  • 保有している物品
  • 現金などの資金
  • 特許やデータなどの情報
  • 時間
  • 知的財産

適切な人材を適切な部署へ配属する人材の割り振りはもちろん、資金繰りのための銀行とのやりとりをすることも。近年では、情報や知的財産のような無形資産も経営資源として扱います。商品の商標やイメージといったものも経営資源。

これらを守りながら、うまく使っていくのが経営者の仕事です。
とはいえ、これらすべてを経営者ひとりで担っていくのは至難の業。資金繰りなど会計に関することはならば税理士に、特許などの知的財産については行政書士に依頼するなど、専門家の助力を受けながら、上手く会社をまわしていきましょう。

従業員の育成や評価

会社の規模にもよりますが、従業員の育成や評価をおこなうのも経営者の大切な仕事。大手企業では従業員数が多いため難しいかもしれませんが、中小企業や個人事業主であれば従業員の育成にも携わるでしょう。

社会人の基礎を教えるだけでなく、企業理念にあった企業運営ができるように育てていきます。また、目標に対してどれだけ成長できたかどうかを評価するのも仕事です。

正しい評価をされれば従業員のモチベーションも高まり、事業に対する取り組み方も前向きになるでしょう。経営資源である人材をうまく使っていくことが大切です。

従業員の給与について知りたい方は「給料の締め日・支払日|いつにすればいいか?関連する法律は?」も確認してください。

働きやすい職場環境の整備

従業員が働きやすい職場の整備も重要です。モチベーション維持だけでなく、離職率を下げることにもつながります。

冷暖房やデスク配置などの環境面だけでなく、テレワークやフレックス出社といった働く時間の調整や休暇制度の充実といった福利厚生面での整備も重要。

従業員が前向きな気持ちで事業に取り組めるような整備を実現しましょう。

事業を前へ進める

当たり前のことですが、事業を前へ進め、企業拡大のために動くのも経営者にとっては欠かせない仕事です。いくら従業員が頑張っても、社長が前へ進める指示や姿勢を見せなければ事業拡大には至りません。

営業や日々の運営を従業員に任せることは悪いことではありませんが、中長期的な目標を見据えたうえで次の一手を出すタイミングを見極めることが重要です。

協力者やパートナーとの関係構築

どのような事業であれ、1人で成功することは少ないでしょう。周りには必ず協力者やパートナーがいるはずです。

経営者は信頼できる協力者やパートナーを見つけ、関係構築することが求められます。信頼できない相手と一緒に大事な事業を進めていくことはできません。

  • 本当に信頼できる相手なのか
  • 自分や会社との相性は合うのか
  • 事業にとって有益な相手か

このような条件をしっかりと見極め、事業運営に欠かせないパートナーを探します。

一番身近なパートナーになり得る税理士の探し方が気になる方は「税理士にはどんなことを頼める?顧問契約とスポット利用の費用相場とは」の記事を参考にしてください。

会社経営者になるにはどうすればいい?

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会社経営者はとてもやりがいのある役職。経営者になりたい人もいるでしょう。会社経営者になるためには次のような方法が挙げられます。

  • 出世して社長までのぼりつめる
  • 起業して社長になる
  • 事業継承で社長になる

順にご紹介しましょう。

出世して社長までのぼりつめる

大手企業ではなかなか難しい方法ですが、一般社員から出世することで社長になるができます。特に、勤続年数が長く内情に詳しい社員や、いろいろな部署を経験して事業に詳しい社員などが選ばれることが多いでしょう。

決して簡単な道ではありませんが、実際に「将来社長になりたい」と宣言する新卒社員もいます。社員から社長を目指す場合には、次のような挑戦をしてみるといいでしょう。

  • 多くの部署を経験する
  • 事業の中核になるプロジェクトへ参加する
  • 社長や役員から経営の話を聞く機会をつくる

社員出身の社長は現場の状況を知っているからこそ、決断や計画が支持されやすいです。無理難題を指示するのではなく、実現可能な目標を提示できるため社員が働きやすい環境をつくりやすい特徴があります。

起業して社長になる

一番簡単に経営者になるためには、自分で起業することです。企業といっても株式会社を立ち上げるだけでなく、個人事業主として事業を始めることでも経営者に変わりはありません。

起業して社長になること自体は簡単ですが、その事業を継続することが重要です。安易に起業するのではなく、事業計画を明確にしておきましょう。

  • どのようなことをしていくのか
  • どうやって軌道に乗せるのか
  • 集客・資金はどうするのか

起業する方法について気になる方は「初めてでも会社設立は自分でできる!起業・創業のための完全マニュアル」を参考にしてみてくださいね。

事業継承で社長になる

ご家族が事業をしている場合には、事業継承で社長になることもできます。たとえば、父親が社長をしていて亡くなった場合、長男や長女が事業を継承することが多いでしょう。

もちろん、M&Aなどで他社に事業継承することもあるかもしれません。しかし、多くの場合は親族が継承します。ご実家や親戚に事業者がいれば、事業継承で社長になる可能性もあるはずです。

事業継承について詳しく知りたい方は「5分でわかる!事業承継~方法や成功法則などを大公開~」の記事で解説しています。

会社経営者を目指すなら持っておきたい資格

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会社経営者になるためには、必要な資格や経験は特にありません。しかし、大きな責任を担うからこそ、知っておいたほうがいい知識もあります。

そこで、会社経営者を目指すのなら学んでおきたい資格を3つご紹介しましょう。

  • 中小企業診断士
  • 日商簿記検定
  • ビジネスマネジャー検定

どれも独学で取得可能ですが、時間がない方は通信教育や資格スクールを利用してみてもいいですね。

中小企業診断士

中小企業診断士は、一般社団法人中小企業診断協会が実施するビジネスパーソンに人気の高い国家資格。国家資格のため難易度も高いですが、会社経営に活かせる知識を多く身につけられるのでおすすめです。

中小企業診断士としての仕事は、中小企業に対する経営コンサルティング業務。企業の課題や経営状態の判断などをし、トータルで見てどのような経営状況なのかを伝えるのがメインの仕事です。

他社の状況が判断できるようになるほどの知識を身につけられたら、自社の経営にも活用できるでしょう。持っていて損のない資格です。

第1次試験で7科目の筆記試験に合格し、以下のどちらかの条件をクリアすることで中小企業診断士としての資格を取得できます。

(1)第2次試験合格後、実務補習を修了するか、診断実務に従事
(2)中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了

中小企業診断士の登録有効期間は5年間です。登録更新には一定の要件があるため、資格取得後も自己研鑽に励む必要があります。

日商簿記検定

日商簿記検定は、学生をはじめとした多くの人が受験する有名な資格です。3級から1級まであり、1級が最上級になります。

3級は簿記の基本を学ぶ人にぴったりの難易度。簿記に触れたことがまったくない人は3級からの挑戦がおすすめです。

ビジネスで知識を活かしたければ最低2級、できれば1級の取得ができるといいでしょう。

2級以降は科目数が増えるので、勉強量も増えてきます。簿記や会計、数字に対する抵抗感がある人は、独学ではなく通信教育や資格スクールでの学習がおすすめ。年に数回チャレンジできる機会があるのであまり気負いすぎずに臨みましょう。

経理の流れや会計書類の見方を知ることで会社経営にも活用できます。

ビジネスマネジャー検定

ビジネスマネジャー検定は管理職に活用できる知識を身につけられる検定試験です。経営者と社員をつなぐ管理職には、チームとしてうまく結果を出すためのスキルが必須。次のような知識を学びます。

  • 管理者自身のマネジメント
  • 部下とのコミュニケーションのとり方
  • 事業計画の立て方
  • 目標遂行のための計画立案
  • 災害や組織のリスクマネジメント

ビジネスマネジャー検定では上記のように、人と組織のマネジメント、業務のマネジメント、リスクのマネジメントの3つのジャンルから学習。試験の学習で得た知識は自分の経営にもしっかり活かせます。

経営者も管理者の1人。組織の動かし方や士気の上げ方などを検定を通して学ぶことで、会社全体のマネジメントにも活きてくるはずです。

経営者になるのは簡単。そのあとの身の振り方が重要

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経営者という響きに憧れを抱く人も多いかもしれませんが、経営者になること自体は意外にも簡単です。事業継承や会社員からの昇進だけでなく、自分で起業すれば経営者になります。

しかし、大事なのは経営者となったあと。自社の事業を継続するためにどうすればいいのかをしっかりと検討するなど、経営者としての責任感をしっかりと持つ必要があります。

会社の中心になる経営者。軸がブレないように明確な目標を設定し、事業の成功に向けて税理士や社労士など専門家をうまく活用しながら、しっかりと軌道にのせていきましょう。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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